今日の一冊バックナンバー

  • Dec

    01

    『流星ひとつ』沢木耕太郎(新潮社)

    『流星ひとつ』沢木耕太郎(新潮社)

    33年前、藤圭子さんと沢木耕太郎さんが話した一夜の会話をそのまま本にした一冊。ふたりでウォッカを飲みながら、ほぼ初めましての状態からさりげないやりとりを通じ、お互いの信頼の深まりとともに増す会話の深度が、そのまま記されています。沢木さんが藤さんを宝物のように大切に、慎重に言葉を選びながら話を引き出し、藤さんが正直に答えます。私はリアルタイムでの藤さんを知らないのですが、沢木さんが読者に届けたかったという天真爛漫な彼女は、同じ女性として、とても魅力的です。「・・・」で記された沈黙の実際の長さを想像しながら、じっくり、ゆっくりと読まれることをおすすめします。

    (ミシマ社 長谷萌)

  • Dec

    02

    『読む時間』アンドレ・ケルテス(創元社)

    『読む時間』アンドレ・ケルテス(創元社)

    おそらくこの文章に目を通してくださっている方は本が好きなのだろうと推察しますが、そんなあなたならきっとわかってくれる、本好きのための写真集。それが『読む時間』です。様々な場所、いろいろなスタイルで誰かが何かを読んでいる。自分だけの大切な時間を享受する人々を被写体にした静謐な写真は、平和な空気すら醸し出しています。「読む」ということの幸せに溢れた本書を「読む」という幸せをあなたに。

    (静岡県静岡市 MARUZEN&ジュンク堂書店新静岡店 堀内理さん)

  • Dec

    03

    『山と山小屋』小林百合子=文、野川かさね=写真(平凡社)

    『山と山小屋』小林百合子=文、野川かさね=写真(平凡社)

    昨年まで山梨県に住んでいたため、身近になった登山。登山ガイドの多くはもちろん山頂を目指すことを主目的として書かれていますが、この本と出会ったことで、山頂を目指すだけが登山ではないと知った次第。安定感の小林・野川コンビが厳選された17件の山小屋を素晴らしい写真と文章で紹介してくれている本書。山小屋を目的に山に登る、いつかそんなベテラン登山者になりたいなあと妄想します。

    (静岡県静岡市 MARUZEN&ジュンク堂書店新静岡店 堀内理さん)

  • Dec

    04

    『メモワール 写真家・古屋誠一との二〇年』小林紀晴(集英社)

    『メモワール 写真家・古屋誠一との二〇年』小林紀晴(集英社)

    妻・クリスティーネが身投げした場所から、その姿を撮った古屋誠一。なぜ写真家はそのような写真を撮ったのか。二十年前にはじめてその写真を見て以来の強い疑問を、同じく写真家である小林紀晴が長い付き合いを通して丹念に丹念に読み解いていきます。妻の自殺を知って後わざわざカメラを撮りに行くという写真家の性、そのような「呪われた眼」を表現者として持つことに自覚的な著者であるからこそ書けた傑作です。

    (静岡県静岡市 MARUZEN&ジュンク堂書店新静岡店 堀内理さん)

  • Dec

    05

    『あなたの人生の物語』テッド・チャン(ハヤカワ文庫)

    『あなたの人生の物語』テッド・チャン(ハヤカワ文庫)

    世界的半導体メーカーのインテルにはSF作品を元に未来の世界がどうなるかを研究するフューチャリストなる人がいるそうです。この作品はそのような研究手法に大きく納得できる、人間の想像力とはこんなにも限りないものかと驚嘆させられるSF短編集です。SFではありますが苦手な方にも先入観なしに読んでいただきたい。作品の一つ一つがどれもすばらしく、思索に溢れています。

    (静岡県静岡市 MARUZEN&ジュンク堂書店新静岡店 堀内理さん)

  • Dec

    06

    『Advanced Style』アリ・セス・コーエン(大和書房)

    『Advanced Style』アリ・セス・コーエン(大和書房)

    歳をとってもおしゃれがしたい。誰しもがそう思わないかもしれませんが、僕は密かに思っています。この本はそんな思いを実践した女性たちのポートレート集。年をとることを肯定的にとらえ、クレイジーに、はたまたシックに、おしゃれを楽しむ彼女たちの姿に憧れます。

    (静岡県静岡市 MARUZEN&ジュンク堂書店新静岡店 堀内理さん)

  • Dec

    07

    『森崎東党宣言!』藤井仁子/編(INSCRIPT)

    『森崎東党宣言!』藤井仁子/編(INSCRIPT)

    介護喜劇映画『ペコロスの母に会いに行く』を面白く観た。森崎東監督86歳! 主演は旧満州美女の赤木春恵89歳! ごった煮の型破りな面白さだった。そして本書は森崎東監督へのインタビューを中心としたものだが、これも読み出したらやめられぬ面白さ! 娯楽的な欲望がいっぱい詰まっている。脚本『男はつらいよ フーテンの寅』準備稿を読んで、ぶっ飛んでしまいました(笑)。

    (ミシマガジンサポーター 堀内恭さん)

  • Dec

    08

    『近代の呪い』渡辺京二(平凡社新書)

    『近代の呪い』渡辺京二(平凡社新書)

    政治や経済で起こっていることについて、何か違うんじゃないか、と思うことがあります。でも、何が違うのか、を言葉にしようとすると、うまく言えない自分がいます。それを言うためには、今までの政治や経済はどういう道のりをたどってこうなっていて、これからどこへ向かおうとしているのか、自分がそれらからどういう恩恵を受けて、どういう加担をしているのか、知る必要がある。本書はそんな、自分の思考をスタートさせるための地図を、知の巨匠である著者が、俯瞰で見せてくれます。「何か違うんじゃないか」ということが多い昨今、おすすめの一冊です。

    (ミシマ社 星野友里)

  • Dec

    09

    『窓ぎわのトットちゃん』黒柳徹子(講談社文庫)

    『窓ぎわのトットちゃん』黒柳徹子(講談社文庫)

    幼い私のために、祖母が漢字のルビを書き込んで読ませてくれた本です。昨年、祖母が亡くなってしばらくは、この本を手にすることができませんでした。懐かしさよりも寂しさが勝ってしまいそうで。最近やっと開けるようになって、かつては見過ごしていた献辞に胸を打たれました。「この本を、亡き、小林宗作先生に捧げます」。トットちゃんののびやかな学校生活を築き、守った先生。人生にそのような人がいてくれることの、なんと尊く心強いことか。好きな本はほかにもたくさんあるけれど、もっともかけがえのない一冊です。

    (PHP研究所 丹所千佳さん)

  • Dec

    10

    『中井英夫全集[1] 虚無への供物』中井英夫(東京創元社)

    『中井英夫全集[1] 虚無への供物』中井英夫(東京創元社)

    読書と旅が似ていると思うのは、本の中(旅先)に自分の一部を置いてきたように感じるときだ。読み終えてなお、私の心はこの本の中にある。没落しゆく一族、誕生石、幻の薔薇、シャンソン、密室、探偵たち、推理合戦、そして告発。推理小説の金字塔であることは言うに及ばず、昭和の東京、戦後日本の世相や文化を描いた作品としても秀逸だ。めくるめく物語の幕が開くのは、1954年12月10日の夜。著者・中井英夫の命日もまた、20年前の今日である。

    (PHP研究所 丹所千佳さん)

  • Dec

    11

    『すべてのひとに石がひつよう』バード・ベイラー/著、ピーター・パーナル/画(河出書房新社)

    『すべてのひとに石がひつよう』バード・ベイラー/著、ピーター・パーナル/画(河出書房新社)

    自分だけの石を見つけるための10のルール。その石は、自分で見つけて、永遠に大切にできるような石なのだといいます。そして、その石のどこが特別なのかと聞かれても、答える必要はないのだと。「誰にも ほかのひとの石のことなんて わかるはずがない」。このくだりに、私は胸を打たれるのでした。人と話したり共有したりすることの喜びも尊さもあるとは思うけれど、本当に大切なものは、ただ自分が知っていればいい。誰に知られなくても、理解されなくても、かまわない。そんな潔い強さと静かな誇りを与えてくれる絵本です。

    (PHP研究所 丹所千佳さん)

  • Dec

    12

    『少女からの手紙』宇野亜喜良(マートル舎)

    『少女からの手紙』宇野亜喜良(マートル舎)

    宇野さんの描く女の子たちは笑わない。不敵とも思えるまなざしに、淡く結ばれた唇。一目で宇野さんのイラストレーションとわかります。それでいて、一人として同じ女の子はいないのです。彼女たちから届く37の手紙。「お城にきています すっかり私は王女です」。消印はいつも「悲しみよこんにちは郵便局」。バグダッドで盗賊になったり、バルセロナでピカソの絵にもらい泣きしたり。どこへでも行けて、何にでもなれる。衒いなく東西の詩歌が引かれ、時にのぞく洒落っ気も素敵。魔法の左手から生まれる世界の虜になるのは簡単です。

    (PHP研究所 丹所千佳さん)

  • Dec

    13

    『詩ふたつ』長田弘/詩、グスタフ・クリムト/画(クレヨンハウス)

    『詩ふたつ』長田弘/詩、グスタフ・クリムト/画(クレヨンハウス)

    「花を持って、会いにゆく」と「人生は森の中の一日」の二篇の詩とクリムトの風景画からなる一冊。冬の日に春を思うように、今はもういない人に思いを馳せることができたらいい。知ったときにはすでにこの世にはいなかった人も、会うことのないまま死んでいった人も、最期にもう一度会いたかった人も。どこにもいないから、いつでも会える。もういないから、そうやって会えた。あなたはどこへも、いなくならない。「死ではなく、その人が/じぶんのなかにのこしていった/たしかな記憶を、わたしは信じる」。

    (PHP研究所 丹所千佳さん)

  • Dec

    14

    『東京ドリーム』Cocco(ミシマ社)

    『東京ドリーム』Cocco(ミシマ社)

    ことばがいきている。そんな印象を受けました。思わず音読までしました。(小学校以来かもしれません・・・)言葉で思いを伝えるってありきたりの言葉になったり、なんかちがうんだけどこんな感じ、ってなったり難しいなって私は思うのですが、Coccoさんの言葉には思いが詰まっていてスゴク心動かされました。

    (ミシマガジンサポーター 三宅沙弥さん)

  • Dec

    15

    普通の家族がいちばん怖い―崩壊するお正月、暴走するクリスマス―(新潮文庫)

    普通の家族がいちばん怖い―崩壊するお正月、暴走するクリスマス―(新潮文庫)

    クリスマスとお正月の食卓について、著者が主婦層にインタビューとアンケートを丹念に行った記録をまとめた一冊。クリスマスははりきって飾りつけをし、高校生の息子にもサンタクロースを信じさせる一方で、元旦の朝食はカフェオレと菓子パンのみ、といった奇妙な現象がごく当たり前に起こっている。そんな現実に驚きを覚えつつも、「クリスマスは楽しいから色々するけど、お正月は実家に行けばお節なども用意してくれるから私は作りません」といった意見にはなんとなく身に覚えもあるようで、複雑な気分になります。伝統って、家庭ってなんだろうかと考えさせられる一冊です。

    (ミシマ社営業チーム 平田薫)

  • Dec

    16

    『クリスマス・キャロル』ディケンズ/著、村岡花子/翻訳(新潮文庫)

    『クリスマス・キャロル』ディケンズ/著、村岡花子/翻訳(新潮文庫)

    クリスマスが近づいてくると、読み返したくなる一冊です。守銭奴スクルージじいさんが、三人の幽霊との出会いを通して改心していくストーリーは、何度読んでも心に響きます。長年読み継がれている名作ですが、時が経っても、やはりよいものはよいですね。寒い冬には、おすすめの心温まる一冊です。恋人へのクリスマスプレゼントにもいかがでしょうか。

    (愛知教育大学付属岡崎中学校 熊谷 等さん)

  • Dec

    17

    『風の中のマリア』百田尚樹(講談社文庫)

    『風の中のマリア』百田尚樹(講談社文庫)

    ―――与えられた命はわずかに三十日...。短い時間を懸命に生きるオオスズメバチの戦士、マリア。 『永遠の0』で話題の百田尚樹氏の名作です。擬人化された主人公マリアの生き様がリアルに描かれており、オオスズメバチの世界に引き込まれていきます。この本を読むと、これまでは害虫と感じていた「蜂」の見方が変わるかもしれません。

    (愛知教育大学付属岡崎中学校 熊谷 等さん)

  • Dec

    18

    『伝え方が9割』佐々木圭一(ダイヤモンド社)

    『伝え方が9割』佐々木圭一(ダイヤモンド社)

    こんな伝え方があったのか!! 「驚くほど旨いパスタの店があるのだけど、行かない?」意中の人をデートに誘うときに、こんな伝え方をすれば・・・。コピーライターである著者が、「最短距離であなたのコトバ/伝え方を磨くためのガイド」として世に送り出した一冊。読み物としても楽しめ、貴方の生活を豊かにするかもしれない一冊、私の職場でも話題になりました。忘年会や新年のご挨拶にも生かせるかも!?

    (愛知教育大学付属岡崎中学校 熊谷 等さん)

  • Dec

    19

    『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』村上春樹(新潮文庫)

    『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』村上春樹(新潮文庫)

    一角獣が生きる街の謎に迫る物語「世界の終わり」と、計算士である私が近未来都市で活躍するという物語「ハードボイルド・ワンダーランド」の二つが同時進行していくストーリー。読み進めていくと、別々の物語がゆるやかに融合していく・・・。結末をどう捉えるのかは、あなた次第。何を隠そう、私が大学の卒業論文でテーマにした、思い出深い物語です。何度読み返しても色褪せない、本当に素敵な作品です。

    (愛知教育大学付属岡崎中学校 熊谷 等さん)

  • Dec

    20

    『負けるもんか』川合真紀(泰文堂)

    『負けるもんか』川合真紀(泰文堂)

    「ガン」「不妊治療」・・・。信じられないタイミングで次々と襲いかかる苦難を、前向きに乗り越えていく著者の体験を綴ったノンフィクション。厳しい現実と向き合い、逞しく生き抜く著者の姿から、あらためて人間の強さを感じました。数々の困難を乗り越え、念願の娘を授かった筆者。くじけそうな時に、勇気をもらえる一冊です。

    (愛知教育大学付属岡崎中学校 熊谷 等さん)

  • Dec

    21

    『鳥の物語』中勘助(岩波書店)

    『鳥の物語』中勘助(岩波書店)

    いろいろな鳥が王様の前でとっておきの話を披露します。『銀の匙』で知られる中勘助ですが、こちらもおすすめ、小さなひばりやうぐいすの語る話は涙なしには読めず、白鳥や鳩による壮大な物語にはぐいぐいひきこまれます。何度も読み返したい小さな宝物のような本。

    (ミシマガジンサポーター 吉田章子さん)

  • Dec

    22

    『さようなら窓』東直子(講談社文庫)

    『さようなら窓』東直子(講談社文庫)

    歌人としてもご活躍されている、東直子さんの連作短編集。ほわほわとした雰囲気のなかにほの暗さが潜んでいて、さらさらと読めてしまうのだけれど、なんだか忘れられない。そして最後の短歌でぐっと胸を掴まれる。「さようなら窓さようならポチ買い物にゆけてたのしかったことなど」もう暗唱できるくらいに、覚えている。

    (ミシマ社 新居未希)

  • Dec

    23

    『他者と死者 ラカンによるレヴィナス』内田樹(海鳥社)

    『他者と死者 ラカンによるレヴィナス』内田樹(海鳥社)

    現役時代も晩年、装丁の美しさに惹かれてジャケ買いした一冊。すぐ読み始めるもあまりの難解さにそのまま本棚の隅っこで置き去りになった。1年ほどたったある日、何気なく開いてみると世界が一変。これまで読書は頭で理解するものと思っていたが、それはただの思い込みだった。この世の中にはフィジカルに理解できるテクストがある。複雑な理路を理解するには言語や知識のみならず、想像力や実体験や感性が必要だ。つまり身体全体で感じるほかない。身体の内奥が揺さぶられ、心にありありと浮かんだ「無限という概念」は、僕の世界をふくよかにしてくれた。

    (神戸親和女子大学講師 平尾剛さん)

  • Dec

    24

    『表の体育 裏の体育』甲野善紀(PHP文庫)

    『表の体育 裏の体育』甲野善紀(PHP文庫)

    医学や栄養学などの西洋科学に基づく「表」に対し、日本の伝統文化を核に個人が直感と経験により打ち立てた民間の健康法や鍛錬法が「裏」。これらをつなぐ本質的な「体育」のあり方を、肥田式強健術の創始者である肥田春充の生涯を通じて描き出す。幼い頃は病弱の身でありながら、晩年には健全な肉体と様々な能力を身につけるに至った肥田春充。その鍛錬法には現代の常識とは正反対な事柄が散見される。この齟齬を一体的に解釈するには、まず「そんなことがありうるんだ」と認めること。じっくり咀嚼すれば、体育のあり方だけでなく自らの身体を見つめ直すきっかけにもなる。

    (神戸親和女子大学講師 平尾剛さん)

  • Dec

    25

    『オフサイドはなぜ反則か』 中村敏雄(平凡社ライブラリー)

    『オフサイドはなぜ反則か』 中村敏雄(平凡社ライブラリー)

    サッカーにおけるオフサイドとは誠に不条理な反則である。得点シーンは観客にとっても選手にとっても興奮が最高潮に達する最高の場面なのに、それを容易には許さない。おかげで90分間の試合のうち、両チーム合わせてたった1度の得点シーンだけで終わることもある。やるせない。サッカーと起源を同じくするラグビーはもっと複雑で、数種類のオフサイドが存在する。そもそもオフサイドがなければ試合そのものが成立しないのである。近代スポーツの創始者たちは何を考え、この「オフサイド」を採用したのか。フットボール愛好者には必読の一冊!

    (神戸親和女子大学講師 平尾剛さん)

  • Dec

    26

    『小関式 心とカラダのバランス・メソッド』小関勲(学研パブリッシング)

    『小関式 心とカラダのバランス・メソッド』小関勲(学研パブリッシング)

    運動実践に関する本はたくさん出版されているが、どれも一長一短である。ほとんどが理論ありきのメソッドで、だから「実感」に乏しい。だがこの本は違う。「実感」から出発し、身体で理解できるメソッドで溢れている。ロープを使うだけでしなやかさが生まれ、バランスボードに乗ればあらゆる箇所が弛む。まるで嘘みたいな話だが、「実感」は得てして単純明快なのである。しかも、そのからくりについて語る著者の「言葉」が身に沁みるのだから恐れ入る。「実感」と「言葉」。その複雑な関係性について、これほど明瞭に示された本を僕は他に知らない。

    (神戸親和女子大学講師 平尾剛さん)

  • Dec

    27

    『スポーツ科学からスポーツ学へ』藤井英嘉・稲垣正浩(叢文社)

    『スポーツ科学からスポーツ学へ』藤井英嘉・稲垣正浩(叢文社)

    部活動を含めスポーツ界のほぼ全域を、実験系の自然科学としての「スポーツ科学」が大手を振って闊歩している。そんなスポーツ界にガツンと警鐘を鳴らすのがこの一冊だ。実証主義や数値主義へのアンチテーゼとして、両氏は『エクスターズする身体』をスポーツの中心におき、それを基底に据えた「スポーツ学」を提唱する。"わたしがわたしであってわたしではなくなる体験"、それはつまり"神なき合一体験"でもあり、それこそがスポーツのもたらす最大の果実なのではないかと。阿吽の呼吸でつながるパスに、ボールが止まって見えたあの感覚に、時間がスローに流れる奇妙さに、スポーツ愛好者は震える。えも言われぬ経験を得るための探求こそがスポーツの面白さである。至極、納得。

    (神戸親和女子大学講師 平尾剛さん)

  • Dec

    28

    『喜嶋先生の静かな世界』 森博嗣 (講談社文庫)

    『喜嶋先生の静かな世界』 森博嗣 (講談社文庫)

    自分の学生時代と比べるとあまりの違いにただただ驚きです。これが現実の世界ならば今まで自分は何をしていたんだろうと深く反省しました。1月からミシマガジンでも連載が始まる、独立研究者の森田真生さんも、こんな生活なのかな、と想像してしまいました。

    (ミシマガジンサポーター 桜井一さん)

  • Dec

    29

    『もっと地雷を踏む勇気 わが炎上の日々』小田嶋隆(技術評論社)

    『もっと地雷を踏む勇気 わが炎上の日々』小田嶋隆(技術評論社)

    とにかく痛快である。ダジャレも皮肉も利いているが、言っていることは至極真っ当。おもしろくて一気読み。クスっと笑わせ、グサッと革新を突く。視点の鋭さも、文章の巧みさももはや匠の域に達している。しかしそんなに肩肘をはって読む必要なない。だって、コラムなんだから。油断して読んでグサッとやられるべし。

    (ミシマ社営業チーム 池畑索季)

  • Dec

    30

    『言魂』石牟礼道子、多田富雄(藤原書店)

    『言魂』石牟礼道子、多田富雄(藤原書店)

    先日行った「今年の一冊」座談会でどちらを選ぼうか最後まで迷った、もうひとつの私の「今年の一冊」です。一通一通、命をつむぐようにしてやり取りされる、お二人の激動の人生が濃縮されたような、往復書簡。生きるということはこんなに苦しくかつ、豊かなことなのだという、このお二人にしか発することができないメッセージがつまっています。ぜひ読んでいただきたいです。

    (ミシマ社 星野友里)

  • Dec

    31

    『村上春樹いじり』ドリー(三五館)

    『村上春樹いじり』ドリー(三五館)

    村上春樹の中長編13作品を、愛と笑いをもっていじりたおした一冊。随所随所に登場する独特のアイテムや言い回しに、絶妙なツッコミをいれていきます。私自身村上春樹さんの作品は大好きなのですが、この本のいじりはまったくイヤな感じがしません。むしろ好きであればあるほど爆笑の一冊になるのではないでしょうか。まだ読んだことのない方も、原作を読みたくなること必至です。

    (ミシマ社 平田薫)