今日の一冊バックナンバー

  • Jan

    01

    『マチネの終わりに』平野啓一郎(毎日新聞出版)

    『マチネの終わりに』平野啓一郎(毎日新聞出版)

    毎年、じわりじわりと腸内環境を変化させる微生物のように身体の奥底に生息し、「腸に効く」小説にいくつか出会う。一昨年でいえば、西川美和監督の『永い言い訳』がそうだったし、昨年は、平野啓一郎さんの『マチネの終わりに』が筆頭に挙げられる。クラシックギター奏者というあまり知らない職業の男性と、世界的な映画監督を父にもつ女性ジャーナリストとの恋愛。そのあまりに運命的で劇的なすれ違いが生む切なさが、一度も聞いたはずのないギターの音色とともに、読む者の身体に染み込んでくる。そして読む者の過去と未来までも変えてしまう。まったく、傑作と呼ぶほかない作品です。

    (ミシマ社 三島邦弘)

  • Jan

    02

    『なつみはなんにでもなれる』ヨシタケシンスケ(PHP研究所)

    『なつみはなんにでもなれる』ヨシタケシンスケ(PHP研究所)

    ヨシタケさんのイラストと、描き文字をみていると、指先の血管から脳内細胞にいたるまでが「かわいい!!!」とわなわな震えます。スケッチ集も、絵本も、どれも本当にすきですが、この『なつみはなんにでもなれる』は昨年12月に刊行されたばかりの新作絵本。「なつみ」が、お母さんにいろんなもののマネをしている姿を見せて、何をマネてるかお母さんに当てさせる・・・・・・という流れなのですが、イラストと色使いのかわいさはもちろん、力強さ、どこまでも突き抜けていくなつみの、はてしない未来に、なんだか猛烈に胸を打たれてしまいました。お子さんが読んでも絶対に楽しい。でも、大人にもぜひ読んでみてほしい。この表紙のなつみの姿が、わたしのなかでのお守りになりました。

    (ミシマ社 新居未希)

  • Jan

    03

    『ラングザマー 世界文学でたどる旅』イルマ ラクーザ/著、山口裕之/訳(共和国)

    『ラングザマー 世界文学でたどる旅』イルマ ラクーザ/著、山口裕之/訳(共和国)

    直訳すれば「もっとゆっくりと」。仕事中は同時にいくつもの業務をこなし、通勤時はスマートのフォンの画面を見つめ、あるいはヘッドフォンから好みの音楽を流し、自宅ではテレビを点け、休日は「イベントハンティング」......まるで「真空恐怖」とでも言える状態。速さと比例するように情報と記号の密度は増えるが、決して満足することはない。そして反比例するように直接的な体験は少なくなっていき、「そのもの」を観察する力も失われていく。そんな私たちに、いま、必要なものとは?――読書を通じて時間の回復を試みる、世界文学ガイド。

    (ミシマ社営業チーム 池畑索季)

  • Jan

    04

    『十階―短歌日記2007』東直子(ふらんす堂)

    『十階―短歌日記2007』東直子(ふらんす堂)

    歌人の東直子さんが短歌で綴る365日。十階の建物に住みながら、そこから見える世界を短歌にしていく。一ページずつ、短歌と短い日記が綴られています。その日に見たもの、聞いたものが短歌になって、読み返すとその時の記憶を呼び覚ますような言葉たちがあります。今から10年前の2007年の短歌日記、東さんはどんな世界を見ていたのでしょうか。

    (岡田千聖)

  • Jan

    05

    『身体が語る人間の歴史』片山一道(筑摩書房)

    『身体が語る人間の歴史』片山一道(筑摩書房)

    これまで人類は、「ホモ・サピエンス(知恵あるヒト)」、「ホモ・ファベル(工作するヒト)」「ホモ・ルーデンス(遊ぶヒト)」など、様々な観点から人間を定義づけしてきました。この本では「ホモ・モビリタス(移動するヒト)」、つまり移動をすることに人間の本質があるのではないかという議論がされています。なかでも「足と頭とは同時に人間に備わったのではなく、足が先で、頭が後」なのだという一節に衝撃を受けました。あくまで、歩き回り、走り回るうちに今の脳の形に進化していった...。走ろう、と思いました。

    (ミシマ社 田渕洋二郎)

  • Jan

    06

    『サバニ 旅をする舟』村山嘉昭(林檎プロモーション)

    『サバニ 旅をする舟』村山嘉昭(林檎プロモーション)

    サバニに乗りたい。かつて沖縄の海人たちが大海原に漕ぎだし、風に乗って駆け回った木造船。その無骨な姿にものすごくあこがれる。本書はサバニで九州から島々を航海した旅の記録。いまもサバニと一緒に海に出ている人がいる、ということに安心感を覚える。

    (ミシマ社 鳥居貴彦)

  • Jan

    07

    「内田百閒集成14 居候(そうそう)」内田 百閒(筑摩書房)

    「内田百閒集成14 居候(そうそう)」内田 百閒(筑摩書房)

    ほとんどのページに入っているのは、版画家・谷中安規の絵です。おもしろくて、かわいくて、でもどこか不思議で、絵の向こう側がすごく気になります。文豪の本で、しかも文庫本で、見た目からこんなに楽しい本に出会ったのははじめてでした。そして、これまたはじめてその文章にふれて、「授業で名前聞いた人」どまりだった内田百閒のおもしろさを今さら知りました。私の新たな読書の扉をひらいてくれた一冊です。(※タイトルの「そうそう」は実際は漢字表記ですが、パソコンではこの漢字が出てこないので、筑摩書房さんのウェブサイトの表記にあわせています。)

    (ミシマ社 長谷川実央)

  • Jan

    08

    『あえて選んだせまい家』加藤郷子(ワニブックス)

    『あえて選んだせまい家』加藤郷子(ワニブックス)

    自分でも理由がわからないのですが、小さな家、せまい部屋、といったものに心を惹かれる習性があります。そんな私にとって本書は大ヒット。55平米の家で5人暮らしをする家族等々、強者たちが登場しています。せまい家で気持ちよく暮らすコツは、自分が持っているものを把握して、定期的に見直し選び直すこと、だそうで。大掃除シーズンが終わった年明けですが、あらためて自分の部屋を見直したいと思います。

    (ミシマ社 星野友里)

  • Jan

    09

    『大切なことに気づく365日名言の旅』(ライツ社)

    『大切なことに気づく365日名言の旅』(ライツ社)

    あなたの誕生日は誰の名言だろう? 1月3日なら坂本龍馬、3月14日ならアインシュタインというように、365日、その日に生まれた偉人の名言を読むことができる一冊です。名言は世界中の景色とともに掲載されており、毎日1つずつ、まるで世界一周するかのように言葉と景色で大切なことを思い出すことができます。2016年秋に創業したライツ社の第一弾となる書籍です。大切な人への誕生日プレゼントに、ぜひ。

    (ライツ社 代表取締役・編集長 大塚啓志郎さん)

  • Jan

    10

    『紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている』佐々涼子(早川書房)

    『紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている』佐々涼子(早川書房)

    「一度でも、本に救われたことがある」。そんな方におすすめの一冊です。東日本大震災で甚大な被害を受けた、日本製紙の石巻工場の崩壊から再生の物語が丁寧にまとめられています。読みながら、タイトルにある「紙つなげ!」という言葉の意味を改めて知ったとき、僕は涙が止まりませんでした。以来、出版業界にいる一員として、いち編集者として、僕は石巻工場から生まれた「b7バルキー」という書籍用紙を使い続けています。

    (ライツ社 代表取締役・編集長 大塚啓志郎さん)

  • Jan

    11

    『100均フリーダム』内海慶一(ビー・エヌ・エヌ新社)

    『100均フリーダム』内海慶一(ビー・エヌ・エヌ新社)

    「2017年、まだ腹を抱えて笑っていないな」という人におすすめです。唐突な商品コンセプト、ざっくりしたデザイン。見れば見るほど味わい深い、すてきな100均クリエイティブの世界を見事に解説した一冊です。たとえば、なぜか黄緑色の目をしたパンダの置物に対しては、「人間には、パンダの目を黄緑色に塗る自由がある」という、一見深そうでまったく深くないコピーが添えられています。できれば、この本も100円で買ってみたかった。

    (ライツ社 代表取締役・編集長 大塚啓志郎さん)

  • Jan

    12

    『哲学の謎』野矢茂樹(講談社現代新書)

    『哲学の謎』野矢茂樹(講談社現代新書)

    大げさだが人生が変わった一冊。この本を読んでから哲学にハマり、都合8年間勉強した。東京大学大学院の教授である著者が、一見難しい哲学も、実は私たちが日常で持つ些細な疑問から出発しているということをわかりやすく教えてくれる。「夕日は本当に赤いのか?」「時間は時速1時間で流れているか?」「私が死んでも世界は存在するか?」以上のような問いに興味を惹かれた人はぜひ読んでほしい。きっといるはず。

    (ライツ社 代表取締役副社長・営業責任者 高野翔さん)

  • Jan

    13

    『ロング・グッドバイ』レイモンド・チャンドラー/著、村上春樹/訳((ハヤカワ・ミステリ文庫)

    『ロング・グッドバイ』レイモンド・チャンドラー/著、村上春樹/訳((ハヤカワ・ミステリ文庫)

    ミステリー好きならオススメの一冊。さらにあなたがもし村上春樹を好きならまず間違いない。私は村上春樹の長編をほぼ読んでしまい、次に何を読もうか決めかねていたときにこの本を買った。とても分厚い本なのだが、勢いよく読み進められるのはチャンドラーの文章が突き抜けて上手い(春樹曰く「ほとんど夢の領域に達している」)から。ただしこの本を読んだあとでおもしろいと思う本の水準が上がってしまい、これぞ!と思える本が少なくなり少し困っている。

    (ライツ社 代表取締役副社長・営業責任者 高野翔さん)

  • Jan

    14

    『新しい広場をつくる』平田オリザ(岩波書店)

    『新しい広場をつくる』平田オリザ(岩波書店)

    街のあちこちに出会いの場=コミュニティスペースを作っていくことで、地方都市の再生の道を探る。その「新しい広場」の一つに劇場や音楽ホールはなっていけるし、変わっていくのが役割ではないかと、平田オリザさんは提唱しています。

    (ミシマガジンサポーター EishiNさん)

  • Jan

    15

    『写真でわかる! 家事の手間を9割減らせる部屋づくり』本間朝子(青春出版社)

    『写真でわかる! 家事の手間を9割減らせる部屋づくり』本間朝子(青春出版社)

    家事は毎日発生するもの。その手間を減らすためには、部屋に「流れ」をつくることが大事だと著者は説きます。流れよくモノを配置し、最適な家事の流れをルール化し、そもそも家事が生まれにくい部屋にすることがポイント。これって、家事に限らず、オフィスワークの流れをよくする際にも大いに参考になります。その考え方、具体的なヒントが詰まった一冊です。

    (ミシマ社 渡辺佑一)

  • Jan

    16

    『じつは、わたくしこういうものです』クラフト・エヴィング商會(文春文庫)

    『じつは、わたくしこういうものです』クラフト・エヴィング商會(文春文庫)

    友人のオススメで本を読む機会が少なくはなく、この本もそんな一冊です。18人の人物がそれぞれ働いている架空の仕事について語っていくという、何だか縁側でぼーっと空を眺めながら、ありもしない楽しい空想に耽っているような気分になれる本。とくに印象的だった冬眠図書館のシチュー当番を現実にやってみようと、1月28日に企画するイベントの告知もかねて...(→『冬眠図書館』 at. MINOU BOOKS & CAFE

    (MINOU BOOKS & CAFE 石井勇さん)

  • Jan

    17

    『庭のつるばら』庄野潤三(新潮文庫)

    『庭のつるばら』庄野潤三(新潮文庫)

    穏やかな気分になりたい時や、何となく心が忙しない時によく読みます。パッとページを開いてどこからでも読み進められるくらい、毎日の日常を淡々と繰り返し綴っているのに、植物や家族、友人、音楽との心の交流がありありと感じとれて、ささやかな日常がいちばん心地いいんだなと改めて感じさせてくれます。

    (MINOU BOOKS & CAFE 石井勇さん)

  • Jan

    18

    『まぁまぁマガジン 22号』(mm books)

    『まぁまぁマガジン 22号』(mm books)

    『マーマーマガジン』あらため、『まぁまぁマガジン』へと名前を変えてリニューアルのお知らせがきた時は、「なんていい名前なんだ!」と思わず唸ってしまいました。ファッションから体のこと。そして心のことから表現へ。とても自然に詩とインタビューの本として新しく生まれ変わったその内容は、普段詩を読まない自分の心の中にすっと新しい風が吹き抜けていくようでした。

    (MINOU BOOKS & CAFE 石井勇さん)

  • Jan

    19

    『アートの入り口』川内タカ(太田出版)

    『アートの入り口』川内タカ(太田出版)

    展覧会のレセプションではじめて出会ったアーティストの人となりに触れて以来、そのアーティストの作品の見方が随分変わるような、ページをめくる度にそんな経験が出来るアートの入門書。著者曰く、タブレット片手にアーティストの作品を検索しながら読むとまた面白いそうです。確かにそれは贅沢です。

    (MINOU BOOKS & CAFE 石井勇さん)

  • Jan

    20

    『COYOTE No.59 星野道夫の遥かなる旅』(SWITCH PUBLISHING)

    『COYOTE No.59 星野道夫の遥かなる旅』(SWITCH PUBLISHING)

    雑誌を隅から隅まで読んでみるということは、実はなかなかないことだと思います。これまで作品を通して断片的に知っていた星野道夫のことを、時には親しい人の言葉を通してグッと至近距離まで近づいて、時には関わりのあった人たちの話から俯瞰して見ることによって、その存在がとても綺麗な輪郭を帯びて、くっきりと浮かび上がってくる特集でした。

    (MINOU BOOKS & CAFE 石井勇さん)