今日の一冊バックナンバー

  • Jul

    01

    『いい生き方、いい文章』高橋玄洋(同文書院)

    『いい生き方、いい文章』高橋玄洋(同文書院)

    「いい生き方をする以外にいい文章は生まれない」。この言葉に少しホッとしました。いい文章を書ける人は、特殊な才能と豊富な経験を持ちあわせている人と思っていいたからです。「いい生き方をしたい」、心からそう思わせてくれる本です。

    (ミシマガジンサポーター Hamiさん)

  • Jul

    02

    『「司馬遼太郎」で学ぶ日本史』磯田道史(NHK出版新書)

    『「司馬遼太郎」で学ぶ日本史』磯田道史(NHK出版新書)

    日本人の歴史観に最も影響を与えたであろう国民作家の作品群から戦国、幕末、明治、昭和前期を扱ったものを順に取り上げ、そこから読み解ける日本史および日本人の姿を見ていった一冊。磯田さんの歴史家ならではの卓越した「司馬リテラシー」が駆使された本文は大変読みやすく、加えて新書の気軽さもあり、読者は、自分ごととして歴史と向き合う面白さを存分に味わえるかと思う。終章の「二一世紀に生きる私たちへ」は短いながらも、司馬、磯田両氏からの強い想いを感じた。もし、戦争に向かうきな臭い匂いを感じつつある現在の状況を司馬遼太郎が知ったらならば、いったい何を思うのだろうか。

    (ミシマ社 渡辺佑一)

  • Jul

    03

    『超・居酒屋入門』太田和彦(新潮文庫)

    『超・居酒屋入門』太田和彦(新潮文庫)

    「男なら、こういう酒の飲み方をしたい」。憧れの酒飲み・太田和彦氏による居酒屋入門書。「よし行こう」と思った時に、居酒屋選びに困らないためには、日頃から思いついた時にふらりと一人で店に入る勇気が必要だ、と太田氏は説く。かっこいい酒飲みは1日にしてならず。日々の鍛錬こそがものをいうのだ。酒場での過ごし方、酒場での会話など、読み終われば"酒は飲んでも呑まれない"かっこいい飲み方ができるようになるはず。

    (コトノハ 針谷周作さん)

  • Jul

    04

    『昔日の客』関口良雄(夏葉社)

    『昔日の客』関口良雄(夏葉社)

    古書店の店主が書いた本は多く出版されているが、この大田区・大森の「山王書房」の店主、関口良雄氏が書いた随筆集は文学好きにもおすすめ。馬込文士村が近かったこともあるため三島由紀夫や尾崎士郎、そして私の地元・大田区の洗足池近くに住んでいた小説家・正宗白鳥と店主のやりとりは面白い。単に一古本屋店主の話としてだけではなく、街におけるかつての古本屋のあり方などもわかる一冊。装丁もシンプルだがかっこいい上製本。

    (コトノハ 針谷周作さん)

  • Jul

    05

    『計画と無計画のあいだ』三島邦弘(河出文庫)

    『計画と無計画のあいだ』三島邦弘(河出文庫)

    「よし、人を雇おう」。経営的に厳しい状況であえて逆張りする出版社ミシマ社の代表・三島さんの言葉は、小さな出版社をやっている者の心の片隅で時折きらきらと輝く。会社を辞め、自分の目指す出版のカタチを実現しようと奮闘する話は、スリリングかつわくわくすること必至。なにか新しいことを自分でやりたいと考えている人に読んでもらいたい1冊。

    (コトノハ 針谷周作さん)

  • Jul

    06

    『本屋、はじめました―新刊書店Title開業の記録』辻山良雄(苦楽堂)

    『本屋、はじめました―新刊書店Title開業の記録』辻山良雄(苦楽堂)

    それまでの立場や役割を投げ打って、新しいことをはじめる人の物語が好きだ。「自分の書店を開きたい」と思っている人は、本が売れなくなっている現在でも、ますます増えてきているような気がする。大型書店のマネージャーから、自身で小さな書店を立ち上げるまでの話を、辻山さんは実に誠実に書いている。後半部分には経営計画書も付いているのでリアリティがある。本屋さんを目指すのではなくとも、何かをはじめたい人におすすめ。

    (コトノハ 針谷周作さん)

  • Jul

    07

    『小鳥たちのために』ジョン・ケージ、ダニエル・シャルル/著、青山マミ/訳(青土社)

    『小鳥たちのために』ジョン・ケージ、ダニエル・シャルル/著、青山マミ/訳(青土社)


    作曲に偶然性を取り入れたアメリカの実験音楽家ジョン・ケージと、その研究家、ダニエル・シャルルによる共著。人間が構築し積み上げていった「音楽」を、いったん「音」そのものに還元して考えることで、音楽を自由なものとして捉え直し新たな音楽を生み出した、それまでの西洋音楽へのアンチテーゼ。本書を通して音楽の概念が変わると同時に、自分の「思い込み」や「レッテル貼り」から自由になれるきっかけにもなる書物。

    (コトノハ 針谷周作さん)

  • Jul

    08

    『椿の海の記』石牟礼道子(河出書房新社)

    『椿の海の記』石牟礼道子(河出書房新社)

    まるで「お筆先」のごとく、ペン先からあふれ出るようにみるみる拡がっていく、豊かな魂の交歓の世界。この年まで、この本を知らずにいた自分を悔いました。

    (ミシマガジンサポーターさん)

  • Jul

    09

    『星の子』今村夏子(朝日新聞出版)

    『星の子』今村夏子(朝日新聞出版)

    子どものころ病弱だった主人公・ちひろをなんとか助けようと、両親がどんどん「あやしい宗教」にのめり込んでいく。著者のデビュー作『こちらあみ子』もそうだったように、一貫して「わたし」の視点で描かれる本作。見えない部分と見える部分、わかるようなわからないような、苦しいけど爽やかで、迷ってるけど決めていて、平凡でそこはかとなくこわい。信じることって幸せなんだろうか。この家族はどうなっていくんだろうか。何も見えないし結論は何も描かれない。とにかく、すごい作家さんだという衝撃と、このひとの描くものをすべて読みたいという決意みたいなものが私のなかに宿ったことだけは確かだ。

    (ミシマ社 新居未希)

  • Jul

    10

    『ぼくがここに』まど・みちお(童話屋)

    『ぼくがここに』まど・みちお(童話屋)

    いつもと同じ朝、いつもと同じ道、いつもと同じような1日。新しいはずの日々に、変化を感じられなくなってしまいがちな私にとって、当たり前にある物たちの見方を変えてくれる、とても大切な詩集です。この本を読むと、普段は気にかけない小さな命の世界に気づき、見慣れた身近な風景が、驚きや喜びに溢れた素晴らしい場所に変わります。そして、そこにいる自分のことも、少しだけ誇らしく思えてくるのです。

    (Re:S 山口はるかさん)

  • Jul

    11

    『かもめのジョナサン 完成版』リチャード・バック/著、五木寛之/創訳(新潮社)

    『かもめのジョナサン 完成版』リチャード・バック/著、五木寛之/創訳(新潮社)

    青々とした空、あるいは海の上を、一羽のカモメが気持ち良さそうに飛んでいる表紙が好きです。読んでいると所々で、もともとパイロットだったという著者と、主人公のカモメのジョナサンが重なり、その少年のような好奇心と探究心に引き込まれていきます。そして次第に私自身の姿までもが投影されて、日々のなかで感じていた、さまざまな不思議や疑問に私も立ち向かってみようと思うのです。

    (Re:S 山口はるかさん)

  • Jul

    12

    『海のふた』よしもとばなな/著、名嘉睦稔/版画(中公文庫)

    『海のふた』よしもとばなな/著、名嘉睦稔/版画(中公文庫)

    蒸し暑い季節になると読みたくなる、はじめちゃんとまりちゃんが過ごした、ひと夏の物語。読み進めるうちに、まるで自分も2人の友達になったかのように、お話のなかに溶け込んでいけます。幸福を感じられる平穏な心が、知らず知らずすり減って、すさんでしまっているなと感じることがあります。そんなとき手に取れば、痛んだ心に寄り添い、いつのまにか清らかさで満たしてくれる、優しく温かい本です。

    (Re:S 山口はるかさん)

  • Jul

    13

    『小さな家のローラ』ローラ・インガルス・ワイルダー/原作、安野光雅/絵・監訳(朝日出版社)

    『小さな家のローラ』ローラ・インガルス・ワイルダー/原作、安野光雅/絵・監訳(朝日出版社)

    すべてが袋とじされ、表に書かれた煽り文だけを頼りに本を選ぶという不思議な本屋さん「梟書茶房」で偶然手に取った一冊です。森の中にぽつんとある小さな家で暮らす家族の生活が、安野光雅さんの優しい絵と共に描かれています。読んで、ためになったり、大きな感動があったり、というわけではないですが、日々を綴る温かな目線がとても心地よくて、素敵な本と、こんなふうに出会うこともあるんだと知った一冊です。

    (Re:S 山口はるかさん)

  • Jul

    14

    『ヨーロッパぶらりぶらり』山下清(ちくま文庫)

    『ヨーロッパぶらりぶらり』山下清(ちくま文庫)

    島根県の大好きな本屋さん「artos Book Store」で手に取った一冊です。緻密な絵が見事だなと思う以上に、私がもっとも心惹かれたのは、とても素直に、正直に書かれた文章です。社会のなかに身を投げ出すとき、強く見せなければとか、賢く見せなければという、妙な強迫観念にとらわれてしまうことがありますが、等身大で正直にいることの素晴らしさを教えてくれます。今年ドイツに行くことを決めました。

    (Re:S 山口はるかさん)

  • Jul

    15

    『大切な人が病気になったとき、何ができるか考えてみました』井上由季子(筑摩書房)

    『大切な人が病気になったとき、何ができるか考えてみました』井上由季子(筑摩書房)

    今まではケアされる・する人の体験記を手にとることが多かった。でもこれは一歩前、病気になったときに近親者の心遣いを書いているはずと......気づいた。今までになかったワクワク感で本を開いた。

    (ミシマガジンサポーター EishiNさん)

  • Jul

    16

    『すべての雑貨』三品輝起(夏葉社)

    『すべての雑貨』三品輝起(夏葉社)

    西荻窪の雑貨店「FALL」店主・三品輝起さんによる雑貨考。雑貨の周りをぐるぐるとしながら考え続けてきた著者の、消費社会へのまなざしにはっとさせられます。いわゆる必需品ではないモノを売り買いするときにつきまとう、漠然とした虚しさ。その由来が、垣間見える気がしました。また挿入される著者自身のエピソードには、そこはかとないおかしみと哀愁が漂っていて、随筆としても魅力的です。

    (ミシマ社・営業チーム 池畑索季)

  • Jul

    17

    『街場のメディア論』内田樹(光文社新書)

    『街場のメディア論』内田樹(光文社新書)

    近くを見すぎた時に遠くの山々を見て、ホッとしたりハッさせられたりする。私にとって内田樹さんの本を読むことは、それに近い。ここに書かれた先生の思考を目で追い、アタマとカラダからめっいっぱい吸収すると、本とその周辺の生態系の中にいることが嬉しくてたまらなくなるのです。

    (紀伊國屋書店 梅田本店 小川麻里さん)

  • Jul

    18

    『知的創造のヒント』外山滋比古(筑摩書房)

    『知的創造のヒント』外山滋比古(筑摩書房)

    "読んでいない本"から影響を受ける。「面白すぎて、この先も読んだらどうなってしまうのか恐ろしい」と思い、始めの方であえて読むのをやめた本。気になり続け後年試論を出版した外山氏は、しかし同著者の全く読んでいない本の影響を指摘されてしまう。(あえて読みさす) 

    (紀伊國屋書店 梅田本店 宮崎大樹さん)

  • Jul

    19

    『ボールのようなことば。』糸井重里(東京糸井重里事務所)

    『ボールのようなことば。』糸井重里(東京糸井重里事務所)

    大学生のころ、部活動の運営で悩んでいた時期に糸井さんの言葉に出会い、頭の中にあってもうまく言葉にできなかった思いや気づきをたくさんもらって、今の自分の考え方を形づくってくれました。糸井さんがほぼ日刊イトイ新聞で発言した1年分の言葉たちを集めた「小さいことば」シリーズという本の5年分の中から、「若い人に届けたい」言葉を選んでまとめられたもの。いつでも読み返せるように、ずっと手元に置いておきたい本です。

    (紀伊國屋書店 梅田本店 木村勝利さん)

  • Jul

    20

    『考えの整頓』佐藤雅彦(暮しの手帖社)

    『考えの整頓』佐藤雅彦(暮しの手帖社)

    普段どおりに生活していると素通りしてしまうようなモノゴトでも、「なんでコレってこうなんだ?」って考えてみるだけで、新しい面白いことが見つかるかもしれない。「ポリンキー」や「バザールでござーる」などの有名CMを手がけた佐藤さんのアタマの中を少し覗ける1冊です。考えることって、楽しいかも!

    (紀伊國屋書店 梅田本店 木村勝利さん)

  • Jul

    21

    『今日の人生』益田ミリ(ミシマ社)

    『今日の人生』益田ミリ(ミシマ社)

    本をとりまく生態系の中にいる「作り手」の愛が、溢れるほど詰まった素晴らしい本。さらっと気軽に読めるのに、読めば読むほど、味が滲み出る。触れれば触れるほど、次の引っ越しでも手放さない代表だなと感じたり。こんな本たちを多くの人に届けることが、私たちの恩返しだなぁと強く思った1冊です。

    (紀伊國屋書店 梅田本店 小川麻里さん)

  • Jul

    22

    『ありのままのアンデルセン』マイケルブース/著、寺西のぶ子/訳(晶文社)

    『ありのままのアンデルセン』マイケルブース/著、寺西のぶ子/訳(晶文社)

    あの『英国一家、日本を食べる』のマイケルさんが、童話作家アンデルセンの旅をなぞり、知られざる実像に迫る本です。とにかく面白くて、アンデルセンのことをもっとしたくなります。

    (ミシマガジンサポーター 吉田章子さん)

  • Jul

    23

    『腐れ梅』澤田瞳子(集英社)

    『腐れ梅』澤田瞳子(集英社)

    舞台は平安時代。主人公の綾児は、巫女稼業を表看板に、色を売って暮らしていました。そんなところへ同業の阿鳥が、菅原道真を祀る神社をでっちあげるところから物語は始まります。確固たる「歴史」とされているものが、実は市井の人々によって、しかもひょんなことから作られていく瞬間を目の当たりにします。登場人物の描写も肉声が聞こえてくるようで、その時代にタイムスリップしたようでした。

    (ミシマ社 田渕洋二郎)

  • Jul

    24

    『南方熊楠 - 日本人の可能性の極限』唐澤太輔(中公新書)

    『南方熊楠 - 日本人の可能性の極限』唐澤太輔(中公新書)

    今年は南方熊楠、生誕150周年という節目の年。印象に残るこの名前をどこかで目にした方も多いのでは。「どんなことした人?」と思った方にぜひ読んでもらいたい一冊です。熊楠の嘘みたいな本当の逸話には、思わずツッコミを入れてしまいます。唐澤氏のテンポ良く親しみやすい文章も相まって、気づけば熊楠ワールドにハマっているかも。

    (京都岡崎 蔦屋書店 田辺真弓さん)

  • Jul

    25

    『表裏異軆―杉浦康平の両面印刷ポスターとインフォグラフィックス』杉浦 康平+神戸芸術工科大学共同研究組織/著、神戸芸術工科大学/ビジュアルデザイン学科+アジアンデザイン研究所/監修(新宿書房)

    『表裏異軆―杉浦康平の両面印刷ポスターとインフォグラフィックス』杉浦 康平+神戸芸術工科大学共同研究組織/著、神戸芸術工科大学/ビジュアルデザイン学科+アジアンデザイン研究所/監修(新宿書房)

    戦後を代表するグラフィックデザイナーである杉浦康平を知ったのは、稲垣足穂の「人間人形時代」の奥付を見てからでした。その装丁の美しさに感動し、本には「読む」以外の楽しみ方があることを知りました。この本は杉浦氏の幅広い仕事の中でもポスター作品を取り上げたものです。彼のポスターデザインはまるで一冊の本を読むかのように、見るものを深遠な世界へと誘います。

    (京都岡崎 蔦屋書店 田辺真弓さん)

  • Jul

    26

    『そこのみにて光輝く』佐藤泰志(河出文庫)

    『そこのみにて光輝く』佐藤泰志(河出文庫)

    若さが春に例えられるのなら、この小説には30代の登場人物たちの、湿気をおびた蒸し暑い日本特有の夏が描かれています。海近くの舞台で主人公の達夫は、これまで踏み込むことのなかった世界に生きる拓児と千夏の姉弟と出会い、現実のなかから自分自身の選択をはじめます。達夫が聴いているエリック・ドルフィのかすれた厚いバスクラリネットの音色もあわせて、ぜひ夏に読んでいただきたい一冊です。

    (京都岡崎 蔦屋書店 鵜飼慶樹さん)

  • Jul

    27

    『結婚』末井昭(平凡社)

    『結婚』末井昭(平凡社)

    ある歳をさかいに、周りの友人たちが「結婚、結婚」と口にするようになりました。しかし、結婚という言葉の意味が私にはいまいちわかっていません。そんな曖昧な言葉である「結婚」についての、ひとつの答えを本書が教えてくれました。著者の末井昭さんが神藏美子さんや前妻との生活、さまざまな人々や書籍を通し、静かで淡々としながらも生々しい言葉で、わかりあえない男と女が共に生きていくとは何かを伝えてくれます。

    (京都岡崎 蔦屋書店 鵜飼慶樹さん)