今日の一冊バックナンバー

  • Apr

    01

    『すべてがFになる』森博嗣(講談社文庫)

    『すべてがFになる』森博嗣(講談社文庫)

    S&Mシリーズの第一弾。頭脳明晰! 天才的思考回路!! そんでもって「チョコレートはかまずに舌の上で溶かす食べ物」だとおそわりました。主人公達の年齢には、すっかりお母さんをしてたのですが、まったく知らないキャンパスライフに仲間入り気分ですヨ。読書ってスバラシイ! ナイストリップ!!

    &今日の一本(映画)
    「蜘蛛女」
    1993年、イギリス・アメリカの合作映画。ゲイリー・オールドマン(1等スキ)が主人公なのですが、これがもう、あんただめじゃんっ! とひざをたたいて、首を振っちゃうぐらいの悪い男。しかぁ~し、ストーリーが進むにつれて、自分も男に産まれていたら、まっとうに生きれた自信ゼロだなー・・・と思っちゃうくらい、ラストまでダメ男の色香に酔える一本です。

    (大阪府 TOKYU金剛店 藤原睦美さん)

  • Apr

    04

    『匣の中の失楽』竹本健治(講談社ノベルス)

    『匣の中の失楽』竹本健治(講談社ノベルス)

    いわゆるアンチミステリ、メタミステリの傑作。ミステリといえば頭脳明晰な探偵が開示不能と思われる謎を快刀乱麻につまびらかにしていく過程を楽しむのが常套なわけですが、この作品はさにあらず。『謎』は『謎』のまま終幕を迎えます。物語の構造自体も、作中作のかたちを一見とっているものの、次第にどちらが現実なのかがわからなくなってゆきます。普通の(?)カタルシスこそないですが、全力で『謎』に振り回される感覚がたまりません。ミステリの懐の広さ、力強さをあらためて思い知らされる一冊です。

    (千葉県佐倉市 文教堂書店ユーカリが丘店 山田智裕さん)

  • Apr

    05

    『完全カタログ ご当地キティ』(講談社)

    『完全カタログ ご当地キティ』(講談社)

    猫、ネコ、ねこ・・・どれだけページをめくっても猫、ネコ、ねこ・・・。まさに、差異と反復(違う)。微妙な差異を持った昆虫たちがずらりと並べられた標本などを目にすると、その自然の力に圧倒されたりしますが、それにもはや近い迫力を持っています、この猫図鑑。
    送り手すらもこのプロダクトの全貌を把握してるかどうか怪しいところに眩暈すら感じるのです。・・・きっと、今この瞬間にも世界の土産物屋の片隅で新種が生まれているのです、この図鑑にも載っていない猫たちが!(以下妄想)

    (千葉県佐倉市 文教堂書店ユーカリが丘店 山田智裕さん)

  • Apr

    06

    『ダンスがすんだ』フジモトマサル(新潮社)

    『ダンスがすんだ』フジモトマサル(新潮社)

    全編回文(上から読んでも下から読んでもいっしょ)で語られる驚異の一冊。もちろん頭から読んでいくのが楽しいんですが、ときおりパラパラとめくるのもとても楽しい。読み終えるとついつい考えてしまいます、回文。というわけで「書店員てよし シヨテンインテヨシ」・・・おそまつさまでした。

    (千葉県佐倉市 文教堂書店ユーカリが丘店 山田智裕さん)

  • Apr

    07

    『ブラック会社限界対策委員会』ヨシタケシンスケ(PARCO出版)

    『ブラック会社限界対策委員会』ヨシタケシンスケ(PARCO出版)

    ヨシタケシンスケさんの著作から一冊紹介したくて一冊。著作自体は映画『ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない』の企画本の一冊とみられがちですが、ヨシタケシンスケさんのすっとぼけさ加減が遺憾なく発揮された秀作だと個人的には思う次第です。
    「有給が取れません」→「会社で休むしかありません」とか・・・
    「なにをやってもダメ出しされる今の仕事にやる気をもてません」→「自分はマゾだとおもいこみましょう。ダメ出しが快感に変わればしめたものです」とか・・・もはやなげやりを通り越して、むしろポジティブな感じがたまりません、悩み多き社会人のデスクに必携の一冊。

    (千葉県佐倉市 文教堂書店ユーカリが丘店 山田智裕さん)

  • Apr

    08

    『パラダイス・クローズド』汀こるもの(講談社ノベルス)

    『パラダイス・クローズド』汀こるもの(講談社ノベルス)

    最近文庫化もされたTHANATOSシリーズの一作目にして、メフィスト賞受賞作。美少年探偵(双子)×お目付け役刑事(イケメン)×エリート警視 の萌えどころ満載のミステリ(笑) つねに熱帯魚がフィーチャーされるのがとっつきにくさに転じている感は否めませんが、その物語の展開のさせ方、特に会話運びの面白さは、回を増す事に確実に腕を上げています。現在5作(スピンオフ2作)まで発表されていますが、シリーズ5作目の登場人物全員ひとでなし感とどんでん返しは爆笑モノです!

    (千葉県佐倉市 文教堂書店ユーカリが丘店 山田智裕さん)

  • Apr

    11

    『桜の森の満開の下』坂口安吾(講談社文芸文庫)

    『桜の森の満開の下』坂口安吾(講談社文芸文庫)

    桜が見ごろのこの時期におすすめしたい一冊です。山に棲む盗賊の男と、彼に攫われてきた都の女の悲しい愛の物語です。それまで知っていたどの女性よりも美しく、気高く強い意志を持った女にあっという間に魅かれていく男。ともすれば都に帰りたがる女の気を引くために、男は彼女の悪魔的な願いを聞き入れ恐ろしい所業を重ねる日々を送ることになります。徐々にあらわになっていく女の狂気を畏れつつ、愛しながらも、自分の重ねる罪に疲れた男が選択したのは悲しい別れでした・・・。ラストシーンを彩る夜桜がとても印象的で、安吾の力強くも静謐で美しい文章に圧倒されます。桜の持つ他を圧倒するような美しさと華やかさと、かつて古代に「神の座す木」と崇めれた聖性は、まさにこの物語に出てくる女そのものといえるでしょう。
    桜が出てくる作品といえば梶井基次郎とおっしゃる方が多いのでしょうが、私は満開の桜を観るたびにこの作品のことを思い出します。満開の桜はあんなに綺麗なのに、樹の下にじっとたたずんでいるとなんとなくこわいような、さみしいような気持ちになる。幼い頃から私自身が抱いていたそんな感覚を、安吾も桜に対して抱いていたのではないかと思います。
    そもそもこの作品のことを知ったのは、劇団夢の遊民社(野田秀樹主宰)の「贋作・桜の森の満開の下」というお芝居でした。野田氏の演出は安吾作品の持つ力を、芝居という形でそれはみごとに表現されています。さすが"安吾の生まれ変わり"と自称してらっしゃるだけあります。あわせて観ていただくと『桜の森の満開の下』の持つ魅力がより深く解っていただけるのではないかと思うのですが、何分ずいぶん前の舞台作品なのでちょっとむずかしいかも・・・。
    蛇足ではありますが、この作品、岩波文庫からも出ているのですが、桜色の装丁の文芸文庫でお読みいただくことをおすすめします。

    (京都府 大垣書店二条駅店 谷口幸子さん)

  • Apr

    12

    『家守綺譚』梨木香歩(新潮社)

    『家守綺譚』梨木香歩(新潮社)

    ひょんなことから亡き友・高堂の実家を預かることになった綿貫征四郎。ある嵐の晩に、枕元にかかった掛軸のなかからボートに乗って高堂がやってきて、綿貫にこう告げる。「庭のサルスベリがお前に懸想している」・・・。その後の顛末は読んでいただくとして、ほかにも、庭の池には河童や竜田姫のお供の人魚がやってきたり、散歩に出れば小鬼がフキノトウを探しているのを手伝ってやったり、顔なじみの和尚に化けた狸に化かされそうになったり・・・。ちょっと不思議でユーモアのある綿貫氏の日常を、植物をモチーフにして織り成された掌編集です。ときにはくすっと笑えたり、しんみりとしたりとどこかほわほわとしたお話ですが、梨木さんらしく精神の深いところに触れる、凛として筋の一本通った気高さを感じさせる部分もきちんとあります。季節感にあふれた優しい物語たちです。

    (京都府 大垣書店二条駅店 谷口幸子さん)

  • Apr

    13

    『百日紅』上・下 杉浦日向子(ちくま文庫)

    『百日紅』上・下 杉浦日向子(ちくま文庫)

    自ら"画狂老人"と号するほど、絵を描くことに執念を燃やした葛飾北斎。それゆえか突拍子もない伝説を数々残していることでも有名な北斎を、江戸文化に精通した杉浦日向子さんが軽妙で洒落のきいた粋なセリフと、独特の絵柄で表現しています。こんな爺さんが自分の近くにいるのはちょっとめんどくさいことになりそうだなぁ、と思えるくらいにアクの強い北斎の周りの人たちもひとクセもふたクセもある奴らばかり。どのキャラクターも生き生きとしています。江戸にも浮世絵にも興味がない、という人にも楽しんでいただける作品だと思っております(なんせ漫画だから読みやすい!)。

    (京都府 大垣書店二条駅店 谷口幸子さん)

  • Apr

    14

    『ばらかもん』ヨシノサツキ(スクウェアエニックス ガンガンコミックスONLINE)

    『ばらかもん』ヨシノサツキ(スクウェアエニックス ガンガンコミックスONLINE)

    東京から長崎・五島列島にやってきた青年書家と島の住人たちとのふれあいを描いた作品です。都会育ちのエリート書家・半田清舟は、所属する書道家協会の会長に自分の作品を批判されたことにキレて殴ってしまい、父親に「自分を見つめ直して来い」といわれて五島列島にやってきます。人づきあいが苦手でプライドの高い彼は、最初は島の人たちの遠慮のない接し方にとまどいますが、おおらかに自分を受け入れてくれる人たちに少しずつ心を開いていきます。島のゆる~い時間の流れ方がココロ癒してくれる作品です。

    (京都府 大垣書店二条駅店 谷口幸子さん)

  • Apr

    15

    『クライマーズ・ハイ』横山秀夫・文春文庫

    『クライマーズ・ハイ』横山秀夫・文春文庫

    1985年8月12日に発生した航空機事故史上最悪の犠牲者を出した「日航ジャンボ機御巣鷹山墜落事故」。事故現場の地元・長野県のとある新聞社を舞台に、未曾有の大事故を報道する記者たちの姿を描いた作品です。最高の新聞をつくるために奔走する記者たち。複雑な人間模様を巧みに織り交ぜて、過酷な"報道の現場"を描き切る技は、元新聞記者で実際にこの事故を取材した経験を持つ横山氏ならではだと感じます。作中に漲る緊張感と臨場感は、ドキュメンタリーを読んでいるような錯覚を起こさせるほど。映画版「クライマーズ・ハイ」もぜひご覧になってみてください。

    (京都府 大垣書店二条駅店 谷口幸子さん)

  • Apr

    18

    『メタマジック・ゲーム』D・R・ホフスタッター(白揚社)

    『メタマジック・ゲーム』D・R・ホフスタッター(白揚社)

    値段と分厚さに怖じ気づいちゃいけません。科学誌に連載されていたコラムをまとめた一冊ですが、内容は一般的な「科学」だけではなく、音楽、美術、ナンセンスや自己言及文、ルービックキューブにまで及びます。それぞれの章は独立していますので、まずはパラパラと頁を繰ってみて下さい。膨大な量のテキストではありますが、文章はコラムの軽い語り口で書かれておりスラスラと読み進めていくと、いつのまにか様々な考えが頭のなかがグルグル渦巻いている。今まで見ていたものを、前より少し面白く見せてくれます。

    (広島県広島市 MARUZEN&ジュンク堂書店広島店 三丸晋さん)

  • Apr

    19

    『御馳走帖』内田百閒(中公文庫)

    『御馳走帖』内田百閒(中公文庫)

    中島らもが何かで「昔は近所に絶対いてた、何にでも文句を並べる爺さん」と書いていた百鬼園先生こと内田百閒の「食」にまつわる随筆集。小品の集まりではありますがこれが滅法面白いんです。内容はもちろんですが、ひとつひとつのタイトルが興味をひかるんですね。「薬喰」、「芥子飯」、「おからでシャムパン」、「焼き豆腐とマーガリン」などなどがありますが、そのなかで一等不思議なのは「めそ」。それは一体食べ物か、はたまた何かの行事なのか。気になるお方は是非とも本書をご覧じろ。決して上品で洗練された一皿ではありませんが、三時のおやつから晩酌のお供まで小腹が空いた時にピタリとはまる一冊です。

    (広島県広島市 MARUZEN&ジュンク堂書店広島店 三丸晋さん)

  • Apr

    20

    『李陵・山月記』中島敦(新潮文庫)

    『李陵・山月記』中島敦(新潮文庫)

    教科書にも使われている位ですので、わざわざオススメする事もないと思うのですが、このなかの一編「弟子」を読んで背筋が伸びない人とは友達になれる気がしません。

    (広島県広島市 MARUZEN&ジュンク堂書店広島店 三丸晋さん)

  • Apr

    21

    『伝奇集』J.L.ボルヘス(岩波文庫)

    『伝奇集』J.L.ボルヘス(岩波文庫)

    すべての書物を愛する人々には天国であり、また地獄でもあるような「バベルの図書館」。見聞きした物事のすべてを忘れる事のできない男「記憶の人フネス」。一瞬のなかの永遠を描いた「隠された奇跡」など、この本には無限や循環という要素が色濃く記されています。名詞が存在せずに形容詞の連なりにより事象を表す言語やすべてを偶然の赴くままに委ねた人々など、その他の短編それぞれからが長編さながらの独特の世界を持っています。これとミヒャエル・エンデの「鏡の中の鏡」があれば眠れぬ夜も束の間の内に明けてしまう事でしょう。途中で寝ると悪夢にうなされるかもしれませんが。

    (広島県広島市 MARUZEN&ジュンク堂書店広島店 三丸晋さん)

  • Apr

    22

    『大阪豆ゴハン』サラ・イイネス(講談社漫画文庫)

    『大阪豆ゴハン』サラ・イイネス(講談社漫画文庫)

    登場人物は元より、セリフも枠線も手書きでひとつもカチッとしたところがない、お気楽極楽を地で行く100%大阪、の一家族を中心に据えた漫画です。ただし、一般的に大阪的としてイメージされる「豹柄のおばちゃん」などの所謂コテコテキャラは登場皆無でして、あくまでも日常の生活そのものが描かれているのです。他人の日常なんて、と仰るなかれ。読後には「豆ゴハン」が食卓に出てきたような、じんわりと温かな面白さに包まれる事請け合いですよ。

    (広島県広島市 MARUZEN&ジュンク堂書店広島店 三丸晋さん)

  • Apr

    25

    『Facade』ハン・スンピル(フォイル)

    『Facade』ハン・スンピル(フォイル)

    ん?
    どこが壁で、どこからが絵?                
    この感性、圧巻です。
    実際にこの場所でこの絵を見てみたい!!って思わされました。
    普通のアートじゃ満足できない人にお勧めかもしれませね。

    (兵庫県神戸市 ジュンク堂書店住吉店 釜田良平さん)

  • Apr

    26

    『大事なことはみーんな猫に教わった(そしてもっと)』著:スージー・ベッカー/訳:谷川俊太郎(飛鳥新社)

    『大事なことはみーんな猫に教わった(そしてもっと)』著:スージー・ベッカー/訳:谷川俊太郎(飛鳥新社)

    自由気ままに生きる為には・・・。そんな猫ピンキー結構共感できます!!
    谷川さんのことば「ありのままの猫とうまくやっていけるなら、あなたはどんなわがままな恋人とも、自分勝手な夫とも、幸福に暮らしていけるにちがいありません」
    その通りですよねー。ほのぼのな気分になりますよ。

    (兵庫県神戸市 ジュンク堂書店住吉店 釜田良平さん)

  • Apr

    27

    『そして生活はつづく』星野源(マガジンハウス)

    『そして生活はつづく』星野源(マガジンハウス)

    三十路手前の独身男性の日常を綴ったエッセイ。著者は俳優、インストゥルメンタルバンドのリーダー、文筆業等さまざまな活動をしている。内容は「生活が苦手」という著者のダメダメな部分を晒しているようで、物事に対する真摯な捉え方も垣間見えてくる。草食系やらの概念には当てはまらない「孤」人としての彼がそこにいるのだ。独身男性より独身女性が読むべき作品かもしれない。

    (兵庫県神戸市 ジュンク堂書店住吉店 釜田良平さん)

  • Apr

    28

    『銀河鉄道の夜』作:宮沢賢治/絵:清川あさみ(リトルモア)

    『銀河鉄道の夜』作:宮沢賢治/絵:清川あさみ(リトルモア)

    ページをめくるたび・・・目の前に鮮烈に立ち上がる――
    ビーズや布、クリスタル、糸で織りなす宇宙。
    水素よりも透明な銀河の水、サファイアやトパーズの河原、眼もさめるような白い十字架、色つきの影絵が、幻想的な『銀河鉄道の夜』に、これ以上考えられないぐらいピッタリあっています。宮沢賢治が言葉で描いた空前絶後の情景、色彩と光をたくみに操って描かれた絵には、息をのみました。 幻想的で、まさに夢の世界です。

    (兵庫県神戸市 ジュンク堂書店住吉店 釜田良平さん)

  • Apr

    29

    『ましろのおと』羅川真里茂 (講談社コミックス月刊マガジン)

    『ましろのおと』羅川真里茂 (講談社コミックス月刊マガジン)

    津軽三味線を背負い、上京してきた主人公。雪(せつ)。目標としていた祖父が亡くなり、自分の音を見失ってしまった雪だが、多くの人々と出逢いながら自分の音を探す旅を始めた。読んで一気に引き込まれました!!作品のインパクトが実に珍しいです。青森の言葉が独特でこれがハマる。1巻から強烈でした。お薦めです!!

    (兵庫県神戸市 ジュンク堂書店住吉店 釜田良平さん)