今日の一冊バックナンバー

  • Apr

    01

    『DREAM TERMINAL 東横線 渋谷駅メモリアル写真集』中井精也(東急エージェンシー)

    『DREAM TERMINAL 東横線 渋谷駅メモリアル写真集』中井精也(東急エージェンシー)

    なんといってもスナップに写っている一般客や駅員さんたちの笑顔がいい! 昭和2年に開業した東急東横線の思い出がいっぱい。僕の知らないゴンドラや都電の写真もいい。当店でも飛ぶように売れているのは、東横民が東横渋谷駅を愛してきた証拠なのでしょう。思えば、僕が育った新玉川線も、通った高校も、覚えた総理も、みんな、あっけなく消えていった。少しだけ、感傷にひたったあと、「まあ、それもそうかな」。

    (東京都目黒区祐天寺 王様書房 柴崎王陽さん)

  • Apr

    02

    『ハーモニー』伊藤計劃(ハヤカワ文庫)

    『ハーモニー』伊藤計劃(ハヤカワ文庫)

    21世紀後半、全人類の健康が"生府"によって約束された社会で、世界中で同日同時刻に6582人が自殺する事件が発生――。SFでありながら、現代の健康志向と自殺志向の不調和を代弁する作品。プログラミング言語を模した文章構成がユニーク。一人称で語られる鋭く透明感のある文体で、人類の過度な"調和"が行き着くラストシーンまで一気に引きずり込まれる秀作。第30回日本SF大賞受賞。2007年『虐殺器官』でデビュー、34歳の若さで急逝した著者の遺作。

    (東京都目黒区祐天寺 王様書房 柴崎王陽さん)

  • Apr

    03

    『赤ちゃんにもママにも優しい安眠ガイド』清水悦子・著、神山潤・監修(かんき出版)

    『赤ちゃんにもママにも優しい安眠ガイド』清水悦子・著、神山潤・監修(かんき出版)

    最近のママさんたちはみなさんキレイ。でも、こちらが好評なのは、ママさんたちの陰の努力を教えてくれますね。10万部突破の「夜泣き」、「寝ぐずり」に悩むママ・パパに笑顔を届ける一冊。本書の方法を実践した赤ちゃんの約7割が夜泣き改善に成功。日本人の生活スタイルに合わせた、たった3つのことで驚くように赤ちゃんの睡眠が改善されるようです。子どもとわんこ(犬)好きに悪い人はいない。日本未来のためにもしっかり寝て、しっかり食べて、今日も一日張り切っていきましょう!

    (東京都目黒区祐天寺 王様書房 柴崎王陽さん)

  • Apr

    04

    『エロティシズム』ジョルジュ・バタイユ(ちくま学芸文庫)

    『エロティシズム』ジョルジュ・バタイユ(ちくま学芸文庫)

    ひとは皆、いつか訪れる死を備えている。個であり、結局、孤独な存在。だからこそ永遠を求めるのだろう。その永遠が実現されるのは、融合によってなんだよ。その際、個は消滅して、何者でもなくなる。新たな存在に移り変わるその時に、今までの個ではなくなるその時に、永遠性、連続性を獲得できるのだよ。究極は大地との融合さ! そんなロマンティックな考えにとても共感できた学生時代でした、バタイユ先生。

    (東京都目黒区祐天寺 王様書房 柴崎王陽さん )

  • Apr

    05

    『震える牛』相場英雄(小学館)

    『震える牛』相場英雄(小学館)

    あるひとつの殺人事件が、権力の巣窟・警察で隠蔽されている数々のできごとや大手流通企業の拡大戦略に絡む生産者や関係者(獣医師)、またそれを踏み台に暗躍する「ハイエナ」たちの生き様と交差して、現代社会の闇を浮かび上がらせる。この事件を解決するため寝食も忘れ、警察の威信を賭けて立ち向かう「真摯な刑事」たちに突きつけられた不可解な警察幹部の「事件の収束」・・・、この国に一抹の不安を抱かせる傑作である。

    (東京都目黒区祐天寺 王様書房 柴崎王陽さん )

  • Apr

    06

    『羽生善治と現代 ――だれにも見えない未来をつくる』梅田望夫(中公文庫)

    『羽生善治と現代 ――だれにも見えない未来をつくる』梅田望夫(中公文庫)

    例えば野球を観戦して楽しむ方たちが、自身は必ずしもプレーヤーでないのと同様、実は世の中には指さないで将棋を楽しむ、「観る将棋ファン」の方々も多い。本書は『ウェブ進化論』などで知られる梅田望夫さんが、羽生善治を中心に現代将棋の世界で起きている事象から、将棋を将棋として観るということ以上の可能性を見いだした興奮の書。将棋を観る楽しみはかくも芳醇、そして、奥深さに満ちている。

    (ミシマ社営業チーム 渡辺佑一)

  • Apr

    07

    『俺俺』星野智幸 (新潮文庫)

    『俺俺』星野智幸 (新潮文庫)

    不快指数ならぬ俺指数があるとしたら、あなたのそれは今どれくらいですか? 老若男女問わず、誰の中にもある「俺」。「俺」だけは他人と違う、社会や会社や親は決して理解してくれない、そのくせ同じ感性の人を見つけると無性に安心してしまう・・・。こういう人は、そうとう俺指数が高いかも。ちなみに、その数値の高い社会はとっても危険でもあります。本書を読めばそれがよくわかります。あなたの俺指数を下げるためにもオススメ。もちろん私の中の「俺」も激減です!(たぶん)

    (ミシマ社 三島邦弘 )

  • Apr

    08

    『破獄』吉村昭(新潮文庫)

    『破獄』吉村昭(新潮文庫)

    戦前から戦後にかけて4度の脱獄を行った囚人をモデルにした小説。吉村昭さんの文章は淡々としています。淡々としているからこそ、この時代の刑務所の過酷さが手に取るようにわかり、主人公である佐久間の身体能力の高さが際立って見えてきます。何かひとつのことに自分の人生を捧げる姿は、美しく、尊いものです。たとえそれが脱獄であっても。

    (佐々木一澄(イラストレーター) )

  • Apr

    09

    『猿飛佐助』杉浦茂(ちくま文庫)

    『猿飛佐助』杉浦茂(ちくま文庫)

    最初から最後まで徹底して愉快で馬鹿馬鹿しくてナンセンスなギャグ漫画。
    登場人物も、うどんこプップのすけ、やきぶたにいちゃんなど、すばらしいネーミングの人達がたくさん出てきます。佐助のように強く優しく大らかでいられたら怖いものなんてありません。でもそんな風に上手くは行かないので、今日もまたこの世界に浸りたくなるのです。

    (佐々木一澄(イラストレーター) )

  • Apr

    10

    『民藝四十年』柳宗悦(岩波文庫)

    『民藝四十年』柳宗悦(岩波文庫)

    無銘のものがなぜ美しいのかを問い続けた著者による主要なエッセイを選びまとめたもの。どこに美しさは宿るのか、美しさとはいったいどういうことなのか、じっくりと向き合うきっかけになる本です。自分が何か物を見て、考えて、作る時、いつもこの本の中の一文を思い出し、肩の力が抜けいくのを感じます。「雑器の美とは、無心の美である。」

    (佐々木一澄(イラストレーター) )

  • Apr

    11

    『羨こけし』深沢要(未来社)

    『羨こけし』深沢要(未来社)

    生涯をこけし研究に捧げた深沢要さんによる、こけし愛に溢れた本。読んでいると、東北の方々の優しさや暖かさを感じ、今すぐにでもこけしを求めて東北に向かいたくなります。こけしの産地である宮城県鳴子温泉にある温泉神社には「みちのくは 遥かなれども 夢にまで こころの山々 こころのこけし」と記された深沢さんの歌碑が建てられています。この歌碑が深沢さんの、そしてこけしのすべてを語っているように感じています。

    (佐々木一澄(イラストレーター))

  • Apr

    12

    『ガープの世界』ジョン・アーヴィング(新潮文庫)

    『ガープの世界』ジョン・アーヴィング(新潮文庫)

    小説家ガープの一生を描いた壮絶な物語です。最初から最後までズドンと重く黒い空気が全体を支配しているのですが、暗くはなく、どこか明るさすら感じさせます。それはガープの中、アーヴィング自身の中にどんな場面でもユーモアを忘れないという強い精神があるからなのかもしれません。生きていくことはとても大変なことだけれど、それもまた楽しいものだと心の底から思わせてくれます。

    (佐々木一澄(イラストレーター) )

  • Apr

    13

    『オタクの息子に悩んでます――朝日新聞「悩みのるつぼ」より』岡田斗司夫FREEex(幻冬舎新書)

    『オタクの息子に悩んでます――朝日新聞「悩みのるつぼ」より』岡田斗司夫FREEex(幻冬舎新書)

    いま、悩みはありますか? それが解決できないほどの大きな悩みで、本当に苦しんでいる方ほど、この本をおすすめします。本書は、朝日新聞土曜別刷り「be」に連載されている人生相談コーナー「悩みのるつぼ」が元になってできた本です。書かれているのは、その相談と回答だけ、ではありません。どのような思考経路をたどって、その「すごい」回答を導きだしているのか? という、思考の裏側です。どうにもならない悩みにぶつかったとき、それを「知性」で乗り越えようとする岡田さんにしびれる一冊です。

    (ミシマ社 窪田篤)

  • Apr

    14

    『さきちゃんたちの夜』よしもとばなな(新潮社)

    『さきちゃんたちの夜』よしもとばなな(新潮社)

    ばななさんの鷹揚なまなざしに、心あたたまる一冊。
    人でない、もっとおおきなものに守られているなぁと感じて
    ふと神さまに感謝することがよくあるのですが、そんな瞬間を
    ふんわりと切り取った5つの物語が入っています。
    何気なく見える行動の裏に、選ばれなかった
    ほかの思いや、やさしさ、辛さって、そうそういっぱいあるよね。
    と、大きく頷いてしまいます。
    ヒラタに借りた本なので何も書き込めなかったのですが、即購入決定です。

    (ミシマ社 林萌)

  • Apr

    15

    『就職しないで生きるには』レイモンド・マンゴー(晶文社)

    『就職しないで生きるには』レイモンド・マンゴー(晶文社)

    「大学を卒業したらどうしよう?」、仙台に住んでいたころに読んだ本です。ポジティブに、そして後先考えずに、人の喜ぶことと自分のしたいことを一致させようと奮闘する人々が描かれています。本屋さんを始めよう、素晴らしい靴をつくりたい、そんな人が最近また増えているようで嬉しいです。

    (私の部屋 リビング 前川睦夫さん)

  • Apr

    16

    『彼自身によるロラン・バルト』ロラン・バルト(みすず書房)

    『彼自身によるロラン・バルト』ロラン・バルト(みすず書房)

    ロラン・バルトは私がもっとも魅力を感じるフランス人です。記号論、構造主義という専門分野で著名な研究者ですが、この本は不思議な写真集であり、断章によって構成されている読みやすい内容です。彼が通った左岸・サンシュルピスのカフェに行き、ポンピドゥーセンターに再現されていた書斎と書きかけの原稿に触って、子どものように興奮してしまいました。

    (私の部屋 リビング 前川睦夫さん)

  • Apr

    17

    『好き? 好き? 大好き?』R・D・レイン(みすず書房)

    『好き? 好き? 大好き?』R・D・レイン(みすず書房)

    精神医学者が書いた詩集です。一向に噛み合わない会話のようでいて、じつは自分自身と対話しているような男女の掛け合い。当時20代だった私は歌うことが好きで、店の前でアコーディオンを弾いていたりしました。この本から刺激を受けて作詞することが楽しかったなあ。

    (私の部屋 リビング 前川睦夫さん )

  • Apr

    18

    『定吉七番の復活』東郷隆(講談社)

    『定吉七番の復活』東郷隆(講談社)

    定吉七番こと安井友和は、「殺人許可証を持つ丁稚」である。大阪船場のジェームズ・ボンドでもある。神戸に住んでいた頃に、関西文化を研究するために読んでいたこのシリーズが四半世紀ぶりに復活した! なぜか納豆が食べたくなる面白い本。

    (私の部屋 リビング 前川睦夫さん )

  • Apr

    19

    『プランク・ダイヴ』グレッグ・イーガン(ハヤカワ文庫SF)

    『プランク・ダイヴ』グレッグ・イーガン(ハヤカワ文庫SF)

    「ストレスたまってる」と感じると、何故かSFを読む。ハードSFというらしい。こことは別な世界を味わい、理解するというより感じるように読む。午後3時頃、蕎麦屋で酒を飲みながら読むと極楽です。

    (私の部屋 リビング 前川睦夫さん )

  • Apr

    20

    『疲れない身体をいっきに手に入れる本』藤本靖(さくら舎)

    『疲れない身体をいっきに手に入れる本』藤本靖(さくら舎)

    4月も後半。新しい環境で緊張しながら駆け抜けてきた疲れが、溜まってきている頃かもしれません。そんな「疲れ」の原因は、年で身体が弱くなったのでも、体力がないのでもなく、身体の「センサー」が使えていないせいだと教えてくれるこの本。書かれているとおり、耳を引っぱったり、鼻筋をつまんだりしている自分の姿は怪しかろう・・・と思いつつ、どうやら、効きます。オススメです。

    (ミシマ社 星野友里)

  • Apr

    21

    『みちくさ』菊池亜希子(小学館)

    『みちくさ』菊池亜希子(小学館)

    今日はなんだか、ちょっとおしゃれして、ふらっとどこかに行きたいなあ。
    そんなときに本棚から出してくるのがこの本です。
    モデルの菊池亜希子さんが、いろんな街をてくてく歩いて紹介してくれます。
    かわいい手書きの地図にこまごまと描かれたおいしそうなパン屋さん、レトロな雑貨店、
    いい感じのおじさんたち。この本をかばんにいれて出かけたくなるのはもちろん、
    読むだけでもあっこちゃんとみちくさしている気分になれる、そんな一冊です。

    (ミシマ社 平田薫)

  • Apr

    22

    『鬼平犯科帳』池波正太郎(文春文庫)

    『鬼平犯科帳』池波正太郎(文春文庫)

    今までで一番ハマった小説です。全24冊を一カ月で読みました。
    テレビドラマなどにもなっていますが、以外と原作を読んだ人は少ないのではないでしょうか。
    話の面白さや主人公の長谷川平蔵の魅力などは今さら触れる必要もないでしょうが、江戸の文化や風習などを伝える粋な文章表現は見事としかいいようがありません。
    特にそばを食べる表現が最高なんです。ぜひ、男なら誰もが憧れる池波正太郎の世界に一度は浸ってみてください。

    (ELEPHANT FACTORY COFFEE 畑啓人さん)

  • Apr

    23

    『砂の女』安部公房(新潮文庫)

    『砂の女』安部公房(新潮文庫)

    私に文学作品の面白さを教えてくれた一冊です。正直文学というものがあまり好きではなかった私が、この作品に出会ってから一時期文学ばかり読むようになってしまったほどでした。
    砂に囲まれた家に閉じ込められた男とその家に住む女の不思議な関係が徐々に男の心を変えていくさまが、文学の面白さを教えてくれます。
    さらに読み終わったあとには「自由とは何なのか?」を自らに当てはめて考えさせられてしまうのです。
    安部公房すごい人です。

    (ELEPHANT FACTORY COFFEE 畑啓人さん)

  • Apr

    24

    『陰翳礼讃』谷崎潤一郎(中公文庫)

    『陰翳礼讃』谷崎潤一郎(中公文庫)

    私が日本の美意識を教えられた一冊です。
    欧米の文化で特にフランスに興味をもっていた頃に、この本と出会い日本を見直すキッカケになりました。
    陰翳とはロウソクや灯籠のような小さな明かりが作りだす陰影のことで、谷崎は日本は昔から漆器や日本女性や歌舞伎さらに羊羹すら陰翳のなかで美しく見えるように考えられていると書いています。
    日本文化の奥深さに興味をもつキッカケとして、せひ読んでもらいたい本です。

    (ELEPHANT FACTORY COFFEE 畑啓人さん)

  • Apr

    25

    『一千一秒物語』稲垣足穂(新潮文庫)

    『一千一秒物語』稲垣足穂(新潮文庫)

    今でも何度も何度も読み続けている一冊です。
    最初に読んだときはあまり好きではなかったのに、今では一番好きな本です。
    童話のようなショートストーリーが70編も集められた作品で、「月から出た人」「星をひろった話」「月とシガレット」などタイトルからもわかるように、大人のファンタジーが描かれています。
    この本が何度読んでも飽きない物語があると私に教えてくれました。

    (ELEPHANT FACTORY COFFEE 畑啓人さん)

  • Apr

    26

    『町でいちばんの美女』チャールズ・ブコウスキー(新潮文庫)

    『町でいちばんの美女』チャールズ・ブコウスキー(新潮文庫)

    正直、この本を紹介するのはものすごく悩みました。
    おそらく大半の人、特に女性は最低の本だというと思うからです。
    短編集なのですが、酒・バクチ・セックスなどが全ての話しに登場します。
    だから受け入れられない人が多いはずなんです。
    でも、全ての話しに味があるのです。こんな内容なのに愛嬌があるんです。
    それもすべてブコウスキーという人間の魅力だと思います。
    オススメはし難いですが興味のある方はぜひ。私は大好きです。

    (ELEPHANT FACTORY COFFEE 畑啓人さん)

  • Apr

    27

    『本にだって雄と雌があります』小田雅久仁(新潮社)

    『本にだって雄と雌があります』小田雅久仁(新潮社)

    本にも雄と雌があり、そこからある日新しい本が生まれる・・・
    この飛び抜けた設定に惹かれ読み始めたのだけれど、本当にくどいくらいシャレがきいていて、くどいくらいおもしろかった。一人でとっても、ニヤニヤしてしまった。
    物語の途中、暗い陰が覆うものの、全体を貫くあたたかさみたいなものは変わらない。それが心地良くて、ずっと浸っていたくなった。
    わが家にも、幻書が潜んでいるのかもしれないなあ。潜んでいたらいいなあ。

    (ミシマ社 新居未希)

  • Apr

    28

    『探検家36歳の憂鬱』角幡唯介(文藝春秋)

    『探検家36歳の憂鬱』角幡唯介(文藝春秋)

    なぜコンパでもてなくなったのか? なぜ富士山に登る人が最近増えたのか? といった日々感じる雑念から、探検家になった経緯まで、普段はハードな探検を行い、ノンフィクション作品を書く著者が書いた初のエッセイ集。
    全体を通して探検家としての視点からではなく、生来の天邪鬼な性格から感じた事を書き散らしているので、天邪鬼な人は「わかる、わかる。」ってなるかもしれません。

    (京都デッチ 宮川裕大)

  • Apr

    29

    『東京の喫茶店 琥珀色のしずく77滴』川口葉子(実業之日本社)

    『東京の喫茶店 琥珀色のしずく77滴』川口葉子(実業之日本社)

    暖かくて懐の深い書きぶりは、著者の人柄だけでなく十分な取材量を思わせます。かゆいところに手の届く、にもかかわらず種明かしをしすぎない情報量。ユーモアを感じさせつつも抑制がきいていて、読んで楽しい読み物です。喫茶店やカフェの(どっちでもいいのです!)椅子に沈んでコーヒーとともに楽しむと、じわ~っと心が潤います。

    (ミシマガサポーター 佐藤朝子)

  • Apr

    30

    『なぜ、植物図鑑か―中平卓馬映像論集』中平卓馬(ちくま学芸文庫)

    『なぜ、植物図鑑か―中平卓馬映像論集』中平卓馬(ちくま学芸文庫)

    写真のカジュアル化についてわざわざ言及する余地も無いぐらい、当たり前のことになってきています。そんな時代だからこそ、写真を通して真摯に自己表現をしている人の声を聞く必要があるような気がしています。中平卓馬は60年代から70年代にかけて写真を通じてメディア社会を捉えようとしました。遂には中平の写真を特徴づけていたポエジーやイメージを自己否定するに至り、全ての写真を焼き払ったり、さらには、記憶喪失に至るなど、伝説のような逸話の多い写真家です。本書はやや難解ですが、その葛藤をかいま見ている気になります。

    (関西デッチ 渡辺和愛)