今日の一冊バックナンバー

  • Jul

    01

    『古い骨』アーロン・エルキンズ(早川書房)

    『古い骨』アーロン・エルキンズ(早川書房)

    90年代に早川書房のミステリアス・プレス文庫で刊行されていましたが、数年前の年末ミステリーでノミネート。新たにハヤカワ・ミステリ文庫で刊行されています。「アメリカ探偵作家クラブ賞(最優秀長編賞)受賞作」

    (徳島県 紀伊國屋書店徳島店 小作昌司さん)

  • Jul

    04

    『本の雑誌血風録』椎名誠(新潮文庫)

    『本の雑誌血風録』椎名誠(新潮文庫)

    これは私が気づくと折々に読み返してしまっている本です。椎名誠とその仲間たちのやりとりに何度吹出したかわかりません。何度読んでも笑えます。そして、いい具合に脱力しているようでいて、確かにそこにある熱さ。読むと確実に元気なれる一冊です。余談ですが、「本の雑誌」がスタートした時、最も早く置いて売ってくれたという御茶ノ水駅前の書店『茗溪堂(めいけいどう)』を昨年訪ねてみました。感無量でした。

    (北海道札幌市 札幌弘栄堂書店パセオ西店 坂胤美さん)

  • Jul

    05

    『コンドルズ血風録!』勝山康晴(ポプラ文庫)

    『コンドルズ血風録!』勝山康晴(ポプラ文庫)

    これはたまにですが、こうして本を紹介する機会をいただいた時にできるだけオススメするようにしている本です。NHK「サラリーマンNEO」内のサラリーマン体操でおなじみの「コンドルズ」。その結成前後の日々綴った一冊です。学ランを着て日本のみならず世界でも踊り続ける40歳前後の男性たちの軌跡。個性豊かなメンバーの予測不能な行動に笑い転げ、彼らが放つただならぬパワーとエネルギーにうっかり熱い涙を流してしまいました。ぜひ続編も読んでみたいと強く思います。ちなみに勝山さん、椎名誠リスペクトを公言していて、本書のあとがきも椎名さんです。あとがきも必読です。

    (北海道札幌市 札幌弘栄堂書店パセオ西店 坂胤美さん)

  • Jul

    06

    『もしリアルパンクロッカーが仏門に入ったら』架神恭介(イカロス出版)

    『もしリアルパンクロッカーが仏門に入ったら』架神恭介(イカロス出版)

    非常に斬新な仏教入門書です。釈尊はニートだった!? とか、日本仏教界を代表する萌えキャラ・最澄たん。とか、ギャングスタラッパー・日蓮などなど、突き抜けた表現で仏教の思想と歴史を語っています。その斬新さゆえ、もしかしたら賛否両論あるかもしれませんが、私は非常に楽しく読めました。それどころか、仏教をリアルに感じた。そんな一冊でした。

    (北海道札幌市 札幌弘栄堂書店パセオ西店 坂胤美さん)

  • Jul

    07

    『私の名前は、高城剛。住所不定、職業不明』高城剛(マガジンハウス)

    『私の名前は、高城剛。住所不定、職業不明』高城剛(マガジンハウス)

    ハイパーメディアクリエイターって何ぞや? って感じつつもいつもなにか面白そうなことをしている人というイメージの高城剛がQ&Aスタイルで自身について語っている本です。まずは自分と向き合うこと。まわりにどう思われるかは気にしない。そんなメッセージが熱く響きます。説得力があります。個人的にはツイッターに関する考えがとても興味深かったです。とにもかくにも、このおもしろパーソン・高城剛が今後何を発信していくのか、私はとても楽しみです。

    (北海道札幌市 札幌弘栄堂書店パセオ西店 坂胤美さん)

  • Jul

    08

    『ミュージック・ブレス・ユー!!』津村記久子(角川文庫)

    『ミュージック・ブレス・ユー!!』津村記久子(角川文庫)

    「音楽について考えることは、将来について考えることよりずっと大事」という高校3年生・アザミの1年間。グダグダした日々の中に随所にきらめく宝物のような瞬間がまぶしい一冊です。日々の中でアザミが音楽を思うこと、そして音楽がアザミに与えてくれるもの、これが実にすばらしい!! 「何かをいいな」と思うことがくれるパワーはあなどれないですね。自分の中からわいてくる、「いいな」という感覚にいつだって素直に気づける人でいたいものです。

    (北海道札幌市 札幌弘栄堂書店パセオ西店 坂胤美さん)

  • Jul

    11

    『天体戦士サンレッド 1〜12』 くぼたまこと (スクエア・エニックス)

    『天体戦士サンレッド 1〜12』 くぼたまこと (スクエア・エニックス)

    ミシマ社の営業窪田さんと「地元」について雑談していたのを思い出し、「「地元」熱がすごい本はこれだろう、これしかないだろう」と漫画家さんが同じ「くぼた」ってこともあり、推薦させていただく。何しろ神奈川県川崎市溝ノ口という、おもいっきり限定した地域を舞台にした漫画なのだ。(なぜか当たり前のように世間で認識されている)職業、正義の味方サンレッドと、(こちらもなぜか当たり前のように世間に受け入れられている)悪の組織フロシャイム川崎支部のヴァンプ将軍とゆかいな仲間たち。Tシャツにサンダルでパチンコに入り浸り、かよ子のヒモとしてアパートに暮らすサンレッドと、木造の一戸建てをフロシャイム川崎支部の拠点とし、幹部として、時には主夫として、アニマルソルジャーの母として、部下たちの面倒を見つつ、町内会にも参加、家計をやり繰りしながらいつかサンレッドを倒すはず・・・の、ヴァンプ将軍。これほど緊張感のない、「激しい正義と悪の戦い」もないだろう。かよ子とヴァンプ将軍の「お醤油」の貸し借りや、部下たちのイマドキ(だけどなんかピュア)な会話が、なんだかとっても「安心」させられるのだ。とにかく! 「ヴァンプ将軍のさっと一品」という料理コーナーは使えること間違いなしだ。

    (大阪府 ジュンク堂書店大阪本店 川上智子さん)

  • Jul

    12

    『豆腐百珍』 福田浩、杉本伸子、松藤庄平・著(新潮社)

    『豆腐百珍』 福田浩、杉本伸子、松藤庄平・著(新潮社)

    19だか20だかくらいの時に、鬼平や藤枝梅安にはまっていたときがあって、彼らが食す「はまぐりご飯」を小説の内容から再現してみたことがあった。その時の美味しさは、今も私のなかで美化されつつも、自分の調理法の基本となっている。本書は約200年前、江戸グルメブームの際に出版されたという、「豆腐」の料理法・故事来歴を記した、日本最初の豆腐百科だ。寒天の中に豆腐が閉じ込められた「こおり豆腐」は、見た目も涼しそうで今の季節にぴったりだ。醤油でもポン酢でも美味しい。ちなみに下の画像は、「こおり豆腐」を実際つくってみた時の写真。

    (大阪府 ジュンク堂書店大阪本店 川上智子さん)

  • Jul

    13

    『カルチュラル・コンピューティング 文化・無意識・ソフトウェアの創造力』土佐尚子(NTT出版)

    『カルチュラル・コンピューティング 文化・無意識・ソフトウェアの創造力』土佐尚子(NTT出版)

    著者は京都大学学術情報メディアセンターの人。以前WEB上で、海外の大きな建造物をスクリーンとして、その建造物がバラバラと崩れたり再現されたり様々な動きを魅せるメディアアートを見たことがあった。数年前、大阪の中之島でも。感情をコンピューティングすることは可能だろうか。空気を読むコンピュータ・・・。詩を詠むコンピュータは? 禅思想をコンピューティングするとどうなる? なぜこんなにも面白い分野の書籍があんまり出ていないのか、もっとたくさんの人に読んでもらいたい。そして頭のいい人はどんどん面白いことをやっていってほしい。

    (大阪府 ジュンク堂書店大阪本店 川上智子さん)

  • Jul

    14

    『清水次郎長 幕末維新と博徒の世界』高橋敏 (岩波新書)

    『清水次郎長 幕末維新と博徒の世界』高橋敏 (岩波新書)

    今、「親分」な人っているだろうか。男の人は群れるというけども、なぜだかついて行きたくなるような「親分」。そんな博徒たちの任侠話を、美容室の新人君に、熱く、暑く、語って聞かせていたら・・・。3カ月後に行ったとき、彼は「難しかったけど読みましたよ! 面白かったっす! すげえよ! 次郎長!」と言ってくれた、思い出の一冊。映画も観たとか。彼はその後、自分で「竜馬がゆく」やら、何やら次々と幕末の偉人の書籍を選んで読んでいる。うれしや。

    (大阪府 ジュンク堂書店大阪本店 川上智子さん)

  • Jul

    15

    『サウンド・エデュケーション』R・マリー・シェーファー(春秋社)

    『サウンド・エデュケーション』R・マリー・シェーファー(春秋社)

    小さい頃、よく周りの音を録音して繋いでみたり延々と聴き続けたりしたことはないだろうか。兄弟のお馬鹿な独り言を録音して大音量でかけてみたり・・・。これは、実はりっぱなサウンドスケープ思想の実践といえるのだ。
    音を「聴く」ための課題集。一見すると怪しい行動の、様々な課題をこなしてみよう。やり終えたとき、世界が変わる。

    (大阪府 ジュンク堂書店大阪本店 川上智子さん)

  • Jul

    19

    『文学部唯野教授』筒井康隆(岩波現代文庫)

    『文学部唯野教授』筒井康隆(岩波現代文庫)

    学内での人間模様、隠れての小説の執筆、ファンの子との恋愛。早治大学の名物教授、唯野氏の日常を面白おかしく描いた作品。本書はそれだけでも楽しめるのに、文学批評のガイドブックとしてのもうひとつの顔が隠されています。さすが奇才筒井氏! それにしても岩波さんからよく出版できましたね・・・。

    (岩手県盛岡市 さわや書店フェザン店 栗澤順一さん)

  • Jul

    20

    『炎(ほむら)立つ 1〜5巻』高橋克彦(講談社文庫)

    『炎(ほむら)立つ 1〜5巻』高橋克彦(講談社文庫)

    先日、平泉は悲願の世界遺産登録を果たしました。金色堂などの建造物が有名ですが、実は浄土の平和を願いつつ、理不尽な中央に抗った歴史があります。本書は平泉四代の物語。話題性とともに平泉を歩きつつ、この物語で歴史に触れ、本当の平泉を知って欲しいと思います。

    (岩手県盛岡市 さわや書店フェザン店 栗澤順一さん)

  • Jul

    21

    『プリンシプルのない日本』白洲次郎(新潮文庫)

    『プリンシプルのない日本』白洲次郎(新潮文庫)

    権力にしがみつき身を引かないトップ。被災地に暴言を吐き辞任した大臣。官僚的体質で問題解決能力が低い東電。戦後の復興に尽力し東北電力会長も務めた白洲氏が存命ならば、震災後の日本の姿を見てどう思うのでしょう。かなわぬ願いならばせめて本書を読んで、思いを馳せたいものです。

    (岩手県盛岡市 さわや書店フェザン店 栗澤順一さん)

  • Jul

    22

    『アドルフに告ぐ 1〜4巻』手塚治虫(文春文庫)

    『アドルフに告ぐ 1〜4巻』手塚治虫(文春文庫)

    舞台は第2次世界大戦。復讐と許しが交錯し、運命に翻弄される三人のアドルフの物語。重いテーマの本書は、正直にいうと自分のなかでも消化できていません。ただしそのなかでも生命賛歌が随所にちりばめられ、読後に希望が残ります。そのため何度も読み返してしまう一冊です。

    (岩手県盛岡市 さわや書店フェザン店 栗澤順一さん)

  • Jul

    25

    『3月のライオン』(1~6以下続巻)羽海野チカ(白泉社)

    『3月のライオン』(1~6以下続巻)羽海野チカ(白泉社)

    高校生にしてプロ棋士の桐山零を主人公に、「居場所」を探し続ける人間を描くストーリー。「ハチミツとクローバー」では美大生たちを軸に、「自分は何者なのか」「何者になれるのか」を問い、上手くいかない恋愛模様にやきもきさせられる・・・という、ある意味少女コミックの王道を描いたが、今作では一歩踏み込んで「自分は何者であるか」を自覚した者の闘いを描いている。己の思い定めた世界で居場所を得る為、「勝つ」ということへの恐ろしいほどの執着と欲。そして「勝ってしまう」ということの残酷さ。将棋盤に向かうことで「絶対的な孤独」を味わい、「相手に勝つことは己に勝つこと」という困難に立ち向かう。「ハチミツとクローバー」で作者が見せてくれたのは、砂糖菓子のように甘く美しい世界だった。
    「3月のライオン」で作者が描こうとしている世界は、もっと現実に近い世界だ。そうだ、現実は美しいばかりではない。でも人は自分のフィールドでそれぞれに葛藤を抱えながら闘っていくのだ、という当たり前の事実を、暴力的に突きつけるのではなく、そっと提示してくれる。だからこそ、目をそらせない力強さがある。

    (大阪市 ブックファースト梅田2階店 木野 潤子さん)

  • Jul

    26

    『乙女なげやり』 三浦しをん(新潮文庫)

    『乙女なげやり』 三浦しをん(新潮文庫)

    ある夜、大阪から当時住んでいた京都へ帰るべく、電車に乗っていた。手にはその日なんとなく買った『乙女なげやり』を持って。おおよそ1時間の乗車時間を読書に当てようと、早々に読み始めて・・・すぐに後悔した。ヤバイ、思っていたより面白い。気を緩めると声を出して笑ってしまうやもしれん。ふつふつとこみ上げる笑いを咳払いでごまかしつつ、途中でやめることもできずに読み進めていくうちに、「階段を転げ落ちたのよ! ガンタンクみたいに!」というフレーズが目に飛び込んできて、限界突破。満員電車の中で思わずふき出し、逃げるように電車を降りた。電車が動き始めてから20分しか経っていなかった。
    それ以来、三浦しをんのエッセイは、ひと気のないところで読むことにしている。

    (大阪市 ブックファースト梅田2階店 木野 潤子さん)

  • Jul

    27

    『西の魔女が死んだ』 梨木香歩(新潮文庫)

    『西の魔女が死んだ』 梨木香歩(新潮文庫)

    学校という小さな世界に居場所をなくしてしまった、まい。豊かな自然に囲まれたおばあちゃんの家で、彼女が過ごした宝物のようなひと夏の物語。
    正直に白状すると、色々な人が色々なところで紹介していて、書店員が薦める本としてはベタ過ぎて若干気恥ずかしい、という気がしないでもない。でも、誰もが紹介したくなる本には、それなりの理由があるのだと思う。それは例えば、おばあちゃんが教えてくれる、生きるための智恵や考え方かもしれないし、受け入れる、ということの本当の意味かもしれない。もっと若いときに読んでいたら、この物語から感じることは今と違っていただろう。まいの母親世代になったから、わかることがあった。そして、おばあさんになってから、もう一度読み返したいとも思っている。私にとっては、そういう大事な一冊。

    (大阪市 ブックファースト梅田2階店 木野 潤子さん)

  • Jul

    28

    『太陽の下の17歳 西炯子作品集』 西炯子(ジャイブ)

    『太陽の下の17歳 西炯子作品集』 西炯子(ジャイブ)

    2010年、「娚の一生」で注目を浴びた西炯子。まだ「腐女子」という言葉のなかった女子高生の頃から20年、飽きることなく西炯子を追いかけ続けている私としては、「他にもいい作品がいっぱいあるよ!!」と声を大にして言いたいのである。その一番の作品が、この作品集所収の「薔薇姫」だ。眠ったまま目が覚めなくなるかもしれない、という難病を抱えた高校生・白井とその親友・金石。ふたりが出会って親しくなるまでの楽しい日々は饒舌に、一転、白井の難病告白から亡くなるまでの日々を、淡々と言葉少なに描いている。
    特にラスト前の4ページには台詞やト書きはほとんどなく、金石の表情と風景だけでその感情の動きを語ってしまう。長い長い映画を見た後のような、深く切ない余韻を味わえる。

    (大阪市 ブックファースト梅田2階店 木野 潤子さん)

  • Jul

    29

    『しかもフタがない』 ヨシタケシンスケ(PARCO出版)

    『しかもフタがない』 ヨシタケシンスケ(PARCO出版)

    とにかく脱力できるイラスト集。彼の本は、中身はもちろんタイトルが秀逸。ほかに「やっぱり今日でした」「じゃあ君が好き」「ブラック会社限界対策委員会」など、「おいおいおいおい」と思わず突っ込んでしまいそうなものばかり。
    注意してよく読むと、日常に流されていきそうな「へんてこな瞬間」とか「へんてこな気持ち」とか「へんてこな慣用句」なんかが、落書きみたいな力の入っていないイラスト(最大の賛辞です)の横にちょろっと書いてあったりして、ハッとする瞬間も。
    疲れてしまったり、何かがどうしようもなく嫌になった時に読むと、「人間ってちょっとまぬけ。」って思えて気が軽くなるかも。

    (大阪市 ブックファースト梅田2階店 木野 潤子さん)