今日の一冊バックナンバー

  • Dec

    01

    『ぼんぼん』今江祥智(岩波少年文庫)

    『ぼんぼん』今江祥智(岩波少年文庫)

    中学時代、この本で読書感想文を書きました。その時に読んだ新潮文庫版が絶版になっていることに気付いた時は、本当に悲しかったのですが、この夏、岩波少年文庫で復活!!(一番最初の出版元、理論社も頑張って復活して!!)ちょっと訳ありな、なんでもできる佐脇さんは、私の永遠のヒーローです。

    (大阪府大阪市浪速区 ジュンク堂書店難波店 杉澤敦子さん)

  • Dec

    02

    『グラスハート』若木未生(幻冬舎)

    『グラスハート』若木未生(幻冬舎)

    女子高生ドラマーが、いきなりメジャーデビュー。青春そのもの疾走ストーリーです。もともとは1994年から刊行。ずっとずっと続きを待っていました、本当に、本当に。携帯は出てこないけど、物語の熱さは健在。ちなみに、今日は若木先生のお誕生日。おめでとうございます、シリーズの残り1冊「冒険者たち」も早く出してね~。

    (大阪府大阪市浪速区 ジュンク堂書店難波店 杉澤敦子さん)

  • Dec

    03

    『パソコンで巡る星空紀行 プラネタリウム・シアター』Toxsoft 監修(インプレスジャパン)

    『パソコンで巡る星空紀行 プラネタリウム・シアター』Toxsoft 監修(インプレスジャパン)

    誇大広告ではなく、本当にPCがプラネタリウムになります。南極から空を眺めてみたり、自分の生まれた日の星空を見てみたり。実際には絶対に見る事が出来ない昼間の星空も。姉妹編「宇宙旅行シミュレーション」も素敵ですよ。

    (大阪府大阪市浪速区 ジュンク堂書店難波店 杉澤敦子さん)

  • Dec

    06

    『もういちど村上春樹にご用心』内田樹(アルテスパブリッシング)

    『もういちど村上春樹にご用心』内田樹(アルテスパブリッシング)

    『1Q84』論や「エルサレムスピーチを読む」など2007年以降に、内田先生が書かれた村上春樹論を加えて新版として刊行されました。自他ともに認める春樹ファンの内田先生、村上春樹作品への熱い想いが伝わってきます。「冬ソナ」と「羊をめぐる冒険」の構造的類似性を論じ、司馬遼太郎と村上春樹のフェアネスについて語るなんて芸当はおそらく内田先生しかできないでしょう。

    (静岡県静岡市葵区 戸田書店城北店 太田原由明さん)

  • Dec

    07

    『もたない男』中崎タツヤ(飛鳥新社)

    『もたない男』中崎タツヤ(飛鳥新社)

    いらない物を捨てて、部屋が片づくと気持ちがすっきりした経験が誰にでもあると思います。「断捨離」関連の本が売れていますが、捨てるという行為にはどこか快感に似た感覚が潜んでいるのでしょう。
    本書は『じみへん』の著者である中崎タツヤさんの初のエッセイです。「捨てること」に対する思いを自身のエピソードを交えて綴っています。掲載されている中崎さんの仕事部屋の写真はちょっと衝撃的です。『じみへん』に出てくる空っぽの部屋そのまま!「捨てる、捨てないは、不安と自由に関わる問題です」と言い切る中崎さんはすでにもう悟りの境地?

    (静岡県静岡市葵区 戸田書店城北店 太田原由明さん)

  • Dec

    08

    『終電車ならとっくに行ってしまった』フジモトマサル(新潮社)

    『終電車ならとっくに行ってしまった』フジモトマサル(新潮社)

    夜、散歩をしていると、見慣れたはずの風景が、どこか違った感じがしてきて気持ちがざわざわすることがあります。寝静まる町、聞こえるのは自分の足音だけ。ひんやりとした夜の闇の中を歩いていると、思考は自由を取り戻し、あらぬ方向へと飛んでいきます。
    本書はフジモトマサルさんの初の画文集となります。夜のイメージが強く感じられる作品となっています。眠りと覚醒、夢想と現実の境を自在に往き来する文章とイラストがとても素適です。枕元に置いて眠れない夜に読む本。

    (静岡県静岡市葵区 戸田書店城北店 太田原由明さん)

  • Dec

    09

    『おくりものはナンニモナイ』パトリック・マクドネル(あすなろ書房)

    『おくりものはナンニモナイ』パトリック・マクドネル(あすなろ書房)

    贈り物ってむずかしいですよね。その人が自分にとって大切な人ならばなおのこと。その人が持っていないもので、喜んでくれそうなもので、すこし驚いてくれるようなもの・・・。
    ねこのムーチは大好きなともだちのアールに贈り物をしたいと思いました。「何でも持っているアールに何をプレゼントしたらよろこんでくれるだろう?」考えに考えたすえにムーチがアールにプレゼントしたものは?最後の5ページはグッときます。クリスマスプレゼントにおすすめの一冊です。

    (静岡県静岡市葵区 戸田書店城北店 太田原由明さん)

  • Dec

    10

    『レンブラントの帽子』バーナード・マラマッド(夏葉社)

    『レンブラントの帽子』バーナード・マラマッド(夏葉社)

    表題作『レンブラントの帽子』では、ふたりの男がほんとうにささいなことから反目し憎しみあうが、やがて訪れる和解の時までを描く。心境の微妙な変化の描写がすばらしい。
    『わが子に、殺される』は今でいうひきこもりの青年とその父親の物語。子供のことを心配し、手紙を無断で開封したり、後をつけ回したりしてしまいますが、そのことが返って子供の反発を招くばかり。何もできないでおろおろする親の姿は少し滑稽に描かれていますが、深い愛情が感じられます。
    徹底的に削ぎ落とされた文章で、誰の人生でも起こりうる小さな出来事をとおして人生の機微を描き出す。読後、じんわりとした余韻を残す作品集です。

    (静岡県静岡市葵区 戸田書店城北店 太田原由明さん)

  • Dec

    13

    『文・堺雅人』堺雅人(産経新聞出版)

    『文・堺雅人』堺雅人(産経新聞出版)

    月刊テレビナビの連載をまとめたエッセイ集。タイトルのつけ方といい、表紙の、堺さんが帯に隠れているレイアウトといい、タイトル漢字一字揃えといい、随所にこだわりが見えてくる完成度の高い本だと思います。和語はすべてひらがな表記に統一するなど考え抜かれた文章に、日本語を慈しんでいらっしゃるのがわかります。そして何より堺さんが楽しんで文章を書かれているという気持ちが、読み手に伝わってくるのがとても好いです。カバーをめくるとお楽しみひとつ。日本を代表する俳優さんの素顔っぽく見えて、実は「堺雅人」を完璧に演じる、「文章の演技力」には脱帽です。

    (東京都 リブロ吉祥寺店 山本亜紀さん)

  • Dec

    14

    『自棄っぱちオプティミスト』キリンジ(PARCO出版)

    『自棄っぱちオプティミスト』キリンジ(PARCO出版)

    日々の生活のなかで心に引っかかった事がらを、さらりと文章にする高樹さんと泰行さん。くだけた話題の多いなかで、たとえば「人に言えないこと」などは高樹さんの創る唄にも通じる、洞察の奥深さを感じます。長嶋有氏、森山未來氏との鼎談は、相手によってこんなに会話の色が変わるものなのかと感心しきり。松本大洋さんの表紙と挿絵が素晴らしすぎて、キリンジファン以外にもおすすめ。

    (東京都 リブロ吉祥寺店 山本亜紀さん)

  • Dec

    15

    『FLAT HOUSE LIFE』アラタ・クールハンド(中央公論新社)

    『FLAT HOUSE LIFE』アラタ・クールハンド(中央公論新社)

    東京都下の古くて味のある平屋が、美しい写真と愛情あふれる文章で紹介されています。どのお家も住む人のセンスとこだわりが詰まっていて、労を惜しまず手を加えたお家は日を追うごとに好きになるんだろうなぁと、ひたすらうらやましくて仕方ありません。古ければ古いほど良いというのは、最高の贅沢ではないでしょうか。写真と文字情報のバランスが良くて読み応えのある一冊。読むとフラットハウスに住みたくなります。

    (東京都 リブロ吉祥寺店 山本亜紀さん)

  • Dec

    16

    『ぼくは落ち着きがない』長嶋有(光文社)

    『ぼくは落ち着きがない』長嶋有(光文社)

    発売時『今高校生の人も、かつて高校生だった人も―』というPOPをつけて販売しました。不器用で愛おしい高校生たちが、本音を言ったり言わなかったり。毎日って実は生き難いもの。私たちはそれを乗り越えようとも思わず、やり過ごしている。現実とうまく折り合いがつかない頼子に、感情移入して苦しくなり、図書部にさえ居場所がなくなった尾上を、疎ましく思いながら気にかけるのは、きっと彼のことも理解できてしまうから。そんななか、ナス先輩の健全さに少し救われたような気持ちになります。傍観者の眼を持った主人公・望美を通して、私は高校生活を追体験しました。誰もが通りすぎる道標のような時間。高校の部活。随所にちりばめられた小ネタが、中和剤のような役割をしてバランスをとっています。長嶋有さんは巧すぎる。衿沢世衣子さんの表紙も秀逸。

    (東京都 リブロ吉祥寺店 山本亜紀さん)

  • Dec

    17

    『ゼロの王国』鹿島田真希(講談社)

    『ゼロの王国』鹿島田真希(講談社)

    本に対しても一目惚れがあるのだな。手に取った瞬間から読むべきだと直感しました。本からオーラが出ています。常々「善人」な人について胡散臭さと信用の置けなさを感じ、その事をまるで負い目のように感じる自分をもてあまし、善人はしんどいなぁと思っていた私ですが、なぜそう思うのか、この本を読んで理解の取っ掛かりがつかめたような気がしました。主人公の吉田青年は清く尊い精神をもった「善人」です。彼は自分の信ずるまま、関わりあうすべての人に誠実に対処し、言葉を尽くしてわかり合おうとします。まるで布教です。この頭の固さ。いけません。しかも、本人は自覚なしです。また、周りがどんどん吉田青年の底知れないオーラのようなものに感染し(ほら、布教)、彼と会話をすればするほど滑稽なダンスを踊るようです。鹿島田さんの筆力は恐ろしい。600ページ越えの本をするりと読ませてしまうのだから。

    (東京都 リブロ吉祥寺店 山本亜紀さん)

  • Dec

    20

    『おにぎりの丸かじり』東海林さだお(文春文庫)

    『おにぎりの丸かじり』東海林さだお(文春文庫)

    神田うのに対するなんとも言えないモヤモヤに答えを出してくれたのがナンシー関であったように、バイキング形式におけるローストビーフの特別扱いに対するモヤモヤに答えを出してくれるのが東海林先生です。先生、今年も恒例の小田急百貨店の駅弁フェアの時期がやってきますね。

    (埼玉県久喜市 ヴィレッジヴァンガード モラージュ菖蒲 小澤七月さん)

  • Dec

    21

    『ロングヘアーという生き方』みうらじゅん、高見沢俊彦、リリー・フランキー(扶桑社)

    『ロングヘアーという生き方』みうらじゅん、高見沢俊彦、リリー・フランキー(扶桑社)

    中学の時に留守番をしていたらセールスの人がやってきて「ご主人、今日はお休みですか?」と言われて以来、早くオッサンになりたかった私。近頃やっとロン毛も見た目もしっくりくる年齢になった気がします。ここからの人生、きっと私のものです。ところで偉大なる先輩方、シャンプー何を使ってますか?

    (埼玉県久喜市 ヴィレッジヴァンガード モラージュ菖蒲 小澤七月さん)

  • Dec

    22

    『ザモモタロウ』にわのまこと(ホーム社漫画文庫)

    『ザモモタロウ』にわのまこと(ホーム社漫画文庫)

    プロレス好きと一口に言ってもその趣味は多岐にわたる事をご存じだろうか。筋肉好き、流血好き、ストーリー好き、キャラクター好き・・・。そこへ行くと私は「技好き」。見たことのない新技を観ると興奮がやみません。普段も暇さえあれば新技の開発に余念がありません(ex.この技の時に手首をクラッチしながら投げたら更にエグイ角度で落ちるんじゃないの?等)。にわのまことの格闘漫画からは同志の匂いがプンプンいたします。いつか誰かがアグラツイストやストライクスリーを実践で出してくれる日を夢見て今日も私は脳内にて新技開発にいそしむのでした。

    (埼玉県久喜市 ヴィレッジヴァンガード モラージュ菖蒲 小澤七月さん)

  • Dec

    24

    『ミーツへの道 ―「街的雑誌」の時代』江弘毅(本の雑誌社)

    『ミーツへの道 ―「街的雑誌」の時代』江弘毅(本の雑誌社)

    4年ほど前、私は大阪への赴任を命じられました。東の田舎者であった私は「都会に対する恐怖」「関西に対する恐怖」のダブルパンチに震えていました。そんなときに送別の品でもらったのが京阪神エルマガジン社の通称「街本」シリーズ。この本のおかげで大阪での休日が楽しくて仕方ないものになりました。そのエルマガの初代編集長がこの江弘毅さん。あの独特唯一な雑誌をつくり上げた人です。あなたのおかげで大阪の街が大好きになりました。

    (埼玉県久喜市 ヴィレッジヴァンガード モラージュ菖蒲 小澤七月さん)

  • Dec

    27

    『村上龍対談集 存在の耐えがたきサルサ』 村上龍(文春文庫)

    『村上龍対談集 存在の耐えがたきサルサ』 村上龍(文春文庫)

    柄谷行人、坂本龍一、庵野秀明、河合隼雄、田口ランディなどなど14人の濃ゆいメンバーとの対談集。話題も歴史、経済、分子生物学と多岐にわたりますが、村上龍氏の質問、テーマ設定が的を得ていて、各対談相手のエッセンスを味わえます。読んでいると脳みそがザワザワするような、熱量のある一冊です。

    (ミシマ社星野)

  • Dec

    28

    『身体のいいなり』内澤 旬子(朝日新聞出版社)

    『身体のいいなり』内澤 旬子(朝日新聞出版社)

    今年最後に読んだ一冊がとても面白かった。内容はというと、著者が5年前に患った乳がんをはじめ長年、共存関係にあったアトピー、腰痛などの体の不調を綴ったものなのであるが
    内澤氏の手にかかると、これが大変面白い。実際には乳がんの副作用など大変だったと思うのだが「いわゆる闘病記になってしまうのは避けたかった」という著者の言葉どおり、他人の身体についてこんなにスイスイと読み進められたのは初めて。内澤ワールドをぜひみなさんにも体感していただきたいです。

    (ミシマ社 三島亜希子)

  • Dec

    30

    『首長パンチ』樋渡啓祐(講談社)

    『首長パンチ』樋渡啓祐(講談社)

    表紙から内容が想像できず、つい手にとって読んでみました。エリート官僚だったのに左遷されて、その後ひょんなことから最年少市長になり、数々のタブーと戦っていく奮闘記。笑いあり涙あり驚きあり・・・・ドラマのような展開にはまりすらすらと読めます。著者の熱いハートに心を動かされること間違いなしです。

    (ミシマ社 丁稚 加藤雄之)

  • Dec

    31

    『空白の五マイル』角幡唯介(集英社)

    『空白の五マイル』角幡唯介(集英社)

    誰もが行ったことのない場所へ行き、誰もがやったことのないことをやる――。そのことに何の意味があるのかと冒険家に問うことは、ほとんど無意味なのかもしれない。なぜなら冒険家にとっては、そのこと自体が、絶対の意味を持つのだから。そのまさに「冒険」に、命を懸けて挑む人間の姿は、本当に熱く、素敵だ。本書は、その魅力を存分に伝えてくれる。前人未踏の地が、ほとんどなくなった現代において、最後の「空白の地」に挑んだ冒険家・角幡唯介。彼の情熱と、先人冒険家たちの魂が凝縮された、燃えるようなノンフィクション。(2010年第8回開高健ノンフィクション賞受賞作)

    (近藤雄生)