今日の一冊バックナンバー

  • Jan

    01

    『サラバ!(上)(下)』西加奈子(小学館)

    『サラバ!(上)(下)』西加奈子(小学館)

    もう、いうまでもありませんよね。2014年の百々大賞受賞作品です。
    これまで小説を薦めることのなかった百々さんが、ダントツと推すだけのことがあります。上下巻の二巻セットがまったく長くない。むしろ、もっと浸っていたいと感じる。それは、このなかに「ぼく」であったり「わたし」が必ずいるから。
    そう、そう、こういうことを考えていた! と読み手はうなづきつつ、とてもこのレベルで考察するなんて無理、という圧巻の描写が止まらない。のみならず、読む者の生命力さえ引き上げる。そんな奇跡のような一冊です。ほんとに。

    (ミシマ社 三島邦弘)

  • Jan

    02

    『調理場という戦場 「コート・ドール」斉須政雄の仕事論』斉須政雄(幻冬舎文庫)

    『調理場という戦場 「コート・ドール」斉須政雄の仕事論』斉須政雄(幻冬舎文庫)

    12月も中旬。今年読んだ本はなんだったかな~なんてひとりで振り返ったりもする年の瀬に、出会ってしまいました。2015年の、いえ、人生の座右の書となるであろう1冊に。23歳で単身フランスにわたり、フランス語もなにもわからないまま修業を積み、現在白金にあるコートドールというお店をひらいた斉須政雄さん。この本は、彼のその道のりをたどった1冊です。ビジネス書は苦手で普段あまり読まないのですが、この本はたくさん赤線をひっぱりながら読みました。仕事でくじけそうになったとき、たるみそうになったとき、迷ったとき、これからの人生で何度も開くことになるのだろうと思います。

    (ミシマ社 平田薫)

  • Jan

    03

    『生きがいは愛しあうことだけ』早川義夫(ちくま文庫)

    『生きがいは愛しあうことだけ』早川義夫(ちくま文庫)

    夢に「名言の湖。ヤル気が出ました!」と斉藤和夫の言葉がありましたが、まさにその通りでした。「フォークは希望を歌い、ロックは欲望を歌い、歌謡曲は絶望を歌う。」なんて名言が、この本には沢山です。「歌はジャンルはない。じーんとくる歌とじーんとこない歌があるだけ」という早川義夫には、いつまでも甘く、妖しい、いやらしい文章と音楽を発信してほしいものだ。

    (ミシマガジンサポーター 堀内恭さん)

  • Jan

    04

    『山に生きる人びと』宮本常一(河出文庫)

    『山に生きる人びと』宮本常一(河出文庫)

    ひとくくりに「日本人」とはいっても、地域によってその風習は違うが、もっというと農耕を営み平地に住む人びとだけでなく、かつては山岳に生きる人びとが存在していたようである。2015年現在、もはやそのような痕跡は、書物によって知るより他ない。宮本常一は、『忘れられた日本人』が多く読まれているが、本書もまた漂泊民の失われた生活が記録されていて非常に興味深く、面白い。最近、「里山資本主義」なる言葉もありますが、これもまた山にたいする眼差しが変わる一冊だと思う。

    (ミシマ社 渡辺佑一)

  • Jan

    05

    『復刻 本屋さんか 全12冊』(どむか)

    『復刻 本屋さんか 全12冊』(どむか)

    1984年から1988年にかけて、当時の大学生らによって発行されていた、中央線ローカルのミニコミ誌「本屋さんか」。創刊30周年を記念し、このたび既刊の全12冊が1冊になって復刻されました。内容はといえば、興味のおもむくまま町の本屋に関するあれこれを特集した、ごった煮的バラエティ雑誌。ザ・昭和な誌面には、各書店がもつ雑誌のバックナンバーのリストから、新装フロアの調査記事、はては美人書店員の紹介まで、ほほえましくも本屋好きにはたまらない情熱が感じられます。当時の状況を知ることで見えるものがきっとあるはず。

    (恵文社一乗寺店 保田大介さん)

  • Jan

    06

    『本屋会議』本屋図鑑編集部(夏葉社)

    『本屋会議』本屋図鑑編集部(夏葉社)

    夏葉社の島田潤一郎さんと、往来堂書店の笈入建志さんが立ち上げた「町には本屋さんが必要です会議」(通称「町本会」)。町の本屋の危機的状況を受け、おふたりが1年かけて全国の書店を巡り、現場の書店員と話し合い考えたことをまとめられたこちら。経営の厳しさや本の売れ行きについて本音が語られる一方、「それでもこの商売が好きだから」続けていくための工夫や頑張りが紹介され、読者の胸に熱く揺さぶりをかけてきます。あなたの最寄りの本屋さんについて、もっと知りたくなる一冊です。

    (恵文社一乗寺店 保田大介さん)

  • Jan

    07

    『ホフマン短篇集』池内 紀/編訳(岩波文庫)

    『ホフマン短篇集』池内 紀/編訳(岩波文庫)

    多くの人が仕事と距離を置いて朝寝坊を許されるお正月。初夢に新年の吉凶を占うことも忘れるほどに、ぐっすりと眠りたいという方が多いのではないでしょうか。
    今日の一冊は、かの精神分析の父フロイトも考察の対象とした「砂男」を含む6篇からなるホフマン(1776-1822)の短篇集です。本書全篇に漂う不穏な空気は、人のようでいて人ではないものが登場することに由来します。願望や理想をかたどった得体の知れないものに魅了され、徐々に身動きが取れなくなっていく人の姿は、現実の断片を糸口に読者の傍まで詰め寄ってきます。初夢をまだ見ていないという方には、そっと枕の下に忍ばせることをおすすめしたい一冊。

    (恵文社一乗寺店 松原恭平さん)

  • Jan

    08

    『中谷宇吉郎随筆集』樋口敬二/編(岩波文庫)

    『中谷宇吉郎随筆集』樋口敬二/編(岩波文庫)

    昨年発売された『ドミトリーともきんす』(高野文子,中央公論新社)にも登場する本随筆集の著者、中谷宇吉郎(1900-1962)は雪博士として知られる物理学者です。戦前生まれの科学者が本書で著す幼少期の思い出は、誰もが持つ幼少期の記憶と結びつくことで時代や職業を問わず、読者に読む楽しさを感じさせてくれます。
    自然現象に対して疑問を持ち、その疑問をどのような方法で探求してきたか、また、子供が持つ非科学的な発想がいかに重要であるかを自身の経験を基に誠実に語ってくれます。凍てつく寒さに外出への意欲を失われるこの季節、窓外の雪に誘われて駆けだしていた子供心を思い出させてくれる一冊。

    (恵文社一乗寺店 松原恭平さん)

  • Jan

    09

    『PUNK』沖潤子(文藝春秋)

    『PUNK』沖潤子(文藝春秋)

    デッドストックの布や諸外国の生地、端切を縫い集め、刺繍を施し、独創的な作品を生み出すアーティスト・沖潤子さんの作品集です。大胆な装丁と頁に余白を残さないデザインは、実際に生地を縫い集めてつくられた作品のような印象を受けます。
    言葉によってつづられない生活や、場に佇む空気の質感までもが伝わってくるような本書。写真集やアートブックといった分類の本と触れる機会の少ない方へこそ届けたい。本を読むという体験について再認識させられるような一冊。

    (京都府京都市 恵文社一乗寺店 松原恭平)

  • Jan

    10

    『養老孟司特別講義 手入れという思想』養老孟司(新潮文庫)

    『養老孟司特別講義 手入れという思想』養老孟司(新潮文庫)

    (わたしもかつてそうで、今もそうかもしれませんが)都会に出てきたけど、何だか勝手が田舎とは違うな...と戸惑いを覚えている方におすすめの一冊です。都会を覆っている思考、田舎にあった思想、私達の感覚を成り立たせているもの、生きる、死ぬとは?様々な事に想いをめぐらせた後は、なぜか心に懐かしい山里の風景が戻ってきます。

    (ミシマガジンサポーター なかぽんさん)

  • Jan

    11

    『理系の子 高校生科学オリンピックの青春』ジュディ・ダットン著/、横山啓明/訳(文春文庫)

    『理系の子 高校生科学オリンピックの青春』ジュディ・ダットン著/、横山啓明/訳(文春文庫)

    何かを悶えるほど好きだったり、寝食忘れて研究に没頭したりするようなひとがとても好きだ。理系文系ふくめ研究者たちにそういう話はことかかないが、本著に登場する高校生たちも、例に漏れずそうである。しかし彼らはけっして「天才」だったのではなく、面白い、好き、楽しいを追い求めているだけなのだ。それを遮らず、思うがままにさせようとする周囲の姿にも胸が熱くなる。好きという気持ちはなんて気持ちがいいんだろうと思う。
    理科が大の苦手だった私だが、最近猛烈に理系に憧れて仕方がない。それは何かがパンッとはじけて、自分の中で新たな世界が広がったのだと思う。本著はその引き金を引いた一冊である。

    (ミシマ社 新居未希)

  • Jan

    12

    『「相対性理論」を楽しむ本―よくわかるアインシュタインの不思議な世界』佐藤勝彦監修(PHP文庫)

    『「相対性理論」を楽しむ本―よくわかるアインシュタインの不思議な世界』佐藤勝彦監修(PHP文庫)

    クリストファー・ノーラン監督の最新作『インターステラー』。しかし見終わって映画館から出てみると、面白く見れた人が「あっという間」だったのに対し、まったく分からなかった様子の人は「3時間は長すぎるわ」ということで、客の間でもけっこうなウラシマ効果がある模様。スクリーンの外にも特殊相対性理論が働いているのかとノーランのすごさを実感するわけですが、映画はわりと理論をダイレクトに映像化しているので、事前に理論を言葉で説明しているこの本を読んでから見に行くといいのでは、と思います。監修は『眠れなくなる宇宙のはなし』の佐藤勝彦さん。

    (ライター 森旭彦さん)

  • Jan

    13

    『ロボット』カレル・チャペック著(岩波文庫)

    『ロボット』カレル・チャペック著(岩波文庫)

    本棚における、"理系の塩辛"的存在。「ロボット」という言葉はこのチャペックの戯曲から生まれたとされている。本書では人間の労働を肩代わりしていたロボットたちが、人類を抹殺すべく反乱を起こす。現在、理論物理学者スティーブン・ホーキング博士は「完全な人工知能を開発すれば、人類は滅ぶかもしれない」という趣旨の発言しており、テスラCEO、イーロン・マスクは「人類はAIで悪魔を呼び出そうとしている」とも話す。一方で、自律走行車などの人工知能開発に関わってきたgoogle会長エリック・シュミットは「本当に心配すべきことは、人々が来る新しい世界に対応できるようにすること」としている。さて、未来の『ロボット』では誰がどんなストーリーを描くのだろう?

    (ライター 森旭彦さん)

  • Jan

    14

    『アシモフの雑学コレクション』アイザック アシモフ/著、星新一/訳(新潮文庫)

    『アシモフの雑学コレクション』アイザック アシモフ/著、星新一/訳(新潮文庫)

    どこから読んでも楽しい、スナック感覚でサイエンスが楽しめる本。全てが短文なので、本気で読み込まない限りどんどん忘れていくため、ほぼ永遠に読み終わらない。本気で読み込んだところで、SF作家アイザック・アシモフの雑学ノートがすっぽり頭に入るだけ、というナンセンスさがまた軽妙。字数が許す限り中身を紹介。「グラハム・ベルは、電話の改良をやっているうちに、電話を発明した」「ニュートンは『多くの偉大な発見をなさったのは、どういやって?』と聞かれると『考えつづけてさ』と答えた」「一九二九年。ソ連ではスターリンが実権を手にし、一週間を五日と定めた。一九三二年。一週間を六日と定めた。一九四〇年。もとの七日に戻した」編訳はあの星新一です。

    (ライター 森旭彦さん)

  • Jan

    15

    『人間の性はなぜ奇妙に進化したのか 』ジャレド・ダイアモンド/著、長谷川寿一/訳(草思社文庫)

    『人間の性はなぜ奇妙に進化したのか 』ジャレド・ダイアモンド/著、長谷川寿一/訳(草思社文庫)

    人間の性はなぜ奇妙に進化したのかについて知れる本。このたった1行の解説だけで誰でもが引き込まれ、ジャレド・ダイアモンドの崇高な筆致とは比べ物にならない僕の駄文でも、続きが気になってしまう。つまりこの本は、人間にとって極めて普遍的なテーマを扱っている、ある種の哲学書なのだ。僕たち人間の性は、他の動物の"常識"からかけ離れた特徴を有している。たとえばヒトの男性は、自分のパートナーが受精できる状態にあるかを間違いなく確認する手段は持っていないが、これは動物の世界では極めて少数派だ。そもそもセックスはなぜ楽しいか?、男はなんの役に立つか?、そしてセックスアピールの真実までを、圧倒的な科学的根拠のもとに試論していく一冊。

    (ライター 森旭彦さん)

  • Jan

    16

    『測って描く旅』浦一也(彰国社)

    『測って描く旅』浦一也(彰国社)

    ひとは「旅をする」という不思議な特徴をもつ生物だ。そして、旅はいろんなところに潜んでいる。それは毎日の玄関から会社までの何気ない道のりに潜んでいるかもしれないし、本の中、文字の深海に潜んでいることもある。旅を見つけた時は、その本をそのままトランクに放り込んで旅に出てしまえばいい。と、いつまでも言える生き方をするのが"旅的"な人生だ。そうしたものが僕は好きだ。これは詩と詩的の関係に似ている。この本はインテリアプランナーが書いた、測って描いた旅の記録だ。表紙には、世界のどこかのホテルの一室の、精密なエスキスが掲載されている。著者は旅先のホテルに着くと、メジャー片手にその部屋の間取りを描き始める。なんでもよくできたホテルのゲストルームは、過不足ない寸法計画が隅々まで行き渡っているそうだ。それはとても心地よいものに違いない。読んでいて本物を見たくなったら簡単なこと。本をトランクに放り込んで、玄関の外に出ればいいのだ。

    (ライター 森旭彦さん)

  • Jan

    17

    『五輪書』宮本武蔵/著、渡辺一郎/校注(岩波文庫)

    『五輪書』宮本武蔵/著、渡辺一郎/校注(岩波文庫)

    兵法の覚書です。具体的に丁寧ではないところ。荒削りな部分あり。どこから読んでも気付く事多いです。身体を動かしたくなる書物です!

    (ミシマガジンサポーター 三浦裕子さん)

  • Jan

    18

    『ホーカス・ポーカス』カート・ヴォネガット/著、浅倉久志/訳(ハヤカワSF文庫)

    『ホーカス・ポーカス』カート・ヴォネガット/著、浅倉久志/訳(ハヤカワSF文庫)

    2001年、日本人経営のアメリカの刑務所で大脱獄事件が起こった――ベトナム戦争、社会格差、女性問題...etc.に翻弄されながら獄中へと至る、主人公ハートキの数奇な運命を描く。時間軸を往復しながら、終盤に向けて収束していく物語の構成力、そして作中に溢れる第一級のウィット、もう病みつきになります!諷刺の名人・ヴォネガットの面目躍如たる一作。

    (ミシマ社営業チーム 池畑索季)

  • Jan

    19

    『火の粉』雫井脩介(幻冬舎文庫)

    『火の粉』雫井脩介(幻冬舎文庫)

    優しい笑顔の裏に隠された「隣人」の闇を描いたクライム・サスペンスです。読み進めていくうちに、現代社会が抱える問題点が浮き彫りにされ、人ごとではない恐怖感が増してゆきます。自分を受け入れてほしい、評価してほしい、愛してほしい。人間の心の奥底には危うい純粋さが存在し、時として理屈では抑えきれない衝動に突き動かされるのかもしれないと感じた一冊でした。

    (朝日カルチャーセンター 馬場恭子さん)

  • Jan

    20

    『いとしいたべもの』森下典子(文春文庫)

    『いとしいたべもの』森下典子(文春文庫)

    おいしい本が好きです。読んでいて幸せな気持ちになります。この作品の中に出てくる主役はどれもが日常的なものばかりなのですが、"ほくほく""パリッ"など食感の描写が絶妙で、食いしん坊魂をくすぐります。挿絵のイラストも可愛くて、特に表紙のまぁるいメロンパンの破壊力はすごい。誰もが子供のころに体験した「初めましての味」の記憶は大人になっても覚えているものなんだなぁとうれしくなる一冊です。

    (朝日カルチャーセンター 馬場恭子さん)

  • Jan

    21

    『白い犬とワルツを』テリー・ケイ/著、兼武進/訳(新潮文庫)

    『白い犬とワルツを』テリー・ケイ/著、兼武進/訳(新潮文庫)

     ゆっくりゆっくり時を重ねてきた夫婦の愛を描いた優しい物語です。頑固で無口な夫の、妻を亡くした深い悲しみと孤独感、心配するがゆえに過剰に世話を焼く子どもたち、不思議な白い犬との出逢い。劇的なストーリー展開はないけれど、アメリカの美しい田園風景が目に浮かび、心が静かに満たされる思いがします。自分は白い犬になれるだろうか、白い犬に出会えるだろうか。遠い未来を思い描いてみたくなる一冊です。

    (朝日カルチャーセンター 馬場恭子さん)

  • Jan

    22

    『あの企業の入社試験に、あのひとが答えたなら。』「あの企業の入社試験に、あのひとが答えたなら。」プロジェクト 編(青志社)

    『あの企業の入社試験に、あのひとが答えたなら。』「あの企業の入社試験に、あのひとが答えたなら。」プロジェクト 編(青志社)

    今の仕事をしていなかったら、自分は何をしていただろうと考えることがあります。この本では、各界で活躍する方々が大手企業の入社試験(正解のない問い)に挑戦しています。やっぱり才能のある人は何をやってもすごい。企画案がとにかく面白くて、実現したら楽しいだろうなぁと思うものばかりでした。就活本なのですが、社会人うん年目の私にも刺激的な一冊でした。

    (朝日カルチャーセンター 馬場恭子さん)

  • Jan

    23

    『もうすぐ夏至だ』永田和宏(白水社)

    『もうすぐ夏至だ』永田和宏(白水社)

    細胞生物学者であり歌人の著者が、病に立ち向かう妻と、家族の限られた時間を詠った短歌・エッセイ集です。自分の心が感じた喜びや悲しみを表現する。わずか31字の言葉の綴りに、こんなにも胸が苦しくなるなんて。表紙に描かれた茄子の絵は、亡き妻河野裕子さんの「わたしはここよ」(同じく白水社)の桃の絵と対になっています。この2冊は本棚の中で、ずっと添い並べておこうと思います。

    (朝日カルチャーセンター 馬場恭子さん)

  • Jan

    24

    『あなたは生まれたときから完璧な存在なのです』鈴木秀子(文春新書)

    『あなたは生まれたときから完璧な存在なのです』鈴木秀子(文春新書)

    変えられることを変える勇気と、変えられないことを受け入れる心の寛さと、変えられるものと変えられないものを見分ける叡智を与えてください。本書のあとがきで紹介されている祈りの言葉です。秋の夜長にお薦めの一冊です。

    (ミシマガジンサポーター いとみきさん)

  • Jan

    25

    『地球はえらい』城雄二/案、香原知志/文、松岡達英/絵(福音館書店)

    『地球はえらい』城雄二/案、香原知志/文、松岡達英/絵(福音館書店)

    20年前の1月17日、僕はまだ幼稚園の年長さんで、暗闇の中でグラグラ揺れる家にひたすらおびえていた。棚に飾ってあった小物が床にちらばっていて、家族で一つの部屋に集まってただじっとしていた。それくらいのことしか覚えていないけれど、その後何年かして読んだこの本で、地球は生きていて、時に恐ろしい顔をすることもある、と知った。地球はえらい。そして、時々怖い。

    (ミシマ社 鳥居貴彦)

  • Jan

    26

    『冒険手帳 火のおこし方から、イカダの組み方まで』谷口尚規/著、石川球太/絵(知恵の森文庫)

    『冒険手帳 火のおこし方から、イカダの組み方まで』谷口尚規/著、石川球太/絵(知恵の森文庫)

    男はいくつになっても冒険野郎である。これは生まれながらにして持っている本性だ。街を歩くときも、いま大災害や大事件に遭遇したらどうしようか。突然サバイバル生活を余儀なくされたらどうしようかなど、ついつい考えてしまうものである。
    本書では、「小石を使った通信法」から「砂漠で水を得る方法」など、まさに冒険野郎の心をくすぐるサバイバル術から、「かの女とキスができる、口移し人口呼吸法」など、余計な妄想を掻き立てられるものまで網羅している。すべての少年たちにささげる一冊である。

    (大阪大学出版会 土橋由明さん)

  • Jan

    27

    『本へのとびら―岩波少年文庫を語る』宮崎駿(岩波新書)

    『本へのとびら―岩波少年文庫を語る』宮崎駿(岩波新書)

    宮崎駿氏が、岩波少年文庫の中からおすすめの50冊を紹介しています。駿少年はどんな本を読んで大きくなったのでしょうか。短いながらも各紹介文から、その少年の姿を垣間見ることができます。
    児童文学とは、「生まれてきてよかったんだ」と子どもたちにエールをおくるものだと書かれています。これから子どもたちにどんな本を読ませてあげればいいのか。そして自分も昔は子どもであったことを思い出させてくれる素敵な本です。

    (大阪大学出版会 土橋由明さん)

  • Jan

    28

    『はじめての編集』菅付雅信(アルテスパブリッシング)

    『はじめての編集』菅付雅信(アルテスパブリッシング)

    世の中みんな編集者である。編集とはなにも一部の人だけに限られた特別な技術ではない。日常のあらゆるシーンでも、知らず知らずのうちに、人は編集を行っている。営業先で商品を説明するときも、山をガイドするときも、家族と料理を作るときも...そこには編集に必要な企画、デザイン、ことばが内在している。その中でもとくに「美しさ」が重要であると著者はいう。「美しさ」とは、「きまり」があることである。編集とは、物事がより魅力的に見えるように、絶え間なく新しいきまりを作り続けていくことでもある。
    より多くの人びとの心を、この新しいきまりで動かしていくために。

    (大阪大学出版会 土橋由明さん)

  • Jan

    29

    『TADAO ANDO InsightGuide 安藤忠雄とその記憶』安藤忠雄(エクスナレッジ)

    『TADAO ANDO InsightGuide 安藤忠雄とその記憶』安藤忠雄(エクスナレッジ)

    安藤忠雄の記憶の中とは何だろうか。たえず進化し続ける安藤忠雄のという存在を、自身の人間模様を交えながら、美しくレイアウトされたカラー写真とともに振り返るガイドブック。各作品からみえる安藤の姿は、まさに時代への「挑戦」の連続である。その鋭さは、ページをめくるごとに私の鈍った心と体を切り裂いていく。要注意である。

    (大阪大学出版会 土橋由明さん)

  • Jan

    30

    『情報の文明学』梅棹忠夫(中公文庫)

    『情報の文明学』梅棹忠夫(中公文庫)

    まず驚くべきことは、本書論文の発表が50年前であるという点だ。その当時から情報産業時代の到来を予見し、独自の文明史的観点からその本質に迫っている。その内容は古びるどころか、情報産業が成熟した今だからこそ新たな光を放ち、読むたびに新しい発見をあたえてくれる。まさに「情報文明論」の名著である。

    (大阪大学出版会 土橋由明さん)

  • Jan

    31

    『自閉症の僕が残してきた言葉たち』東田直樹(エスコアール)

    『自閉症の僕が残してきた言葉たち』東田直樹(エスコアール)

    小学1年生のときに書いた物語が載っているのですが、圧巻です。他の人とコミュニケーションがとれなかったことが繊細な感性を、そして人をひきつける文章へとつながっているのかもしれません。

    (ミシマガジンサポーター でいどりさん)