今日の一冊バックナンバー

  • Jan

    01

    谷郁雄エッセイ集 日々はそれでも輝いて(ナナロク社)

    谷郁雄エッセイ集 日々はそれでも輝いて(ナナロク社)

    詩人・谷郁雄はいかにして詩人になったか? それは、現代において詩人とはどういう存在か、詩とは何か、という問いとイコールなのかもしれない。著者がセレクトした詩たち(ヘッセ、エリオット、シンボルスカ、長田弘、田村隆一、谷川俊太郎、中也、与謝野晶子・・・)とその解説も素晴らしく、「現代詩人入門」としても秀逸。著者初のエッセイ集は、「詩の時代」の到来を確信させてくれる、やわらかな感触の一冊です。

    (ミシマ社 三島邦弘)

  • Jan

    02

    『代表的日本人』内村鑑三著 鈴木範久訳(岩波文庫)

    『代表的日本人』内村鑑三著 鈴木範久訳(岩波文庫)

    2011年、震災後に私が何度も読み返した一冊がこれです。西郷隆盛、上杉鷹山、二宮尊徳、中江藤樹、日蓮、この5人の生涯が収められています。特に二宮尊徳の章は、今こそ多くの人に読んでほしい。尊徳は傾いた生家の再興を志し、身を寄せた伯父の家で懸命に働きながら少しの時間にも努力と勉強を惜しまず、何もないところから独力で財を成しました。その勤勉倹約により自然と高まった名声は彼の望むところではなかったものの、農民の出ながら藩主に請われ、たくさんの廃村に仁術を施し、人心と土地を再生させ、晩年は江戸幕府に取り立てられるほどでした。(そのなかでもとりわけ顕著な事業は、現在の福島県にある相馬藩の再興であった。)その徳をもって、本当に困った人たちをたくさん救った尊徳のあり方は、震災で落ち込んでいた私の心に、どっと響いたのでした。日本人はこれから先も彼の生き方と、「大地の恵みが私たちにもたらしてくれるもの」を決して忘れてはならないと、本気で思いました。土と太陽と水があってこそ、私たちは生きられるのだという、その当たり前すぎる現実を尊徳を通じて再認識した次第です。尚、本書は1894年、日清戦争が始まった年に英文で書かれました。当時、内村鑑三は34歳。この国を生きた先人の凛とした姿に胸が熱くなると同時に、私もまた、ささやかながら後世にバトンを渡す役目を持った一人として、背筋の伸びる思いがします。

    (ミシマ社 渡辺佑一)

  • Jan

    03

    『けんちく体操』チームけんちく体操(エクスナレッジ)

    『けんちく体操』チームけんちく体操(エクスナレッジ)

    お正月に美味しいものをたくさん食べて、そろそろお腹が気になるころじゃありませ
    んか? そんなときはやっぱり、体操が一番ですよね。でも、ただの体操では面白く
    ないので、おもいきって「けんちく体操」はいかがですか!? パルテノン神殿から
    東京スカイツリーまで、世界各地の建築物になりきって、心も体もリフレッシュしま
    しょう! 

    (ミシマ社 窪田篤)

  • Jan

    04

    『ザ・万歩計』万城目学(文春文庫)

    『ザ・万歩計』万城目学(文春文庫)

    おもしろいことに遭遇する星のもとに生まれた、としか思えない万太郎氏の、抱腹絶倒エッセイ。というよりも本当は、誰もが面白い日常を送っているのに、万太郎的とほほ力が足りていないだけなのかもしれません。ニヤけてしまうので、電車のなかで読むのは避けることをおすすめします。

    (ミシマ社 星野友里)

  • Jan

    05

    『舟を編む』三浦しをん(光文社)

    『舟を編む』三浦しをん(光文社)

    出版社で辞書を制作している部署を舞台にした物語。辞書にかける思いが深く、主人公の不器用さとマニアックなところが素敵です。世の中にはたくさんの仕事があり、それぞれ適正不適正があるのだとしみじみ感じました。一見今不必要に見える得意技も、場を変えれば神のごとく尊敬されることも、あるかもしれません。

    (ミシマ社 林萌)

  • Jan

    06

    『野蛮な読書』平松洋子(集英社)

    『野蛮な読書』平松洋子(集英社)

    平松さんの文章を読むと、むしょうに美味しいものが食べたくなります。今すぐおススメのお店へと走りたくなるぐらいです。いつもは食の世界へステキな言葉で誘ってくれる平松さんですが、本書はそんな感動そのままに、本の世界へと連れていってくれます。世の中にはまだまだ知らない名著がいっぱい。帯コピーにあった「本は本を連れてくる」。まさにそんな出会いがつまった一冊でした。

    (ミシマ社 亜希子)

  • Jan

    10

    『暇と退屈の倫理学』國分功一郎(朝日出版社)

    『暇と退屈の倫理学』國分功一郎(朝日出版社)

    次々と日常のあれこれが哲学や知識者の言葉によって説明され、意味を持ち自分で咀嚼できることの楽しみが読書にはある。そう、なんとなく自分も一段階あがったような気分になるそんな読書体験が本を楽しいと思わせる。「暇=退屈」について歴史、思想、社会から読み解き、はっと気づかされることをが多い。とてもよい読書の時間。「退屈」とはほど遠い本。

    (東京都世田谷区 三省堂書店下北沢店 雨宮雅美さん)

  • Jan

    11

    『A3』森達也(集英社インターナショナル)

    『A3』森達也(集英社インターナショナル)

    私たちが日ごろ得ている情報の信ぴょう性とはどこにあるのだろうか。一連のオウム裁判はすべて終わったと報じられた。あれだけ連日報道された事件でさえ、これからもっと目に耳に入らないところへ行ってしまう。同じように震災報道、原子力の報道も一部は情報は開示されることなく私たちは判断し続けなければならない。自分の足で取材し、見聞きすることへの欲求を忘れてはいけないとつくづく思う。

    (東京都世田谷区 三省堂書店下北沢店 雨宮雅美さん)

  • Jan

    12

    『トリツカレ男』いしいしんじ(新潮文庫)

    『トリツカレ男』いしいしんじ(新潮文庫)

    500円も出さずこんないい気持ちになれる本があるんだと個人的に人にすすめまくった本。
    「そりゃもちろん、だいたいが時間のむだ、物笑いのため、
     役立たずのごみでおわっちまうだろうけれど、
     いずれなにかちょっとしたことで、むくわれることはあるんだと思う」 
    外国のおとぎ話みたいな語り口で日本の作家にこんな人がいてうれしかった一冊。

    (東京都世田谷区 三省堂書店下北沢店 雨宮雅美さん)

  • Jan

    13

    『レンブラントの帽子』バーナード・マラマッド(夏葉社)

    『レンブラントの帽子』バーナード・マラマッド(夏葉社)

    おそらく、ものすごく表題作「レンブラントの帽子」の主人公に近い気持ちを何度か味わっているのだと思う。この説明のつかない落ち着かなさは、やりきれなくて、頭の隅にいつもいて、うまく身動きがとれなくてすっきりしない。最後の場面にいいようのない涙が一緒にあふれてしまう。外国文学にここまでふかく共感したのははじめての経験。忘れがたい短編。

    (東京都世田谷区 三省堂書店下北沢店 雨宮雅美さん)

  • Jan

    16

    『柳生石舟斎』山岡荘八(講談社)

    『柳生石舟斎』山岡荘八(講談社)

    家族愛、師弟の絆、真摯に生きる美しさ、志を貫く姿勢。時代小説と思って読んだら火傷します。混沌とした生臭い戦国時代に文字通り「石の舟」となって時代を見抜き、徳川の泰平の世の精神的バックボーンと成り得た人を活かす剣、すなわち「活人剣」の極意とは。今の世に再度問われる一冊かと。今を生き抜こうとしている人へ!!

    (広島県 ウィー東城店 佐藤友則さん)

  • Jan

    17

    『少女パレアナ』エレナ・ポーター(角川書店)

    『少女パレアナ』エレナ・ポーター(角川書店)

    自分の結婚式の引き出物にした本です♪ 妻からは手作りのブックカバー♪ あ・・・こんなところでのろけてスミマセン。えー、何が言いたいかというと、「幸せ」について考えさせられる本です。両親を亡くし孤児になった少女パレアナは両親が残してくれた「喜びを見つけるゲーム」で寂しさを乗り越え、周りの人達をも幸せにしていきます。そんな彼女が絶望の淵を彷徨ってしまった時に起きる奇跡とは・・・。いやあ~、涙もんッス!!

    (広島県 ウィー東城店 佐藤友則さん)

  • Jan

    18

    『真説ザ・ワールド・イズ・マイン』新井英樹(エンターブレイン)

    『真説ザ・ワールド・イズ・マイン』新井英樹(エンターブレイン)

    善悪、生死、美醜という一見相交わることのない世界を同一に描いた作品。あまりにも壮絶で残酷なシーンに読む手が止まりそうになります。それでも二度目(10年後)を読んだ時の衝撃たるや・・・。三度目はちびりそうになりました。心臓の弱い方にはオススメしませんが、「生きるって」何なのかを強く考えさせられます。

    (広島県 ウィー東城店 佐藤友則さん)

  • Jan

    19

    『空中庭園』角田光代(文芸春秋)

    『空中庭園』角田光代(文芸春秋)

    たくさん本を読む人間ではないのですが、角田さんの本は全部読んでみたい♪(いつになることやら・・・笑)この本、ページをめくる度に文字が躍るような躍動感を感じました。生き生きとした文体のなかで「家族」の闇をじわりと炙り出すバランスが絶妙!! 6人家族それぞれを6つの短編小説のようにして繋いだ物語は秀逸。普通の人の日常に潜む「業」にゾーっとしながらもどこかで共感♪

    (広島県 ウィー東城店 佐藤友則さん)

  • Jan

    20

    『森信三 一日一語』寺田一清 編(致知出版社)

    『森信三 一日一語』寺田一清 編(致知出版社)

    最後に、俺・・・こんな難しい本も読むんだぜリストから♪(笑)。21歳の時に頂いた本です(当時は自費出版のものでしたが)。当時、真理だなあ~とわかった風に思っていた言葉が今になって深く刺さってき始めたり、未だ難解なままの言葉も多々。時々思い出しては手にする一冊。一生をかけて読み込む本があってもいいのかなと思います。

    (広島県 ウィー東城店 佐藤友則さん)

  • Jan

    23

    『ひかりをすくう』橋本紡(光文社文庫)

    『ひかりをすくう』橋本紡(光文社文庫)

    橋本さんの文章がすごく好きです。ありふれた日常を、何か新しいものに挑むことでではなく、ただ真直ぐに書いていくことで表現しているひとだと思います。本作もそう。肩の力を抜きたくなったり、人前で思いっきり声を上げて泣きたくなったり。そんな時に背中をそっと押してくれる、優しさにあふれた本。

    (東京都多摩市 啓文堂書店多摩センター店 西ヶ谷由佳さん)

  • Jan

    24

    『言葉の海へ』高田宏(洋泉社MC新書)

    『言葉の海へ』高田宏(洋泉社MC新書)

    私の2011年のベスト本は、『舟を編む』です。本とことばを愛するすべてのひとに届けたい、と熱い想いを込めて売っています。そして『舟を編む』で辞書に興味を持った方にぜひおすすめしたいのが本作。日本初の近代国語辞書『言海』を編纂した、大槻文彦の生涯を描いたノンフィクションです。約120年前に誕生したこの辞書から現在まで続く編集者たちの情熱に、私も本を売ることで応えたいと強く思います・・・が本当に残念なことに現在版元品切れです。もっともっと多くのひとに読んでほしい。

    (東京都多摩市 啓文堂書店多摩センター店 西ヶ谷由佳さん)

  • Jan

    25

    『私自身の見えない徴』エイミー・ベンダー(角川文庫)

    『私自身の見えない徴』エイミー・ベンダー(角川文庫)

    もしもこの世界が何らかの言語で完璧に記述される時が来たとしたら、と時々考えます。それはどんな未来になるのでしょうか。本作の主人公は、数学が世界のすべての少女。彼女の完璧な、けれど閉じられた世界が変化していく様は、たぐい稀なるという言葉を使いたくなるほどに美しい。静かなのに力強く、震えるくらい寒いのに、でもなんてあたたかな小説なんだろう! 

    (東京都多摩市 啓文堂書店多摩センター店 西ヶ谷由佳さん)

  • Jan

    26

    『荒地の恋』ねじめ正一(文春文庫)

    『荒地の恋』ねじめ正一(文春文庫)

    最近『珈琲とエクレアと詩人』を読んで、北村太郎さんと田村隆一さんに興味を持ちました。そして出会ったのが本作。彼らの詩作を支えていたのはかくも凄まじい生き方だったのかと、あまりに密度の濃さに目まいがしてきます。今もまさに彼らに関わる本を読んでいますが、つながりを追いかける読書というのは楽しいものですね。

    (東京都多摩市 啓文堂書店多摩センター店 西ヶ谷由佳さん)

  • Jan

    27

    『科学の栞』瀬名秀明(朝日新書)

    『科学の栞』瀬名秀明(朝日新書)

    科学ということばに拒否反応を示す人もいるかもしれません。でもこの本を読むのに専門知識はいりません。必要なのは、ただ「知りたい」という気持ちだけ。「本書は書評を集めた本ですが、本当のことをいえば、ここに掲載した書物が大切なのではありません。未来にあなたがきっと手に取るであろう、いまは世に出ていない科学の本のために、この書評集を作りました」まずは手にとってこの「はじめに」と題された文章を読んでください。きっと新しい世界が広がります。

    (東京都多摩市 啓文堂書店多摩センター店 西ヶ谷由佳さん)

  • Jan

    30

    『遊覧日記』武田百合子(ちくま文庫)

    『遊覧日記』武田百合子(ちくま文庫)

    たまに武田百合子を無性に読みたくなります。今日は激烈に焼きプリンが食べたい! というあの感じに似ています。体が武田百合子を欲するのです。だから、ビタミン・ミネラル・武田百合子と列記するのに、私はいささかの抵抗も感じません。武田百合子は万能の活力補給剤です。

    (熊本県熊本市 長崎書店 宮川洋一郎さん)

  • Jan

    31

    『活発な暗闇』江國香織 編(いそっぷ社)

    『活発な暗闇』江國香織 編(いそっぷ社)

    とてもうつくしい本です。うつくしい箱から取り出した本自体もまた、うつくしい。見返しの紙は深紅色。ブックデザインは鈴木成一デザイン室。江國香織が選んだ詩のアンソロジーなのですが、私はこの本で八木重吉を知り、永瀬清子を知りました。

    (熊本県熊本市 長崎書店 宮川洋一郎さん )