今日の一冊バックナンバー

  • Apr

    01

    『美術手帖 2014年11月号増刊 特集トーベ・ヤンソン』美術手帖編集部(美術出版社)

    『美術手帖 2014年11月号増刊 特集トーベ・ヤンソン』美術手帖編集部(美術出版社)

    著者生誕100周年の今年は、北欧人気も手伝ってたくさんの本が出版されました。
    その中でもひときわ輝いていたのが、優しいクリーム色の表紙のこの本。
    ガイドや入門書というよりは、ずっと好きだった人がムーミンとの思い出をゆっくり振り返るアルバムのような内容です。
    お勧めしたいのは、ムーミンママが英国の子どもたちへ宛てた手紙のページ。
    わざとつたない英語にしたという文字の流れに、心の棘も一気に抜け落ちてしまいます。

    (佐賀県武雄市 蔦屋書店武雄市図書館 櫻井香織さん)

  • Apr

    02

    『煙に巻かれて』G・カブレラ=インファンテ/著、若島正/訳(青土社)

    『煙に巻かれて』G・カブレラ=インファンテ/著、若島正/訳(青土社)

    葉巻に夢中だった著者の愛煙エッセイで、本を捧げる相手は一度も喫煙したことのない高齢の実父。
    表紙の男性は葉巻をまるで体の一部のようにしてくわえている。
    それだけで煙草を吸わない私でも強烈に惹かれてしまいました。
    喫煙を賞賛する数々の名言とユーモアたっぷりの語り口で、読み終わる頃には、葉巻に対してまるで楽しい玩具のようなイメージを持たされています。
    禁煙中の方にはとても厳しい本かもしれません。

    (佐賀県武雄市 蔦屋書店武雄市図書館 櫻井香織さん)

  • Apr

    03

    『幻想都市風景』光嶋裕介(羽鳥書店)

    『幻想都市風景』光嶋裕介(羽鳥書店)

    今は珍しい二つ折りのページでできている、優しい紙色のドローイング集。
    実在する建築物のスケッチから始まり、終わりには著者の見てきたものすべてが複雑に絡み合ったような幻想の建物が現れます。
    後書きまで文字が一切無いためまさに延々と続く風景のようです。
    紙が柔らかく、手触りの良いところが大好きで、ページを何回も何回もめくってしまいます。

    (佐賀県武雄市 蔦屋書店武雄市図書館 櫻井香織さん)

  • Apr

    04

    『月日の残像』山田太一(新潮社)

    『月日の残像』山田太一(新潮社)

    山田太一さんは書いている。「道徳や法律の検証を受けない。罪の軽重で濃淡で決まることもない。しかしなかなか消えないでいる自責の念を金魚すくいのような薄紙ですくってみたくなる」と。人が亡くなると、思い出とともに、そういう自責の念も消えてゆく。そういう自責の念は、戦争のない社会だから気にすることの出来る美点だとも・・・。静かに沁みてくる言葉の魔法・・・。本書は現代に生きる人へのバイブルだ!

    (ミシマガジンサポーター 堀内恭さん)

  • Apr

    05

    『なんでもホルモン――最強の体内物質が人生を変える』伊藤裕(朝日新書)

    『なんでもホルモン――最強の体内物質が人生を変える』伊藤裕(朝日新書)

    嬉しいとか悲しいとか幸せとか、何か原因があって感じていると思っているけど、もしかして感情って、自分で分泌しているホルモンに操られているのでは・・・。とくに自分や長い付き合いの女友だちを見ているとそう感じることがあります。この本はそんな予感が「やっぱり」に変わる一冊。著者は医学部教授なので専門的な用語も出てきますが、「変身願望を叶えてくれるホルモン」「ウルトラマンの病」「骨がなければ興奮できない」など魅力的な小見出しにつられて、すいすいと読めてしまいます。おすすめです。

    (ミシマ社 星野友里)

  • Apr

    06

    『時計館の殺人〈新装改訂版〉』綾辻行人(講談社文庫)

    『時計館の殺人〈新装改訂版〉』綾辻行人(講談社文庫)

    中学生だった頃、図書館でミステリー小説を物色するのが楽しみのひとつでした。ミステリ好きになったきっかけは、綾辻行人の「館シリーズ」。建築家・中村青司が手がけた風変わりな意匠の建物には、からくり仕掛けが施されていて(それが密室殺人のトリックに使われるのですが)、趣向を凝らした館内を想像しながらじっくり読み進めるのが好きでした。なかでも、『時計館の殺人』は、時間をコントロールするトリックに驚きつつ、すべての伏線が鮮やかに回収される結末まで一気読みしてしまいます。ミステリの最初の一冊としてもおすすめです。

    (編集・ライター 足立綾子)

  • Apr

    07

    『陰陽師 8』岡野玲子(白泉社)

    『陰陽師 8』岡野玲子(白泉社)

    "一冊の本が人生を変える。"――『THE BOOKS green』の帯文通りの本が私にもあります。田口ランディの『聖地巡礼』(文庫版『水の巡礼』)で、ヴィレッジヴァンガード下北沢店の天井近くの棚の隅っこにあったことなど、出合った時の記憶も鮮明なのですが、残念ながら絶版本。そこで、水繋がりでこちらをご紹介。安倍清明が、北斗七星上に点在する水の聖地を巡って雨乞いをするこの巻。去年、雨乞いの起点になった、憧れの瓜割の滝に行き、今もなお清冽な水が滔々と流れるさまに魅了されました。この地で余生を過ごせたら......と半分本気で妄想しています。

    (編集・ライター 足立綾子)

  • Apr

    08

    『イタリア料理の本』米沢亜衣(アノニマ・スタジオ)

    『イタリア料理の本』米沢亜衣(アノニマ・スタジオ)

    編集アシスタントとして関わった、イタリア料理のレシピ本(ご結婚されて、現在では細川亜衣さんとしてご活躍中)。下宿先のお母さんに教わったもの、町の小さな食堂で夢中で食べたものなど、普段、イタリアの日常で食べられている、飾らない料理の数々を収録しています。シンプルなレシピも多く、私はこの本でカリフラワーのおいしさに目覚めました。各レシピには、それぞれの料理を味わった時の感動が、臨場感のある文体で綴られています。この文章が、またいいんです。夜中に素読みしていて、これはすごい本になるぞと武者震いしたのを覚えています。

    (編集・ライター 足立綾子)

  • Apr

    09

    『月刊MdN 2015年 4月号 特集:乃木坂46 歌と魂を視覚化する物語』MdN編集部(エムディエヌコーポレーション)

    『月刊MdN 2015年 4月号 特集:乃木坂46 歌と魂を視覚化する物語』MdN編集部(エムディエヌコーポレーション)

    私はこの号で、乃木坂46のデビューシングルからファーストアルバムのCDジャケットのデザインを手がけた川本拓三さんのインタビュー記事などを担当したのですが、特集を通じて、さまざまな制約があっても、いいものを作るためにとことん粘る、ベストを尽くす――そんな泥臭い現場の模様を垣間見ることができます。乃木坂46のファンの方々に楽しんでいただけるのはもちろん、一般の方々、新社会人のみなさんにも響く内容になっていると思います。たくさんの方々に読んでいただきたいです。

    (編集・ライター 足立綾子)

  • Apr

    10

    『シルバーアート――老人芸術』鞆の津ミュージアム監修(朝日出版社)

    『シルバーアート――老人芸術』鞆の津ミュージアム監修(朝日出版社)

    昨日紹介した『月刊MdN』の対談記事でのマンガ家・タナカカツキさんの言葉――「超高齢化社会のエンターテインメントを考えていく必要がある」――が、頭の片隅に残っていたのか、この本の発刊を知り即購入。総勢12名のジイさんたちの"むきだしの生"、"表現する喜び"がみっちみちの作品群にただただ圧倒させられます。千手観音のように手がたくさんある天子の絵はEXILEの「Choo Choo TRAIN」の踊りを参考にしたとか、自作の空撮用ラジコンのカメラをパンツのゴムひもで固定とか、もう最高です。が、それだけではないんです。ジイさんたちの言葉にハッとさせられることも(エクセル画家・堀内辰男さんの「絵心」についてのくだりが素晴らしい)。ジイさんたちのふつふつとしたマグマのような熱量にあてられること、間違いなしです!

    (編集・ライター 足立綾子)

  • Apr

    11

    『ほぉ...、ここがちきゅうのほいくえんか。』てぃ先生(ベストセラーズ)

    『ほぉ...、ここがちきゅうのほいくえんか。』てぃ先生(ベストセラーズ)

    たまたまだれかのリツイートで出てきた文章に心打たれてすぐ購入。はぁ・・・この純粋で単純で、でも一生懸命な子ども心、いつどこに置いてきちゃったんだろう・・・ちなみに私はなつくん押しです♡♡笑

    (ミシマガジンサポーター 三宅沙弥さん)

  • Apr

    12

    『かなわない』植本一子

    『かなわない』植本一子

    写真家、植本一子さんの文章集。読んでいるあいだ、自分の中に一子さんがいやおうなく入ってくる、というよりも浸食されている。そして読み終わった後にはなにかをもっていかれている。呆然としている自分に気づく。文章の「勢い」なんてものではない、生々しさ、生身の人間の体験を読むということの恐ろしさを感じました。気をつけて読んでください。と言いつつ、ここのところまわりにとにかくおすすめしている一冊です。

    (ミシマ社 平田薫)

  • Apr

    13

    『人はなぜ「美しい」がわかるのか』橋本治(ちくま新書)

    『人はなぜ「美しい」がわかるのか』橋本治(ちくま新書)

    「科学者は検証に何十年もかかった末、自分が立てた仮説が間違っていたということなどごまんとある。では、どうやって選択してきたか? 私は美しい方を選んだ」小学生の頃聞いた、このノーベル賞受賞者のスピーチ。それに感動して以来"美しい"は、迷った時のわたしのメルクマールとなりました。で、人はなぜ「美しい」がわかるのか? そこは"天才"橋本治。美しく! 解説してくれます!

    (宮本三郎記念美術館 衣斐和美さん)

  • Apr

    14

    『20世紀末・日本の美術-それぞれの作家の視点から』中村ケンゴ、永瀬恭一、眞島竜男、楠見清、木村絵理子、小金沢智(アートダイバー)

    『20世紀末・日本の美術-それぞれの作家の視点から』中村ケンゴ、永瀬恭一、眞島竜男、楠見清、木村絵理子、小金沢智(アートダイバー)

    戦前から戦後にかけて、芸術家は自由が丘に多数集まり、交流し、独自の文化を築き上げました。ただ残念なことに、その記録はまとまったかたちで残されていません。そうして時代の記憶と記録が失われる前に、自らの体験を言い伝えるため編まれたのが本書です。20世紀末・日本のアートシーンを目撃した作家3名と編集者・学芸員によるトークイベントを収録した本書は、私たちが生きる時代に連なる美術の確かな証言にほかなりません。

    (宮本三郎記念美術館 小金沢智さん(2015年3月に同館ご退職。現在、明治学院大学非常勤講師))

  • Apr

    15

    『パテ屋の店先から――かつおは皮がおいしい(新装増補版)』林のり子(アノニマ・スタジオ)

    『パテ屋の店先から――かつおは皮がおいしい(新装増補版)』林のり子(アノニマ・スタジオ)

    自由が丘の外れに佇む洋風惣菜店「パテ屋」店主、林のり子さんのエッセイ集。
    作って食べることや生活を、肩の力を抜いて楽しもうと気分が上がります。「"稼がず、使わず、寝てくらしたい"のが夢」とおっしゃる林さんですが、好きなことを地道に勉強してやっていくことがそこへ無理なく組みあわさるバランスの絶妙さと、ひとつひとつの選択の確かさにうなります。
    巻末の、清水ミチコさんらパテ屋OGによる座談会も味わい深し。

    (宮本三郎記念美術館 森まりらさん)

  • Apr

    16

    『フランシス子へ』吉本隆明(講談社)

    『フランシス子へ』吉本隆明(講談社)

    著者が晩年を共にすごした最愛の猫、フランシス子との日々を綴った一冊。ですが、愛猫の写真が......何ページめくっても出てこない!! なんと手ごわい猫エッセイ......。
    それでもフランシス子を追い求めて読み進むと、フランシス子がホトトギスに、ホトトギスが親鸞に......。この捉えがたい多面体、その奥で死期を目前にした思想家の混沌に触れるとき、自分がもうフランシス子の'カタチ'を必要としていないことに気づかされるはずです。

    (宮本三郎記念美術館 石居美也さん)

  • Apr

    17

    『こどもたちが学校をつくる―ドイツ発・未来の学校』ペーター・ヒューブナー/著、木下勇/訳(鹿島出版会)

    『こどもたちが学校をつくる―ドイツ発・未来の学校』ペーター・ヒューブナー/著、木下勇/訳(鹿島出版会)

    新しい学校をつくるプロジェクトの中心になったのは、その学校で学ぶ男女134人の生徒たち。計画や模型作り、施工にいたるまで学校建築のプロセスにこどもたちが参加し、学校を造りあげたというウソみたいなホントのお話。「こどもだから」といって片付けず、彼らの意見やアイディアに素直に耳を傾けたいと思う、希望にあふれる一冊。これからの学校はこうであってほしい!

    (宮本三郎記念美術館 竹内まゆさん)

  • Apr

    18

    『東北 つくられた異境』河西英通(中公新書)

    『東北 つくられた異境』河西英通(中公新書)

    近世後期から明治末期までの東北をめぐる言説を、当時の状況などと合わせて書いてあります。ほんの100年や200年前のことなのに、まるで知らない世界のことのようで、私たちは私たち自身について、本当に知らないことだらけなんだな、と思います。小説ではなくて、自分自身につながる物語なのに。

    (ミシマガジンサポーター 佐藤朝子さん)

  • Apr

    19

    『介護士からプロ棋士へ 大器じゃないけど、晩成しました』今泉健司(講談社)

    『介護士からプロ棋士へ 大器じゃないけど、晩成しました』今泉健司(講談社)

    今年、プロ編入試験で3勝を挙げ、41歳で晴れてプロ棋士となった今泉健司さん。その生い立ちからいままでを綴った本書。勝負ごとの厳しさや2度の挫折を味わうなかで今泉さんが気づき、気づかされてきたことが読みやすく率直に語られます。とりわけ介護の仕事に就いたことがきっかけで今泉さんの心境が変化する様子が興味深く、共感を覚えました。将棋を知らない方でも面白く読めるはず。元気がでます。今泉さんありがとうございます!

    (ミシマ社 渡辺佑一)

  • Apr

    20

    『取るに足らない事件』早川いくを(バジリコ)

    『取るに足らない事件』早川いくを(バジリコ)

    戦後の混乱まもない昭和20年代の新聞を、著者はたんねんに読み込み、とくに取るに足らない事件を拾い上げて行きます。のど自慢強盗や乳もみ指圧師、強盗に反撃したお婆さんなど、そのしょうもなさに笑いつつ、気づくと昭和20年代という未知の、それでいて今と地続きの日本が立ち現れています。僕らの知らないきれいごとでない戦後を知ることができるエンターテイメントかつ社会派の本。寺西晃さんの挿絵が絶品!

    (イラストレーター・僧侶 中川学さん)

  • Apr

    21

    『観光 日本霊地巡礼』中沢新一、細野晴臣(ちくま文庫)

    『観光 日本霊地巡礼』中沢新一、細野晴臣(ちくま文庫)

    1985年というバブル全盛の時代に書かれた本。チベットで修行してきてまもないぴちぴちの中沢新一さんと、YMO散会後すぐの神懸かり的細野晴臣さんが日本の聖地をめぐりつつ、現代思想、宗教、物理学、美術、音楽など縦横無尽に語り合います。もう、何度も読み返し、影響を受けまくりました。奥村靫正さんのアートディレクションにしびれ、後藤繁雄さんの編集に舌を巻きます。今また読みたい、クリエイティブの玉手箱みたいな本です。

    (イラストレーター・僧侶 中川学さん)

  • Apr

    22

    『泉鏡花集 黒壁 文豪怪談傑作選』泉鏡花/著、東雅夫/編(ちくま文庫)

    『泉鏡花集 黒壁 文豪怪談傑作選』泉鏡花/著、東雅夫/編(ちくま文庫)

    泉鏡花の怪談の短編ばかり集めた本です。泉鏡花というと、文語体で高尚な文学、みたいに思ってる人が多いけれど、実はおばけがでてきてエログロな小説をいっぱい書いてる人。そんな鏡花の知られざる怪談短編を、古今東西の幻想文学に精通した東雅夫さんが拾い集めた珠玉の傑作選。京都を舞台にした「紫障子」がおすすめ! もう、怪奇とエロスにめまいがします。私事ですが、「朱日記」という鏡花作品を絵本化して国書刊行会から出版しましたのでそちらもぜひ。

    (イラストレーター・僧侶 中川学さん)

  • Apr

    23

    『空海の風景(上下巻)』司馬遼太郎(中公文庫)

    『空海の風景(上下巻)』司馬遼太郎(中公文庫)

    司馬遼太郎さんの小説は一時期ハマって、ほとんど読みました。おすすめはいっぱいありますが、変わったところでこれ。真言宗の開祖空海の伝記なんですが、彼が生きた平安時代の生々しい空気感を見て来たように描写する手腕はやっぱり凄い。空海のスーパースターっぷりに、スカっとしつつ、仏教とは? 真言宗とは? という宗教学の勉強にもなります。でも、ちょっとヤな奴に書かれてるので、本当の空海好きには違うと言われるかも。そこがいいんですけどね。

    (イラストレーター・僧侶 中川学さん)

  • Apr

    24

    『南無阿弥陀仏』柳宗悦(岩波文庫)

    『南無阿弥陀仏』柳宗悦(岩波文庫)

    民芸運動の根源的な思想は、「南無阿弥陀仏」だったなんて! という浄土宗の僧侶である僕にとっては驚愕の本。芸術家の自我(自力)から生み出されたアートをきらって、名も無い陶工の無意識の作業(他力)から生まれる器に美を見いだした柳宗悦の「民芸思想」は、たしかに浄土の教えそのもの。ということは「無印良品」のコンセプトの底にも「南無阿弥陀仏」が組み込まれてるんですね。なんだ浄土の教えって、古びてないぢゃん。と勇気を得た最初の本です。

    (イラストレーター・僧侶 中川学さん)

  • Apr

    25

    『四国ジャズロード』田代俊一郎(書肆侃侃房)

    『四国ジャズロード』田代俊一郎(書肆侃侃房)

    今、一番落ち着く場所はジャズ喫茶である。ジャズを大音量で聴き、珈琲を呑む時間が、何とも云えぬ至福の時だ。我ふるさと四国にも、こんなにジャズ喫茶があることを本書で知った。高知のたまに行く「木馬」「クレオール」、まだ行ったことのない「淳」や他県のジャズ喫茶の店内とジャズを想像しながらページをめくる。ジャズと落語は大人じゃないと分からない、そんな名言をふと思い出した。

    (ミシマガジンサポーター 堀内恭さん)

  • Apr

    26

    『すーちゃん』益田ミリ(幻冬社文庫)

    『すーちゃん』益田ミリ(幻冬社文庫)

    益田ミリさんと初めてお会いしたのは、書店員をしていた頃。店内で『はやくはやくっていわないで』の原画展をさせていただいた時だったと思う。その展示をわざわざ見に来てくださるという約束の日、「どんな人だろう」と想像しながら待っていると、ミシマさんと一緒に現れたミリさんは驚くほど明るくて、こちらも元気になるような方だった。そのときサインしてもらった『すーちゃん』は、あっという間に売れてしまい、手元には残らなかったけれど、サインのない『すーちゃん』が今も僕の本棚に並んでいる。原画展に直接関係していない本にサインもらうなんて、よく分からないことをよくやったなと思う。

    (ミシマ社 鳥居貴彦)

  • Apr

    27

    『オレの宇宙はまだまだ遠い』益田ミリ(講談社)

    『オレの宇宙はまだまだ遠い』益田ミリ(講談社)

    32歳独身の書店員・土田くんの物語。土田くんが日常のなかでふと自問自答する「心の声」になんかハッとさせられます。絵本売場の話とか、そのあと同僚と飲みに行くところとか、じんわり好きです。もし私が営業先で土田くんと知り合うことになったら、サシ飲みにいきたいなあ。あと余談ですが、作中に益田ミリさんも登場します。すごく、面白いです。

    (ミシマ社 渡辺佑一)

  • Apr

    28

    『僕の姉ちゃん』益田ミリ(マガジンハウス)

    『僕の姉ちゃん』益田ミリ(マガジンハウス)

    アラサーOLの姉、新人サラリーマンの弟。二人暮らしの彼らが繰り広げる他愛もない会話に、じわじわと引きこまれます。世の弟たちは「これ、ウチの姉ちゃん?」と激しい既視感を襲われること間違いなし。「あー、姉ちゃんまたギャアギャア言ってんな」と冷めた目で姉を見てきた弟たちも、少しだけ姉の話に耳を傾ける気になるかもしれません。
    人生や恋愛に悩む弟たちよ! 本書を読むのだ!

    (ミシマ社営業チーム 池畑索季)

  • Apr

    29

    『泣き虫チエ子さん 1』益田ミリ(集英社)

    『泣き虫チエ子さん 1』益田ミリ(集英社)

    初めて読んだミリさんの本で、一番好きなミリさんの本です。チエ子さんと、夫のサクちゃんの日常。スーパーで夕飯の買い物をしたり、映画を観にいったり、時々けんかもしたり。それだけなのですが、そこにはささやかなふたりだけののルールや思い出があって、ああ、夫婦ってなんだか愛しくて尊いなあって思うのです。ふたりの会話の端々から、チエ子さんがサクちゃんをどんな風に愛しているのかが伝わってきて、なんだか切なくなるのです。

    (ミシマ社 営業チーム 平田薫)

  • Apr

    30

    『週末、森で』益田ミリ(幻冬舎)

    『週末、森で』益田ミリ(幻冬舎)

    この本で一番すきなところは、最後のページをめくった次のところです。「おまけ」というと軽々しくなってしまうけれど、思いがけないプレゼントをもらったような、うまく言えないけれど、そういうあたたかい気持ちになります。もちろん、この前から続いているお話があってのことなのですが。きっと、ミリさんと、編集者さんと、デザイナーさんと、いろんなみんなで、大切に大切に作った本なんだろうな、と思います。

    (ミシマ社 長谷川実央)