今日の一冊バックナンバー

  • Oct

    01

    『もう、家に帰ろう』藤代冥砂、田辺あゆみ(ロッキングオン)

    『もう、家に帰ろう』藤代冥砂、田辺あゆみ(ロッキングオン)

    よくある「家族のしあわせほっこり時間をつめこみました」的な写真集にはなんだか疲れてしまうことも多いけれど、この本に写っている縁もゆかりもない一家には、今日も元気でいてほしいなと、なんとなく考えながら何度も読み返してしまう。そもそも写真とは、時間を切り取ってアーカイヴとして保存していくためのものだと思っていたが、そうでもないらしい。「時間を止めたくて写真を撮るのではない、むしろその逆だ」という藤代冥砂の文章は素直に「そうか」と納得したくなるものだった。

    (BIBLIOPHILIC & bookunion 新宿 前田香織さん)

  • Oct

    02

    『フィッシュマンズ 彼と魚のブルーズ』川﨑大助(河出書房新社)

    『フィッシュマンズ 彼と魚のブルーズ』川﨑大助(河出書房新社)

    川﨑大助がすごいのは、音楽を言葉だけで表現してしまうから。イラストや写真や試聴ボタンが添えられていなくても、その音楽がいかに素晴らしいか、彼の文章を読めばはっきりとわかる。リアルタイムを知らない私たちが25年前のフィッシュマンズに近づくための最良の手だてがこの本で、90年代の残像すら見ていない若い世代がこの本を読んだら、当時のできごとは架空の街を舞台にしたSFのように思えたりするかもしれない。それはそれで、ちょっと楽しそうだ。

    (BIBLIOPHILIC & bookunion 新宿 前田香織さん)

  • Oct

    03

    『よそ見津々』柴崎友香(日本経済新聞出版社)

    『よそ見津々』柴崎友香(日本経済新聞出版社)

    時間も国も関係なく、いろんなものにフラットに興味を持って、一生懸命見て、近づこうとする。平易でやわらかに見える柴崎友香の文章は、だからこそ明確だし、古くならない。この本には、読者の興味を芋づる式に広げてくれるようなフックがたくさんある。柴崎友香は長嶋有作品の解説に「『興味がある』ことは世界を知っていくことの始まり」だと書いているが、彼女もまたこのことを体現している素晴らしい作家のひとりで、私はこの本を読んだからこそ、今、読書がとても楽しいと感じられているのだと思う。

    (BIBLIOPHILIC & bookunion 新宿 前田香織さん)

  • Oct

    04

    『ラッセル幸福論』バートランド・ラッセル/著、安藤貞雄/訳(岩波文庫)

    『ラッセル幸福論』バートランド・ラッセル/著、安藤貞雄/訳(岩波文庫)

    時代にはあわない部分もある。それを除いてもあまりあるものがあり・・・。
    情熱と冷静とウイット、重層なす思考と対話するかのようです。

    (ミシマガジンサポーターさん)

  • Oct

    05

    『旅の人、島の人』俵万智(ハモニカブックス)

    『旅の人、島の人』俵万智(ハモニカブックス)

    高校生のとき、修学旅行で石垣島に行って以来、沖縄が好きで、ここ数年はほぼ毎年行っています。震災当時、仙台に住んでいた俵万智さん。知り合いの住む石垣島へ、当時7歳だった息子さんと一時的に避難、そして居心地の良さからそのまま移り住むことに。「『旅の人』というには長く、『島の人』というには短い」という移住して3年の日々をえがいたエッセイ集です。息子くんのすこやかな成長、朗らかな人々、そして豊かな自然。アウトドアも虫も苦手だったという万智さんに激しく共感しながら、いつかわたしも石垣島に住みたいなあと思うのでした。

    (ミシマ社 平田薫)

  • Oct

    06

    『君のためにできるコト』菊田まりこ(学研教育出版)

    『君のためにできるコト』菊田まりこ(学研教育出版)

    作者は、「言葉で伝えることの大切さ」を表現したのではないかと思います。でもわたしは、くまおくんの相手を思いやる心に感動しました。相手を思いやる・・・相手が望んでいることを先回りしてやってあげる・・・相手が望むなら、大好きな相手の前からいなくなってあげる。わたしにとってはすごく難しいことですが、究極の愛情表現だと思いました。

    (王子製紙 小林さくらさん)

  • Oct

    07

    『封鎖』仙川環(徳間文庫)

    『封鎖』仙川環(徳間文庫)

    関西の山奥の集落で、一夜のうちに症状が悪化して死に至ってしまう謎の感染症が発生した。国は都市への感染拡大と混乱を恐れ、極秘裏に集落を封鎖し、電話やインターネット等すべての通信手段をも遮断した。閉ざされた集落の中、日々迫りくる感染への恐怖に様々な憶測や国に対する疑心と抗おうとする人々の葛藤が描かれている。リアルに誰にでも起り得そうな話で色々と考えさせられた。終盤の展開に目が離せず、夢中で読める一冊。

    (王子製紙 清水佳澄さん)

  • Oct

    08

    『狐笛のかなた』上橋菜穂子(理論社) 

    『狐笛のかなた』上橋菜穂子(理論社) 

    図書館の児童書コーナーで出会ってから、気が付けば10年経っていました。我が家に迎えてからも毎年必ず読み返しています。子どもも勿論楽しめますし、大人も読んだら懐かしさでいっぱいになると思います。秋の身を切るような風、年越しのざわめき、そして表紙からも伝わってくる、柔らかな桜の香り――。五感を優しくくすぐってくれるような、そんな心地の良い一冊です。

    (王子製紙 田中遥香さん)

  • Oct

    09

    『げんきなマドレーヌ』ルドウィッヒ・ベーメルマンス作・画 /瀬田貞二訳(福音館書店)

    『げんきなマドレーヌ』ルドウィッヒ・ベーメルマンス作・画 /瀬田貞二訳(福音館書店)

    40数年前、幼稚園の棚にたくさん並んであった絵本の中で、一番好きだったのが「マドレーヌ」シリーズでした。寄宿舎で集団生活をしてる少女の生活を描いた本ですが、シスターの後ろを2列に12人の少女が整列して行動する様子がとても印象的で、今でも心に残ってます。私の記憶にあったのは、2冊のお話ですが、それ以上にたくさん出版されていることに、世界で愛されている絵本だと実感しています。

    (王子製紙 宮永ユリさん)

  • Oct

    10

    『あんぱんまん』やなせたかし(フレーベル館)

    『あんぱんまん』やなせたかし(フレーベル館)

    みんなが大好きな「アンパンマン」。初版本の「あんぱんまん」のマントはボロボロで、正義のヒーローらしからぬ出で立ちをしている。でも、そこには作者の「正義のヒーロー」に対する想いが込められている。顔は小さく大人びた風貌は、中のあんこも甘さ控えめ? 戸田恵子さんの声とマッチングする? 色々と想像してしまいます。今の「アンパンマン」しか知らない方に、是非一度読んで頂きたい原点の一冊。

    (王子製紙 荒川奈津紀さん)

  • Oct

    11

    『わたしが芸術について語るなら』千住博(ポプラ社)

    『わたしが芸術について語るなら』千住博(ポプラ社)

    この本を読んで気がついたら美術館に向かっていました。お金では買えない、実はみんなが求めているものは、こういう所にあるのかもしれませんね。とてもわかりやすい言葉で書かれているので、芸術や芸術にうとい私でもすらすら読めました!

    (ミシマガジンサポーターさん)

  • Oct

    12

    『イエペはぼうしがだいすき』石亀泰郎 写真/文化出版局編集部 文(文化出版局)

    『イエペはぼうしがだいすき』石亀泰郎 写真/文化出版局編集部 文(文化出版局)

    デンマークのコペンハーゲンに住むイエペは3歳。いつも帽子をかぶっています。100個も持っているけど、いちばんのお気に入りは茶色の帽子。帽子が本当に大好きなイエペ。その心豊かな日常が、読む者の気持ちを温かく、優しくさせてくれます。ページをめくるごとに、そうだ子どもって、本当に心が豊かな存在だったんだと、かつて子どもだった自分自身の心の景色がふと思い起こされるようで、懐かしい気持ちにさせてくれる絵本。いや絵本なんだけど、絵は出てこなくて、すべて写真でした。それがまたすごくいいんです。この本を本棚に置くと、すごくいいと思います。イエペはいまも、帽子をかぶっているのかなあ。

    (ミシマ社 渡辺佑一)

  • Oct

    13

    『音楽でたどるブラジル』 Willie Whopper 編著(彩流社)

    『音楽でたどるブラジル』 Willie Whopper 編著(彩流社)

    東京の西荻窪で、ブラジルのCDや本が買えて、バーがあってライブも見られるお店を営んでいるウィリーさん。大力作『ボサノバの真実』に続くこちらは、カラー写真満載で観光ガイドとしても楽しいけれど、音楽についても深い一冊。昨年、旅行にご一緒させてもらった僕にとっては素敵な旅のアルバム。

    (白山米店 寿松木 昇さん)

  • Oct

    14

    『ブラジル・ポルトガル語文法 実況中継』荒井 めぐみ(彩流社)

    『ブラジル・ポルトガル語文法 実況中継』荒井 めぐみ(彩流社)

    著者のブラジル愛、音楽愛が熱い。これがあってこそ、ポルトガル語の複雑な動詞活用を覚えようと、モチベーションも上がるというもの。9月の来日公演が素晴らしかったブラジルのニュー・カマー 、ダニ&デボラ・グルジェル・クアルテートのCDの歌詞対訳も著者。アルジール・ブランキの歌詞が映像的なのは、名曲「酔っ払いと綱渡り芸人」だけじゃないのに気付かされた。

    (白山米店 寿松木 昇さん)

  • Oct

    15

    『怖いくらい通じるカタカナ英語の法則―ネイティブも驚いた画期的発音術 』池谷裕二(講談社)

    『怖いくらい通じるカタカナ英語の法則―ネイティブも驚いた画期的発音術 』池谷裕二(講談社)

    この本は著者が脳科学者で、東大大学院の准教授というのがミソ。ものの捉え方がとても参考になる。読売新聞の書評欄を担当していて、毎回たいへん面白く興味深い内容。その中で著者が音楽にも造詣が深いのを知った。むべなるかな。

    (白山米店 寿松木 昇さん)

  • Oct

    16

    『米国人一家、おいしい東京を食べ尽くす』マシュー・アムスター=バートン(エクスナレッジ)

    『米国人一家、おいしい東京を食べ尽くす』マシュー・アムスター=バートン(エクスナレッジ)

    日本人がこれを読むと、普通のお店に入って、おいしいと言ってくれるアメリカ人の親子に自分の暮らしもまんざらでもないと教えられる。作者の持つオプティミズムの所以。巻末の参考図書の多さが目をひきます。あとがきに、ネットの作家に対する資金援助のサイトを利用した、というような事が書いてあって協力者の名前が列挙してある。こういうのって日本にもあるのだろうか?

    (白山米店 寿松木 昇さん)

  • Oct

    17

    『ロッテルダムの灯』庄野英二(講談社文芸文庫)

    『ロッテルダムの灯』庄野英二(講談社文芸文庫)

    悲惨な大戦中の出来事を書かれているはずなのに、不思議と銃弾の音や軍靴の響きが聞こえてこない。静謐と南国の花の甘い香りにつつまれている、言葉の宝石。いくつかのエピソードをつなげて映画にしてみてみたい。ワキをバナナマンやおぎやはぎ、などテレビのバラエティの人達でかためた群像劇で、主演は『あまちゃん』でお寿司屋の若いアンちゃんを演ってた人なんていうのはどうだろう。原書にはない挿絵がうれしい。

    (白山米店 寿松木 昇さん)

  • Oct

    18

    『高校サッカーは頭脳が9割』篠幸彦(東邦出版)

    『高校サッカーは頭脳が9割』篠幸彦(東邦出版)

    高校サッカーを指導している教師4名に対するインタビュー内容をまとめた好著です。プロサッカーの監督とは異なり、教育と勝利の両立を課せられているが故に、その指導内容には深い深い愛情と機知に満ちたノウハウが込められています。"努力は必ず報われる"という言葉についての教師と生徒たちの問答は秀逸です。「なんで努力するの?」「勝ちたいからです」「じゃあ報われるってどういうこと?」「優勝することです」「でも優勝って1つしかないからみんなが努力したら報われない人の方が多くないか?」「・・・・・・」。この続き、皆さんが指導者だったら、どのような言葉をつないでいきますか?

    (ミシマガジンサポーター いとみきさん)

  • Oct

    19

    『壊れた脳 生存する知』山田規畝子(角川ソフィア文庫)

    『壊れた脳 生存する知』山田規畝子(角川ソフィア文庫)

    医者として忙しくも充実した日々を送る著者は、度重なる脳出血で、高次脳機能障害をもち、「できたはずのことができない」という事態に日々直面します。認知症と違うのは、そんな「できない自分」を把握していること。それは想像するに相当に過酷な状況です。でもそんな状況を前にした著者は、医者でありながら障害をもった立場でしか語りえない言葉を、ユニークに紡いでゆきます。その混じりけのない言葉が読んでいるとどんどん染み込んできて、不思議と元気が出てくるような、そんな一冊です。

    (ミシマ社 星野友里)

  • Oct

    20

    『夢見通りの人々』宮本輝(新潮文庫)

    『夢見通りの人々』宮本輝(新潮文庫)

    夢見通り商店街で暮らす人々のそれぞれのエピソードがロンドのように繋がり小さな幸福の物語に収束する。
    登場人物達の吐く息の温かさまで感じるようなぬるくリアルな感触に大阪下町育ちの僕は親近感を覚えずにはいられない。フィクションのドラマに吉本新喜劇&松竹新喜劇育ちの僕が望むものは文学的感慨や余韻ではなくベタな「浪花節」である。

    (HiFi Cafe 吉川孝志さん)

  • Oct

    21

    『レキシントンの幽霊』村上春樹(文春文庫)

    『レキシントンの幽霊』村上春樹(文春文庫)

    僕は基本的に長編小説が苦手。編集が下手な映画監督の作品が無駄に長いのと同じように心象風景がページの大半を占めるような作品に一票は投じない。村上春樹の短編はいつもすうっと読めて喉の通りが良い。なかでもこの短編集を推すのはここに収録の市川準監督による映画化作品「トニー滝谷」の出来が非常に良く、原作にリアルな表情と空気を流し込んだからだ。僕にとって小説と映画が不可分となった珍しい作品。「レキシントンの幽霊」ーー村上春樹はタイトルのセンスが良いと思う。

    (HiFi Cafe 吉川孝志さん)

  • Oct

    22

    『日本の路地を旅する』上原善広(文春文庫)

    『日本の路地を旅する』上原善広(文春文庫)

    自らも路地の出身の作者が日本全国の路地を巡る旅。北から南までこの国には路地が存在する。それぞれの路地の形成の歴史や生活にこの国の知らなかった一面を観る。作者はこの旅の最後に自らが抱える人生のしこりに対自する。路地に生まれ路地から出て行った作者は路地という故郷を常に背負っている。自らを探す旅はこの先も続くのだろう。僕は更に続くであろうこの人の旅の記録が気になって仕方がない。そこから見えるものが彼にはある。

    (HiFi Cafe 吉川孝志さん)

  • Oct

    23

    『アシモフの雑学コレクション』アイザック・アシモフ/著、星新一/編訳(新潮文庫)

    『アシモフの雑学コレクション』アイザック・アシモフ/著、星新一/編訳(新潮文庫)

    サイエンストリビア本。ただしアシモフ先生じゃなければ恐らく購入していなかったであろう本です。この手の本はトイレ本として用を足す時にたびたび読みふけるのに最適。一人暮らし時代に長く我がトイレ本棚に鎮座し続けていたマスターピース。この本で得た小さな科学的雑学は酒に酔ってしたり顔で誰かに披露するということもなくただ僕の脳に記録され続けている。何度読んでも「へえ〜っ」と感心する僕は恥ずかしながらまだまだ子供なのだろう。

    (HiFi Cafe 吉川孝志さん)

  • Oct

    24

    『勝手に生きろ!』チャールズ・ブコウスキー(河出文庫)

    『勝手に生きろ!』チャールズ・ブコウスキー(河出文庫)

    とかく世間は生きにくい!
    ブコウスキー殴る蹴る罵るヤルそして書く、取り巻くすべてにNOを叩きつける!痛快である。
    現代社会という「ゴーストワールド」に「変だぜ、みんなどうかしてるんじゃないか?」とゴツゴツとぶつかって行く彼をまともだと思う人は多い筈なのにやっぱり迎合したフリをして生きている僕らはいったいなんなんだ。パンク親爺ブコウスキーこそ真人間なんだ。

    (HiFi Cafe 吉川孝志さん)

  • Oct

    25

    『四万十食堂』 安倍夜郎・左古文男(双葉社)

    『四万十食堂』 安倍夜郎・左古文男(双葉社)

    安倍夜郎(漫画家)と左古文男(文筆家・漫画家)の2人が、故郷・四万十地方を漫画とエッセイで紹介する魅力的な1冊。地元自慢ではなく、地元の食文化や地元メシを素朴な語りや絵で紹介する本書には、漫画「深夜食堂」(来年映画化もされる)も2本入っている。読めば、日戻りカツオの塩タタキがきっと食べたくなるはず!「ちょっとコレ食べてみて。ねっ、おいしいでしょ!!」と囁く声が聞こえてくる。喉の鳴る、心温まる愛書である。

    (ミシマガジンサポーター 堀内恭さん)

  • Oct

    26

    『鹿の王(上)(下)』上橋菜穂子(角川書店)

    『鹿の王(上)(下)』上橋菜穂子(角川書店)

    編集チームのホシノと、よく「最近読んでおもしろかった本」の話をします。いつだったか、私が入社してすぐのころに、上橋菜穂子さんの話になりました。私もホシノも、上橋さんの本が大好き。アンデルセン賞(児童文学のノーベル賞と呼ばれている賞です)を受賞されてからの第一作目『鹿の王』は、医術と歴史、ファンタジーと生きる心、すべてが詰まっている傑作です。上橋さんは日本の宝です。同じ時代を生きていること、そして上橋さんの本がいま読めることを、ほんとうに幸せに思います。

    (ミシマ社 新居未希)

  • Oct

    27

    『ことりをすきになった山』アリス・マクレーラン/文、エリック・カール/絵、ゆあさふみえ/訳(偕成社)

    『ことりをすきになった山』アリス・マクレーラン/文、エリック・カール/絵、ゆあさふみえ/訳(偕成社)

    何だか不思議な魅力のある絵本で、カラフルでダイナミックな絵が特徴の一つです。
    この絵本は、かたい岩肌だらけの山が、一羽のことりと出会うところから物語は始まります。
    季節の変化や、命の移り変わり、その中でも変わらない一途な山の想いは、一読の価値があるかと思います。絵本に年齢はないのだと、あらためて感じさせてくれた一冊でした。

    (ミシマ社デッチ 松本恵理子)

  • Oct

    28

    『ゆず』須藤真澄(秋田書店)

    『ゆず』須藤真澄(秋田書店)

    いつ読んでも「かわいくておもしろい」を満喫できるコミックエッセイです。飼い猫・ゆずに振り回される著者の猫愛もさることながら、漫画の締め切りとアルコールにまみれた生活にも笑わせられます。女のひとり暮らしに猫、ビール、在宅勤務・・・干物女なんて目じゃないです。

    (ミシマ社デッチ 安齊詩央里)

  • Oct

    29

    『聖の青春』大崎善生(講談社文庫)

    『聖の青春』大崎善生(講談社文庫)

    29歳という若さで亡くなった天才棋士「村山聖」の生涯を描いた当作品は、将棋のルールを知らずとも楽しめる熱さがあります。不器用で多少難ありな性格、それでいて「名人になる!」という途方もない目標に折れずに立ち向かう姿勢には親しみと同時に強い憧れを感じ、読み終わった後には聖が好きでしょうがなくもなりました。ぜひともオススメしたい一冊です。そして、この聖は羽海野チカ先生の漫画「三月のライオン」に出てくるあるキャラのモデルになっているとかいないとか。そちらもよろしかったら併せて読んでも良いかもしれません。

    (ミシマ社 自由が丘デッチ 高橋賢治郎)

  • Oct

    30

    『だるまさん千字文』詩/矢川澄子、絵/知久寿焼(トムズボックス)

    『だるまさん千字文』詩/矢川澄子、絵/知久寿焼(トムズボックス)

    『だるまさんがころんだ』ではじまる千字文のリズムの心地よさ。絵に込められた可愛らしさと切なさ。何度もころび、立ち上がったりもがき続けたりして、『だるまさんのすべてを だるまさんはあじわう』のです。だるまさんの一生になぜか自分を重ね合わせ、心を鷲掴みにされる一冊です。

    (ミシマ社 自由が丘デッチ 寺町六花)

  • Oct

    31

    『花のベッドでひるねして』よしもとばなな(毎日新聞社)

    『花のベッドでひるねして』よしもとばなな(毎日新聞社)

    ばななワールド全開! 人の営みの中にある、小さくて、暖かくて、綺麗な光をきゅっと集めたような作品。ばななさんの作品は、登場人物達がみんな鷹揚で自分のことをきちんと見つめていて、自分と他者とを区別して考えられている。だからこそ、彼らから見る他者はやさしくて、みな懸命に生きているんだと思う。私も、花のベッドにねころぶような生き方をしたいなぁ。

    (ミシマ社 自由が丘デッチ 浜野稚菜)