今日の一冊バックナンバー

  • Sep

    01

    『寿司 虚空編』小林銅蟲(三才ブックス)

    『寿司 虚空編』小林銅蟲(三才ブックス)

    ー「数が大きいこと」を怖れる必要なんてどこにもねえ......「数が大きくないこと」こいつを何よりも怖れなきゃあ ダメだ。ー
    その圧倒的な意味不明さで話題になったウェブ漫画の単行本版です。寿司屋が舞台ですが寿司は殆ど出てきません。巨大数の話をします。数が大きいロマンに取りつかれた謎の寿司職人による、狂気に満ち満ちた新感覚数学漫画。とにかく一度読んでみてください。あらゆるものを超越したとんでもない世界観に圧倒されます。

    (ミシマ社 京都オフィスデッチ 國島知美)

  • Sep

    02

    『読まずにいられぬ名短編』北村薫、宮部みゆき/編(筑摩書房)

    『読まずにいられぬ名短編』北村薫、宮部みゆき/編(筑摩書房)

    両氏が選び抜いた名作おすすめ短編集。巻末にはお二方のお茶の間的な解説対談が載っています。小池真理子氏の『百足』が傑作。思わず「そう」叫んでしまう気持ち、わかるような......。いえいえ、よーくわかります(笑)。

    (ミシマ社サポーター Hamiさん)

  • Sep

    03

    『毎日のお味噌汁』平山由香(アノニマ・スタジオ)

    『毎日のお味噌汁』平山由香(アノニマ・スタジオ)

    めくるめくお味噌汁ワールド! 春夏秋冬、さまざまな食材を使ったお味噌汁レパートリーを紹介すること、その数なんと151...! お味噌汁の基本から便利アイテムの紹介まで、これでもかとお味噌汁の世界を押し広げてくれます。食卓のマンネリを解消に役立つのはもちろん、彩り豊かで目にも楽しいお味噌汁本。ああ、なんて自由なんでしょう。

    (ミシマ社・営業チーム 池畑索季)

  • Sep

    04

    『つむじ風食堂の夜』吉田篤弘(ちくま文庫)

    『つむじ風食堂の夜』吉田篤弘(ちくま文庫)

    疲れたときに読みたくなる本ってありますか? ああ活字に浸りたい、けどハラハラドキドキ満載な怒涛の展開はちょっとヘビー。心が静かに落ちつくような物語がいいんやけどな。そんな気分にピッタリの作品がこれ。私は年に数回読み返します。面白いことに、読むたびに新しい発見があって、心に引っかかるフレーズが違うんです。「心の栄養剤」として本棚にあると安心な一冊ですよ。

    (ダイハン書房高槻店 安福美弥さん)

  • Sep

    05

    『生きていてもいいかしら日記』北大路公子(PHP文庫)

    『生きていてもいいかしら日記』北大路公子(PHP文庫)

    北海道在住・40代独身・趣味「昼酒」。キミコさんの日常エッセイ。何が気になるって①現代ニッポン人とは思えないぐうたらさ②作中の7割は「酒飲んで酔っ払った」「原稿の締め切り踏み倒した」「雪かきウザイ」③なのにドラマティック!(日常が波乱万丈なのではありません。ハンパない文章力と迸る妄想力により、スリリングかつメロドラマなワンダフルライフになっちゃう)こんなにグイグイ読ませるエッセイは初めてです!

    (ダイハン書房高槻店 安福美弥さん)

  • Sep

    06

    『ひきだしにテラリウム』九井諒子(イ-スト・プレス)

    『ひきだしにテラリウム』九井諒子(イ-スト・プレス)

    今や『ダンジョン飯』でその名を馳せている九井諒子2作目の短編集、これをぜひ読んで欲しい。一人が描いているとは思えない筆癖の豊富さ、ストーリーも決してひとつのジャンルに偏る事がなく、展開は常にその先が読めない。九井諒子の中にかようなまでの世界の多さがあるのか! と、初めて手にした時には震えた。その後ダンジョン飯の大ヒットがあった訳だが、彼女の凄さはここにこそある! と後のファンに声を大にして言いたい。

    (ダイハン書房高槻店 岡本歩さん)

  • Sep

    07

    『私に似た人』貫井徳郎(朝日文庫)

    『私に似た人』貫井徳郎(朝日文庫)

    小さなテロが頻繁に起こる日本。小口テロ、と文中には表記されるが、『誰でもいいから殺して自分も死のうと思った』という類のもの。テロと言うと外国の話のようだが、この作中にある事柄は今の日本で充分に起きている。 働いても楽になれない社会、他人を思いやれない余裕の無さ、一体この息苦しさは何処から来るのか。政治家への不満はあれど、どうやったって変わらないだろうという諦め。 この小説は、私たちのすぐ傍にある。

    (ダイハン書房高槻店 岡本歩さん)

  • Sep

    08

    『風に舞いあがるビニールシート』森絵都(文春文庫)

    『風に舞いあがるビニールシート』森絵都(文春文庫)

    誰にでも何回も読み返す本があると思うが、この本が私にとってのそういう本。直木賞受賞作にて六つの短編集、中でも表題作の『風に舞いあがるビニールシート』と『守護神』が好き。この二編の主人公は、他人から見ると、どうしてそこまでという事に拘り、しんどい生き方を選んでいる。そんなの捨てちゃったらもっと楽に生きられるのに、と何の信念もない私は、しかし半分彼らを羨ましく思いながら、今日もこの本を読み返すのです。

    (ダイハン書房高槻店 大久保厚さん)

  • Sep

    09

    『アウトサイドで生きている』櫛野展正(タバブックス)

    『アウトサイドで生きている』櫛野展正(タバブックス)

    表通りには出てきていないアートが、雨後のタケノコのように、これでもか集中砲撃。ラーテル(あなぐまハチロー)さんかわいい。

    (ミシマ社サポーターさん)

  • Sep

    10

    『あるかしら書店』ヨシタケシンスケ(ポプラ社)

    『あるかしら書店』ヨシタケシンスケ(ポプラ社)

    「こんなのあるかしら」と書店を訪れる人々に「ありますよ!」と答えてくれる店主がいる「あるかしら書店」。「あったらおもしろいな」と思うような本の数々や、本にまつわるあれこれが、ヨシタケさんのゆるーい絵柄で描かれています。岡田は、ぜひ「月光本」は読みたい。「読書履歴捜査官」とお仕事してみたい。「水中図書館」に行ってみたい。「書店婚」にも参列してみたい。そして何より、「あるかしら書店」に行きたい。妄想想像がどんどん膨らむ本です。

    (ミシマ社 岡田千聖)

  • Sep

    11

    『意味も知らずにロックンロールを歌うな!? -チャック・ベリーに捧ぐ-』小出 斉(リットーミュージック)

    『意味も知らずにロックンロールを歌うな!? -チャック・ベリーに捧ぐ-』小出 斉(リットーミュージック)

    名曲を歌詞の方面から解説した『意味も知らずにブルースを歌うな!』の続編となる本書は"ロックンロール"をテーマに、今年3月に永眠したロックンロール創始者の1人、チャック・ベリーをピックアップ。彼の音楽的で皮肉を効かせた洒落た言葉選びを堪能でき、言葉だけで思わず踊り出したくなる1冊。ザ50回転ズ・ダニー書き下ろしの"え...プロ絵師か!?"と唸らせるイラストも秀逸。今回も原詩やコード譜等が付いてお得感◎。

    (TSUTAYA三軒茶屋店 野口明裕さん)

  • Sep

    12

    『ビンテージ・ギターをビジネスにした男 ノーマン・ハリス自伝』ノーマン・ハリス・著/石川千晶・訳(リットーミュージック)

    『ビンテージ・ギターをビジネスにした男 ノーマン・ハリス自伝』ノーマン・ハリス・著/石川千晶・訳(リットーミュージック)

    楽器店やリサイクルショップで中古ギターがズラリと並ぶコーナーをよく目にしますよね。本書はそんな"中古ギター"の持つ"価値"にいち早く気付き、売買を始めた先駆者で世界的ディーラーのノーマン・ハリスがその舞台裏を描いた自伝。良音を求める巨大ビジネスの成立や、ジョージ・ハリスン、ボブ・ディランなど錚々たるミュージシャンに良質な中古ギターを売った彼の取引の様子が刺激的です。貴重な秘蔵ギターの数々にも興奮!


    (TSUTAYA三軒茶屋店 野口明裕さん)

  • Sep

    13

    『MCバトル史から読み解く 日本語ラップ入門』DARTHREIDER(KADOKAWA)

    『MCバトル史から読み解く 日本語ラップ入門』DARTHREIDER(KADOKAWA)

    TV番組のヒットでラップに興味を持っていなかった層にまでその面白さが再認識された日本語ラップ。アンダーグラウンドなヒップホップの現場を体験、数多くの実績を持つダースレイダーがその経験を元に日本のMCバトルの歴史から日本語ラップを紐解く"極私的MCバトル史"です。その時現場で何があったのか、KREVAや般若、漢などの名バトルの書き起こしが多数掲載され、歴史と共に会場の熱気まで伝わってくる良書! アツいです。

    (TSUTAYA三軒茶屋店 野口明裕さん)

  • Sep

    14

    『失った記憶 ひかりはじめた僕の世界 高次脳機能障害と生きるディジュリドゥ奏者の軌跡』GOMA(中央法規出版)

    『失った記憶 ひかりはじめた僕の世界 高次脳機能障害と生きるディジュリドゥ奏者の軌跡』GOMA(中央法規出版)

    突然過去の記憶が消えてしまったら? オーストラリア先住民族の管楽器ディジュリドゥ奏者・GOMAは、2009年の交通事故で脳に損傷を負い高次脳機能障害となる。その様子を記録した彼や家族の日記を元に綴られた本書は、自分は何者か? 生きるとは? 事故前の多くの記憶を失い、記憶障害や身体の麻痺などの後遺症で大きな不安を抱えながら家族や仲間と共に"再生"を目指す6年半の記録です。彼が事故後間もなく描き始め「記憶は消えても昨日生きた証として残る」美しい点描画作品も掲載。真摯な生き様に感銘し、大切なものに気付かせてくれます。

    (TSUTAYA三軒茶屋店 野口明裕さん)

  • Sep

    15

    『岡村靖幸 結婚への道』岡村靖幸(マガジンハウス)

    『岡村靖幸 結婚への道』岡村靖幸(マガジンハウス)

    本日は"音楽関係の本で"というミシマ社さんのオファーから少し外れて(ミュージシャンの書いた本ということで何卒...)、未婚の岡村ちゃんが才気溢れる豪華ゲスト32人に「結婚っていいものですか?」「何で結婚するんですか?」と"結婚とは何か?"を矢継ぎ早に訊きまくる本書を。ここに全文引用したくなるような、生涯未婚率が20%を超えた日本に刺さりまくる名言が満載です。対談相手のことをしっかり調べた上で取材に臨む岡村ちゃんがゲストの裏話や本音も引き出し、彼のインタビュアーとしての優れた資質も楽しめます。

    (TSUTAYA三軒茶屋店 野口明裕さん)

  • Sep

    16

    『東北 つくられた異境』河西英通(中公新書)

    『東北 つくられた異境』河西英通(中公新書)

    近世後期から明治末期までの東北をめぐる言説を、当時の状況などとあわせて書いてあります。ほんの100年や200年のことなのに、まるで知らない世界のことのようで、私たちは私たち自身について本当に知らないことだらけなんだな、と思います。小説ではなくて、自分自身につながる物語なのに。

    (ミシマ社サポーターさん)

  • Sep

    17

    『地の底の記憶』畠山丑雄(河出書房新社)

    『地の底の記憶』畠山丑雄(河出書房新社)

    ‪架空の土地・宇津茂平を舞台にしつつ、実在の歴史と偽史が限りなく溶け合って‬ひとつの「お話」になっています。読んでいて、ドイツ語のgeschiteという言葉は「歴史」という意味を持つと同時に「物語」という意味をもつことを思い出しました。全体的に不気味な雰囲気。鉱山や洞窟、電波塔に人形などドキドキするような仕掛けがたくさんあり、冒険譚としても読める一冊です。

    (ミシマ社 田渕洋二郎)

  • Sep

    18

    『ぼくのにゃんた』鈴木康弘(ブロンズ新社)

    『ぼくのにゃんた』鈴木康弘(ブロンズ新社)

    現代美術アーティストの鈴木さんの初絵本、にして個人的には大傑作です。言葉遊び的な要素、親しみやすいゆるい絵、大人にも読ませる展開などまるでお手本のように子供から大人まで楽しめる本。「書店員である限りずっと売り続けていくのだろうな。」と感覚的に感じた本です。そんな本ってなかなか出てこないです。プレゼントにも喜ばれますよ。

    (newstyle 札幌ピヴォ店 河野竜尚さん)

  • Sep

    19

    『誰もいない場所を探している』庄野雄治(Mille books)

    『誰もいない場所を探している』庄野雄治(Mille books)

    徳島でコーヒーロースターをしている庄野さん。実は前の勤務先は徳島で2年間勤務していたのですが、庄野さんのことを知ってはいたものの、徳島でお店を営んでいることは知りませんでした。たまたまこの本で知ってときには既に北海道へ転勤・・・。いつかコーヒー豆を買いに徳島へ行きたいです。庄野さんの半生を振り返るようなこの本は普通に生きてきた人がフリーランスで生きていくための等身大の言葉が綴られています。

    (newstyle 札幌ピヴォ店 河野竜尚さん)

  • Sep

    20

    『けもの道の歩き方』千松信也(リトルモア)

    『けもの道の歩き方』千松信也(リトルモア)

    近年の猟師関係の出版ラッシュ(以前と比べてですが。)はこの本と「山賊ダイアリー」がきっかけだと思ってます。かくいう僕も両作に影響を受けて当日住んでいた県での狩猟免許試験の日程まで調べました。結局今の職業、住居だといろいろ面倒がでそうなので試験まではいきませんでしたが・・・。昔からなんとなく興味というか憧れがあった世界が現実にあって身近なんだと教えてくれた本です。いつかは免許とれるチャンスがあったらいいなあ。

    (newstyle 札幌ピヴォ店 河野竜尚さん)

  • Sep

    21

    『預言者ピッピ』地下沢中也(イースト・プレス)

    『預言者ピッピ』地下沢中也(イースト・プレス)

    1巻発売から10年以上経過していて現在2巻まで刊行されています。が、2巻発売からも既に6年経過という読者泣かせな漫画です。だけど面白すぎるからしょうがない。ギャグ漫画を描いてきた著者のまさかのSF大作。様々な要素を詰め込んでいるのに読みやすく1巻あたりの密度が濃すぎます。ベタないい方ですが、まだ読んだことない人が羨ましい、記憶を消してもう一度読みたい作品。

    (newstyle 札幌ピヴォ店 河野竜尚さん)

  • Sep

    22

    『せいめいのれきし』バージニア・リー・バートン/著、 まなべ まこと/監修、いしい ももこ/訳(岩波書店)

    『せいめいのれきし』バージニア・リー・バートン/著、 まなべ まこと/監修、いしい ももこ/訳(岩波書店)

    地球誕生から現代までの歴史を辿る物語ですが、ハイライトは最後の4ページでしょう。バージニアさんのはなしが終わり「このあとは、あなたのおはなしです」と語る彼女。せいめのれきしが巡り巡って来て今の自分があるということは知識として知っていても実感はなかなかできませんが、この作品を読むと不思議とはるか彼方から続くの時の輪の中に自分がいる感覚を持つことができます。同時にグッと込み上げてくるものがあっていつも少し泣いてしまいます。

    (newstyle 札幌ピヴォ店 河野竜尚さん)

  • Sep

    23

    『山を楽しむ』梅棹忠夫(山と渓谷社)

    『山を楽しむ』梅棹忠夫(山と渓谷社)

    知の巨人と言われたが、こんなにアグレッシブだとは思わなかった。京都に文化庁がくるならば、昔の京都学派が復活するのを見てみたいものです。

    (ミシマ社サポーター 桜井一さん)

  • Sep

    24

    『河童の三平』水木しげる(ちくま文庫)

    『河童の三平』水木しげる(ちくま文庫)

    じいちゃんの「シャンペイ!」ってセリフが大好きなんです。ぼくも言ってほしい「シャンペイ!」って。名前シャンペイじゃないけど。こういう漫画を文庫にしてしまうちくま文庫の懐の深さが好きです。わりと分厚い分量なのもとてもよい。

    (ミシマ社 鳥居貴彦)

  • Sep

    25

    『しずかな日々』椰月美智子(講談社文庫)

    『しずかな日々』椰月美智子(講談社文庫)

    小学五年生の夏休みの出来事を淡々とふり返る「ぼく」。おじいさんの家で過ごすことになった「ぼく」の世界は劇的に変わった(はずだ)。けれどそんな「人生のターニングポイント」になった日々の出来事を描いた物語につけられたタイトルは『しずかな日々』。
    子どものころ、唯一無二の夏のきらめきがそっと込みあげてくる。夏休みがおわり、大人になってゆく少年の姿を秋のはじまりにふと読みかえす。

    (紀伊國屋書店エブリイ津高店 奥野智詞さん)

  • Sep

    26

    『ヒャッケンマワリ』竹田昼(白泉社)

    『ヒャッケンマワリ』竹田昼(白泉社)

    岡山市の酒造家の一人息子として生まれた内田百閒。漱石門下の一員となり芥川龍之介らとの親交、鉄道や飼い猫への愛着、錬金術(借金)に奔走する姿などは『私の「漱石」と「龍之介」』や「阿房列車」シリーズ、『ノラや』、『百鬼園随筆』といったところで人柄がよくわかる。そうした百閒の愛嬌ある姿を描いた本書はユーモアの中に人生の深淵を見せる百閒の姿をさらに広げてくれる。

    (紀伊國屋書店エブリイ津高店 奥野智詞さん)

  • Sep

    27

    『宇喜多の捨て嫁』木下昌輝(文春文庫)

    『宇喜多の捨て嫁』木下昌輝(文春文庫)

    碁に捨て石という戦略があるように「捨て嫁」とは血のつながった娘を他家に嫁がせ、油断させた上で寝首をかく宇喜多直家の謀略のこと。岡山の歴史の幕を開き「梟雄」と呼ばれた男をとりまく登場人物たちの苦悩と孤独、そして覚悟。張りつめた緊張の糸のそこかしこから血なまぐささが臭いたつ。直家のほの暗い輪郭を照らしながら、それぞれの情念を浮かび上がらせていく。

    (紀伊國屋書店エブリイ津高店 奥野智詞さん)

  • Sep

    28

    『うしろめたさの人類学』松下圭一郎(ミシマ社)

    『うしろめたさの人類学』松下圭一郎(ミシマ社)

    「おかしさ」から目をそらしてつくられた「ふつう」の世界はすでに引かれた境界線に阻まれ断絶して強固に見える。けれどこの世界が何かによって構築されているのであれば、その線をずらすこと、引き直すこと、そこからはみだすことで今とは違う別の姿に私たちはつくりかえることができるはず。「うしろめたさ」を起点に私たちの世界の見え方を鮮やかに変えてみせる。

    (紀伊國屋書店エブリイ津高店 奥野智詞さん)

  • Sep

    29

    『つぼみ』宮下奈都(光文社)

    『つぼみ』宮下奈都(光文社)

    読み終えて芽生えた予感。登場する人たちは誰もが「つぼみ」で、書かれた物語の中では花を咲かせる姿は見られない。けれど物語は終わっても人生は続いていて、その先でピシピシとつぼみをひらこうとする姿が目に浮かぶ。
    『静かな雨』、『スコーレNo.4』とデビューから一貫してこうした人たちを丁寧に描いてきた著者のまなざしはいつもそっと背中を押してくれる。

    (紀伊國屋書店エブリイ津高店 奥野智詞さん)

  • Sep

    30

    『戦争と平和』百田尚樹(新潮新書)

    『戦争と平和』百田尚樹(新潮新書)

    「百田尚樹なんか大嫌い!」という方も、まあそうおっしゃらずに、とにかく第一章の「ゼロ戦とグラマン」だけでも読んでください。日本がいかに戦争をすることに不向きな国か、戦争をしてはいけない国かを、情けないほどに思い知らされます。国際情勢が騒然としたなか、一読の価値ありです。

    (ミシマ社サポーター 藤原寿治さん)