今日の一冊バックナンバー

  • Mar

    01

    『ウエハースの椅子』江國香織(ハルキ文庫)

    『ウエハースの椅子』江國香織(ハルキ文庫)

    「不倫」をテーマにしているにも関わらず、"ドロドロ"とは無縁で穏やかな文体。その表現はまるで匂いや味や心地良さを感じられるようである。主人公は仕事も成功し、魅力的な恋人にも愛され生活は順調そのもの。それなのに、絶望と孤独は常に隣にいる。この作品のすごいところは、相手の恋人をただの"妻子持ちのずるい男"と思わせないのである。まるでこの恋愛は完璧であるかのように錯覚してしまうのだ。

    (ミシマ社 京都オフィスデッチ 岡 佑奈)

  • Mar

    02

    『土星マンション』岩岡ヒサエ(小学館)

    『土星マンション』岩岡ヒサエ(小学館)

    地球の周りに土星を模したリングマンションで、地球から離れて生活している人類。主人公のミツは学校卒業後、マンションの外の窓を拭く仕事へ就いた。仕事とは何か、自分とは何か、格差社会、未知の世界への憧れ、人との繋がり、温かさ。絵柄も物語もほのぼのしていて設定は遠い未来の話であるはずなのに、身に覚えがあって少しドキリとする、現代的問題とメッセージ性がある作品。

    (ミシマ社 京都オフィスデッチ 岡 佑奈)

  • Mar

    03

    『旅のラゴス』筒井康隆(新潮社)

    『旅のラゴス』筒井康隆(新潮社)

    文明を失い、代わりに人類は超能力を手に入れた世界で旅する男、ラゴスの一生涯の物語。ラゴスは一つの場所に留まることなくひたすらに旅を続け、学問に没頭し続ける。ラゴスは一体どうなるのだろう?旅をどのように終えるのだろう?そんな気持ちで読み進めてほしい。「人生は旅である」という言葉を思わず使いたくなる一冊。

    (ミシマ社 京都オフィスデッチ 岡 佑奈)

  • Mar

    04

    『職業としての小説家』村上春樹(スイッチパブリッシング)

    『職業としての小説家』村上春樹(スイッチパブリッシング)

    当たり前のことなのですが、1つの作品を書くのに、こんなにも膨大な時間を費やしているのかと驚かされます。余りにもプロすぎて、近づきがたく感じられるくらい。

    (ミシマガサポーター 深澤香里さん)

  • Mar

    05

    『私はそうは思わない』佐野洋子(ちくま文庫)

    『私はそうは思わない』佐野洋子(ちくま文庫)

    最近、夜寝る前などに、佐野洋子さんのエッセイをちょっとずつ読むのが楽しみになっています。勢古浩爾さんの『ウソつきの国』の編集を担当して以来、「私はどう思うのか?」と自分に問うことが増えて、そんな中で「私はそうは思わない」と言い続けられる生きざまのかっこよさに惹かれているのかもしれません。

    (ミシマ社 星野友里)

  • Mar

    06

    『思い出トランプ』向田邦子(新潮社)

    『思い出トランプ』向田邦子(新潮社)

    直木賞受賞作「花の名前」「犬小屋」「かわうそ」が収録。大人の事情・人間の裏心理がチラホラと見え隠れしてどんよりとした気持ちになるが、話しの最後のオチが絶妙でニヤッと右の口角だけで笑っている自分がいます。とにかく向田邦子さんが大好き。作品は勿論ですが向田邦子さんの生き方も同じ女性としてすごく憧れます。もう少し長生きされていたのならどんな作品があったのかと思うととても残念です。

    (大阪府 PALNET 大和田店 山脇友美さん)

  • Mar

    07

    『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』リリー・フランキー(新潮社)

    『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』リリー・フランキー(新潮社)

    2006年本屋大賞受賞。簡単に言えばオカンとボクの話し。ただのマザコン話しではありません(笑)。不思議な親子関係のなかに母親の優しさ・強さ・可愛さをリリーさん目線で現実といつものユーモアを忘れることなく冷静に書かれています。涙・鼻水が止まらないぐらい泣いたのは、この本が初めてでした。母親(父親)に感謝の気持ちを照れ臭くて言えずのままの人が私を含め多いのではないでしょうか?大切なことに気づかされたな本です。リリーさんの『美女と野球』もオススメ。くだらなすぎて大笑い間違いナシ!ですが、『東京タワー』の原点も収録されています。

    (大阪府 PALNET 大和田店 山脇友美さん)

  • Mar

    08

    『生きがいは愛しあうことだけ』早川義夫(筑摩書房) 

    『生きがいは愛しあうことだけ』早川義夫(筑摩書房) 

    音楽仲間との死別を経験し、生きるとは何か?なぜ歌うのか?と日々考え続ける著者のエッセイ集。ゆっくりと丁寧に読みました。久しぶりに買って良かったな、と思える本でした。自分の想っていることをとても上手に表現できるって素晴らしいし羨ましいです。嬉しいことも悲しいことも不愉快なことも、うまく外に吐き出せたら気持ちがいいだろうなぁと思います。早川義夫さんの"天使の遺言"って曲もすごくいい曲だし歌詞もステキ。機会があればぜひとも。

    (大阪府 PALNET 大和田店 山脇友美さん)

  • Mar

    09

    『愛する言葉』岡本太郎・岡本敏子(イースト・プレス)

    『愛する言葉』岡本太郎・岡本敏子(イースト・プレス)

    太郎さん・敏子さんが、恋することについて愛することについて語られた言葉が集められた本。太郎さんの言葉(青色で)と敏子さんの言葉(赤色で)が交互に載っており、二人が対話するかのようにページが進んでいき、とてもオシャレです。誰かを想うことはとても純粋で恥ずかしいことではないなと、何度も助けられた本です。「 自分が自分自身に出会う、彼女が彼女自身に出会う、お互いが相手の中に自分自身を発見する。それが運命的な出会いというものだ。」太郎さんの言葉、重みのある深い言葉。

    (大阪府 PALNET 大和田店 山脇友美さん)

  • Mar

    10

    『深夜食堂1~17巻』安倍夜郎(小学館)

    『深夜食堂1~17巻』安倍夜郎(小学館)

    営業時間は夜12時から朝7時頃まで。メニューは豚汁定食・ビール・酒・焼酎だけ。あとは勝手に注文すれば出来るものなら作る、これがマスターの営業方針!いろいろとワケありなお客さんと庶民的な料理の郷愁漂う物語。一話読みきりでとても読みやすく、ホロリとするお話しも多い。夜中に読むと必ずお腹が減って何か食べたくなる。完全に飯テロ、危険です!!笑

    (大阪府 PALNET 大和田店 山脇友美さん)

  • Mar

    12

    『仁義なき宅配』横田増生(小学館)

    『仁義なき宅配』横田増生(小学館)

    ここ数日、新聞紙上で宅配便の値上げの話題が賑わっている。急成長しているネット通販ビジネス。そこでの買い物が「送料無料」というのは、よくよく考えれば変な話だが、一方でそれが、利用者にとって当たり前のことになっている昨今、はたして宅配の現場では、いったい何が起こっているのか。著者の横田さんは、その現場への「潜入労働」を敢行します。あるときはドライバーの助手、またあるときはデポの倉庫係として現場で実際に働き、そこで見聞したことも含めて宅配ビジネスのリアルがあぶり出される。荷物を運ぶことは、とても高度で手間のかかることだというのが、文章を通じて迫ってくる。「送料無料」というビジネスモデルは、やっぱりどこか、おかしい。そう思った。

    (ミシマ社 渡辺佑一)

  • Mar

    13

    『三省堂国語辞典のひみつ 辞書を編む現場から』飯間浩明 (新潮文庫)

    『三省堂国語辞典のひみつ 辞書を編む現場から』飯間浩明 (新潮文庫)

    辞典に関する本というと「舟を編む」を思い浮かべる方も多いと思いますが、こちらは三省堂国語辞典の編纂者による一冊。辞典に対する溢れるほどの情熱がひしひしと感じられます。特に「ライター」の語釈を書くために、一晩徹夜したというエピソードはとても驚きました。なぜたった1つの言葉で徹夜したかって?それはあなたの目で確かめてみてください...。

    (大垣書店 イオンモール京都桂川店 横谷友香さん)

  • Mar

    14

    『吉野北高校図書委員会』山本渚(角川文庫)

    『吉野北高校図書委員会』山本渚(角川文庫)

    吉野北高校に通うかずら達の進学や恋など学校生活を描く青春ストーリー。図書委員会での活動を軸に物語は進みます。この本を読んでいると、懐かしい木造校舎の匂いが感じられるのです...。ちなみにこちらは1巻目で2巻目の「委員長の初恋」、3巻目の「トモダチと恋ゴコロ」編も刊行されています。表紙イラストを描いている、今日マチ子さんによるコミカライズ版もございますよ。

    (大垣書店 イオンモール京都桂川店 横谷友香さん)

  • Mar

    15

    『佐藤ジュンコのひとり飯な日々』佐藤ジュンコ(ミシマ社)

    『佐藤ジュンコのひとり飯な日々』佐藤ジュンコ(ミシマ社)

    ミシマ社さんの「コーヒーと一冊」シリーズ第1作目。仙台在住の元書店員の佐藤純子さんによる日々のご飯本。なんといってもこの独特なほんわかイラストが可愛いです。個人的にお気に入りのエピソードは獅子のようなママがいるカレー屋さん(笑)。また、ちくま文庫で『月刊佐藤純子』も出ていますので、「ひとり飯な日々」が気に入った方には、こちらもオススメします。

    (大垣書店 イオンモール京都桂川店 横谷友香さん)

  • Mar

    16

    『喜嶋先生の静かな世界』森博嗣(講談社)

    『喜嶋先生の静かな世界』森博嗣(講談社)

    森博嗣先生といえば「すべてがFになる」などの推理小説が代表的ですが、こちらもその雰囲気を受け継いでいます。むしろ「自伝的小説」とされるこの本は、森博嗣作品の祖と言っても過言ではないと個人的には感じます。学生生活の描写に懐かしみを感じつつ、大人になったから今だからこそ共感できる部分もある、そんな一冊です。

    (大垣書店 イオンモール京都桂川店 横谷友香さん)

  • Mar

    17

    『完全版 社会人大学人見知り学部 卒業見込』若林正恭(角川文庫)

    『完全版 社会人大学人見知り学部 卒業見込』若林正恭(角川文庫)

    芸人・オードリーの若林正恭さんによるエッセイ集。M-1グランプリがきっかけで一躍テレビに引っ張りだことなった若林さんの、現実社会と自分の思いとのギャップに悩むさまが描かれています。しかし、これを読んで「あるある」と思う方も多いのではないでしょうか。個人的には「自分以外にも同じようなことを感じている人がいるんだ...!」と励みになりました(笑)。これから社会にでる人たちにもおススメしたい一冊です。

    (大垣書店 イオンモール京都桂川店 横谷友香さん)

  • Mar

    18

    『お世話され上手』釈徹宗(ミシマ社)

    『お世話され上手』釈徹宗(ミシマ社)

    上手に迷惑をかける。周りにもいるよなあと思いつつ、私はザ・現代人。迷惑かけるのもかけられるのも苦手になっているなあと反省......。

    (ミシマガジンサポーター 三宅沙弥さん)

  • Mar

    19

    『BLUE GIANT(全10巻)』石塚真一(ビッグコミックスペシャル)

    『BLUE GIANT(全10巻)』石塚真一(ビッグコミックスペシャル)

    世界で活躍するジャズプレーヤー(テナーサックス)を目指す青年の成長譚。これがまた熱く、ほんとに、面白い!! 自社刊行物の仕掛けで大阪の本屋さんを回っていたとき、園田のダイハン書房さんでどーんと積まれていて目が合い即購入(ちょうど『ラ・ラ・ランド』を観たあとでジャズに興味があったのもあり...)。漫画を読んでいるだけじゃ音楽は鳴らないということはわかっちゃいるのですが、思わず脳内に、知らないはずのジャズが満ち満ちてゆく、すごい漫画です。夢中で買い集めてしまった〜。

    (ミシマ社 新居未希)

  • Mar

    20

    『おばちゃんたちのいるところ』松田青子(中央公論新社)

    『おばちゃんたちのいるところ』松田青子(中央公論新社)

     落語や歌舞伎の怪談ものをモチーフにした連作小説。ほんまにこんなんやったらおもろいなあ、となるもののけが躍動する怪談ならぬ、快談。『ロマンチックあげない』などのエッセイに光る,松田さんの真骨頂と言うべき生活へのまなざし(つっこみ?)も随所に練り込まれているので、クスッと笑かされることしきりです。

    (追手門学院大学 経営学部 准教授 神吉直人さん)

  • Mar

    21

    『 飲み食い世界一の大阪 ~そして神戸。なのにあなたは京都へゆくの~』江 弘毅(ミシマ社)

    『 飲み食い世界一の大阪 ~そして神戸。なのにあなたは京都へゆくの~』江 弘毅(ミシマ社)

    ウェブ版ミシマガジンの連載でもおなじみ、江弘毅さんのエッセイは、とにかく読むと腹が減る。そして、街に出たくなる。居ても立っても居られなくなる、謎の行動喚起力に満ち満ちています。損得計算(コスパ)やグルメ的な記号とは格別した、店の情けを報せてくれる、まっとうなうまいもんのお話です。

    (追手門学院大学 経営学部 准教授 神吉直人さん)

  • Mar

    22

    『何度でもオールライトと歌え』後藤正文(ミシマ社)

    『何度でもオールライトと歌え』後藤正文(ミシマ社)

    「日々の生活のなかで何を買うのかということも十分に政治的だ」「君がどんな音楽を選んで聴くのかということは、どこかで社会に関わっている」。影響力あるミュージシャンとして、政治を語ることについての真摯な考察が続きます。一方で腰砕けするほどアホなエッセイも収められており、全体の構成はまるで1枚のアルバムのよう。

    (追手門学院大学 経営学部 准教授 神吉直人さん)

  • Mar

    23

    『夜行』森見登美彦(小学館)

    『夜行』森見登美彦(小学館)

    いつの間にか、背筋に冷たいものが走ったような感覚が。夜の濃密さと、そこに現れるかもしれないエアポケットのような隙間の闇を意識させてくれます。相手の携帯が鳴らないという描写を、これほど怖いと感じたことはありません。腐れ大学生やタヌキによるどたばたファンタジーだけがモリミーワールドではないということ。それもまた恐ろしい。
    明らかにミシマ社長がモチーフの人物が、恐怖を抑える箸休めのように出てきます(三島さんを知らない人には怖いキャラですが・笑)。

    (追手門学院大学 経営学部 准教授 神吉直人さん)

  • Mar

    24

    『ももクロを聴け!ももいろクローバーZ 全134曲 完全解説』堀埜浩二(ブリコルール・パブリッシング)

    『ももクロを聴け!ももいろクローバーZ 全134曲 完全解説』堀埜浩二(ブリコルール・パブリッシング)

    日本のポップカルチャー史や様々なジャンルの音楽を参照しつつ、キーや転調など技術的要素にも言及した、ももクロ全曲解説(16年2月までの全134曲)。徹底的な聴き込みによる分析と、その知見に裏打ちされた推論。その中に、しおりん、れにちゃんといった単語が並び、なんだか時空が歪んできます。とにかく、まじめでアホらしい。書いてあることを確かめたくて、何度YouTubeを開いたことか。

    (追手門学院大学 経営学部 准教授 神吉直人さん)

  • Mar

    25

    ローカルブックストアである ー福岡ブックスキューブリック

    ローカルブックストアである ー福岡ブックスキューブリック

    売り場面積13坪に1万冊の本をおいて「小さな総合書店」と自己紹介する本屋さん。小さな店はお客さんとの距離が近いことも何よりの利点と、書棚づくりの楽しさ難しさをありのままに語る。この本屋さんを見に福岡に行ってみたくなります。

    (ミシマガジンサポーター EishiNさん)

  • Mar

    26

    『損したくないニッポン人』髙橋秀実(講談社現代新書)

    『損したくないニッポン人』髙橋秀実(講談社現代新書)

    「損得ばかり考えていたらダメだぞ」と、昔よく親に怒られた。そんな父母の心配も虚しく、我ながら結構ケチな人間になったと思う。本書の著者である髙橋さんは髙橋さんで、細君から「貧乏くさい」とよく言われるらしい。世の中見渡してみれば、この「損したくない」を原動力に回っているのではないかとすら思えてくる。では、その実態は?ということで、主婦から金融屋まで、髙橋さんが自ら様々な人を尋ね、考えた一冊。「損得」を巡る人間模様はおかしくもあり、なるほどと思うこともあり。街場の経済入門としても非常に面白い。

    (ミシマ社 池畑索季)

  • Mar

    27

    『ほげらばり』小林聡美(幻冬舎文庫)

    『ほげらばり』小林聡美(幻冬舎文庫)

    「女優・小林聡美がシックな洋服を着てタマゴサンド片手に珈琲を味わう」なんて落ち着いた場面は一切なく、「ジャパニーズガール・小林聡美が半ケツになりながらタコス片手にレスラーマスクを買って海の上で森進一と化す」といった、実にとっ散らかったメキシコ旅行記です。とっ散らかり具合にはたじろいでしまいますが、それでも読後「メキシコ行ってみたい、かも」と思わせるのは、小林さんの嫌味の無い洒落た文章の成せる技です。

    (大阪府 ジュンク堂書店 高槻店 真木あすかさん)

  • Mar

    28

    『子供はわかってあげない』田島列島(講談社)

    『子供はわかってあげない』田島列島(講談社)

    書道部の門司くんと水泳部の朔田さん。ふたりの高校生がオカマ探偵の力を借りて、新興宗教団体を手掛かりに実のお父さんを探しに出る、あるひと夏のおはなしです。いや、あらすじはそうなんですけどね、でもね、ちがうんです。覚悟して読まないといけないぐらい、門司くんの小さなつぶやきは純粋で、朔田さんの髪は柔らかくいじらしい。読む度、心が静かに破裂してしまいそうになる、甘酸っぱいボーイミーツガール作品です。

    (大阪府 ジュンク堂書店 高槻店 真木あすかさん)