今日の一冊バックナンバー

  • Aug

    01

    『毎日パンダ 365日上野動物園に通っているよ日記』高氏貴博(平凡社)

    『毎日パンダ 365日上野動物園に通っているよ日記』高氏貴博(平凡社)

    著者の高氏さんは私の友人であり、お店の共同経営者でもあります。
    ある日突然、毎日パンダを撮り始めた高氏さん、いつも変な事ばかりしているので365日パンダを撮ってると言われても大して驚かなかったのですが、まさか本が出るまでの人気になるとは。
    この本はブログ『毎日パンダ』を本にしたもので、ただかわいいだけじゃない高氏さん独自の視点で切り取られたパンダの写真が実に面白くて、パンダの魅力が引き出されている。
    本当に毎日よくやるなーとただただ感心します。

    (エッケプンクト店主 熊田孝洋さん)

  • Aug

    02

    『土壁・左官の仕事と技術』佐藤嘉一郎、佐藤ひろゆき(学芸出版社)

    『土壁・左官の仕事と技術』佐藤嘉一郎、佐藤ひろゆき(学芸出版社)

    土壁に憧れて今のお店の壁も自分で塗ったのですが、その時に資料として読んだ本がこの『土壁・左官の仕事と技術』。
    左官の専門書なので、素人には理解するのは難しいのですが、失われつつある伝統的な左官技法の手順がしっかりと解説されていて貴重な本だと思います。自然の素材を巧みに使い美しく仕上げる左官職人の仕事と技術。たまに自分の分野とは違う専門書を読むと新しい発見があって面白いです。建築や古民家が好きな人にもお勧めです。

    (エッケプンクト店主 熊田孝洋さん)

  • Aug

    03

    『昨夜のカレー、明日のパン』木皿泉(河出書房新社)

    『昨夜のカレー、明日のパン』木皿泉(河出書房新社)

    25歳で夫一樹を亡くした嫁のテツコと、一樹の父・ギフの二人の暮らしを中心に、幼なじみ、いとこ、一樹の母、テツコの恋人たちの何気ない日常を描いた連作長編小説。登場人物それぞれが、自分の悲しみと不器用に向き合い、急がずに自分のペースで少しずつ前に進んでいくストーリーが胸に響きます。個人的には「夕子」という物語に出てくる「加藤さん」のお話がとても好きでした。おすすめの一冊です。

    (ミシマ社 星野友里)

  • Aug

    04

    『これからの社会を生きる君に 14歳からの社会学』宮台真司(世界文化社)

    『これからの社会を生きる君に 14歳からの社会学』宮台真司(世界文化社)

    私たちが、いま、生きている社会とはどんなものなのか?仕事って?死って?14歳の少年少女にもわかるように、やさしい言葉で書かれています。もちろん、14歳を通り越した大人のみなさんでも大丈夫。20歳の私は、「自分は何があれば幸せな人間なのか、そのために、どんな生活ができればいいのかをはっきりさせ、『それにはこれくらいのお金と時間があれば十分』というふうに考えて、わりきって仕事をさがす」という一文に、目から鱗でした。わからないことだらけの世の中で、一歩ひいた目線で、生き抜くためのヒントがぎゅっとつまった一冊です。

    (デッチ 赤穴千恵)

  • Aug

    05

    『デュシャンは語る』マルセル・デュシャン(ちくま学芸文庫)

    『デュシャンは語る』マルセル・デュシャン(ちくま学芸文庫)

    生活は重く、日常は続く。うちに帰るために生きている身体(大森靖子)、生き残り、ゾンビ。デュシャンは言う。「私の芸術は生活することだと思う。」生活を芸術にする? いいえ、生活は既に芸術なのです。じゃあ、なにをすれば? なにも。「自分は何かをつくる義務があると信じ」る考え方には、ぞっとしませんか? これは、怠惰の教科書です。「ただ存在しているというだけで疲れている」私たちのための。

    (東京都文京区 あゆみBOOKS小石川店 有地和毅さん)

  • Aug

    06

    『さまざまな空間』ジョルジュ・ペレック(水声社)

    『さまざまな空間』ジョルジュ・ペレック(水声社)

    むずむずする。ダンスを観る時の感覚に似ている。微細な筋群が踊り手の動作をなぞるように、知らず知らず、記述された空間に身体が反応するのだ。まるで空間適応のドリルじゃないか。提示されるさまざまな空間を読み、問いかけ、想像の身体を置いてみる。反復練習。読み終える頃には「空間から空間へ、なるべく身体をぶつけないように移動する」テクニックを身につけているだろう。それはつまり、生きるためのテクニックだ。

    (東京都文京区 あゆみBOOKS小石川店 有地和毅さん)

  • Aug

    07

    『町でいちばんの美女』チャールズ・ブコウスキー(新潮文庫)

    『町でいちばんの美女』チャールズ・ブコウスキー(新潮文庫)

    なあ、ブコウスキー。あんたの話で、大好きなのがある。ある男が、銃口を口に入れて引き金を引いた。弾は出なかった。彼は銃を売ってしまった。なぜもう1回やってみなかったのか。「2度やるには相当の勇気がいるよ。」 なんてことない話だ。でもそこに最高の知恵が隠されているように思えてならない。あんたが書き散らかした会話を何かにつけて思い出してる。そう、路上の箴言集だ。大昔のモラリストが書いたのより断然使えるぜ。

    (東京都文京区 あゆみBOOKS小石川店 有地和毅さん)

  • Aug

    08

    『百鬼園随筆』内田百閒(新潮文庫)

    『百鬼園随筆』内田百閒(新潮文庫)

    さあ、トリップの時間だ。目を閉じて。オーケー。君は揺揺で遊んでいる。顫動する重みを指頭に感じる。君はふと思う。仮りに揺揺の方を固定して考えると? 動くのは君だ。つまり君は揺揺だ。(怖がらなくていい。百閒先生も一緒だ。)君は上下に躍る。「エレキの如く這い上り瀧の水の如く落下」する。極小の天体から垂れる一糸に託された君、宇宙に投げ出され、引き戻される。まさに羽化登仙。この酩酊感、癖になるだろう?

    (東京都文京区 あゆみBOOKS小石川店 有地和毅さん)

  • Aug

    09

    『増補版 誤植読本』高橋輝次 編著(ちくま文庫)

    『増補版 誤植読本』高橋輝次 編著(ちくま文庫)

    誤植とは「そっとしのびいる悪魔」である。そして、校正とは「意識の火で焼き浄めること」だ。しかし焼くには惜しい「誤って植えられた種」もある。誤植という綻びから、紙面に定着していた活字がほろほろとこぼれそうに見えてくる。テクストが取り得た多様な形態がちらつき始める。冷えて固まったものと思われていた書物は、今なお熱くふるえているのだ! そう考えることは少し、楽しい。誤植はある種の希望でもある。

    (東京都文京区 あゆみBOOKS小石川店 有地和毅さん)

  • Aug

    10

    『平城京に暮らす』馬場基(吉川弘文館)

    『平城京に暮らす』馬場基(吉川弘文館)

    主に平城京で発掘された木簡を通して、奈良時代を生きた人々の様子を楽しく教えてくれる本です。当時のメモ書きのような役割だった木簡には、紙に記されるような形式ばった公式文書などと違って、まさに当時の人々のリアルな生活の様子や本音のつぶやき(ツイート?)が残されています。これら奈良時代の日本人の生の声を、奈良文化財研究所の馬場基さんが、独特の視点とユーモアを交えた楽しい筆致で教えてくださり、1300年前も現在も変わらない人間の普遍的な営みや心の動きを知るにつけ、なんだか愛おしい気持ちになります。馬場さんは講座などでのお話もテンポよく笑いがたえず、とても楽しい人です。

    (ミシマガジンサポーター aknmt221bさん)

  • Aug

    11

    『チャリング・クロス街84番地』ヘレーン・ハンフ 編著(中公文庫)

    『チャリング・クロス街84番地』ヘレーン・ハンフ 編著(中公文庫)

    「本とお茶、ときどき手紙 草径庵」という店をやっているわたし。本も好きだけれど、手紙を書くことももらうことも大好き。いろんな書簡集があるけれど、この本はイギリスの書店員とアメリカに暮らす本好きな女性の注文書のやりとりなのに、心の交流がほんとうに伝わってくる。一度も会うことなくやり取りは終わってしまうが、人生にはこういう幸福もあるのだ、とじんっとしました。

    (ミシマガジンサポーター 本とお茶、ときどき手紙 草径庵さん)

  • Aug

    12

    『いいビルの写真集』BMC(ピエ・ブックス)

    『いいビルの写真集』BMC(ピエ・ブックス)

    出版に関わる者として、本の出来不出来は著者や編集者の「ぜひこれを世の中に伝えたい」という切実さ・真剣さにかかっているのではないかと感じている。この本はまさにそれで、1950〜70年代のビルを愛してやまない5人組の熱い思いに、編集者と出版社が撮り下ろしの写真をオールカラーで収録する贅沢な造本で応えている。外観からディテールまで、これでもかと続くビルの写真に、作り手の執念すら感じられる。そして、それが読者にきちんと伝わり、結果としてよく売れている(これが大事)。「本を出す」ということの一つの理想的な関係性がここにあると思う。

    (140B 大迫力さん)

  • Aug

    13

    『フェルメール 光の王国』福岡伸一(木楽舎)

    『フェルメール 光の王国』福岡伸一(木楽舎)

    著者の愛する画家・フェルメールの作品を、所蔵されている場所を訪れて鑑賞する旅を綴った美術紀行。福岡氏の他の作品と同様に、謎解きの要素も少し含まれている。絵画や風景の美しい写真、詩的な文章、そして何より福岡氏のフェルメールへの思いに「感染」し、美術の知識などなくてもすらすら読める。知らず知らずのうちに、自分もフェルメール好きになっていく快感。あとがき最後の一文、「こんな本が作りたかった」と無邪気な本音を漏らした福岡氏の満足そうな表情が目に浮かぶ。

    (140B 大迫力さん)

  • Aug

    14

    『男は邪魔! 「性差」をめぐる探求 』髙橋秀実(光文社新書)

    『男は邪魔! 「性差」をめぐる探求 』髙橋秀実(光文社新書)

    自らの夫婦関係を振り返り、「オレってもしかして邪魔かも?」という疑問を抱くようになった高橋氏。そんな切実過ぎる悩みをエンジンに、ノンフィクションライターらしいフットワークで、男女共同参画を進める役所担当者や脳科学者などとにかく取材をしまくる。果ては男装喫茶(男装した女子が接客。ちなみに客も女子)まで、「そこ行くか!」という振れ幅が面白い。著者の個人的な意見に過ぎるという批判も多いようだが、こういう本は前のめりになっている著者と同じ流れに巻き込まれるように読むほうが絶対楽しいと思うのだが。

    (140B 大迫力さん)

  • Aug

    15

    『秋葉原事件 加藤智大の軌跡』中島岳志(朝日新聞出版)

    『秋葉原事件 加藤智大の軌跡』中島岳志(朝日新聞出版)

    2008年6月に起こった「秋葉原事件」の犯人・加藤智大が犯行に至った経緯を、家族や友人への丹念な取材で明らかにした。この事件に「どうしようもない切迫感」を抱いた中島氏は、加藤が最後に働いた工場周辺のすべての飲食店に入り、そこに「居場所」がないか確かめるなど、本人になり代わって思考のうつろいを拾い上げようとする。著者が最も恐れるのは、事件の動機や犯罪者を生み出した社会的背景がわかりやすく単純なストーリーに回収されること。個人の内面をじっくり見つめる態度は、『中村屋のボース』『朝日平吾の鬱屈』といった他の著作にも通じる。

    (140B 大迫力さん)

  • Aug

    16

    『日本を捨てた男たち  フィリピンに生きる「困窮邦人」』水谷竹秀(集英社)

    『日本を捨てた男たち フィリピンに生きる「困窮邦人」』水谷竹秀(集英社)

    本の内容をざっくり言えば、フィリピーナに入れあげて現地へ渡り、お金が無くなって日本へ帰れなくなった男たちのルポ。たいていの場合、日本での苦しい生活に嫌気がさし、青い空と海を夢見るようになる。ふとしたきっかけで長年連れ添った妻と離婚しフィリピンへ渡った男性もいる。彼らに同情しないわけではないが、当然ながら「自己責任論」による批判もある。この本を読んで一番強く感じたのは、人間とはいとも簡単に「踏み外す」ものだということ。著者の水谷氏のスタンスは中立的だが、生身の人間のどうしようもない弱さには少なからず共感していたのではないだろうか。

    (140B 大迫力さん)

  • Aug

    17

    『西行』白洲正子(新潮文庫)

    『西行』白洲正子(新潮文庫)

    西行の生涯の美しさ、歌のすばらしさをはじめて知りました。白洲さんが、歌が詠まれた場所をきちんと訪れ、土地の古老に話をたずねて、文献にきちんとあたって・・・そうして西行の人生に深くたちいった名作です。読んでよかった。

    (ミシマガジンサポーター 芦田惠美さん)

  • Aug

    18

    『おかしなジパング図版帖』宮田珠己(パイインターナショナル)

    『おかしなジパング図版帖』宮田珠己(パイインターナショナル)

    伝聞をもとに描かれた17世紀の日本。妖しさ満開、ツッコミどころ満載です。ここはどこの国?! と笑いながらも、今も外国から見た日本は不思議の国かもしれませんね。

    (ミシマガジンサポーター Greenpeaさん)

  • Aug

    19

    『よあけ』ユリー・シュルヴィッツ作・画(福音館書店)

    『よあけ』ユリー・シュルヴィッツ作・画(福音館書店)

    「おともなく、」という1ページ目からはじまる、ある湖のよあけ。美しい絵と添えられるように少ない言葉からは静けさが伝わり、そこに暮らす生き物が奏でる音が大きなできごとの様に描かれています。もうこれだけで十分だなぁと思わされてしまいます。

    (イラストレーター 溝川なつ美さん)

  • Aug

    20

    『音楽家の台所』良原リエ(コノハナブックス)

    『音楽家の台所』良原リエ(コノハナブックス)

    子どもと一日の大半を過ごす私にとって、頭で暮らすより、感覚で、自然に暮らすことがうまく生活してゆくコツだと最近やっと気づいたのですが、この本を開くと季節を楽しみ食を愉しみ、音楽を楽しむ良原さんの生活が素敵だなぁと心から思ってしまいます。
    何より丁寧に作られたご飯が美味しそう! 美しい写真からも伝わってきます。

    (イラストレーター 溝川なつ美さん)

  • Aug

    21

    『東京バス散歩』白井いち恵 (京阪神エルマガジン社)

    『東京バス散歩』白井いち恵 (京阪神エルマガジン社)

    「東京ってね、バスで巡ると楽しみがたくさんあるんだよ、実はね・・・」
    この本を読んでください、ドン!と一冊掲げたくなる本です。街と街が繋がる様子、見える風景、穴場のお店、バス移動にハマった著者白井いち恵さんの独特の視点で東京の新しい楽しさを知る事ができます。

    (イラストレーター 溝川なつ美さん)

  • Aug

    22

    『猫とくらす』(アノニマスタジオ)

    『猫とくらす』(アノニマスタジオ)

    まるまる一冊猫だらけの本! しかも349頁! 「人生に猫は必要だ」と断言する猫好きの人々の、たくさんの写真とエピソードがぎっしり詰まった本です。
    猫が好きでもそうじゃなくても、この本を通して、楽しいことって、笑ってしまうことって、きっと近くにあるのだなぁと思わせてくれます。

    (イラストレーター 溝川なつ美さん)

  • Aug

    23

    『真鶴』川上弘美(文藝春秋)

    『真鶴』川上弘美(文藝春秋)

     川上弘美さんの小説は元々好きですが、この本だけはまず挿画の美しさに惹かれてしまいました。
    話の内容はやっぱり愛のお話。でも読み進めていくと愛なのか、何なのか。淡く鈍い色のこの挿画の中にいるような、そんなお話。私には言葉では伝えることが出来ません、、、
    でもとにかく美しいです。

    (イラストレーター 溝川なつ美さん)

  • Aug

    24

    『星の王子さま バンド・デシネ版』サン=テグジュペリ原作、ジョアン・スファール著(サンクチュアリ出版)

    『星の王子さま バンド・デシネ版』サン=テグジュペリ原作、ジョアン・スファール著(サンクチュアリ出版)

    原作は未読・・・というか、ちまたの「もてはやされ」感、ファンタジックきらきら感から、正直敬遠していました。が・・・。ぱらり、とめくった目に飛び込んできた「陰」、暗がり。この絵を前提にして、この世界観には、麻薬的にやられます。即決で衝動買いしました! そしてなぜか、『銀河鉄道の夜』を思い出しました。

    (ミシマガジンサポーター 風轍さん)

  • Aug

    25

    『クリーピー』前川裕(光文社) 

    『クリーピー』前川裕(光文社) 

    クリーピー【creepy】 ぞっとするさま。ぞくぞくするさま。
    あなたは自分の家の隣にどんな人が住んでいるか知っていますか?そういえば最近、お隣さんをみかけないな。なんてことはないでしょうか。東京にある閑静な住宅街で年老いた母娘の家が全焼し、中から二人の遺体が発見された。それを皮切りに主人公の周りでは不可解な事件が頻発する。現代社会の希薄な人間関係が生んだ殺人事件。
    得体の知れない恐怖にかられ、身震いすること請け合いです!

    (ミシマ社デッチ 清水美沙)

  • Aug

    26

    『「資本論」も読む』宮沢章夫(幻冬舎文庫)

    『「資本論」も読む』宮沢章夫(幻冬舎文庫)

    難解で有名なカール・マルクスの資本論。劇作家・宮沢章夫さんが持つことになった「資本論を読む」という連載と、資本論との死闘を綴ったweb日記が同時進行するドキュメント本。笑えるのに勉強になるのが不思議。資本論を読み進めるにつれて著者の心境も変化していくのがよくわかり、いろいろと楽しみが多いオススメ本です。内容を理解するより大切なことがあるんじゃないか、と著者は気づくのでした。こんな資本論の読み方、他ではできないはず。宮沢さんは、独自の視点で笑いを誘うエッセイ本を多く出されています。是非「牛への道」も読んでください。

    (アトリエカフエ 安川雄基さん)

  • Aug

    27

    『増補 建築バカボンド』岡村泰之(イースト・プレス)

    『増補 建築バカボンド』岡村泰之(イースト・プレス)

    建築業界の本音が書かれていると思います。そして、いろんな不純に流されることなくピュアに良い建築を追求する著者の姿に、建築でやっていくことの希望をおおいに感じました。何十年とそこに住む人にとって良い家を作る。幸せな仕事ですよね。バカボンのパパに憧れる著者は、僕が知っている建築家の中でもっとも幸せな方だろうと勝手に想像しています。本書は、学校でも学べない「いま」を生きていくためのたいせつな知恵について、中学生以上のすべての人に向けて書かれた「よりみちパン!セ」というかなり読みやすいシリーズです。良いテーマでいっぱい出ています。

    (アトリエカフエ 安川雄基さん)

  • Aug

    28

    『暴走する「世間」』佐藤直樹(バジリコ)

    『暴走する「世間」』佐藤直樹(バジリコ)

    「世間」というふわふわとした概念は、日本社会に存在する見えない掟のようなもの。個人主義の文化がない日本人は、世間の目を中心に物事を考え、空気を読む。遠い昔から続いているこの日本独自の文化が、今暴走を始めているのだ。ーーコミュニティや絆という言葉を多く見かけるのも日本的な現象なのかもしれませんが、善かれ悪かれ日本人は世間に縛られ生きているのだろうと、本書を読んでから僕の生活を見渡しても実感。この「世間」の暴走により起こることとして大きな社会問題も取り上げており、挑発的で読み応えあります。まあ表紙が良いですよね。挑発的です。

    (アトリエカフエ 安川雄基さん)

  • Aug

    29

    『切りとれ、あの祈る手を』佐々木中(河出書房新社)

    『切りとれ、あの祈る手を』佐々木中(河出書房新社)

    文字について、言葉について、本について、めちゃめちゃに考えさせられました。「めちゃめちゃに」です。ちょうど(軽く)入院しているときに妹から買ってきてもらって読んだのですが、おかしくなりそうでした。これからどう読んだらいいのか、どう書いたらいいのか、答えもわからずもやもや。正直これが良い本なのかがわからず読了したのですが、また平穏な読書を始めたときに振り返ってみると、やっぱり衝撃的で大事な本だと思いました。装丁も素晴らしく、これまで出会った本の中では、ずば抜けて印象が強い本です。

    (アトリエカフエ 安川雄基さん)

  • Aug

    30

    『現代語訳 学問のすすめ』福沢諭吉 著、齋藤孝 訳(ちくま新書)

    『現代語訳 学問のすすめ』福沢諭吉 著、齋藤孝 訳(ちくま新書)

    現代語訳なので、誰でも読めます。ぜひぜひ読みましょう。「いつの本だよ」とか思っていましたが、今も昔も変わりませんね。思えば、税金を払うことによって、怪我をしたら救急車を呼べるし悪い人がいたら警察を呼べる。なによりその状況が日々の生活に安心を与えているのは無意識ながら確実なわけで、税金高い高いと文句を言う前にちゃんと恵まれた環境に目を向けるべきだよな、と気づかされました。こういう日々の生活における身近な発見が非常に多く、学校では教えてくれない学問であると思います。

    (アトリエカフエ 安川雄基さん)

  • Aug

    31

    『さよならタマちゃん』武田一義(講談社)

    『さよならタマちゃん』武田一義(講談社)

    コミックなのですが、雑誌イブニングに連載中からファンでした。ベテラン漫画アシスタントの著者が体験したガン治療記です。安定してていねいな絵が、とてもすてきです。武田さんはこの本を出すことでやっと漫画家としてデビューができたのですが、アシスタント先の漫画家の先生が彼をよく後押ししてくれていたそう。本人の人柄の良さがにじみでている作品です。

    ((ミシマガジンサポーター 竹内香織さん))