今日の一冊バックナンバー

  • Nov

    01

    『夢の旅』たむらしげる(静山社)

    『夢の旅』たむらしげる(静山社)

    本屋さんにいけばいろんなフェアに出会えますが、先日訪れた本屋さんでやっていたのが自分の好きな装丁の本を集めるというフェア。ジャンルも判型も関係なし。選書の基準は「いい装丁」。
    そこで出会ったのがこの一冊。一見かわいいクマなんだけどよくよく見るとちょっと不気味。頭の上には博士とロボットのランスロットが。小さいころ、なんどもなんども読み返した『ロボットのくにSOS』を思い出してなんだかうれしくなりました。

    (ミシマ社 鳥居貴彦)

  • Nov

    02

    『パイド・パイパー』ネヴィル・シュート/著、池央耿/訳(創元推理文庫)

    『パイド・パイパー』ネヴィル・シュート/著、池央耿/訳(創元推理文庫)

    第二次大戦時が舞台。ドイツ軍はベルギー国境を越えフランスへ......。
    主人公のイギリス人老紳士は、祖国を目指す。移動手段も限られ、徒歩での移動を強いられるなか、色んな人から「子供だけでも...」と、子供を預けられるのです。ドイツ兵に見つかったら一巻の終わり!見返りも求めず、見捨てず、決してあきらめない主人公の姿に心が震えます。「渚にて」のネヴィル・シュートが送る、感動のロードノベル。

    (宮脇書店総社店 稲垣和幸さん)

  • Nov

    03

    『無私の日本人』磯田道史(文春文庫) 

    『無私の日本人』磯田道史(文春文庫) 

    本書の全3編の物語は、作者がこの史実はなんとしても皆に伝え蹴ればならないという思いから作られたそうです。これは登場する主人公らが、自らを顧みず、そして人々の為に身を尽くした話です。
    とくに穀田屋十三郎の話が好きで、自分たちの住む宿場町を救う為に、皆が身銭を切るのですが、仲間の一人浅野屋甚内は家業が潰れるほどのお金を皆の為ならば出すと言った場面に、ぐっと胸が熱くなり泣けました。
     
                             

    (宮脇書店 総社店 三宅宏和さん)

  • Nov

    04

    『Zip&Candy ロボットたちのクリスマス』にしのあきひろ(幻冬舎)

    『Zip&Candy ロボットたちのクリスマス』にしのあきひろ(幻冬舎)

    思い出が記憶しておく事が出来ない旧型ロボットの女の子キャンディ。辛い記憶を消したくても消すことが出来ない新型ロボットの男の子ジップ。
    新型ロボットジップは「生きることは背負うこと」という博士の言葉を理解し全てを受け入れキャンディと再開する。ロボットだけれども人間よりも暖かい心を持ったジップとキャンディをとても愛しく思いました。あとがきには、「全ての障害を引き受けて離れない」そう思える人にプレゼントしてくださいとあります。皆がそんな風に想っていれば、やさしく穏やかな世界になるのではないでしょうか......。

    (宮脇書店 総社店 直原由紀さん)

  • Nov

    05

    『おばあさんのしんぶん』松本春野/文・絵、岩國哲人/原作(講談社)  

    『おばあさんのしんぶん』松本春野/文・絵、岩國哲人/原作(講談社)  

    書店員の朝は忙しい。なのに 昭和のにおいのする優しさ温かさ溢れるこの本の表紙は私の手を止めてしまった......。どうしても新聞が読みたくて配達を始めたてつお君と新聞を読ませてくれる老夫婦の素敵な時間の流れと人情に自然と涙がこぼれます。大人の方にも是非読んでいただきたい感動の1冊。

    (宮脇書店 総社店 石原京子さん)

  • Nov

    06

    『任侠書房』今野敏(中公文庫)

    『任侠書房』今野敏(中公文庫)

    個性豊かな古き良き"任侠"達と一筋縄ではいかないクセモノ達との読み始めたら止まらない寝不足必至の極上エンターテインメント!各登場人物のキャラクターのおもしろさはさすが今野作品です。決して「正義の味方」ではないけれど、その男気に心意気に惚れずにはいられません!

    (宮脇書店 総社店 若林諭さん)

  • Nov

    07

    『のほほんのほん』西尾勝彦

    『のほほんのほん』西尾勝彦

    再生コピー用紙、A5サイズ、22頁、ホッチキス留め、メンディングテープ背巻き。タイトルの文字、えんぴつ直筆の小冊子。はじめにの文中より、"実は伝統のある「のほほん思想」の神髄、いや断片に触れていただきます。"頁をめくる度に時が止まります。いつも側に置いて、時々手にしてのほほんしています。何かがすごく究極の一冊です。

    (ミシマガジンサポーター マル企画さん)

  • Nov

    08

    『まにまに』西加奈子(KADOKAWA/メディアファクトリー)

    『まにまに』西加奈子(KADOKAWA/メディアファクトリー)

    西加奈子さんのエッセイ集です。たくさん載っている絵も、もちろんご本人が描かれたものです。私はまずこの表紙がいいなー、と思って手に取りました。本を読むのがかなり遅く、読書慣れしていない私が、この本は(というか西さんが)かなりおもしろくて1日で読んじゃいました、と書いたらこの本の楽しさが伝わるかなと思います。あと、関西弁へのあこがれがますます強まりました。

    (ミシマ社 長谷川実央)

  • Nov

    09

    『危機の宰相』沢木耕太郎(文春文庫)

    『危機の宰相』沢木耕太郎(文春文庫)

    1964年の今日、ガンに冒された池田勇人は内閣を総辞職、その翌年に世を去る。彼がまさに命を懸けて取り組んだ「所得倍増計画」は10年の予定を僅か4年で達成、日本は経済大国に駆け上がり、そして...。組織から落ちこぼれた3人の敗者が不器用にもがきながら夢を追う姿を若き日の沢木耕太郎が追います。

    (VALUE BOOKS 廣瀬聡さん)

  • Nov

    10

    『11月のギムナジウム』萩尾望都(小学館文庫)

    『11月のギムナジウム』萩尾望都(小学館文庫)

    1971年、既に少女漫画は文学を超えていた。言葉も絵も完全体としか思えなかった。目の前に少年たちの繊細な感情のドラマが現実化した瞬間、確かに11月のドイツの風が舞った。作者・萩尾望都はこの時、22歳。名作「ポーの一族」はこの翌年から始まる。

    (VALUE BOOKS 廣瀬聡さん)

  • Nov

    11

    『イシ 北米最後の野生インディアン』シオドーラ・クローバー/著、行方昭夫/訳 (岩波現代文庫)

    『イシ 北米最後の野生インディアン』シオドーラ・クローバー/著、行方昭夫/訳 (岩波現代文庫)

    1620年の今日、イギリスからの移民船メイフラワー号が北米大陸に到着しました。その後、1千万人いたと言われるアメリカ先住民は白人たちのもたらす病気と暴力で土地を追われ、消えていきます。1911年、最後の「野生のインディアン」であるイシが「発見」され、「文明社会」で暮らします。内気ですが明るく知的なイシは素晴らしい友人たちと出会い、サンフランシスコで静かな最後を迎えます。「ゲド戦記」の作者グウィンの母親が描く悲しいけれど温かい物語です。

    (VALUE BOOKS 廣瀬聡さん)

  • Nov

    12

    『真田騒動』池波正太郎(新潮文庫)

    『真田騒動』池波正太郎(新潮文庫)

    1658年の今日、信州松代藩主・真田信幸が亡くなります。この本の一遍、「信濃大名記」は彼が主役です。豊臣家に殉じた父(昌幸)と弟(幸村)と違い徳川に組した彼はあまり有名ではありませんが、長身(185cm?)を漆黒の甲冑に身を固め先陣を切る戦場働き、真田家潰しに執念を燃やす江戸幕府から松代藩を守り切る政治力は戦国末期から江戸初期の武将では最強レベルです。表題作の主人公、肩の力の抜けた凄腕改革者・恩田木工(おんだもく)も素敵です。

    (VALUE BOOKS 廣瀬聡さん)

  • Nov

    13

    『闇の奥』ジョセフ・コンラッド/著、中野好夫/訳(岩波文庫)

    『闇の奥』ジョセフ・コンラッド/著、中野好夫/訳(岩波文庫)

    1902年の今日、「闇の奥」は出版されました。ポーランド出身の船乗りコンラッドの描く主人公クルツは負のエネルギーに満ちたパワーを発散します。語り手のマーロウが徐々に実態を明らかにしてゆくアフリカの奥地に自分の「王国」を築いた謎の男。差別用語と差別感覚満載の語りは妙に爽やか。「異類中行」という禅の言葉を思い出しました。映画「地獄の黙示録」の原案になるそうです。

    (VALUE BOOKS 廣瀬聡さん)

  • Nov

    14

    『なずな』堀江敏幸(集英社文庫)

    『なずな』堀江敏幸(集英社文庫)

    ちょうど、梨木香歩さんの「雪と珊瑚と」と続けて読みました。「男性が書く、男性がひとりで乳飲み子を育てるものがたり」と、「女性が書く、女性がひとりで乳飲み子そ育てるものがたり」。私はこどもを産まなかったので、「なずな」の語り手に深く心を寄せることになりました。乳飲み子という真っ白な空白をめぐる世界の運行。

    (ミシマガジンサポーターさん)

  • Nov

    15

    『みんな彗星を見ていた』星野博美(文藝春秋)

    『みんな彗星を見ていた』星野博美(文藝春秋)

    唐突ですが、私は学校の歴史の授業が苦手でした。とくに世界史。カタカナの長ーい人物名や、行ったこともない地で何百年も前に起こった事件に、実感を伴う興味がもてなかったからだと思います。本書で著者の星野さんは、400年前を生きた日本のキリシタンやヨーロッパの宣教師たちに、目の前にその人が生きているかのように感情移入をしてゆきます。そこに自身のルーツの糸も重ね合わせながら。歴史を知るって面白いなぁと心震わされた一冊です。

    (ミシマ社 星野友里)

  • Nov

    16

    『とうさんおはなしして』アーノルド・ローベル/作・絵、三木卓/訳(文化出版局)

    『とうさんおはなしして』アーノルド・ローベル/作・絵、三木卓/訳(文化出版局)

    表紙を見ただけで心がほんわり暖かくなります。 ネズミの子供達のまなざしがたまりません。 父さんネズミがベッドの中の子供達に、楽しいおはなしをしてあげます。 子供の数だけ、七つも。話し終えて子どもたちが眠ってしまうと、 奥さんと二人仲良くお茶を飲むんです。 世界中の家族がこうだといいのになあ......。三木卓さんの訳が素敵です。

    (えとぶん作家 たにむら・かずほ)

  • Nov

    17

    『ジャリおじさん』おおたけ しんろう(福音館書店)

    『ジャリおじさん』おおたけ しんろう(福音館書店)

    鼻の先にひげをはやしたジャリおじさんが、ジャリジャリ言いながら旅 に出るんです。 出会う動物や人が、どこか変で顔がこわい。極めつけが青い神様。 ギャっとのけぞり本を閉じてしまうほど。でもまた最初から見たくなる ......。 ワクワクドキドキしながらページをめくり......神様のところで、ギャ っ!。 作者の大竹さんは、日本を代表する現代美術家なのだそうです。 ゾウのシッポの先に太鼓がついてるの、大好きです。

    (えとぶん作家 たにむら・かずほ)

  • Nov

    18

    『ゾマーさんのこと』パトリック・ジュースキント ジャン=ジャック・サンペ/画、池内 紀/訳(文藝春秋)

    『ゾマーさんのこと』パトリック・ジュースキント ジャン=ジャック・サンペ/画、池内 紀/訳(文藝春秋)

    表紙のサンペさんの絵に、飛びついて買った本でした。
    少年時代の思い出がユーモラスにテンポよく語られ、自分の子供の頃と重なり、ジ〜ン、ときます。ふと気がつくと、ゾマーさんが心の中に入り込んでいます。
    「ほっといてもらいましょう」
    の言葉が頭から離れられなくなっています。
    今では大のお気に入り。大切な一冊です。

    (えとぶん作家 たにむら・かずほ)

  • Nov

    19

    『風の又三郎 他十八篇』宮澤 賢治(岩波文庫)

    『風の又三郎 他十八篇』宮澤 賢治(岩波文庫)

    賢治さんのおはなしが14作。 「祭りの晩」「北守将軍と三人兄弟の医者」...... どれもよい作品ばかりですが、私は「虔十公園林」がすきです。 虔十の純粋な魂、家族の愛情の深さに毎回涙してしまいます。 今では読み始めたとたんの二行目あたりで、もう涙がジワッ。 じつは先日、大阪の万博公園で虔十公園林そっくりの木立を発見しまし た。 次回は、虔十公園林の子供達みたいに木の間を歩いてみる。のだ。

    (えとぶん作家 たにむら・かずほ)

  • Nov

    20

    『一日一禅』秋月龍珉(講談社学術文庫)

    『一日一禅』秋月龍珉(講談社学術文庫)

    禅語が366。短いエピソード付きの解説集です。
    悟りを巡る禅僧の方々の興味深いドラマや、師と弟子の問答を、活劇を見るように読むことができます。禅はつかみどころがなくわかりづらいですが、この本を毎日眺めているうちになんとなく、禅と自分との距離が近づいてゆくように感じます。
    「わからない」は、わからない。それもまたおもしろいです。

    (えとぶん作家 たにむら・かずほ)

  • Nov

    21

    『二つの母国に生きて 』ドナルド・キーン(朝日文庫)

    『二つの母国に生きて 』ドナルド・キーン(朝日文庫)

    「日本が素晴らしい国だから」愛しているわけではない。過去の過ちも、欠点ともいえる国民性も含め、すべて視線を向けながら「そういうもの」とうけとめている。この姿勢、日本人にこそ必要と思う。

    (ミシマガジンサポーターさん)

  • Nov

    22

    『ごちそうグラタンとあつあつチーズレシピ』主婦の友社/編(主婦の友社)

    『ごちそうグラタンとあつあつチーズレシピ』主婦の友社/編(主婦の友社)

    冬に食べたいもの、ってなんでしょうか。お鍋、おでん、シチュー、いろいろありますが、やはりグラタンは外せないでしょう。こんがり焦げたチーズをスプーンで崩すと、ほわっと湯気をたてるとろとろのホワイトソースとアツアツの具材。は~、想像しただけでたまりません。グラタンって作るのめんどくさそうだな~と思っていたのですが、レシピをみると意外とお手軽。冬におなかいっぱい、ほかほか幸せになれる一冊です。

    (ミシマ社 平田薫)

  • Nov

    23

    『神聖喜劇(全5巻)』大西巨人(光文社文庫)

    『神聖喜劇(全5巻)』大西巨人(光文社文庫)

    大西巨人さんの代表作、日本現代文学の金字塔です。主人公の陸軍二等兵が、超人的な記憶力を武器に軍隊内部の不条理に抵抗する、というのが一応の筋です。ふとした視線の先から、膨大な思索が走り出し、その過程で古今東西のテキストが読み込まれていきます。あんまり面白くて、大西さんにお手紙を書きました。私の生涯一度きりのことです。

    (京都市 文化芸術企画課 原智治さん)

  • Nov

    24

    『和漢朗詠集』川口久雄(講談社学術文庫)

    『和漢朗詠集』川口久雄(講談社学術文庫)

    平安時代に藤原公任さんが編んだ歌集で、和歌と漢詩が計804首収められています。つまみ読みできるので、時々ちょっとだけ眺めます。公任さんの娘さんの結婚式で、お祝いの引き出物として贈られたとのこと。結婚式でお父さんが詩歌を集めて引き出物にするとか、何かすごいですね。

    (京都市 文化芸術企画課 原智治さん)

  • Nov

    25

    『片想いさん』坂崎千春(文春文庫)

    『片想いさん』坂崎千春(文春文庫)

    Suicaのペンギンやクウネルのキャラクターで知られるイラストレーターの坂崎千春さんのエッセイ。エピソードの中に登場する想い出の本や美味しいものの可愛い手描きレシピも載っていて、この一冊からどんどん世界が広がります(ちなみに、私はこれを読んだ翌日にバウルーを買ってしまいました)。とくに30代の女性に読んでほしい。可愛くて愛しくて、胸がぎゅうっと苦しくなります。

    (京都市 文化芸術企画課 藤川沙也賀さん)

  • Nov

    26

    『中谷宇吉郎の森羅万象帖』福岡伸一・神田健三・中谷芙二子ほか(LIXIL出版)

    『中谷宇吉郎の森羅万象帖』福岡伸一・神田健三・中谷芙二子ほか(LIXIL出版)

    雪の結晶に魅せられ、生涯研究者であり続けた中谷宇吉郎博士の軌跡と、彼が撮りためた結晶や火花の写真が満載のビジュアルブック。自然が作る形の美しさにため息がでます。真っ黒な紙に浮き上がるような銀色の雪の結晶や、散りばめられた素敵な言葉から、装丁を担当された祖父江慎さんの紙へのこだわりが伝わってくるようで、冬になると眺めて楽しみたくなる本です。

    (京都市 文化芸術企画課 藤川沙也賀さん)

  • Nov

    27

    『短歌ください そのニ』穂村弘(メディアファクトリー)

    『短歌ください そのニ』穂村弘(メディアファクトリー)

    穂村さんのエッセイが好きで読み始めたら、あんまり面白くて一気に読んでしまいました。短歌ってこんなに自由なんだ! という新鮮な驚きと言葉のリズムの心地よさ。つい自分でも詠んでみたくなり、電車の中や歩いてるときにぼんやり考えたりします(この時間がかなり楽しい!)。興味・知識ゼロでもきっと楽しめるので、新しい趣味を探している人にぜひオススメしたいです。

    (京都市 文化芸術企画課 藤川沙也賀さん)

  • Nov

    28

    『それって、保育の常識ですか?』柴田愛子(すずき出版)

    『それって、保育の常識ですか?』柴田愛子(すずき出版)

    「けんかはダメ!仲良くよ!」「なんでおともだちと遊ばないの」「よごしちゃダメじゃない」子どものため??大人の都合??子どもと向き合うってものすごくエネルギーいるけど、こういんことなのかなって思う一冊。

    (ミシマガジンサポーター 三宅沙弥さん)

  • Nov

    29

    『現場からオフィスまで、全社で展開する トヨタの自工程完結』佐々木眞一(ダイヤモンド社)

    『現場からオフィスまで、全社で展開する トヨタの自工程完結』佐々木眞一(ダイヤモンド社)

    トヨタ自動車が生産現場のみならずスタッフ部門にも導入した「自工程完結」という業務の考え方を紹介した書がこちら。業務というものは、気づかぬうちにその中身と「目的」が乖離していくことがままあるが、本書では、仕事の「目的」や「目標」に対して、まずは「プロセス」を正しく設計することが肝と説かれている。これにより自分の持ち場(自工程)でやるべきことやできないこと(すなわち責任)について自ら素早く判断(完結)が可能となる。一生懸命やっているのに結果が出ないとはいかに不幸なことかを自覚すべきである。一生懸命やったら、きちんと良い結果が出る、という仕事を目指さなければいけない。ですから、日々、努力しているつもりなのだが徒労感や虚無感に襲われたことがあるような方、および、日々、同じ目標に向かってチーム一丸となって超高速で仕事を果たす必要に迫られているミシマ社のスタッフ一同(もちろん私も含まれる)には、本書の研究をぜひ勧めたいと思う。

    (ミシマ社 渡辺佑一)

  • Nov

    30

    『絶対音感』最相葉月(新潮文庫)

    『絶対音感』最相葉月(新潮文庫)

    最相葉月さんの本が好きなのはなぜか。
    間違いなく、この本を読んだからです。
    本書は、パステルナークの深い挫折からはじまります。ノーベル文学賞を辞退した作家が、絶対音感と何の関わりがあるのか。ミステリーのような展開に思わず引き込まれました。
    誤解を恐れずに言えば、本書はこの能力が本当に音楽の才能と関係しているのか、を解き明かしただけではなく、「絶対」の音感などありえない、世の中の「絶対」を揺さぶった本です。読み始めると、ドキドキして人に勧めたくなる本を、僕は名著と呼んでいます。

    (梅田 蔦屋書店 人文コンシェルジュ 三砂慶明さん)