今日の一冊バックナンバー

  • Sep

    01

    『レコーディング・スタジオの伝説』ジム・コーガン、ウィリアム・クラーク(SPACE SHOWER BOOKS)

    『レコーディング・スタジオの伝説』ジム・コーガン、ウィリアム・クラーク(SPACE SHOWER BOOKS)

    昔の音楽が大好きだ。自分が生まれるずっと前の。ときは1960年代、この時代の音楽にはまさに「魔法」がかかっていた。そして、そんな魔法を作っていたのがレコーディング・スタジオだ。この本に出てくるミュージシャンは大物ばかり──ナット・キング・コール、エルヴィス・プレスリー、アレサ・フランクリン、ローリング・ストーンズ、ビーチ・ボーイズ、マーヴィン・ゲイ。でも、彼らはこの本の主人公ではない。主役は、15のスタジオと、レコーディング・エンジニアたちだ。スタジオという「聖地」でどのように珠玉の音楽がつくられたのか。ワクワクする光景がかいま見られる、貴重な本。

    (平凡社 岸本洋和さん)

  • Sep

    02

    『P≠NP予想とはなんだろう』ランス・フォートナウ(日本評論社)

    『P≠NP予想とはなんだろう』ランス・フォートナウ(日本評論社)

    完全なる文系頭なのだが、数学にまつわる物語にはいつも心が踊る。フェルマーの最終定理、リーマン予想、ポアンカレ予想、不完全性定理──名前を聞くだにワクワクする。しかもそれが、証明できれば人類にはバラ色の未来が約束されるという未解決問題だったとしたら。こんな興奮する物語はないだろう。それが「P≠NP予想」だ。正確には、「P=NP」であると証明できれば、この世界のあらゆる問題が瞬時に解けるようになり、仕事も自動化される。果たして人類に待っているのは「バラ色」の未来か、はたまたいまと同じように、汗水たらして生きなければならない世の中か。もっとも個人的には、後者も決して悪くないと思うのだが。

    (平凡社 岸本洋和さん)

  • Sep

    03

    『やがて秋茄子へと到る』堂園昌彦(港の人)

    『やがて秋茄子へと到る』堂園昌彦(港の人)

    贈りものにできる本は、多いようで意外と少ない。あまりにも自分の趣味の押しつけではアレだし、相手の負担になる長いものも避けたい。しかしあわよくば、「あの本、どうだった?」と、小声で、かつ親密に語れるような本にしたい......と、ハードルは果てしなく上がっていく。ぎっしり文字が詰まった本に比べて、歌集や詩集は、もらったひとがツマミ読みもできるし、(この線引きがむつかしいのだが)こっ恥ずかしいものでなければプレゼントにいい気がしている。この本を私がプレゼントとして活用したかは秘密だが、とくに好きな一首をひとつ。「球速の遅さを笑い合うだけのキャッチボールが日暮れを開く」。

    (平凡社 岸本洋和さん)

  • Sep

    04

    『ポリアモリー 複数の愛を生きる』深海菊絵(平凡社)

    『ポリアモリー 複数の愛を生きる』深海菊絵(平凡社)

    自分が(あるいは世の中が)知らなかった新しい考えをまっさきに知ることができるというのは、書籍編集の役得のひとつだ。最近担当した本の中では、本書がまさにそれである。われわれが自明と思っている「一対一」の恋愛は、真剣な複数愛=「ポリアモリー」の前では必ずしも絶対のものではない。浮気、不倫......というと負のイメージがつきまとうが、ポリアモリーを生きる人びとにとっては、複数のひとを「誠実」に愛することは、けっして不道徳でも不健全でもないのだ。では浮気とどう違うのか? それはぜひ本書のご一読を。既成の自分の考えを根本から揺さぶられるのは、ジェットコースターのように、ちょっと怖くて、そして痛快だ。

    (平凡社 岸本洋和さん)

  • Sep

    05

    『戦争をしない国 明仁天皇メッセージ』文/矢部宏治、写真/須田慎太郎(小学館)

    『戦争をしない国 明仁天皇メッセージ』文/矢部宏治、写真/須田慎太郎(小学館)

    帯に「あなたは天皇の言葉に耳を傾けたことがありますか?」とだけ書かれています。実は私は昨年1月15日歌会始で水俣の慰霊碑に祈りをささげる天皇の言葉におどろいたことがあります。だから、すぐこの本を手にとり、読み始めました。

    (ミシマガジンサポーター EishiNさん)

  • Sep

    06

    『ぼくの〈那覇まち〉放浪記』新城和博(ボーダーインク)

    『ぼくの〈那覇まち〉放浪記』新城和博(ボーダーインク)

    〈那覇まち〉について、ぼくは多くを知らない。バスターミナル近くのレンタサイクル屋さんのおっちゃんはぶっきらぼうだけど親切だということは知っている。でも他のことは知らない。「すーじ小」がなんのことかも分からないし、そもそもどう読めばいいのかも分からない。でもそこには何十年も何百年も前から人の生活があって、なんだか言葉にできない空気がある。なんとなく惹かれるものがある。そんなまちを、もっと知りたいと思う。

    (ミシマ社 鳥居貴彦)

  • Sep

    07

    『特攻-戦争と日本人』栗原俊雄(中公新書)

    『特攻-戦争と日本人』栗原俊雄(中公新書)

    太平洋戦争末期に行われた体当たり攻撃・特攻。それは単なる思いつきではなく、追い詰められた末の(誤った)合理的判断から生まれた「統率の外道」だった。航空機だけでなく艦隊やロケット、魚雷、モーターボートまで。様々な自爆攻撃はどのように発案され、組織的に運用・拡大していったのか。そして特攻を命じる側・命じられる側、立場で生死が分かれる中、誰が特攻の責任を背負わされてきたのか。
    戦局の打開を図る起死回生の戦法として始まったものが、最後には「戦果そのものより出撃すること、敵に突っ込むことが自己目的」となった悲劇を描く。

    (MARUZEN&ジュンク堂書店 梅田店 岡一雅さん)

  • Sep

    08

    『「ポツダム宣言」を読んだことがありますか』山田侑平(共同通信社)

    『「ポツダム宣言」を読んだことがありますか』山田侑平(共同通信社)

    今国会でも話題に上った「ポツダム宣言」。連合国からの日本への降伏勧告・戦後の日本占領政策の方針を定めたものとして有名だが、全文をすべて読んだ人は果たしてどれほどいるだろう。
    本書は日本がポツダム宣言受諾・無条件降伏に至る経緯を解説しながら、宣言全文と九月二日東京湾で調印された降伏文書(共に英日対訳で読むことができる)、更には同宣言の元となったカイロ宣言や玉音放送で伝えられた終戦の詔書など、日本の敗戦にまつわる公式声明や文書を纏めたものだ。
    なぜ、国会でポツダム宣言が取り上げられたのか、その理由を知るには文字通り最適な一冊。

    (MARUZEN&ジュンク堂書店 梅田店 岡一雅さん)

  • Sep

    09

    『八月十五日の神話-終戦記念日のメディア学 増補』佐藤卓己(ちくま学芸文庫)

    『八月十五日の神話-終戦記念日のメディア学 増補』佐藤卓己(ちくま学芸文庫)

    日本では玉音放送の八月十五日を「終戦記念日(戦没者を追悼し平和を祈念する日)」と定めている。幼い頃から高校野球のファンだった私には、正午にサイレンが鳴り響き、甲子園で球児たちが黙祷する。そんなイメージを脳裏に浮かべる日だ。
    その一方、連合国側では降伏文書調印日の九月二日(中露は三日)を「対日戦勝記念日」としている。なぜ日本と連合国との間で戦争の終わった日が違うのか?
    終戦の日を伝える新聞記事が出来上がる過程や、戦時中ラジオを通じて行われたお盆の戦死者供養が終戦イメージ形成に与えた影響を検証。歴史教科書での戦争終結を巡る記述表現の比較も交えて、終戦=八月十五日が記憶として、また歴史的事実として私たちの間にどのように定着してきたかを解き明かす。

    (MARUZEN&ジュンク堂書店 梅田店 岡一雅さん)

  • Sep

    10

    『昭和天皇-「理性の君主」の孤独』古川隆久(中公新書)

    『昭和天皇-「理性の君主」の孤独』古川隆久(中公新書)

    既に汗牛充棟というべき昭和天皇の評伝だが、本書は幼少から摂政宮時代までに受けた帝王学の二本柱「東洋的な徳(徳治主義)」と「西洋的な理性(立憲主義)」に着目。そこから昭和天皇の政治思想を浮き彫りにし、君主として目指した理想と直面した現実、そして挫折を描く。
    政治的なトピックスから史学研究のテーマへ。『昭和天皇実録』の公刊が始まり、昭和天皇とその事績がより客観的に検討される時代になる中、その成果の一つをギュッと中身の詰まった新書の形で読めるのは本当に嬉しい限りだ。

    (MARUZEN&ジュンク堂書店 梅田店 岡一雅さん)

  • Sep

    11

    『井上成美』阿川弘之(新潮文庫)

    『井上成美』阿川弘之(新潮文庫)

    先日亡くなられた阿川弘之さんの主著・海軍三部作の一つ。
    航空主兵論を唱え対米戦争の顛末を正確に予見し、それ故煙たがられた合理主義者。海軍次官として終戦の途を模索し、敗戦後は一切表舞台に立つことなく、横須賀・長井で子供達に英語を教えながら蟄居同然の暮らしを送った井上成美。
    その死を含めエピソードには事欠かない『山本五十六』や、国に事がなければ世に出ることはなかったと評され、終戦への道筋をつけた『米内光政』。前作二人と較べると、人物としての魅力も指揮官軍政家としての貫目も少々物足りなさを感じてしまう。更に、空気を読まない「正しいと思ったら言う」性格には、ともすれば人間味に欠けるネガティブな印象も。しかし長所と短所を交互に織り交ぜることで「ラジカル・リベラリスト」井上の姿を浮かび上がらせ、戦争の時代を描き出すことに成功している。特に兵学校校長時代を描いた第十章・十一章はまさに井上の面目躍如!というべき内容。

    (MARUZEN&ジュンク堂書店 梅田店 岡一雅さん)

  • Sep

    12

    『おうちのふく 世界で1着の服 』行司千絵(FOIL)

    『おうちのふく 世界で1着の服 』行司千絵(FOIL)

    この世にひとつしかない自分だけのためにつくられた服。それはつくってくれた人の自分のことを想ってくれるきもちをまとうこと。しあわせなきもちになれる本です。ミシン、もう一回おしいれから出そうかな。

    (ミシマガジンサポーターさん)

  • Sep

    13

    『アドルフに告ぐ』全3巻 手塚治虫(手塚治虫文庫全集)

    『アドルフに告ぐ』全3巻 手塚治虫(手塚治虫文庫全集)

    第二次世界大戦前後のドイツと日本を舞台に、「アドルフ」という名前を持つ3人の登場人物と日本人である峠草平が、ある機密文書を巡って話は進みます。アドルフのうちの一人は、ヒットラーです。すごいなと思ったのは、最終的にこの話が、中東問題にまで及ぶことです。歴史は確かにつながっているんだ、と改めて気づかされます。

    (ミシマ社 長谷川実央)

  • Sep

    14

    『総員玉砕せよ!』水木しげる (講談社文庫)

    『総員玉砕せよ!』水木しげる (講談社文庫)

    「平和ってなに?」と幼少期に浮かぶ素朴な疑問。それを認識できるようになったのは、中沢啓治の『はだしのゲン』と水木しげるの戦記漫画を読んでからだ。いつまでも「平和」な世界でありたいと、子供ながらに強く願ったことを覚えている。悲惨な描写から受ける衝撃は大きいが、若いうちに読んでおきたい一冊。

    (青山ブックセンター六本木店 松石祐子さん)

  • Sep

    15

    『ポロポロ』田中小実昌(河出文庫)

    『ポロポロ』田中小実昌(河出文庫)

    戦友の悲惨な死について淡々と話す祖父の姿と、本書の中国戦線で出会った北川との話「北川はぼくに」の語り手である著者が重なり、強く印象に残っている。次々に戦地で倒れていく仲間、不衛生な環境での生活。そんな中で北川からある悲惨な告白を受ける。
    だが戦中の過酷な状況にありながらも、その文体は一貫してどこかさっぱりとしている。その脚色のない静かな語り口が、戦争という狂気とあの時代に流れていた空気をより近くに感じさせる。

    (青山ブックセンター六本木店 松石祐子さん)

  • Sep

    16

    『プロメテウスの火』朝永振一郎(みすず書房)

    『プロメテウスの火』朝永振一郎(みすず書房)

    朝永振一郎はノーベル物理学賞を受賞した日本を代表する科学者のひとりである。日本の原子力開発に立ち会い、その後の原子力の悪用の害悪を嘆き、原水爆をなくそうと平和運動に努めた人物でもある。
    科学技術がもたらしたものとはなにか。人間と自然科学が共存していくための進むべき道とはなにか。未来を生きる私たちは何を感じ、どこへ向かおうとしているのか。科学者としての責任を問い続けた彼の言葉が重みをもって私たちに問いかけてくる一冊。

    (青山ブックセンター六本木店 松石祐子さん)

  • Sep

    17

    『永遠平和のために』イマヌエル・カント(著), 池内 紀(翻訳) (集英社)

    『永遠平和のために』イマヌエル・カント(著), 池内 紀(翻訳) (集英社)

    『永遠平和のために』は10代の頃にその難解さに挫折してしまったのだが、有り難いことにカントのことばが現代のものとなって甦ったのが本書。これを指南書として、ようやく最近になって原文を読むことができた。200年以上前を生きた哲学者が、いかにして地球上から戦争をなくすことができるか、平和の可能性について語っている。
    国際連合を生み出すもととなり、「憲法第9条」の基本理念となったカントの言葉を知るためのはじめの一冊としておすすめしたい。

    (青山ブックセンター六本木店 松石祐子さん)

  • Sep

    18

    『新版 荒れ野の40年 ヴァイツゼッカー大統領ドイツ終戦40周年記念演説 』 リヒャルト・フォン・ヴァイツゼッカー(著), 永井 清彦(翻訳)(岩波書店)

    『新版 荒れ野の40年 ヴァイツゼッカー大統領ドイツ終戦40周年記念演説 』 リヒャルト・フォン・ヴァイツゼッカー(著), 永井 清彦(翻訳)(岩波書店)

    「心に刻むというのは、ある出来事が自らの内面の一部となるよう、これを誠実かつ純粋に思い浮かべることであります。」この一節に胸をつかれた。ドイツの敗戦40周年にあたる1985年5月8日、ドイツ連邦会議でフォン・ヴァイツゼッカー大統領による記念演説が行われた。歴史を直視するとはどういうことなのか。戦争を体験しない私たちが受け取るべき強いメッセージが本書にはある。

    (青山ブックセンター六本木店 松石祐子さん)

  • Sep

    19

    『書斎の鍵 父が遺した「人生の奇跡」』喜多川泰(現代書林)

    『書斎の鍵 父が遺した「人生の奇跡」』喜多川泰(現代書林)

    「自分が読んだ1000冊の本に囲まれて生きてみよう。」この言葉に心揺さぶられ、胸が高鳴りました。本を読むことをかたくなに拒んできた主人公は、ある本を読んで書斎をつくり、人生が変わった人達と次々に出逢います。私もこの本のおかげで将来の新たな目標が見えてきました。

    (ミシマガジンサポーター Hamiさん)

  • Sep

    20

    『呪文』星野智幸(河出書房新社)

    『呪文』星野智幸(河出書房新社)

    なぜこの国はまた戦争に向かおうとしているのか。そのことを徹底的に自分事として引きつけて突き抜けたような、圧倒的な作品でした。読んでいる間、裏の裏は表、表の表は裏という言葉がずっと心に浮かんでいました。善悪などという区別は、あっというまに逆転する。そのリアリティに、最後までページをめくる手をとめられません。連休中にぜひ。

    (ミシマ社 星野友里)

  • Sep

    21

    『ラク~に生きるヒントが見つかる 般ニャ心経』加藤 朝胤 (監修),(リベラル社)

    『ラク~に生きるヒントが見つかる 般ニャ心経』加藤 朝胤 (監修),(リベラル社)

    友達に写経しに行く? と誘われ、何にも考えず行ってきました。「ボクは坊さん。」の著者、白川密成さんの栄福寺の次の58番札所、仙遊寺へ。
    お経を聞く環境は訪れるものですが、実際書いたりする機会は少なく興味もありませんでした。いざ写経体験をしてみると、無心になれ何となく気分もスッキリ。それから興味がわき般若心経の本を探しても、難しいものばかりで、読む気にならずにいた時やっと出会いました。リベラル社の「ラク~に生きるヒントが見つかる 般ニャ心経」。般若心経の語句が身近な例や分かりやすい言葉で紹介されています。猫の写真とともに般若心経の262文字が説明されていて、また、写真と言葉がうまくリンクしていて笑える要素も沢山。
    読み終わった後のすっきり感を是非味わっていただきたい一冊です。

    (明屋書店今治別宮店 長井明日香さん)

  • Sep

    22

    『12万円で世界を歩く』下川裕治(朝日新聞出版)

    『12万円で世界を歩く』下川裕治(朝日新聞出版)

    今時、海外旅行なんて珍しくもなんともない。「大学の卒業旅行で、ヨーロッパに行ってきました~。」なんてよく聞く話である。それでも、である。たった12万円で海外に行ってこいと言われたら、あなたは行くだろうか?著者は毎回、外国に行くには大変心もとない金額・12万円をポンッと渡されて海外に放り出される。貧しい旅行を耐え忍ぶ著者の姿は哀愁が漂い、同情を禁じえない。しかもちょっと笑える。
     この本が出版された当時に比べ、今ならもっと安く海外旅行に行けてしまうかもしれない。それでももし、あなたも挑戦してみますかと問われたら、私は即座にこう返答するだろう。「いや、遠慮しときます。」

    (明屋書店今治別宮店 毛利恵子さん)

  • Sep

    23

    『家守綺譚』梨木香歩(新潮社)

    『家守綺譚』梨木香歩(新潮社)

    この物語は百年余り前、ほんの少し昔の日本が舞台だ。主人公は綿貫征四郎。売れない作家として糊口を凌ぐ日々である。彼の窮乏ぶりに、時には飼い犬でさえ気を使う始末である。そんな彼の元には不思議な来客が次々と訪れる。河童に竜に鬼、そして逝ってしまったはずの友人までも‥。
    忙しい日々の中で、少し立ち止まってほしい。聴こえてこないだろうか、花や木のかすかな息遣い。感じないだろうか、人々の喜びや悲しみが。
    私はこの本を読み返すたび、こう問われているような気がしてならない。「大事な物を忘れていないか?」と。

    (明屋書店今治別宮店 毛利恵子さん)

  • Sep

    24

    『思い出のとき修理します』谷瑞恵(集英社文庫)

    『思い出のとき修理します』谷瑞恵(集英社文庫)

    誰にも過去はあり「あの時、ああしていれば良かった」と思うことも。そんな時「津雲神社通り商店街」に出かけてみては。そこにはこんな時計屋さんがあります。「おもいでの時 修理します」。商店街に引っ越してきた主人公明里は時計屋さんの秀司と大学生(?)の太一、二人と出会い少しずつ人の思い出に触れていきます。過去の出来ごとを修理して思い出に変え、前に進む。そんな本です。

    (明屋書店今治別宮店 田中有希さん)

  • Sep

    25

    『獣の奏者』上橋菜穂子(講談社)

    『獣の奏者』上橋菜穂子(講談社)

    2014年国際アンデルセン賞作家賞、2015年には本屋大賞を受賞している素晴らしい作家さんですが皆、「鹿の王」や「精霊の守り人」しか知らないという方が多いと思います。ですが私は「獣の奏者」こそ上橋先生の最高傑作だと思っています。主人公のエリンが王獣との絆を深めていくところや王獣を使った非道な政策などの逆境を乗り越えて成長していく姿が心打たれます。涙なしでは語れない宝珠の作品です。

    (明屋書店今治別宮店 井出彩加さん)

  • Sep

    26

    『LOVE & SWEETS』林あまり(ワニブックス)

    『LOVE & SWEETS』林あまり(ワニブックス)

    日頃、歌集を手にとることはあまりないのですが、おいしそうなお菓子と林あまりさんの「かわいい」「うーん、わかるー」というかんじの歌がうまくコレボレートされていて、すてきな本です。

    (ミシマガジンサポーター 坪井暢子さん)

  • Sep

    27

    『ポテサラ酒場』マッキー牧元(監修)(辰巳出版)

    『ポテサラ酒場』マッキー牧元(監修)(辰巳出版)

    居酒屋で、これがあったら頼まずにはいられないメニューってありますか? 私の場合は、ポテトサラダです。そして、ポテトサラダがおいしい店って、何を頼んでもたいがいおいしいんです。と思っていたら、同じことを考えている本がありました。割烹からバー、多国籍料理屋まで、ポテサラのおいしい店36軒。ポテサラにあわせるポテサラ酒、ポテサラにいれる調味料や具材にふれたポテサラコラム、果ては「いも感」「マヨ感」などの項目でポテサラスペックをパラメータ化した便利帳など、ポテサラ好きには垂涎の1冊なのです。

    (ミシマ社 平田薫)

  • Sep

    28

    『くらのかみ』小野不由美(講談社)

    『くらのかみ』小野不由美(講談社)

    謎や不思議、人知を超えた存在、そして少しの恐怖は子供の好奇心を大いに掻き立てる。小学生の時に読んだ『くらのかみ』、詳しい話は忘れてしまったがあの緑色の表紙はよく覚えている。ケースに入ったその本が放つ独特の雰囲気に、私は「ナゾ」と「おばけ」と「不気味」の匂いを嗅ぎ取ってすぐ読み始めた。田舎のお屋敷を舞台にした、ドキドキが止まらないミステリー。
    五人目は......だれ?

    (ミシマ社 京都オフィスデッチ 國島知美)

  • Sep

    29

    『るきさん』高野文子(筑摩書房)

    『るきさん』高野文子(筑摩書房)

    特になにも起こらないのに楽しい。特になにも持ってないのに満足。るきさんが送るルンルンとした毎日は、簡単に手に入るようで入らない。いや、みんな敢えては望んでこなかっただけで、本当は誰でも手に入れられるのかも。実はこういう日常も嫌いじゃなかった。うんうん、むしろ好きだな、って軽やかに日々を駆けていくるきさんのあとを思わず追いかけたくなる一冊。

    (ミシマ社 京都オフィスデッチ 國島知美)

  • Sep

    30

    『バーボン・ストリート』沢木耕太郎(新潮社)

    『バーボン・ストリート』沢木耕太郎(新潮社)

    Tシャツにジーンズで自転車を漕いで銀座のバーにやってくる作家・沢木耕太郎によるエッセイ集。それぞれの題材は仲間と酒を酌み交わしたときの話題がほとんど、と著者が語るだけあって、テーマはスポーツに映画、賭け事から粋な贅沢の仕方など、いかにもほろ酔いらしい。でも読んでみると侮れないんです。どの作品をとっても沢木の知性とユーモアが効いていて、ひとつ読み終えるごとに顔がほころんでしまう。気取りも飾りもしない、けれど洒落ている。作品だけでなく沢木耕太郎本人を好きになってしまうような一冊。

    (ミシマ社 京都オフィスデッチ 菊池まどか)