今日の一冊バックナンバー

  • Jun

    01

    『晩夏』アーダルベルト・シュティフター(筑摩文庫)

    『晩夏』アーダルベルト・シュティフター(筑摩文庫)

    読んでいて退屈するか、はまるか、人によってはっきり分かれる本。舞台は自然が美しいアルプスの麓の家。季節は晩夏。雨宿りをするためにこの家を訪れたことをきっかけに主人公の青年は毎年、この時期になるとこの家を訪れるようになる。全体の流れが非常にゆっくりしている上に、舞台も季節もほとんど変わらない。特に変わった出来事が起こるわけでもない、見方によっては非常に単調な物語だが、非常に美しい、素晴らしい作品。

    (愛知県名古屋市 三省堂書店名古屋高島屋店 西村早苗さん)

  • Jun

    04

    『ゴーストワールド』ダニエル・クロウズ(プレスポップギャラリー)

    『ゴーストワールド』ダニエル・クロウズ(プレスポップギャラリー)

    人生において名作駄作に問わず、「これが自分の映画だ」というものとの出会いが何度かあるはず。大学生で、自分は特別でいつか「何か」になってやるという気持ちだけもって何もしていないぼくにとって、『ゴーストワールド』との出会いは衝撃だった。「あぁ、これこそぼくのために作られた映画だ!」の、原作コミック。

    (東京都世田谷区 ヴィレッジヴァンガード下北沢店 長谷川朗さん)

  • Jun

    05

    『花森安治のデザイン』花森安治(暮しの手帖社)

    『花森安治のデザイン』花森安治(暮しの手帖社)

    毎日大量の本、雑貨、音楽を目にするこの仕事を長年続けていると、「いいもの」「本物」を見極める感覚がだんだんついてくる。気がする。雑誌「暮しの手帖」初代編集長の花森安治さんのイラスト、デザインをメインに紹介するこの本。このデザインは間違いなく「本物」であり、時代性を感じつつも時代に流されないデザイン。

    (東京都世田谷区 ヴィレッジヴァンガード下北沢店 長谷川朗さん)

  • Jun

    06

    『ムーミン・コミックス』トーベ・ヤンソン(筑摩書房)

    『ムーミン・コミックス』トーベ・ヤンソン(筑摩書房)

    最近ムーミンづいてるぼく。ムーミンには2種類あり、もともとのトーベ・ヤンソンのイラストテイストのものと、後にかわいくデフォルメされたもの。断然ヤンソンのイラストが素晴らしい。キャラクターも造形からしてたまらない子たちばかり。ムーミンを女性、子どものものと思ってるあなた! ちがうよ。

    (東京都世田谷区 ヴィレッジヴァンガード下北沢店 長谷川朗さん)

  • Jun

    07

    『イエローマン』杉浦茂(エンターブレイン)

    『イエローマン』杉浦茂(エンターブレイン)

    手塚治虫、赤塚不二夫、横尾忠則、宮崎駿、星野源、そして私・長谷川朗が心酔、崇拝したへんてこりんでシュールでかわゆい漫画家杉浦茂。生誕100年を超えた今でも、その斬新さ、荒唐無稽さ、自由さは漫画家、デザイナーなど、アート的なセンスにどん欲な人々の頭をゆらし続けているのです。

    (東京都世田谷区 ヴィレッジヴァンガード下北沢店 長谷川朗さん)

  • Jun

    08

    『筒井康隆漫画全集』筒井康隆(実業之日本社)

    『筒井康隆漫画全集』筒井康隆(実業之日本社)

    あの作家で有名な筒井康隆が1970年代に漫画を描いていた! ほら、彼の小説を思い出してみてください。どれもアイデアが突飛だけど、ぐいぐい読ませる文章と構成。その頭が漫画を描こうと思ったのはごく自然と思えるわけです。筒井康隆の歴史のなかでも押さえておきたい一冊ですね。

    (東京都世田谷区 ヴィレッジヴァンガード下北沢店 長谷川朗さん)

  • Jun

    11

    『みなさん、さようなら』久保寺健彦(幻冬舎)

    『みなさん、さようなら』久保寺健彦(幻冬舎)

    もっと売れるべき作家さんだと思います。「久保寺健彦」さんは。本題は第1回パピルス新人賞受賞作としてデビューした作品。
    主人公はある事件をきっかけに、自分の住むマンモス団地から一歩も外へ出られなくなる。しかしその場所で勉強をし、恋もし、仕事も見つけて生活していくのだが、時代は移り変わり、多くの人がマンモス団地を離れていくなかで彼は・・・。
    と、ひとりの少年の成長を団地という狭い空間のなかで描いた傑作小説なんです。どこか現実離れした設定のようで、もの凄く共感できる部分が随所にちりばめられています。
    そして満を持して2012年映画化が決定しました!
    2007年に発売してから5年・・・。長いこと応援してきた私も嬉しく思います。
    著者の作品に登場する少年少女たちは、誰もがノビノビと悩み成長していく姿が堪らなく私の心を刺激します。ぜひ久保寺健彦ワールドにどっぷり浸かってみてください。

    (静岡県浜松市 谷島屋浜松本店 丸林篤史さん)

  • Jun

    12

    『憂鬱でなければ、仕事じゃない』見城徹・藤田晋(講談社)

    『憂鬱でなければ、仕事じゃない』見城徹・藤田晋(講談社)

    私が仕事でも生きてく上でも大事にしている言葉は「楽しむ」という事です。この言葉は、以前にサッカー前日本代表監督「岡田武史」さんの講演会で聴いた言葉なのです。
    岡田さんがチームをつくる上で選手に伝えている言葉だそうで、「楽しむとは、自分の責任でリスクを冒すこと」だと言っておられました。ミスを犯さないことは大切だ、けれどもミスを恐れて攻撃の機会を失っていては勝利はない。
    究極に楽しむとはいかに難しい事かと考えさせられた言葉なのです。

    また本書の著者、見城徹さんは「人は苦しい事、辛い事を避ける。だから敢えてそこへ向かえば結果はついてくる。」と著書のなかで語っています。
    まさに成功者の言葉。これは仕事だけでなく、人生においても活かす事ができるものばかりです。何か悩んだ時に、こんな本を開いてみるのはいかがでしょうか。

    (静岡県浜松市 谷島屋浜松本店 丸林篤史さん)

  • Jun

    13

    『少女は卒業しない』朝井リョウ(集英社)

    『少女は卒業しない』朝井リョウ(集英社)

    現役大学生作家「朝井リョウ」というキャッチフレーズで『桐島、部活やめるってよ』でデビューした著者。正直な話、軽めな作品を書く作家さんという先入観を持っておりました。違います・・・。まったく違います。7つの物語で構成される本作は全編女子高生が主人公。それぞれが素敵に恋をして、夢を持ち、そして後悔もして悩みながら成長していく物語。こんなにもみずみずしく、生き生きと描かれる彼女たちの息吹に、自分の18歳の記憶が混ざり合い、言葉では言い表せないあの頃の気持ちを思い起こさせてくれます。青春小説好きには避けて通れない本です。

    (静岡県浜松市 谷島屋浜松本店 丸林篤史さん)

  • Jun

    14

    『星に願いを、月に祈りを』中村航(小学館)

    『星に願いを、月に祈りを』中村航(小学館)

    誰かのために祈りたくなる。優しい気持ちにさせてくれる小説をみつけました。「キャンプ」「部活動」「家出」それぞれの話がどこかぼんやりと進んでいくのですが、最終章でひとつへと繋がります。
    みなさんは流れ星に願い事をしたことはありますか? 誰かの幸せを祈ったことはありますか。
    都会に住んで星なんて見えないよ、なんて人もいるかも知れませんね。読後、私は夜空を見上げました。あなたも夜空を見上げたくなるかも知れません。その時は、あなたの大切な人のために祈ってみてください。
    どうか君の夜空に、やさしい星が流れますようにと。

    (静岡県浜松市 谷島屋浜松本店 丸林篤史さん)

  • Jun

    15

    『「超」入門 失敗の本質』鈴木博毅 (ダイヤモンド社)

    『「超」入門 失敗の本質』鈴木博毅 (ダイヤモンド社)

    ここ数年「名著リバイバル」ブームが巻き起こってます。最近では「もしドラ」「ニーチェ」などがそれに当たりますが、10年前には「夜と霧」も新版に生まれ変わり話題となりました。
    本書は今年間違いなく一番売れるであろう名著ブーム本です。そのブームの中でもジャンルは解説本という位置づけでしょうか。親本を詳しく読み解くための副読本として、「失敗の本質」と本書「入門失敗の本質」を二冊同時に購入されるお客様も多いです。
    この本は、戦中の日本軍の「失敗」と今の時代の企業の「失敗」は時代を超えて、どこか似ている状況にあることを教えてくれています。そして何十年も前の本が、この混迷の時代に多くの人の助けとなっています。
    名著には時を超えても、色褪せることのない発見に満ちあふれています。まだ読んだことのない人、途中で挫折してしまった人、ぜひ名著の世界へ飛び込んでみてください。

    (静岡県浜松市 谷島屋浜松本店 丸林篤史さん)

  • Jun

    18

    『死のテレビ実験』クリストフ・ニック、ミシェル・エルチャニノフ(河出書房新社)

    『死のテレビ実験』クリストフ・ニック、ミシェル・エルチャニノフ(河出書房新社)

    断言する。家にテレビが一台でもある人は、絶対に読むべき作品だ。本書は、フランスのテレビ局が行った、とある衝撃的な実験の詳細が描かれている作品だ。その実験について一言で説明するなら、『テレビ(の権威)は、人を殺すことが出来るか』というものだ。クイズ番組のパイロット版の撮影と称して集められた被験者は、テレビという特異な環境のなかで、死んでもおかしくないと判断できるレベルの電流を、不正解だった解答者に流すように要求される。果たして何%の被験者が、それを実行したか。その驚愕の数字に、あなたは一体何を感じるだろうか。

    (中原ブックランドTSUTAYA小杉店 長江貴士さん)

  • Jun

    19

    『田舎の紳士服店のモデルの妻』宮下奈都(文藝春秋)

    『田舎の紳士服店のモデルの妻』宮下奈都(文藝春秋)

    専業主婦の気持ちがわかるとか、地方で暮らす人の気持ちがわかるとか、そんなことを言うつもりは全然ない。じゃあこの作品のどこに共感したんだと聞かれても、うまく答えられない。何故かこの作品は、僕の心を鋭く撃ち抜いた。東京にいることが「当たり前」だった主人公の梨々子は、田舎で暮らすという驚天動地の変化に戸惑う不安定な心理状態のなかで、日常のなかで些細な、それでいて梨々子としては「些細な」で済ませたくはない出来事がいくつもやってくる。そんなささやかな出来事がそーっと積み重なっていくことで、特別な何かがあるわけではないひとりの女性の輪郭がくっきりと浮かび上がっていく。その過程が、凄く好きだ。ふと気づくと、梨々子に共感している。あなたも、きっと。

    (中原ブックランドTSUTAYA小杉店 長江貴士さん)

  • Jun

    20

    『私を見て、ぎゅっと愛して』七井翔子(アスコム)

    『私を見て、ぎゅっと愛して』七井翔子(アスコム)

    ブログ本、という響きは、もう懐かしい。これは、アダルトチルドレンである女性が書いたブログを書籍化したもの。実話だ。一読して、これはひとりでも多くの人に届けなくてはいけない、そう思った。圧倒的な現実が、読者を震わせる。こんな現実がひとりの女性の人生を襲い、そしてかつ、それをこれほどまでに見事な文章で表現できるなんて、ちょっと信じられないぐらいだった。女流作家が覆面で書いている、と言われても、きっと信じただろう。恐らく出版社に在庫はない。そんな本を紹介するんじゃない、と叱られそうだ。でも、どうしてもこの本を届けたい。ことあるごとに言っているのだけど、どうかお願いです。どこかの版元さん、この作品を文庫化してください。文庫化してくれたら、全力で売ります。

    (中原ブックランドTSUTAYA小杉店 長江貴士さん )

  • Jun

    21

    『ラス・マンチャス通信』平山瑞穂(角川文庫)

    『ラス・マンチャス通信』平山瑞穂(角川文庫)

    頭がクラクラしてくるような、とんでもない世界観の作品に時々出会う。この作品も、まさにそんな一冊だ。主人公が脈絡のない環境の変化に戸惑い、馴染み、しかしやはり馴染めずに翻弄される様が描かれていく。ひとつひとつの章が独立した短編として読める、各話かなり世界観の異なる物語であるのに、作品全体の世界観が見事に統一されているというのが凄い。その統一の源泉は、見知らぬ部族が地球のどこかで叩いている太鼓の、音ではなく振動のような重低音にある、という感じがする。普通にしていたら聞こえるのか聞こえないのかわからない謎めいた太鼓の音。でも、身体がその振動を感じている。耳が感知していなくても、身体のどこかの部分がその振動をしっかりと捉えている。その重低音こそが、この作品全体の世界観を統一している何かではないか。とにかく、凄いんだ。

    (中原ブックランドTSUTAYA小杉店 長江貴士さん )

  • Jun

    22

    『フェルマーの最終定理』サイモン・シン(新潮文庫)

    『フェルマーの最終定理』サイモン・シン(新潮文庫)

    かつて僕はこの本を売るために、こんなPOPのフレーズを考えた。『数学が苦手だというだけの理由でこの本を読まないのは、あまりにももったいなさすぎる』 僕たちは、星が何故輝くのかを説明することができなくても、星の輝きの美しさを感じることができる。それと同じように数学も、理屈がわからなくてもその美しさを感じることができる場合もある。サイモン・シンは、数学のそんな一面を引き出す天才だ。フェルマーの最終定理というのは、300年間も解かれなかった難問として、その名を知っている人は多いだろうと思う。しかし、当初この予想は、数学的にあまり価値がないと思われていた。この予想を証明できたとして、名声以外の、数学的に意味のある成果を引き出すことはないだろうと思われていた。その認識を一変させたのが、ふたりの日本人だって、御存知ですか?

    (中原ブックランドTSUTAYA小杉店 長江貴士さん )

  • Jun

    25

    『スターガール』ジェリー・スピネッリ(角川文庫)

    『スターガール』ジェリー・スピネッリ(角川文庫)

    中学生の頃の私は、周りと同じであることに安心する一方で、自分は誰でもない自分だとも思っていて、この本の登場人物たちの言動にも「うんうん」と頷きながら読んでいた記憶があります。そのなかで、スターガールの存在は、何とも言えない気持ちを私のなかに残しました。どうして彼女はどこまでも自分でいられたのだろう。「普通」の定義とは何で、誰が決めているのだろう。「自分らしさ」とは何で、「自分らしく」あることは良いことなのか悪いことなのか。その答えは未だにわからないまま。この先も、この本を読み返しながら考えて行けたらなと思います。

    (岡山県岡山市 本の森セルバ岡山店 原田真琴さん)

  • Jun

    26

    『図書館戦争シリーズ』有川 浩(角川書店)

    『図書館戦争シリーズ』有川 浩(角川書店)

    2019年(正化31年)、世の中はメディア良化法とそれを取り仕切るメディア良化委員会によって、人々の表現の自由が制限されていた。主人公・笠原 郁(かさはら いく)は、高校生の時に書店で検閲の被害に巻き込まれた。その時に助けてくれた図書隊員に憧れて、行き過ぎた検閲から本を守るための組織・図書隊に入隊した。そんな郁が、周囲を巻き込みながらも成長していく、ドタバタアクションラブコメディー。
    本編4巻と番外編2巻があり、どれを読んでもどこをとってもキュンキュンすること間違いなし。読んでいるとニヤニヤしてしまうため、人がいるところで読むことが憚られるのは、きっと私だけではないと思う。(笑)
    本編の3巻まではアニメになっていて、4巻は劇場版アニメとして絶賛公開中である(もちろん、私は鑑賞済み)。漫画化(白泉社の「LaLa」にて連載中)もされているので、小説はどうしても・・・という人は、先ずこちらから手にとってみてはいかがだろうか。

    ハードカバーと文庫版があります(全6巻とも)
    ・図書館戦争(図書館戦争シリーズ 1)
    ・図書館内乱(図書館戦争シリーズ 2)
    ・図書館危機(図書館戦争シリーズ 3)
    ・図書館革命(図書館戦争シリーズ 4)
    ・別冊図書館戦争Ⅰ(図書館戦争シリーズ 5)
    ・別冊図書館戦争Ⅱ(図書館戦争シリーズ 6)

    (岡山県岡山市 本の森セルバ岡山店 原田真琴さん)

  • Jun

    27

    『レインツリーの国』有川浩(新潮社)

    『レインツリーの国』有川浩(新潮社)

    先日紹介した『図書館戦争シリーズ』の2巻『図書館内乱』の中で実際に登場する本が、著者によって書籍化されたもの。この一冊で独立した話になっているので、シリーズを読んでいなくても十分に楽しむことができる。
    物語は、「あるファンタジー小説についての書き込みを通じて出会い、メールのやり取りをするようになった男女」の話。ふたりはすぐに意気投合し、互いに惹かれ合う。そして、直接会って話したいと思うようになった男の子は、思い切ってデートに誘うも、女の子にはその誘いを手放しに喜べない理由があって・・・。好きだから嫌われたくなくて、好きだからわかって欲しい。
    この作品では文字でやり取りする場面が多いため、言葉のひとつひとつが大切にされていて、所々に胸がくすぐられるような台詞が散りばめられている、という所も楽しんでいただけるのではないかと思う。ハードカバーと文庫版があります。

    (岡山県岡山市 本の森セルバ岡山店 原田真琴さん)

  • Jun

    28

    『クジラの彼』 有川浩(角川書店)

    『クジラの彼』 有川浩(角川書店)

    2カ月ぶりに届いた彼からの連絡は、たった2文のメール。聡子の彼、冬原は潜水艦(クジラ)乗り。この遠距離恋愛は、連絡もなかなか取れず、次に会えるのがいつになるかもわからない。ただ待つことが、こんなに辛いなんて・・・。
    表題作である「クジラの彼」を含む、6作品からなる短編集。すべてが自衛隊員の恋愛を描いた、制服ラブコメディ―(制服ラブコメと言えば、作者の『ラブコメ今昔』が最近文庫化された。こちらもオススメしたい)。6作品のなかでも、「クジラの彼」、「有能な彼女」と「ファイターパイロットの君」は、それぞれ作者の自衛隊三部作のうちの『海の底』と『空の中』のスピンオフ作品になっている。元の物語では描かれなかった彼らの一面を見られるのも魅力である。
    自衛隊員の恋愛という、シチュエーションとしてはあまり大っぴらに取り上げられるものではない(と言ったら語弊があるかもしれない)場面だが、誰かを想い、大切にする気持ちは万国共通で、共感できるものではないかと思う。ぜひ、お試しを!
    文庫版とハードカバーがあります。

    (岡山県岡山市 本の森セルバ岡山店 原田真琴さん)

  • Jun

    29

    『植物図鑑』有川浩(角川書店)

    『植物図鑑』有川浩(角川書店)

    「お嬢さん、よかったら俺を拾いませんか? 咬みません。躾の出来たよい子です。」そう言って助けを求める彼、「――あらやだ。けっこういい男」とつい家へ上げてしまったさやか。彼のことは、何も知らない。「イツキ」という名前以外は。でもそれだけで十分だった。ひとりじゃ何てことない道も、彼との道草なら、楽しくて刺激的で新しい発見で溢れていて、こんなにもキラキラと輝いているから。気がつくと、居心地のよい彼との生活を手離せなくなっている自分がいた。でも、それと同時に気になり始めた、彼自身のこと・・・。
    この作品でも、作者の代名詞である"ベタ甘ラブストーリー"はもちろん顕在。私も読みながら、イツキみたいないい男が、どこかに落ちていないかな、と一度と言わず願ったが、よく考えたら危険な上、現実世界は甘くない。それはさておき、作中に出てくる季節の植物やその調理法なんかも一緒に収録されているのも、この本の面白いところ。自分で寄り道してみて見つけた草花を、イツキやさやかみたいにつくって食すこともできる。(私はまだ挑戦できていないが・・・)そんなところも注目の一冊である。

    (岡山県岡山市 本の森セルバ岡山店 原田真琴さん )