今日の一冊バックナンバー

  • Nov

    01

    『ゲド戦記1   影との戦い』ル=グウィン/著、清水 真砂子/訳(岩波書店)

    『ゲド戦記1 影との戦い』ル=グウィン/著、清水 真砂子/訳(岩波書店)

    もしも、17歳の自分に本を一冊渡すことができるのなら、迷わずこれを選びたい。少年ゲドの影をめぐる静謐なこの物語は、どきどき・はらはらさせる冒険もの、なんて一言では片付けられないほど、深い示唆に満ちあふれている。ほんとうに恐ろしいものを、目をそらさずにみつめたその先にあったものは--。大人になってから読んだけれど、それはそれは、パンチの効いたメタファだった。物語が、現実の私に力をくれるというのは、こういうことなんだ。

    (北海道 紀伊國屋書店札幌本店 林下沙代さん)

  • Nov

    02

    『ヒーシーイット レモン』ウィスット・ポンニミット(ナナロク社)

    『ヒーシーイット レモン』ウィスット・ポンニミット(ナナロク社)

    タムくん(ウィスット・ポンニミットさんの愛称)の漫画を読むといつも、なつかしいような、何かを思い出すような気持ちになってしまう。いつかみた風景、どこかで耳にした音楽や知らない誰かの会話なんかがきっと、頭が忘れていたとしても身体のどこかに記憶されていて、いつか思い出されることを待っていて、読むことでそれがどんどん溶け出していくような...。彼の漫画を読むことは、そんなあたたかさに、じんわりとみたされる体験なのです。

    (北海道 紀伊國屋書店札幌本店 林下沙代さん)

  • Nov

    03

    『あわいの力』安田登(ミシマ社)

    『あわいの力』安田登(ミシマ社)

    なんてあたらしい本なんだ!(あたらしすぎる!)。はじめて読んだ時、そうおもった。遠い昔の文字の話から、これからの未来をみつめる。不思議なくらい話に入りこめたのは、身体感覚を通して語られた言葉であるからだろう。この本を読んだ後、職場である書店の中が、壮大な森に見えてきたのは、言うまでもない。

    (北海道 紀伊國屋書店札幌本店 林下沙代さん)

  • Nov

    04

    『レコードと暮らし』田口史人(夏葉社)

    『レコードと暮らし』田口史人(夏葉社)

    ここで紹介されるのは戦後日本で様々な目的を持ってつくられた、けして歴史には残ることのないような、レコードたち。これらにじっくりと耳を傾けることでみえてきた、作り手の気持ちや、その背後にある生活や息づかい。今やもう人が、時代が、忘れてしまっているような、大切にしたい何か。自分の目と耳でしっかりとものを見てきた方のお話は、ほんとうに面白い。そして深く、考えさせられるものがあります。

    (北海道 紀伊國屋書店札幌本店 林下沙代さん)

  • Nov

    05

    『【ポケット版】「暮しの手帖」とわたし』大橋鎭子(暮しの手帖社)

    『【ポケット版】「暮しの手帖」とわたし』大橋鎭子(暮しの手帖社)

    戦前、戦中、戦後と常に家族やまわりの人たちのことを考えながらも、いきいきと人生を送った女性、大橋鎭子さん。人として本当に大事なことを教えてくれます。

    (ミシマガジンサポーター 平野美香さん)

  • Nov

    06

    『誰も知らない世界のことわざ』エラ・フランシス・サンダース/著、前田まゆみ/訳(創元社)

    『誰も知らない世界のことわざ』エラ・フランシス・サンダース/著、前田まゆみ/訳(創元社)

    『翻訳できない世界のことば』の続編です。なかでも印象的だったのが、フランスの「ザワークラウトの中で自転車をこぐ」ということわざ。日本語だと「畳の上の水練」や「糠に釘」といったことわざを彷彿とさせますが、微妙にニュアンスが違うようで、もう一歩も前に進めない「お手上げ状態」を指すときに使うそうです。それにしてもやっぱりフランスは比喩もおしゃれだなあ。

    (ミシマ社 田渕洋二郎)

  • Nov

    07

    『能百十番』増田正造(平凡社)

    『能百十番』増田正造(平凡社)

    能の入門書は案外たくさん刊行されているが、私が長く付き合っているのがこれ。はじめはめくるめく多くのカラー演能写真にうっとりしていたのだが、実はこの本の真骨頂は解説文にあった。能のあらすじの紹介というより、玉の言葉や演劇批評の立場で能の魅力に迫ろうとする。能を「長い詩」として読んでほしい筆者の願いが込められている。折々に読んでは新しい発見が。増田正造氏によると、「能は斬新な発想の宝庫」。

    (能楽師ワキ方 有松遼一さん)

  • Nov

    08

    『新潮日本古典集成 連歌集』島津忠夫/校注(新潮社)

    『新潮日本古典集成 連歌集』島津忠夫/校注(新潮社)

    全集にも名著あり。連歌は中世に爆発的に流行した文芸である。まず巻末の解説がわかりやすい。新潮集成は全文訳が特長だが、本書は、付合や句の創成された場を推定してあえて踏みこんだ言及にも挑戦している。精緻な考証。連歌が座の文学であることを教えてくれる。
    校注者の島津忠夫氏は連歌研究の大家。京大国文学会や冷泉家で数度だけお会いした。はにかみを含んだ優しい語り口で応援して下さった。今年の四月にご逝去。私は先生の講義を直接拝聴できなかったが、この本が私の連歌の先生である。

    (能楽師ワキ方 有松遼一さん)

  • Nov

    09

    『茶道の哲学』久松真一(講談社学術文庫)

    『茶道の哲学』久松真一(講談社学術文庫)

    京大心茶会の亭主を務めたとき、理想の茶席とは何か、毎日考えていた。点前稽古や道具組みの練り上げはもちろんだが、その先にあったのは、「一瞬一瞬を全うする人の茶事」という途方もない境地だった。まさしく禅者の生き方である。久松真一は京大教授で茶禅に生きた人。茶道を綜合的文化体系と看破し、創造的主体としての無を説いた。「人間の達人」の言葉は核心的で深い。

    (能楽師ワキ方 有松遼一さん)

  • Nov

    10

    『日本語の作文技術』本多勝一(朝日文庫)

    『日本語の作文技術』本多勝一(朝日文庫)

    おばあちゃんの知恵や、「ここはこうするもんや」というおっちゃんのアドバイスは人生において有益だが、日本語の作文に関して、文法やローカルルールを示す人は多くても理路整然とした道を案内してくれる人は少ない。しかし、私は中学生の時に本書に出会ってしまった。ほとんど惚れた。今にして思えば、この本の明晰さが、将来国語学国文学を研究しようと思う伏線だったのかもしれない。

    (能楽師ワキ方 有松遼一さん)

  • Nov

    11

    『たもんのインドだもん』矢萩多聞(ミシマ社)

    『たもんのインドだもん』矢萩多聞(ミシマ社)

    最近の本から。さらりと読めるのだけれど、内容が豊かである。この心地良いゆとりは、豊饒なインドと、寛裕な著者の幸せな巡り合いによるのだろう。「このなめらかさ」「すりつぶしたもの」「うまみがひそんでいる」。文章のひらがなが喜んでいるように見える。濃密な体験をすらりと書くのがとてもかっこいい。薄っぺらい本が次々に消費されていく社会の中で、地味に白眉の一冊だと思う。

    (能楽師ワキ方 有松遼一さん)

  • Nov

    12

    『内田樹の生存戦略』内田樹(自由国民社)

    『内田樹の生存戦略』内田樹(自由国民社)

    内田先生ありがとうございます! おかげで「もやもや」がすっかり晴れました。「どんな相手と結婚しても、そこそこ幸福になれる能力」、これさえ身につけることができたなら、それほど頭が良くなくても、それほど体が丈夫でなくても、日々ほがらかに過ごせるのでは? と気持ちが楽になりました。

    (ミシマガジンサポーター Hamiさん)

  • Nov

    13

    『おじいの海』濱井亜矢(福音館書店)

    『おじいの海』濱井亜矢(福音館書店)

    「おじいは今日も海に出ます。」
    抜けるような青い空と波立つ海。その間にほほえむおじい。ざぶんと海に飛び込み、追い込み漁を一人でこなすおじい。おじいが海に出るのはなぜなんだろう。きっと理由なんてないんだけど。人が一生かけて続けていけることってこういうことなんだろうなと思った。おじいは今日も海に出る。で、ぼくは今日、なにをするんだろうか。

    (ミシマ社 鳥居貴彦)

  • Nov

    14

    『マチネの終わりに』平野啓一郎(毎日新聞出版)

    『マチネの終わりに』平野啓一郎(毎日新聞出版)

    天才ギター奏者の恋愛を描いた小説ですが、ここまで心揺さぶられるものか、と驚いてしまいました。今年4月に刊行以来重版が続くタイトルで、一時期弊社で受注している付物(本文用紙以外のカバーや見返などの部分)の用紙供給が綱渡りの時もあったほどです。ただ失礼を承知で申し上げますと、まだまだ売れていてもおかしくないほどの作品だと確信できます!援護射撃として「今日の1冊」に推薦いたします。

    (株式会社竹尾 佐藤悠さん)

  • Nov

    15

    『移動祝祭日』ヘミングウェイ(土曜社)

    『移動祝祭日』ヘミングウェイ(土曜社)

    得意先の土曜社様より、11月1日創刊の土曜文庫において、用紙選定のご依頼を頂きました。本文紙選定にあたっては代表の豊田様が理想に近い銘柄を丹念に拾っていき、それに対し私が在庫面や紙質アドバイスをさせて頂き、候補を絞るという作業を続けました。何度も束見本の製作を重ね、最終的には日本製紙「淡クリーム琥珀N」に落ち着きました。表紙は提案差し上げた三菱製紙ダイヤバルキーというラフな風合いの嵩高紙に決まりました。土曜文庫、続々刊行予定です。

    (株式会社竹尾 佐藤悠さん)

  • Nov

    16

    『永い言い訳』西川美和(文藝春秋)

    『永い言い訳』西川美和(文藝春秋)

    先日娘の入園権利を得る為幼稚園前に徹夜で並んだ後、褒美ということなのか、1人で映画でも見てきなさいということに。映画を見るのは本当に久しぶりで、選んだのは『君の名は』ではなく『永い言い訳』(もっくんが好きだから)。何回も泣いてしまいました。映画を見てから原作を見るという流れ。葛西薫氏による美しい装丁(弊社アラベール採用)は所有する喜びを喚起。劇中にミシマ社様名義の弔花が登場。エンドクレジットに是枝裕和氏の名前があり、その繋がりでしょうか?

    (株式会社竹尾 佐藤悠さん)

  • Nov

    17

    『すずしろ日記』山口晃(羽鳥書店)

    『すずしろ日記』山口晃(羽鳥書店)

    羽鳥書店様とは紙屋として最近お取引を始めさせて頂きました。『すずしろ日記』は東京大学出版会PR誌「UP」に連載中の、画家・山口晃氏のエッセー漫画をまとめたものです。現在2巻まで刊行されています。1話が見開き2Pでまとめられており、仕事から帰ってきて寝るまでの僅かな時間に、1日1話ずつ惜しむように読み、癒されたことを思い出します。氏のさりげない日常が心に染み入ります。

    (株式会社竹尾 佐藤悠さん)

  • Nov

    18

    『あいであ』こうの あおい(アノニマ・スタジオ)

    『あいであ』こうの あおい(アノニマ・スタジオ)

    編集者のご紹介により著者のこうの様とご挨拶させて頂く機会がございました。今年80歳のこうの様は非常にエネルギッシュでいてかつチャーミングなお方。グラフィックデザイナー河野鷹思氏のご息女で、マックス・フーバー氏のパートナーでらっしゃいます。色彩豊かなこの絵本の原画を再現する為に、風合いと印刷再現性を備えたミルトGAスピリットという用紙を提案し 採用されました。安い紙ではありません。作品の魅力を最大化する為に、最適な用紙を極力採用する、強い姿勢をアノニマ様から感じました。

    (株式会社竹尾 佐藤悠さん)

  • Nov

    19

    『21世紀の不平等』アンソニー・B・アトキンソン/著、山形浩生、森本正史/訳(東洋経済新報社)

    『21世紀の不平等』アンソニー・B・アトキンソン/著、山形浩生、森本正史/訳(東洋経済新報社)

    厚いハードカバーで表やグラフや専門用語も出てくる経済学者の本。正直内容の6割くらいしかわかっていないが、今ある不平等をどうにかしたいという著者の熱い想いと、現実にはどう実践するかというクールな方法論と、何より世界は良い方向に向かうという楽観が気持ちをとても明るくしてくれた。おすすめです。

    (ミシマガジンサポーター 吉田佐千子さん)

  • Nov

    20

    『その島のひとたちは、ひとの話をきかない――精神科医、「自殺希少地域」を行く』森川すいめい(青土社)

    『その島のひとたちは、ひとの話をきかない――精神科医、「自殺希少地域」を行く』森川すいめい(青土社)

    「それは相手を変えようとしない力かもしれない」――本書は自殺予防因子を探し求め、「自殺希少地域」を訪ね歩いた精神科医の旅の記録である。人は様々な理由で死を選ぶ。確かにそのすべてに適用できるような処方箋、解決策、万能薬はないかもしれない。でも、ちょっとしたことで、人が生きやすくなるのだとしたら......。
    答えのない暗闇で、足元を照らし出してくれる本だと思う。

    (ミシマ社営業チーム 池畑索季)

  • Nov

    21

    『翻訳できない世界のことば』エラ・フランシス・サンダース/著、前田まゆみ/訳(創元社)

    『翻訳できない世界のことば』エラ・フランシス・サンダース/著、前田まゆみ/訳(創元社)

    ほかの言葉ではそのニュアンスをうまく表現できない「翻訳できないことばたち」を紹介した本です。たとえばFORELSKET(フォレルスケット/ノルウェー語)は「語れないほど幸福な恋に落ちている」という意味。もしかしたら、言葉では表せないあなたの感情が、どこかの国の素敵な言葉として紹介されているかもしれません。さて、日本語ではどんな言葉が紹介されているでしょうか?当たり前に使っている日本語の言葉を新鮮に感じることもできます。イラストも美しく、自分に、誰かに、プレゼントしたくなる一冊です。

    (アマクサローネ実行委員会 森本千佳さん)

  • Nov

    22

    『ほしいものはなんですか?』益田ミリ(ミシマ社)

    『ほしいものはなんですか?』益田ミリ(ミシマ社)

    「わたしたち いつの間にか張り合わされてる 自分の持ちものを見せあったって しょうがないのに」
    専業主婦ミナ子。独身一人暮らしタエ子。二人の会話や独り言は、私たちに日々泡のように現れては消える小さなひっかかりを思い出させてくれます。私もこんなこと考えてた。何気ない日常の漫画ですが、あのときの"私"を見つけて、すぐにミナ子やタエ子に寄り添ってしまう漫画です。そんな大人をミナ子の子どもリナちゃんはどう見つめているしょうか。自分の日々、ほしいものはなんだろう?とつぶやいてしまう一冊です。

    (アマクサローネ実行委員会 森本千佳さん)

  • Nov

    23

    『あわいの力 「心の時代」の次を生きる』安田登(ミシマ社)

    『あわいの力 「心の時代」の次を生きる』安田登(ミシマ社)

    まだ知らない、まだ出会ったことのない、自分なのか、じゃないのか。自分って形の外なのか、内なのか。あわわわわ、な感じです。

    (アマクサローネ実行委員会 永田有実さん)

  • Nov

    24

    『小商いのすすめ 「経済成長」から「縮小均衡」の時代へ』平川克美(ミシマ社)

    『小商いのすすめ 「経済成長」から「縮小均衡」の時代へ』平川克美(ミシマ社)

    いわゆる「フリーでやってる」は「自由」なのがいいとかわるいとか。じゃいったいどうすればいいんだよっ!てときに空気に包まれながら読んでいるとその1行から"光"がさしたって感じです。

    (アマクサローネ実行委員会 永田有実さん)

  • Nov

    25

    『評伝 天草五十人衆』天草学研究会(弦書房)

    『評伝 天草五十人衆』天草学研究会(弦書房)

    遠い昔から今につながる道を、切り開き歩いてきた人たちの姿をここに見ることができた。ふるさとの偉大さは、そこに生きた人の偉大さだった。それに感謝する生き方で後に来る人たちに繋ぎ伝える。ふるさとを語るとき、この一冊が導く力は大きいと思う。

    (アマクサローネ実行委員会 永田有実さん)

  • Nov

    26

    『告発 児童相談所が子供を殺す』	山脇由貴子(文春新書)

    『告発 児童相談所が子供を殺す』 山脇由貴子(文春新書)

    実習に行ったときに、「この仕事をやりたい!って思う人がこの仕事をしたらいいのになと思います」と言われて、なんでそんな当たり障りのないことをわざわざ言うのだろうって思っていたのですが、この本を読んでその真意がわかったような気がします。

    (ミシマガジンサポーター 三宅沙弥さん)

  • Nov

    27

    『健康半分』赤瀬川原平(デコ)

    『健康半分』赤瀬川原平(デコ)

    今年ひさしぶりに、なんていうか、「本気のカゼ」をひきました。元気なことのありがたみや、働き方や日々の生活のことなど、自分を見つめなおすきっかけになって、「バカはカゼをひかない」でずっとやってきた私にとっては、ある意味新鮮な体験でした。そんなときに出会ったのがこの本です。赤瀬川さんも、そういうことをユーモアをまじえて書いていて、「うんうん、ふむふむ」とうなずきまくって読んだのでした。

    (ミシマ社 長谷川実央)

  • Nov

    28

    『長い道』こうの史代(双葉社)

    『長い道』こうの史代(双葉社)

    本書の主人公は、こうの作品に多いのんびりしつつも真面目に働く女性だ。その夫は、ろくに働かないで他所に女を作るダメ男だ。その夫婦の日常が、3~4ページという短い話の連なりで描かれる。全体にほがらかな雰囲気である。が、ところどころでこの夫婦はいつ終わってもおかしくないのだと、はっとさせられる。実際に物語中で一度離縁することもあるし、妻は夫の他に長年片思いする人がいることがわかり、夫は一時他所の女を本気で好きになる。一つの話の終わりには、オチがついていて、読者は笑わされる。が、やはりはっと考えることになるだろう。私たちの日常も、これくらい危ういものではないだろうか、と。

    (ミシマ社 京都オフィスデッチ 八木智大)

  • Nov

    29

    『ゴーマニズム宣言SPECIAL 大東亜論第二部 愛国志士、決起ス』小林よしのり(小学館)

    『ゴーマニズム宣言SPECIAL 大東亜論第二部 愛国志士、決起ス』小林よしのり(小学館)

    本作の時代は明治。士族の反乱とその挫折、それが自由民権運動に発展する様子が描かれている。現在2巻まで出ており、雑誌「SAPIO」(小学館)で連載中である。主人公は後に大アジア主義の大物となる、頭山満である。連載現在の頭山、その仲間たちはまだ若い。とてつもないエネルギーで自由民権運動に取り組む彼らが今後どのようにして、大アジア主義の活動をはじめるのか、楽しみである。扱うテーマは堅いが、ギャグ漫画家としても名の高い小林の作品だけあって、とにかく笑える。エロいところもある。元気をもらえる一冊である。

    (ミシマ社 京都オフィスデッチ 八木智大)

  • Nov

    30

    『西の魔女が死んだ』梨木香歩(新潮社)

    『西の魔女が死んだ』梨木香歩(新潮社)

    都会に住み、突如学校に行けなくなってしまったマイと田舎でのんびり暮らすおばあちゃんの物語。実は魔女であるというこのおばあちゃん。学校を休んでいる間に一緒に暮らしマイも魔女修行をすることに。何気ない暮らしに盛り込まれた新しい発見の数々。日々の生活の中で私たちは何を大切にすべきなのかのヒントが散りばめられています。落ち着きたい時、ほっとしたい時にオススメの心あたたまる小説です。

    (ミシマ社 京都オフィスデッチ 上原綾夏)