今日の一冊バックナンバー

  • Jun

    01

    『一億三千万人のための小説教室』高橋源一郎(岩波新書)

    『一億三千万人のための小説教室』高橋源一郎(岩波新書)

    小説教室といっても、いわゆる小説の書き方はほとんど書いてありません。教えてくれるのは、自分だけの見方で世界を眺めなければ小説は書けない、ということです。書き始める前に、クジラに足が何本あるか調べたり、テーブルのまわりを駆け回りながら、世界の見え方が変わるのを待ってみよう、と語りかけられます。最後の最後に一つだけ、書き方のアドバイスがあります。「自分のことを書きなさい、ただし、ほんの少しだけ、楽しいウソをついて」

    (ミシマ社 自由が丘オフィスデッチ 須賀紘也)

  • Jun

    02

    『スローカーブを、もう一球』山際淳司(角川文庫)

    『スローカーブを、もう一球』山際淳司(角川文庫)

    スポーツを見ながら、速く走るとかボールを投げることに意味はあるのか、と考えたことはないでしょうか。このスポーツノンフィクション集の主人公たちも、「なんでこんなことやっているのだろうか」と考えてしまいます。その答えはどれも個性的です。棒高跳びの選手は、練習中にむなしくなってしまい涙をこぼします。高校生の投手は、誰よりも遅いボールを投げる時に自分らしさを感じます。スポーツの、そして人生の豊かさに気づかせてくれる一冊です。

    (ミシマ社 自由が丘オフィスデッチ 須賀紘也)

  • Jun

    04

    『こちらあみ子』今村 夏子(筑摩書房)

    『こちらあみ子』今村 夏子(筑摩書房)

    心がぞわぞわする小説。こんな感想を持つ小説は久しぶりのような気がします。心がピュアな人は、人を傷つけるということが痛いほど伝わって何ともやるせない気持ちになります。ここまでピュアでなくとも、ある一面でピュアであることで相手を知らずに傷つけていることがいくつもあったのでは......と考えされられました。

    (ミシマガジンサポーター 金山忠司さん)

  • Jun

    05

    『STILL LIFE』一之瀬ちひろ(PRELIBRI)

    『STILL LIFE』一之瀬ちひろ(PRELIBRI)

    幾重にも深い思慮のもと平衡を保たれた感情と、そこに僅か見え隠れする圧倒的な想いの波。すこしの加減であっという間に崩れて無くなってしまう、途方もないひたむきさによって築かれている日常を切り取る、真摯なまなざしの彼女の写真と対峙するとき、わたしは、苦しいほどに愛おしい日々を思います。

    (仙台市 KANEIRI Museum Shop 6 菅原匠子さん)

  • Jun

    06

    『くままでのおさらい』井上奈奈(ビーナイス)

    『くままでのおさらい』井上奈奈(ビーナイス)

    絵本の定法ともいえるリズミカルな擬音語と反復をたずさえ、果てしなくいくつもの層を持った小さな本。それは他者との関係性のことであり、食べることであり、哲学や倫理であり、民話のようであり、恋の話であるかもしれません。自分があらゆる彼らでできていると理解したとき、見える景色は変わるでしょうか。精神と肉体の抽象の境地に向かいながら、さらなる互いの共有を試みることを考えたい本です。

    (仙台市 KANEIRI Museum Shop 6 菅原匠子さん)

  • Jun

    07

    『読む時間』アンドレ・ケルテス/著、渡辺滋人/訳(創元社)

    『読む時間』アンドレ・ケルテス/著、渡辺滋人/訳(創元社)

    1971年に最初に出版されたこの本は、さまざまな場面で人々の「読む」瞬間を捉えた、ケルテスの代表的な作品集です。コントラストの強くない、静かな色調の画面からは、紙の匂い、ページをめくるかすかな音、明るい午後の日差し、時間を刻む柔らかな時計の音がよみがえり、本を読む、この孤独な行為の力と喜びを称えるケルテスの視線に、何度も共鳴をおぼえます。

    (仙台市 KANEIRI Museum Shop 6 菅原匠子さん)

  • Jun

    08

    『建築と日常 No.3-4 合併号』長島明夫

    『建築と日常 No.3-4 合併号』長島明夫

    建築を個人単位の日常へ引き寄せ、さらに、文学・美術・映画など、ジャンルを超えて「日常」について思考を巡らせる、めずらしいテーマの冊子です。大切に思うあまりに身動きは取れなくなり、おざなりにすれば豊かさは遠のく。そのなかで注意深くバランスを取り続けていくことで、初めて日常は連続するのかも知れません。過去から確かにつながっている日常を、建築から読み解くための道標となる一冊です。

    (仙台市 KANEIRI Museum Shop 6 菅原匠子さん)

  • Jun

    09

    『ひかり埃のきみ』福田尚代(平凡社)

    『ひかり埃のきみ』福田尚代(平凡社)

    言葉や文字に対する独特の感覚を、本や文房具を用いて昇華する福田さんの作品たち。キリキリと引き絞られた糸のように、手を離した途端に遠くまで飛んで行ってしまいそうな危うさを孕み、けれど、ゆっくりとあたたかい時間の経過を感じます。思い出や日々の断片を皮膜で包み込む心地がする言葉は、幼い頃に見た夢のように懐かしく美しい。
    「ひかりほこりのきみ」
    声にだして読むと、大事なおまじないのような響きがします。

    (仙台市 KANEIRI Museum Shop 6 菅原匠子さん)

  • Jun

    10

    『みしのたくかにと』松岡享子/作、大社玲子/絵(こぐま社)

    『みしのたくかにと』松岡享子/作、大社玲子/絵(こぐま社)

    子どもの本。字(ひらがな)が読めるようになってからがいいかもしれません。ふとっちょのおばさんがすてきです。タイトルも地味で訳がわかりませんが、中身もとくに大笑いも大泣きもしません。でも、親子で読み終わったら「よかったね」って言い合うだろうなあって思いますよ♡

    (ミシマガジンサポーター S・Iさん)

  • Jun

    11

    『風かたか 「標的の島」撮影記』三上智恵(大月書店)

    『風かたか 「標的の島」撮影記』三上智恵(大月書店)

    二年前のお正月に犬を連れて散歩していた砂浜が、テレビに大きく映し出されていた。ぼんやり歩いた波打ち際にはバラバラになった飛行機が散らばっていた。オレンジのテープで分断された砂浜。現実とテレビの中の世界がうまく結びつかない。あののんびりとした街の隅っこで、いまなにがおこっているのか。テレビはどこまでいってもテレビだし、本は活字でしかない。スクリーンに映し出される世界が現実なのか、すぐには理解できない。でもあの砂浜のあの強い日差しとやわらかい風を僕はしっている。

    (ミシマ社 鳥居貴彦)

  • Jun

    12

    『猫弁 天才百瀬とやっかいな依頼人たち』大山淳子(講談社)

    『猫弁 天才百瀬とやっかいな依頼人たち』大山淳子(講談社)

    読み終えたときに、やさしい気持ちになれる本です。タイトルの通り、猫に囲まれた法律事務所で働く天才弁護士が変わった依頼主からの案件を解決していくという物語です。主人公のお人好しすぎる行動に、笑ったり感動したり・・・心動かされる一冊です!

    (図書印刷 早馬秀輔さん)

  • Jun

    13

    『博士の愛した数式』小川洋子(新潮社)

    『博士の愛した数式』小川洋子(新潮社)

    普段、あまり読書をしない兄が熱心に読んでいるのをみて、思わず手にとった本です。主人公の「博士」は、こんな数学教師がいたら、もっと数学に関心をもっていたのではと思うほど、数字を楽しく語ってくれます。算数・数学が苦手な人にも「数字」の面白さを感じさせてくれる一冊です。

    (図書印刷 早馬秀輔さん)

  • Jun

    14

    『舟を編む』三浦しをん(光文社)

    『舟を編む』三浦しをん(光文社)

    この本を読むまえは、辞書の物語ということをきいて、正直、地味でつまらない内容なのではないかと思っていました。しかし、友人の勧めで、いざ読んでみると、登場人物たちの辞書づくりに懸ける熱い思いに何度も心を動かされました。何かに夢中になれる人はかっこいいと改めて気付かされる一冊です。

    (図書印刷 早馬秀輔さん)

  • Jun

    15

    『チーズはどこへ消えた』スペンサー・ジョンソン(扶桑社)

    『チーズはどこへ消えた』スペンサー・ジョンソン(扶桑社)

    入社後の研修で、新入社員に是非読んでほしいと勧められて読んだ本です。主人公のネズミたちが目の前にある大量のチーズに満足し、いつまでもそこに居座り、次第にチーズが減っていることに気付くが・・・という物語です。この本から学んだことは、現状に満足し変化を恐れ何も行動しないことが、実は一番恐ろしいということです。自身がこれから生きていくなかで教訓にしている一冊です。

    (図書印刷 早馬秀輔さん)

  • Jun

    16

    『エキストライニングス』松井秀喜(文春文庫)

    『エキストライニングス』松井秀喜(文春文庫)

    野球好きでない人にも是非おすすめしたい本です。日本のプロ野球で10年、メジャーリーグで10年、計20年間、第一線で活躍した松井選手が影響を受けた人物や教えなどが書かれています。読み終えた後、松井選手ほどの人物が、これだけ周囲の意見を素直にとりいれていたのかと驚きました。向上心を持ち続ける大切さを学んだ一冊です。

    (図書印刷 早馬秀輔さん)

  • Jun

    17

    『生きる』谷川俊太郎/詩、岡本よしろう/絵(福音館書店)

    『生きる』谷川俊太郎/詩、岡本よしろう/絵(福音館書店)

    谷川さんの有名な詩が絵本になりました。一見何でもない普通の「いま」の連続が「生きる」ということ。一つ一つの「いま」には実は喜怒哀楽があって、ドラマチックでもあって、普通のことがすごく愛おしくなって......。それは「今日の人生」? とか思いながら何度もページをめくっています。

    (ミシマガジンサポーターさん)

  • Jun

    18

    『シンプルの正体 ディック・ブルーナのデザイン』(ブルーシープ)

    『シンプルの正体 ディック・ブルーナのデザイン』(ブルーシープ)

    「ミッフィー」で有名なディック・ブルーナは、もともとは家業の出版社の専属デザイナーとして、そのキャリアをスタートしました。この本は、そんなブルーナさんの作品を、グラフィックデザインの観点から考察した一冊です。とくに、「ブラック・ベア」シリーズというペーパーバックの装丁が、本当にかっこいいです。かわいいけれど、甘すぎず、クールなのに、どこかあたたかみがあって、その絶妙なバランスがたまりません。

    (ミシマ社 長谷川実央)

  • Jun

    19

    『るきさん』高野文子(筑摩書房)

    『るきさん』高野文子(筑摩書房)

    この本と出会ったのは、主人公の「るきさん」と同じ三十代の頃。自分と全く違う人生を送る彼女に、とても惹かれていきました。マイペースでどこかうふふと笑える、でも芯の強い女性が描かれています。さぁ、肩の力をぬいてみてと言われているみたいで、ふと気づくとほっこりした時間が過ぎ、何度も読み返してしまいます。読書が苦手という方でもきっと楽しんで頂ける1冊だと思います。

    (未来屋書店 四條畷店 川口真樹子さん)

  • Jun

    20

    『イノセント・デイズ』早見和真(新潮社)

    『イノセント・デイズ』早見和真(新潮社)

    放火によって元恋人の妻と幼い双子を殺めた罪で、死刑囚になった彼女の話。彼女からは語られる事がなかった彼女の人生を、様々な目線で語られる時、先が気になって一気に引き込まれる。そこには、彼女に関わった人達しか知らない、彼女の本当の姿と真実があった。衝撃的な結末は、不思議とこれで良かったとすっきりとした読後感を与えてくれた。また辻村深月さんの解説もこの本に欠かせないと思う。重いテーマでありながらも、心を揺さぶられ、心に染みてくる作品であり、読んで良かったと思える一冊。

    (未来屋書店 四條畷店 東明日香さん)

  • Jun

    21

    『神様のケーキを頬ばるまで』綾瀬まる(光文社文庫)

    『神様のケーキを頬ばるまで』綾瀬まる(光文社文庫)

    とある雑居ビルを舞台に「一生懸命なのにうまくいかない」人々を描いた5つの物語。悩み、つまづきながらも前を向き、生き抜くそれぞれの主人公。そっと寄り添ってくれるような、背中を押してもらえるような、とても温かい作品です。読み終えた時はきっと前向きに、一口分のケーキを頬ばって笑顔になれますように。

    (未来屋書店 四條畷店 佐藤杏奈さん)

  • Jun

    22

    『まよなかのだいどころ』モーリス・センダック/作、じんぐうてるお/訳(冨山房)

    『まよなかのだいどころ』モーリス・センダック/作、じんぐうてるお/訳(冨山房)

    何歳の頃に読んだのだろう。覚えていないけど、ずっと小さい頃から何回も読んでいた。ミッキーが部屋から宙に浮いていって、「まよなかのだいどころ」へそうやって本当にあのでっかい牛乳瓶があって、ケーキが作られているのだと思ってしまって。寝る前に読んでいたからか、今でも自分がミッキーになってあの部屋から外に出て宙に浮いている夢を見ます。あのケーキの服、欲しい。

    (未来屋書店 四條畷店 中當大貴さん)

  • Jun

    23

    『仕事。』川村元気(集英社)

    『仕事。』川村元気(集英社)

    仕事する理由には二面性がある。一つはお金をもらう為。もう一つは人生を楽しむ為。スティーブジョブスのような後者になりたいと願うが、人生はそう、うまくは出来ていない。そこで「先輩、僕と同じ歳の頃、何を考え、何をしてました?」と聞いて回る対談集が本書。映画プロデューサーの著者らしく、まさに「こんな特番があったら録画したい!」という内容なのですが、宮崎駿、糸井重里、坂本龍一ら大巨匠たち12人、紙でしかブッキング不可能そうだから本なのです。著者はスラムダンクの安西先生になぞらえ言う、「仕事。がしたいです」と。

    (未来屋書店 四條畷店 高橋祐介さん)

  • Jun

    24

    『小さな会社でぼくは育つ』神吉直人(インプレス)

    『小さな会社でぼくは育つ』神吉直人(インプレス)

    中小企業に転職しましたが、こんな本を待っていました! ビジネス書を読まない若手に読んでほしい。社内の評判も良いので「課題図書」にしようと思っています。

    (ミシマガジンサポーターさん)

  • Jun

    25

    『まぬけなこよみ』津村記久子(平凡社)

    『まぬけなこよみ』津村記久子(平凡社)

    夜、寝際にちょっとずつ読む本の楽しみ度が高い日々は、そうでない日々に比べて7%ほど幸せ度も高い気がします。本書は、まさにそんな、幸せ度アップの源となった1冊でした。「こよみ」といっても、「なんとなくこよみ的」というゆるめのしばりをテーマに津村さんが綴るエッセイには、子どもの頃のふとした心象風景が描かれることも多く、つられて自分の子ども時代に思いを馳せてそのまま寝落ち・・・という素敵な夜を過ごすことができます。

    (ミシマ社 星野友里)

  • Jun

    26

    『続 ざんねんないきもの事典』今泉忠明/監修(高橋書店)

    『続 ざんねんないきもの事典』今泉忠明/監修(高橋書店)

    2016年に発売した『ざんねんないきもの事典』続編です。
    1作目の方がおもしろいのでは?と思う方もいますが、今回は前作で収録されなかった恐竜のお話も収録され、前作を超えるために生まれた1冊です。
    なんと、ティラノサウルスは肉を食べすぎて病気になったらしいんです。あの肉食のティラノサウルスが?と思う方はぜひ、確認してください。
    1つのテーマを1ページでまとめ、子どもだけでなく、大人もいっしょに楽しめる1冊です。

    (大垣書店烏丸三条店 川合薫さん)

  • Jun

    27

    『はるなつふゆと七福神』賽助(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

    『はるなつふゆと七福神』賽助(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

    仕事も恋愛もうまくいかない女子のもとに、神様を名乗る2人の老人が「知名度を上げてくれ!」と突然やってくるところから物語は始まります。クセの強い七福神の面々、主人公を支える友人達とのやりとりはどれもゆるふわで可愛らしいのですが、時には諍いが起きたり、時には対立し合ったりと、ドキドキワクワクするような場面もいっぱいです。
    読んだらきっと、近所の神社にお参りしたくなる、そんな一冊です。

    (大垣書店烏丸三条店 今仁真智子さん)

  • Jun

    28

    『人形の国 01』弐瓶勉(講談社シリウスKC)

    『人形の国 01』弐瓶勉(講談社シリウスKC)

    『BLAME!』『バイオメガ』『シドニアの騎士』等で有名な弐瓶勉待望の新刊。今作は「自動機械」や「人形病」が蔓延する、巨大な人口天体「アポシズム」が舞台のSFです。弐瓶勉ファンならニヤリとする単語、場面が目白押し!ファンでなくとも初期の弐瓶勉作品に比べれば読みやすく、一般の方、映画『BLAME!』を観て弐瓶勉に興味を持った方にお勧めできる作品です。

    (大垣書店烏丸三条店 宮良裕一さん)

  • Jun

    29

    『図書館の魔女 第一巻』高田大介(講談社文庫)

    『図書館の魔女 第一巻』高田大介(講談社文庫)

    これぞメフィスト賞という濃厚さにして、それでもまだこの物語が終わってほしくないと感じる圧倒的世界観です。魔法の存在しない作りこまれたファンタジー世界であり、陰謀渦巻く政治世界を地政学・比較言語学・心理学など様々な知識を活用して問題を解決していくミステリーであり、切なく爽やかなボーイミーツガールであり......。とにかく盛りだくさんの最高のエンターテイメントです!特に二巻のラストの美しさは必読!

    (大垣書店烏丸三条店 有本純さん)

  • Jun

    30

    『文字の博覧会-旅して集めた

    『文字の博覧会-旅して集めた"みんぱく"中西コレクション-』(LIXIL出版 )

    学者でも研究者でもない印刷会社の社長、中西亮氏が世界中を旅して集めた文字のコレクションを紹介した本書。
    右から左へと書くアラビア文字からお馴染みの漢字はもちろん、ベルベル文字やマンヤン文字など、世界で使われているほぼ全ての文字約40種が網羅されています。
    文字の紹介と共に載っている中西氏の各文字への思いも読んでいて面白く、書籍自体の作りも凝っていて、どこからめくっても楽しめる一冊です。

    (大垣書店烏丸三条店 岡碧さん)