白山米店の季節つれづれ

第2回

5月のお便り

2018.05.26更新

土を踏む

 5月は気温変化が激しくて、半袖を着ていたかと思ったら、セーターをひっぱり出す日もあって、どうなっているのでしょう。こんな季節の変わり目は、体調を崩しやすい。上手に気分転換できたらいいですね。

 今がきれいな若葉や民家のバラを愛でながらの散歩はリフレッシュします。

 なかなか土を踏むことがない生活なので、尾山台(自由が丘駅から大井町線で2駅)への買い物道は私のオアシス。家から遊歩道を抜けると、猫のいない「ねこじゃらし公園」。ここで土を踏み歩き、大地からエネルギーチャージ。桜の開花を知り、ほおの木の花の匂いを想像し、今が満開のせんだんの木は、風にゆれるエレガントな花。きれいな樹形に声をかける。

 その先には大平農園の畑が広がり、自由が丘からほど近くとは思えない、のんびりした風景です。つい数ヶ月前まであったぶどう畑は売地となり、空地が空間がなくなってきています。

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 大好きなどくだみも道端に咲き始めました。子供の時、触ると臭いと母から云われたものです。どくだみは、お玄関や店頭に飾ると、花束に負けない存在感があります。近所のねこじゃらし公園で、緑のどくだみと八重を見つけた時は、私だけの秘密にと思うと楽しくなりました。一足遅く我家の八重のどくだみが咲き始めます。

 路傍にあっても抜かれることの少ない存在。ハートの葉に十字架しょった姿に祈りたくなります。

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そくせき御御御付けには七味と山椒をひとふり

 気持ちにも空間が大切で、ガサガサした日は、御御御付け(おみおつけ)でほっと一息つきましょう。

 お椀にお味噌、かつおぶし、とろろ昆布を入れ、お味噌めがけて熱湯を注げば香りたつ湯気。とろろ昆布の代わりは海苔でもワカメでも。あればネギをハサミでチョキチョキお薬味に。本来おみおつけは、けんちん汁やとん汁のように具沢山をいうようですが、一口いただけば、これだけでも十分リラックスします。さらに京都長文屋さんの七味唐辛子と山椒をひとふり。

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 長文屋さんの粉山椒は、若葉のごとき色で清々しい。今の季節にぴったり。ひとふりすれば、香りよく、七味と共に使います。

 「目を閉じるほど旨い御御御付けかな」

 三ツ星ならぬ三ツ御(お)で、ありがたやありがたや。

初任給で・・・

 誰でも初任給や初ボーナスでの気張った買い物は覚えているものです。思い浮かぶ一つは、お給料の1/3はした丸い足のたためる大きめの欅(けやき)のちゃぶ台。

 丸いテーブルに団欒への憧れがあって、20歳の夏に手に入れました。足が外れた時は、気の合う親世代の福士さんに直してもらい使い続けています。新婚生活もちゃぶ台で始め、今は来客用にひっぱり出して、先日は、孫のお祝い会食を囲みました。

 もう一つは、また・・・。

白山米店お母さん

白山米店お母さん
(はくさんこめてんおかあさん)

自由が丘、白山(はくさん)通りに60年近く前からあるお米屋さん「白山米店」。1996年よりお弁当の販売を開始。毎週水曜日のみ、おかあさん手作りのおいしいお弁当が食べられます。愛情たくさんのおかずと、お米屋さんならではのおいしいお米で地元ファンが通う人気店のお母さん。著書『自由が丘3丁目 白山米店のやさしいごはん』(ミシマ社)。

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