今日の一冊バックナンバー

  • Mar

    01

    『凍花』斉木香津(双葉文庫)

    『凍花』斉木香津(双葉文庫)

    最後の一行を読み終えたときの震えるような感動。
    これから多く知られていくであろうことは間違いない。
    人間の心の闇は多くの作家さんが書かれている永遠のテーマですがそのひとつの到達点であるとすら思います。
    最近読んだ作品でもっともオススメしたい1作です。

    (東京都千代田区 TSUTAYA BOOK STORE 有楽町マルイ 栗俣力也さん )

  • Mar

    04

    『TOKYO 0円ハウス 0円生活』坂口恭平(河出文庫)

    『TOKYO 0円ハウス 0円生活』坂口恭平(河出文庫)

    この本は2人(著者とホームレスの鈴木さん)のユニークな個性が出会ったことで展開していく、とてもスリリングな本です。著者は早稲田の建築学科にいながら、今の日本でこれ以上建物をつくることに意味を見出せません。そんな時、出会った鈴木さんは、一般的にはホームレスといわれる状況ながら、拾ってきたものだけで身の丈に合った住む場所をつくり、満ち足りた生活をしています。その驚きと感動が著者の眼を通して伝わってくると同時に、読後には、人間にとって家とは何か? 本当の豊かさとは? ということを考えさせられます。著者は現在、出身地で当店のある熊本に戻り、さらにユニークな活動をしています。

    (熊本県熊本市 リブロ熊本店 鈴木洋一さん)

  • Mar

    05

    『独立国家のつくりかた』坂口恭平(講談社現代新書) 

    『独立国家のつくりかた』坂口恭平(講談社現代新書) 

    昨日ご紹介した坂口恭平さんのその後の思考と行動の記録ともいうべき本。幼い頃から抱いていた「なぜ人間だけがお金がないと生きのびることが出来ないのか」という疑問から行動を起こし、実際に限りなく0円に近い価格で移動できる家「モバイルハウス」を建て、ついには、熊本で新政府を樹立し、国家を創るまでの物語。この人の行動が、日本の在り方を変えていくのではないかと、私は本気で考えています。

    (熊本県熊本市 リブロ熊本店 鈴木洋一さん)

  • Mar

    06

    『ゼロ! こぎゃんかわいか動物がなぜ死なねばならんと?』片野ゆか(集英社)

    『ゼロ! こぎゃんかわいか動物がなぜ死なねばならんと?』片野ゆか(集英社)

    熊本つながりでもう一冊。この国では1年間に何十万頭という犬や猫が、行政によって殺処分されている。その状況に異議を唱え、殺処分ゼロを目指して戦った熊本市の動物愛護センターのノンフィクション作品。時には敵対する関係だった動物愛護団体や、獣医師会、ペットショップのオーナーなどを巻き込み、地道な取組みにより、物事が少しずつ前に進んでいく。そこには動物を殺すのは嫌だ!という男たちの熱い思いがあった。

    (熊本県熊本市 リブロ熊本店 鈴木洋一さん)

  • Mar

    07

    『談志が死んだ』立川談四楼(新潮社)

    『談志が死んだ』立川談四楼(新潮社)

    立川談志という噺家がいた。天才と呼ぶにふさわしい人で、落語に対する愛情は人一倍ありながら、弟子が真打昇進試験を落とされた事に激怒し、落語協会を飛び出し、立川流を創り、自らを家元と称した。その、真打試験を落とされた弟子である著者が師匠である談志を回想した本。参議院選挙に出たときの舞台裏や、いかにケチであったかのエピソードには笑わせられる。あるとき、著者の書いた書評が談志の逆鱗に触れ、「出てけ!」と言われてからの狼狽振りは大の大人がなぜここまで・・・と思わせるものがある。一筋縄でいかない師匠で、弟子達は苦労させられるが、皆この師匠に心酔している。ちなみに、落語の世界では「本格派」(古典落語をしっかりやる名人)という言葉があるが、談志の弟子達は「本書く派」と言われており、談春、志らくなどの弟子もそれぞれ師匠への想いを本にしている。(談志本人も沢山の本を出している。)それらを読み比べてみるのも面白いかもしれない。

    (熊本県熊本市 リブロ熊本店 鈴木洋一さん)

  • Mar

    08

    『夢をかなえるゾウ2』 水野敬也(飛鳥新社)

    『夢をかなえるゾウ2』 水野敬也(飛鳥新社)

    天邪鬼(アマノジャク)な人間なので、いわゆるベストセラーやミリオンセラーになった本は、殆んど読んだ事がないのですが、200万部突破の大ベストセラーの続編である本書を、ある必要にかられて読み始めたところ、あまりの面白さにぶったまげ、1作目と続けさまに一気読みしてしまいました。何しろ、主人公がゾウの顔をしたインドの神様「ガネーシャ」で、この神様が普通の人間とコンビを組んで、コントの世界大会を目指すという、聞いただけでは「なんじゃそりゃ!」と突っ込みたくなるわけのわからない話なのです。他にも、お釈迦さまや、貧乏神が出てきて色々な
    >騒動を巻き起こすのですが、笑いの中に実在の様々な偉人の、ためになる言葉があったり、主人公のガネーシャも普段はフザケたやつなのですが、さりげなく人生訓を語ったりと、荒唐無稽でありながら、自己啓発的なところもあるオリジナルな作品です。著者の水野敬也さんは、この本の1作目が出た時に、全国の何十・何百という書店を編集者と廻り、この本の宣伝をして歩き、無理矢理自分のサインを置いていくという戦略を取り、それが書店員の間で話題になり、実際に手に取った書店員が面白いと本を展開して行き、火が付いたという成功法則を描いた人です。2が出た後、当店にも来るという連絡があり、これだけの強烈な話を書くベストセラー作家というのは、どういう人かと身構えていたのですが、ごく普通の優しそうな方で拍子抜けしました。

    ((熊本県熊本市 リブロ熊本店 鈴木洋一さん))

  • Mar

    11

    『コケはともだち』 藤井久子(リトルモア)

    『コケはともだち』 藤井久子(リトルモア)

    「乾燥しちゃったら、生きるのを休めばいいんじゃない」
    ――コケワールドへあなたをいざなう、異色のコケ入門書。足元にはびこるコケティッシュなヤツらの魅力満載です。コケエッセイ、超低姿勢コケ観察マップ、コケ図鑑(なんと50種!)・・・ 思わず「かわいい!」と叫んでしまうコケイラスト&グラビア付き。春の陽気に誘われて、本書を片手にコケトリップなんていかがでしょう? だってほら、あのモサモサが、あなたの足元にも。

    (関西デッチ 池畑索季さん)

  • Mar

    12

    『松竹梅』戌井昭人(リトルモア)

    『松竹梅』戌井昭人(リトルモア)

    ――男子のピュアネスに学べ!
    打算的な部分と純粋な自分の感情との相反する要素。これが崩れると周りの環境や自分自身との折り合いが付かなくなるもの。しかし大人になり、社会に順応しようとするほど、打算的にならざるを得なくなるのではないでしょうか。この物語に登場する三人の小学生、松岡、竹村、梅田。彼らは何より自分自身の感情を大切にしています。そのため、周りからはみ出してしまうのですが、簡単に彼らは簡単にそれを曲げようとしない。これぞ、男子!個人的には子供と大人の狭間で葛藤する10代に読んで貰いたい一冊。勿論誰が読んでも彼らの純真さに心洗われること間違いなし。

    (関西デッチ 渡辺和愛さん)

  • Mar

    13

    『なみのひとなみのいとなみ』宮田珠己(幻冬舎文庫)

    『なみのひとなみのいとなみ』宮田珠己(幻冬舎文庫)

    ――「おお、神よ、私は、働きたくない。」はるか昔、銀河の彼方で、まだ私がサラリーマンだった頃、営業の外回りで街を歩いていると、突然、働きたくない、という天啓に打たれた。圧倒的な"働きたくない"の光が、天の啓示として、どういうわけか、営業中の私に降り注いだのである。――
    この本は旅行作家、宮田珠己さんの日常を中心に、ばかばかしくも深い考察を背景にして書かれたエッセイ集です。ちょっと日常に疲れたり、悩んだりした時、この本を読んでみて下さい。なんか色んな事がどうでもよくなりますよ。「おお、神よ、私も、働きたくない。」

    (関西デッチ 宮川裕大さん)

  • Mar

    14

    『一億総ツッコミ時代』槙田雄司(星海社)

    『一億総ツッコミ時代』槙田雄司(星海社)

    ――「お笑い」が、世の中を反映していくなかで、供給が過ぎた結果、ある現象が起っているのです。それは、皆が「ツッコミ」になってしまったことです。――
    最近、「作詞作曲モノマネ」でプチブレイクしている芸人、ミュージシャン、コラムニスト、俳優のマキタスポーツさん。水道橋博士曰く「才能が渋滞している人間」。そんな彼が「ツッコミ過多」の現代社会をメッタ斬りにしていきます。ツッコミを入れられる側=「ボケ」になれ!「語る」より「語られる」側の方が強い!と「ボケのすすめ」の本でもあります。「神輿に乗るか、乗っている人を写メするか」遠巻きで神輿を見ている人も、写メをtwitterにあげている人も、みんなで神輿に乗ろう!そっちのほうが楽しいから!

    (関西デッチ 宮田敬一さん)

  • Mar

    15

    『リライブ』小路幸也(新潮文庫)

    『リライブ』小路幸也(新潮文庫)

    ――命の灯が絶たれようとするとき、バクは現れ、こう言いいます。『あなたの思い出をください、その代わりに人生のある分岐点からもう一度やり直すことができます。ただしやり直した人生が今より良くなるかはわかりません』――
    再び歩む、二度目の人生の短編集。読みながら、『人って暖かいな』という想いで心が満たされていく小説です。またすべての短編を読み終え、物語の全体像が見えたとき、涙が止まりません。少し心を休めたいとき、是非手に取ってほしい1冊です。バクの言葉が心に沁みていきます。

    (関西デッチ 上田菜津美さん)

  • Mar

    18

    『冷たい校舎の時は止まる』辻村深月(講談社)

    『冷たい校舎の時は止まる』辻村深月(講談社)

     大学受験を間近に控えた8人の高校生が自分たちの高校の校舎に閉じ込められるところから物語は始まる。原因不明の状況で窮地に立たされた彼らは、2カ月前の学園祭で同級生が死んだことを思い出す。しかし、その人物についてどうしても思い出すことが出来ない。この事が今の状況と何か関係があるのだろうか。その様な状態からストーリーはあらゆる伏線を敷きながら怒涛のごとく展開していく。固い絆で結ばれた彼らも異次元の世界で起こる様々な異常事態でお互いに疑心が生まれていく。高校生らしい彼らの純粋で真っ直ぐな姿を見ていると彼らと同じ目線に立って状況を見ることもでき、共感も多々生まれた。彼らと同年代の方にも大人の方にもこの本を読んで頂きたい。最後の最後まで急展開が続くので、気を許すことなく読み進めて読み終わりに心地の良い読了感を味わって欲しい。

    (関東デッチ 本木彩音)

  • Mar

    19

    『アラバマ物語』ハーパー・リー、菊池重三郎訳(暮しの手帖社)

    『アラバマ物語』ハーパー・リー、菊池重三郎訳(暮しの手帖社)

    ――「人間ってみんなそうだよ、スカウト、よくわかってみれば、みんないい人なんだ」 ――
    アメリカ南部のアラバマ州に暮らす女の子スカウトと、兄のジェム、弁護士である父親のアティカス一家の物語。人種差別が色濃く残る街で、「私がそれをしなければ、お前やジェムにむかって、二度とこんなことをやっちゃいけないなんて教える資格もなくなるんだよ」と言って、無実の罪を着せられた黒人の弁護を行うアティカスの姿は、読むたびに感動します。おてんばな女の子スカウトの目線から語られる街の暮らしがとてもいきいきとしていて、自分が子どもの頃の感覚がぶわっとよみがえってきます。

    (関東デッチ 太田麻子)

  • Mar

    21

    『おべんとうの時間』写真・阿部了 文・阿部直美(木楽舎)

    『おべんとうの時間』写真・阿部了 文・阿部直美(木楽舎)

    日本全国の、ふつうの人々の、日常のおべんとう写真とエピソードを集めた一冊。
    ひとりひとりのお弁当エピソードは、素朴だけれどどこか奥深くてあったかい人間味にあふれています。たとえば、毎日愛妻弁当を持って出勤する男性の言葉。「弁当って、ふたりで食べるものだと思うんです。作る人と作ってもらう人のふたり。作ってくれる人の気持ちは伝わるから、ありがたいなぁって思います」。

    誰かが誰かを想って作るおべんとうは、食べて味わう「手紙」のようなものなのかもしれません。

    (関東デッチ 奥村薫子)

  • Mar

    22

    『人生を完全にダメにする11のレッスン』ドミニク・ノゲーズ著 高遠弘美訳(青土社)

    『人生を完全にダメにする11のレッスン』ドミニク・ノゲーズ著 高遠弘美訳(青土社)

    人生をもっと豊かにしたい、現状を打破して成功したい・・・そんな望みは誰にしもあって、そのせいか巷では自己啓発系の本が頻繁に見かけられます。でも、そもそも「良い」人生という模範解答はあるのでしょうか? なにが「良い」かは、きっと個人によって異なる筈です。ただ、なかなかこれという明確な目標が持てなかったり、ぼんやりとしか思い描けなかったりする人も多いのではないでしょうか。そこで、一度反対側から考えてみてはどうでしょう。「完全にダメな」人生とは? それがこの本のテーマであり、逆説的に人生について読者に問いかけています。皮肉交じりのユーモラスな文章は、くすっと笑える一方で核心を突かれてどきりとさせられます。勝ち/負け、成功/失敗を越えて、複雑怪奇な人生を複雑なまま考える糸口を与えてくれる本なのです。

    (関東デッチ 廣瀬覚)

  • Mar

    25

    『デッドエンドの思い出』よしもとばなな(文春文庫)

    『デッドエンドの思い出』よしもとばなな(文春文庫)

    切ないんだけれど嬉しくて、哀しいんだけれど、とても幸せな小説。この本を読んだときの感覚は、この季節に付き物である、出会いと別れの、あのなんとも言えない気持ちに似てる気がします。自分を今まで形作ってきた思い出が、嫌なことも楽しかったことも苦しかったことも全部大事に思えて、たまらなく幸せな気持ちになれました。読み返すたびに、身体の底から、新しい一歩を踏み出す力が溢れてくる。そんな大好きな一冊です。

    (関西仕掛け屋ジュニア 新居未希さん)

  • Mar

    26

    『ありがとうが しりたくて』菊田まりこ(海竜社)

    『ありがとうが しりたくて』菊田まりこ(海竜社)

    卒業式の帰り道、4年間の大学生活を振り返って涙が溢れました。たくさんの大切な、大すきな人たちに支えてもらった4年間でした。そんな大すきな人たちに伝えたいこと、それは「ありがとう」。
    ――あたえてもらえる  ことも、あたえてあげられる  ことも、しあわせ。「ありがとう」の  おもいは  どっちも。気がつけば たくさんの「ありがとう」のなかで 生きている。――
    なんだか恥ずかしくて言いにくい「ありがとう」、当たり前になると忘れがちな「ありがとう」を大切にしようと思えるあったかーい1冊です。これまで「ありがとう」って言ってばっかだったけん、今度は「ありがとう」って言ってもらえるようにがんばるけんね!!

    (関西仕掛け屋ジュニア 山崎美和子さん)

  • Mar

    27

    『黄色い目の魚』佐藤多佳子(新潮社)

    『黄色い目の魚』佐藤多佳子(新潮社)

    海沿いの街の、2人の高校生のおはなしです。この本に出てくる人たちはみな、ありのままの自分を受け入れてもらえず、傷つき、諦め、それぞれに孤独の海に溺れています。他者と正面から向き合わないままでも、「本気」になることがないままでも、人間は毎日を静かに過ごしていけるのかもしれません。しかし、弱い自身をありありをさらけだして行くことで、登場人物たちは深い海の底から抜け出し、まったく新しい日だまりの世界へと飛び込んで行きます。この本と出会ったとき、わたしは14歳でした。弱くても小さくても、絶対に逃げたりしない主人公の少女はとても眩しく、あらゆることに怯えていた自分には、ただただ衝撃的だったのを覚えています。人は、歪んでいて当たり前なのだと、他者の尖った部分も、ただ笑っておだやかに許してあげればいいのだと、爽やかな潮風の匂いを乗せて、この本はやさしくやさしく、私たちに話しかけてくださいます。

    (関東デッチ 大滝空)

  • Mar

    28

    『雪屋のロッスさん』いしいしんじ(新潮文庫)

    『雪屋のロッスさん』いしいしんじ(新潮文庫)

    この本には色んな職業で働く人のお話が出てきます。調律師さんやタクシーの運転手さん、タイトルにもある雪屋さんという仕事をしている人も出てきます。就職活動しながら、世の中にどんな仕事があるんだろうと考え、よく読んでいました。物語なので仕事をする人も職業も架空のですが、その仕事をする人の生き方と仕事に対する熱意が本を通して伝わってきて、心温まり、世界が広がる一冊です。

    (関西仕掛け屋ジュニア 有本香純さん)

  • Mar

    29

    『ものみな過去にありて』いがらしみきお(仙台文庫)

    『ものみな過去にありて』いがらしみきお(仙台文庫)

    言わずと知れた漫画『ぼのぼの』の作者の自伝的エッセイ。生まれ育った東北を主な舞台に、子ども時代、漫画家になる前後のこと、そして今の出来事が綴られています。
    「とかく最近は、みんな癒されたり、元気づけられることばかり考えていますが、そんなことより自分の過去を顧みてください。」という第一話の言葉にはっとします。そんな著者の過去は、なんとなくさみしい、物悲しい風景だけれど少し笑えたり、とても大切な言葉になって読者に届きます。どこか懐かしい感覚は、子どもの頃から大好きな『ぼのぼの』の空気が文章の中に確かにあるからでしょう。
    今の私は新しい世界に向けての出発点にいますが、これから起こる出来事もいつかは過去になる。現時点では『ものみな過去にありて』と言うほどの過去は持ち合わせていませんが、著者のように、物語ることのできる風景や出来事を積み重ねていきたいと思える一冊です。

    (関東デッチ 富田茜)