今日の一冊バックナンバー

  • Oct

    01

    『ホテル・アイリス』小川洋子(幻冬舎文庫)

    『ホテル・アイリス』小川洋子(幻冬舎文庫)

    少女というには成長し過ぎ、女というには未熟。十七歳。老人との噎せ返るような逢瀬。さすがは小川洋子と言わしめる一枚の絵画のような一冊。

    (新潟県新潟市 ジュンク堂書店新潟店 手嶋涼さん)

  • Oct

    02

    『コトコノコ』Cocco(幻冬舎)

    『コトコノコ』Cocco(幻冬舎)

    映画を見ているあいだ肋骨から心臓が飛び出るのではと思った。あまりにも心臓がはねるものだから息すら覚束なかった。
    映画館のイスでひざをかかえて、それでも目を離すことができずに、スクリーンの中の一人の女性の人生を見ていた。
    彼女の主演映画の写真とともにつづられる言葉たち。自分と違う個がうれしいという彼女の言葉に私は涙が止まらなくなる。

    (新潟県新潟市 ジュンク堂書店新潟店 手嶋涼さん)

  • Oct

    03

    『ソラリーマン』青山裕企(パイ インターナショナル)

    『ソラリーマン』青山裕企(パイ インターナショナル)

    ――おっさんが飛んでいる。
    これだけだと「なんだそりゃ」ってなもんですが、それ以外に説明ができないのだから仕方ない。副題の「働くって何なんだ?!」の通り、飛んでいる方々の「仕事とは」が見られる、軽めのビジネス書としても写真集としても、とても読みごたえのある内容。
    スーツはやっぱり戦闘服。世の中の働く人々に読んでいただきたい一冊。

    (新潟県新潟市 ジュンク堂書店新潟店 手嶋涼さん)

  • Oct

    04

    『諏訪敦絵画作品集 どうせなにもみえない』諏訪敦(求龍堂)

    『諏訪敦絵画作品集 どうせなにもみえない』諏訪敦(求龍堂)

    皮膚はつめたいのにその下には確かに温度がある。諏訪敦さんの作品を私はそう感じている。よく、絵画や彫刻に、今にも動き出しそうな、と評されることがあるが、諏訪さんの作品はそうではないだろう。動きはしないがその形そのままに生きている。
    作品集の中になくなった方の肖像画がある。それを制作するのにあたってその方のルーツを探すためにその方の両親のスケッチをしている。「制作をするときにそのモチーフの背景を想像して作れ。」と私が学生時代に言われた言葉を思い出す。
    そこに生まれるリアリズム。今さらになって理解した。そして私はまた作品集を開いては息が止まる。

    (新潟県新潟市 ジュンク堂書店新潟店 手嶋涼さん)

  • Oct

    05

    『オリンピックの身代金(上)(下)』奥田英朗(角川文庫)

    『オリンピックの身代金(上)(下)』奥田英朗(角川文庫)

    1964年の日本・東京が舞台。「もはや戦後ではない」と謳われ、東アジア発のオリンピック開催に沸き立つ東京。そんななか、東大生である島崎国男は、オリンピック会場の建設現場で働き、高度経済成長の陰となる部分を知る......。2020年、東京オリンピックが決定した今だからこそ読んでほしい!!

    (ミシマガジンサポーターさん)

  • Oct

    06

    『戦略参謀』稲田将人(ダイヤモンド社)

    『戦略参謀』稲田将人(ダイヤモンド社)

    本書は経営企画目線からの企業改革が描かれた小説仕立ての一冊。あらすじは、郊外型の紳士服チェーン「しきがわ」を舞台に、新設の経営企画室に飛ばされた若手社員・高山昇が社内の地雷を踏みまくりながらもひたむきに成長し企業改革に奮闘する、というもの。428ページと分厚い本だが、このストーリーがなかなかに興味深く、リアルな臨場感があり引き込まれるように読了してしまった。私の実感としても「会社ってやつ」はだいたいこんな感じで、どれだけスキルがあっても人間の「業」みたいなものへの眼差しが伴っていなければなかなか前へ進めるものではない。本書は企業各部門で悩める仕事人にとっての「必読の書」ではないでしょうか。

    (ミシマ社営業チーム 渡辺佑一)

  • Oct

    07

    『はやくはやくっていわないで』益田ミリ・作 平澤一平・絵(ミシマ社)

    『はやくはやくっていわないで』益田ミリ・作 平澤一平・絵(ミシマ社)

    「ミシマ社」だから推薦するわけではありません。とにかく多くのお子さんに読んでもらって、人生で焦燥感にかられたときに思い出していただきたい一冊。産経児童出版文化賞受賞作品でもあります。
    絵も非常に素敵で、「はやくはやくっていわないで」Tシャツもおすすめです(うちの子も愛用しています)。

    (PHP研究所 西村健さん)

  • Oct

    08

    『なぜ宇宙人は地球に来ない?』 松尾貴史(PHP新書)

    『なぜ宇宙人は地球に来ない?』 松尾貴史(PHP新書)

    一冊だけ、自分が編集担当させていただいた新書を紹介させてください。芸能界の異才、松尾貴史が愛を込めて超常現象を懐疑します。私はこの本で、「お賽銭」はご利益を期待するためではなく自分の欲を捨てるための行為であることを知りました。「宇宙人が来るのが心配で、夜も眠れないあなたへ」という帯コピーをつけましたが、これは私が初めて上司にほめられたコピーでした。

    (PHP研究所 西村健さん)

  • Oct

    09

    『「正法眼蔵」を読む』南直哉著(講談社選書メチエ)

    『「正法眼蔵」を読む』南直哉著(講談社選書メチエ)

    存在とは何か、悟りとは何かについて、私の従来の思い込みが完全に覆された一冊。風鈴がなって、はじめて「風鈴」「風」「その音を聴く人」という存在が括り出される。悟るとは、悟って何かになるわけではない。常に修行を行っているという状態が、悟りという領域を生み出す。仏教思想の西洋哲学に対する強みは、修行という概念があることですね。

    (PHP研究所 西村健さん)

  • Oct

    10

    『七帝柔道記』増田俊也(角川書店) 

    『七帝柔道記』増田俊也(角川書店) 

    『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』の増田俊也さんの本は何を読んでもはずれなし。この本では、旧帝国大学七校で行われている寝技中心の柔道に青春を捧げる北海道大学の学生の姿が描かれます。「死ぬ方が楽」という壮絶な練習が毎日続きます。本作に登場する柔道部員は実在の方ですが、現在は医師になったり官僚になったり海外で技術指導をしたりと、華々しく活躍されているとのことです。

    (PHP研究所 西村健さん)

  • Oct

    11

    『フルーツひとつばなし』田中修(講談社現代新書)

    『フルーツひとつばなし』田中修(講談社現代新書)

    最近読んでおもしろかった新書。・「アンデスメロン」のアンデスはアンデス山脈とは何も関係ない、「安心です」の略。・「杮(こけら)落とし」の「杮」は柿(かき)とは違う字。杮(こけら)のつくりは4画、柿(かき)のつくりは5画。・デラウエアを種なしにしたジベレリンは日本人が発見 ・佐藤錦は種で増えるわけではないので、佐藤錦の種を植えても佐藤錦は生えない、などなど・・・。

    (PHP研究所 西村健さん)

  • Oct

    12

    『セクシーに生きる』ジェイミー・キャット・キャラン/著、永峯涼/訳(プレジデント社)

    『セクシーに生きる』ジェイミー・キャット・キャラン/著、永峯涼/訳(プレジデント社)

    恋愛指南系の本は世間にたくさん出ていて、結局どれも似たようなことが書いてある気がしないでもないですが(そんな傾向が掴めるほどたくさん読んだのかよ! どんだけモテたいんだよ!)(そしてモテないんだよ......)この本にはひとつだけ、他の本には書いてないことが書いてありました。年齢を重ねた女性の美しさに「はかなさ」を挙げているのです。そう捉えたことはなかった。やせた腕元を「はかない」と思うと、自分のイメージがかわります。

    (ミシマガジンサポーター 佐藤朝子さん)

  • Oct

    13

    『サッカーデイズ』杉江由次(白水社)

    『サッカーデイズ』杉江由次(白水社)

    本の雑誌社で営業をされている杉江由次さんが、娘さんのサッカーチームのコーチを引き受けた日々が綴られたエッセイ。最初はへたっぴだった娘さんが努力の末どんどん上手になる過程や、杉江さんがコーチとして真剣に子どもたちに向き合う姿に、胸が熱くなります。なんというか、安心して子どもが遊びに熱中したり、大人でも仕事に集中できる場があるとしたら、それはその場を主宰している人たちのあらゆる努力によって守られているのだ、ということにあらためて気づかせてくれます。家族って、大切だなぁ。と、じわじわ幸せになる一冊です。

    (ミシマ社仕掛け屋チーム 長谷萌)

  • Oct

    14

    『帰ってから、お腹がすいてもいいようにと思ったのだ。』高山なおみ(文春文庫)

    『帰ってから、お腹がすいてもいいようにと思ったのだ。』高山なおみ(文春文庫)

    料理家の高山なおみさんが、いまほど著名になる以前の、30代の日々を綴ったエッセイです。何者にもなりきれていないグレーな毎日は、不安定でときどき孤独だけれど、なんでもない幸せに気付ける大切な時間でもあるのでしょう。10年以上前の文章ですがちっとも古くなく、それこそスープのようにストンとしみてきます。が、料理家のエッセイ、と期待して開くとあっさり裏切られますよ。普段、エッセイや短編は移動中などにちびちび読むのですが、プロローグでがしっと掴まれ、一気に読んでしまいました。

    (ライター 皆川夕美さん)

  • Oct

    15

    『スタッキング可能』松田青子(河出書房新社)

    『スタッキング可能』松田青子(河出書房新社)

    連休明けなので、こちらを。少し昔、言いたいことも言えない世の中はアレだと歌った曲がありましたが、実際、何も言わない大多数の心の摩耗のうえに社会は成り立ち、進化しているよなぁと思うのです。とりわけ、個を抑制する「会社」という場所においては。本書は、スタッキングチェアのように"代替可能"な人たちが職場での理不尽な出来事や同調圧力、その他ワケのわからない諸々に無言で対峙する様を描いています。地味でも弱くても闘い続ければそれは希望だと元気がでました。嫉妬に値する言語センスにやみつきになりますが、電車の中で読むのは避けた方が無難です。

    (ライター 皆川夕美さん)

  • Oct

    16

    『いちばんここに似合う人』ミランダ・ジュライ(新潮社)

    『いちばんここに似合う人』ミランダ・ジュライ(新潮社)

    ミランダ・ジュライの作品は、映画も本も、ふわふわしているようで、実は負の、複雑などろどろした感情を描いているところが好きです。本書に登場するのも、水のない土地で洗面器を使って老人に水泳を教えるコーチなど、一見滑稽でヘンテコな人たち。そんな彼らを他人事のようにみていると、ときどき自分とシンクロする瞬間があったりして。ずっと上の空で話を聞いていたのに、ふいに核心をついた発言が飛び出してドキッとするような、そんな感覚を味わわせてくれる作品です。岸本佐知子さんの翻訳がまた、いいんです。

    (ライター 皆川夕美さん)

  • Oct

    17

    『猫のあしあと』町田康(講談社)

    『猫のあしあと』町田康(講談社)

    猫が好きで、子どもの頃から、猫が登場する本はつい手に取ってしまいます。なかでも町田康さんの猫エッセイが好きなのは、そこに人間のエゴがないから。うちにも猫がいます。先日『猫にかまけて』と併せて再読し、ペットは友だちの代わりや癒しの道具でも、ましてや所有するものでもないと実感。とくに、瀕死状態の子猫エルの復活劇とゲンゾーの最期に心揺さぶられ、私もこんな飼い主になりたいなぁと襟を正す思いでした。とはいえ、さすがに「ポルトガル風美容体操」は、私にはできないかな・・・。

    (ライター 皆川夕美さん)

  • Oct

    18

    『猫に言いたいたくさんのこと』野澤延行(池田書店)

    『猫に言いたいたくさんのこと』野澤延行(池田書店)

    猫本をもう一冊。こちらは昨年、猫を飼い始めたときに読んだ教科書です。気まぐれといわれる猫の行動を、獣医である著者が生物学的・医学的に解説します。猫とは主従関係を結ぶものではなく、大切なのは、彼ら(猫)の暮らしに人間がお邪魔してます、という姿勢。「忙しいときに限ってなぜパソコンの上で寝るの・・・」と首をかしげていた私も、猫なりの理由を理解したら、愛猫との暮らしが一層愛おしいものになりました。なにより、猫好きのツボをおさえた文章が素敵。今後、猫を飼おうと考えている方にオススメです。

    (ライター 皆川夕美さん)

  • Oct

    19

    『間取り図大好き!』間取り図ナイト/編(扶桑社)

    『間取り図大好き!』間取り図ナイト/編(扶桑社)

    変わった間取りを図入りでひたすら紹介していく本。「なんじゃこりゃ!?」と思わせるような間取りは、実際に売りに出されているから驚き。見所は、3人の間取り図マニアが絶妙なやりとりで1つ1つの間取りを解説していく所。その解説をもとに、実際にその間取りに住んだらどういった事態に陥るのかを、想像力をフルに使って読んでいく。この説明だけでは、この本のよさは1mmも伝わらないと思いますが、実際手にとって1ページだけでも見ると、よくわかると思います。抱腹絶倒の1冊!

    (ミシマガジンサポーター 辻井圭太朗さん)

  • Oct

    20

    「売り言葉」と「買い言葉」岡本欣也(NHK出版新書)

    「売り言葉」と「買い言葉」岡本欣也(NHK出版新書)

    書店で、寄藤文平さんが描かれた著者の岡本さんの似顔絵POPに心惹かれて購入しました。岡本さんは「大人たばこ養成講座」やNTTドコモ、キリン、ホンダなど数々の広告を手がけるコピーライター。タイトルのとおり、歴代の名作コピーを「売り言葉」と「買い言葉」にわけて、人の心を動かす言葉とは、を探ってゆきます。その理路も面白いのですが、なんというか、本全体からホンワカとした温かさが伝わってきます。そのことこそ、この本に書かれている「心を動かす」ということなのかな、とも思わされる、オススメの一冊です。

    (ミシマ社 星野友里)

  • Oct

    21

    『神を見た犬』ディーノ・ブッツァーティ(光文社古典新訳文庫)

    『神を見た犬』ディーノ・ブッツァーティ(光文社古典新訳文庫)

    神への信仰が薄れたイタリアの田舎町に現われた隠者と犬。犬の奇妙なふるまいに住人達は恐れを抱き神の存在を感じ始めるのですが・・・。
    疑心暗鬼にかられた人間達のせせこましい右往左往が面白くも不気味でもある不思議な短編です。神を見たにしろ見ていないにしろ主人公(?)の犬はとっても立派な忠犬で、ラストシーンにもぐっときます。

    (滋賀県近江八幡市 本のがんこ堂アクア店 原口結希子さん)

  • Oct

    22

    『いつか、ふたりは二匹』西澤保彦(講談社文庫)

    『いつか、ふたりは二匹』西澤保彦(講談社文庫)

    人公の男の子が猫の身体にのりうつって町で起きている事件を一匹で調べ始めるという、ちょっとファンタジー要素のかかったミステリーです。猫の視点からの描写の楽しさ、謎解きの面白さも魅力ですが、何よりもラストシーンのさみしいようなあたたかいような爽やかさが強烈に印象にのこります。
    タイトルが一番のネタバレ、わかっていてもじ~んとしますよ。

    (滋賀県近江八幡市 本のがんこ堂アクア店 原口結希子さん)

  • Oct

    23

    『ベルカ、吠えないのか?』古川日出男(文春文庫)

    『ベルカ、吠えないのか?』古川日出男(文春文庫)

    タイトルも表紙もあまりにもかっこいいので刊行当時はジャケ買い読者が続出。実際に読み始めてみると異様な文体奇妙な物語にわけもわからないまま圧倒されて読了感動。
    最近では平積みにされる機会もすくないと思いますので、是非文春文庫の「は」行の前に立ってみてください。背表紙に指をひっかけてひきずり出した表紙の写真の犬と目があったら最後、離れられなくなること間違いなしです(本当は犬の目は写っていないのですが)。

    (滋賀県近江八幡市 本のがんこ堂アクア店 原口結希子さん)

  • Oct

    24

    『猫の地球儀(全2巻)』秋山瑞人(電撃文庫)

    『猫の地球儀(全2巻)』秋山瑞人(電撃文庫)

    これぞ日本文学史上最高の猫SF小説!! ライトノベルだからといって存在も知らないで済ます人がいたらあまりにも勿体ないです! なんならSFに興味がないって人にもオススメです!
    これがダメってんなら多分SF全部ダメ。知らないことが知りたい、遠くに行きたい、自分の力を試したい、そういう最高の冒険小説で、主人公の猫達にも細々としたSF的なガジェットにもくっそ萌えます。

    (滋賀県近江八幡市 本のがんこ堂アクア店 原口結希子さん)

  • Oct

    25

    『神は死んだ』ロン・カリー・ジュニア(白水社)

    『神は死んだ』ロン・カリー・ジュニア(白水社)

    短編集ですが世界観が統一された面白い作品ばかりなので非常におすすめ。
    本作に出てくる犬は、なんと神様のことを食べてしまいます。神様がいなくなった世界も、神様を食べた犬も、もはやこれまで通りに暮らしていくことはかないません。世界中に、そして犬自身の身の上にも不思議と混乱があふれます。
    吉本新喜劇の脚本を前衛的な舞台にかけたような、ギャグでもあればシリアスでもあるという魅力的な違和感満載の相当おかしな物語です。

    (滋賀県近江八幡市 本のがんこ堂アクア店 原口結希子さん)

  • Oct

    26

    『自分を支える心の技法』名越康文(医学書院)

    『自分を支える心の技法』名越康文(医学書院)

    対人関係だけでなく、自分の心のありようとかありかたをふと考えたときに、ストンと納得できると思います。ムリせずにやり続けて、ごきげんな毎日がおくれるなら(そう単純にはいかないけれど)小さな幸せがみつかると思います。幸せは心の位置が決めるのかもしれませんね。

    (ミシマガジンサポーター にやがりもんさん)

  • Oct

    27

    ほぼ日手帳公式ガイドブック2013(マガジンハウス)

    ほぼ日手帳公式ガイドブック2013(マガジンハウス)

    ほぼ日手帳は昔から知っていて、使用歴はもう6年ほどになるのですが、ずぼらなわたしの手帳はいつもほとんどまっ白のまま。それでも毎年このシリーズが出るとすみからすみまで読み、ますめきっちりに埋められた文字や、かっこよく貼られた映画のチケット、おしゃれなイラストにうっとりし、性懲りもなくまた手帳を買ってしまうのです。2013年は、大好きなモデルの菊池亜希子さんが表紙で特にお気に入りです。

    (ミシマ社営業チーム 平田薫)

  • Oct

    28

    『はんぶんタヌキ』長新太(こぐま社)

    『はんぶんタヌキ』長新太(こぐま社)

    「たぬきがこれからばけますよ、ばけますよ」ほぼ台詞はそれだけ。なのに、ぶっ飛んだ展開とモーレツな色合いでぐんぐん引き込まれ、読後はたぬきに生まれ変わりたくなる。毎日机に向かって仕事していると、どんどん身体が縮こまって、視界が小さくなっていく。気ついた時にはどんな頑張ってもしょーもないものしか作れなくなる。そんなとき、窓を開け部屋に風を通すように、長さんの絵本を読んで、昼寝をするのです。

    (デザイナー 矢萩多聞さん)

  • Oct

    29

    『老いのイニシエーション』竹内敏晴(岩波書店)

    『老いのイニシエーション』竹内敏晴(岩波書店)

    舞台演出家の竹内敏晴さんは、幼い頃からの病気で耳が聞こえなくなり、自らの強い意志と実践で〈ことば〉を取り戻したものすごい人です。さらに60歳を超えて二度目の結婚、老体にむち打って子育てをはじめてしまう。しのびよる老いと、子どもの言葉にはっとさせられながらも、日々の暮らしの中で身体をみつめ、いのちのありかを探る。こんなに身体に対して真摯に生きた人をぼくは他に知らない。

    (デザイナー 矢萩多聞さん)

  • Oct

    30

    『わが名はアラム』ウィリアム・サロイヤン/著、清水俊二/訳(晶文社)

    『わが名はアラム』ウィリアム・サロイヤン/著、清水俊二/訳(晶文社)

    出稼ぎにきたのに歌ばかりうたってるおじさん、田舎の食料品店で詩人のようにふるまう男、運転もできないのに車を買おうとするインディアン、家を訪ねたのに一言も喋ろうとしないアラビア人と叔父さん......少年アラムが出会う大人たちは、みな変でポンコツでどこか愛らしい。熊さん、八っあん、落語の長屋みたいな楽観的世界。ここならば、ぼくも生きていける、そんな気持ちになる。

    (デザイナー 矢萩多聞さん)

  • Oct

    31

    『老いのくらしを変えるたのしい切り紙』井上由季子(筑摩書房)

    『老いのくらしを変えるたのしい切り紙』井上由季子(筑摩書房)

    母が倒れ、突然一人暮らしをすることになった父。八十歳を目前にして、酒も煙草もやらず趣味といえば釣りくらい。そんな父を心配して娘が薦めた「切り紙」。最初は「そんなもんやらん」とつっぱねる父だが、イヤイヤやっているうちにその面白さにはまっていく。頑固オヤジとお節介ムスメ、おたがい素直じゃないところが笑えてホロリ。一見、手芸本に見えるけど、実は親子再生のドキュメンタリーなんです。

    (デザイナー 矢萩多聞さん)