5年後、

第23回 この国の問題(最終回)

2016.02.09更新

そんなわけで私が子を持つことはなかったのだが、ここで申し上げたいのは私個人の事情よりも、ガンは全身病であり、全人生病であるということだ。その人が成長した時代の影響をつよく受けている。
子ども時代の環境やその時の社会のしくみやムードが、病いを作り上げていく。
だから同じ時代を生きた人は、同じ病いの芽を抱えている。
それらが発芽し、病いが表出し、すべてが済んでから、どうやらみなだいたい似たようなものにかかっているらしいことを知る。
それまではよくわからないようになっている。
それは誰かのせいなのか?
だとしたら仕掛けたのはいったい誰か?
知りようがない。けれど病院が繁盛する社会など、そもそもおかしい。
ワクチン、農薬、化学物質、ある特定の食物・・・これらの不思議な奨励を、されるがままに受け入れてきた。
放射能汚染問題もしかり。「がんは二人に一人がかかりますから」「そういう時代ですから」といわれて「ああ、そうか・・・」とあっさり引き下がっている。
いつまでこのままでいるのか。
戦争体験者の方が戦争反対を語られるように、私もガン体験者の一人としてガン蔓延に反対だ。ダメなものはダメ、なのである。
この国の問題は、この国の過去と、当然ながら深いところでつながっている。そこをしっかりみていかなければならないのだろう。

こうして私の次の時間ははじまった。
「5年後、」をへて、これまでとは別の仕事に、取り組むことになったのである。
(おしまい)

※ご愛読ありがとうございました。
 本連載は、大幅に加筆・改題のうえ、書籍化する予定です。
 詳細が決まりましたら、また随時ご案内いたしますので、どうぞお楽しみに!


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山口ミルコやまぐち・みるこ

東京都生まれ。専修大学文学部英米文学科卒業後、外資系企業を経て、角川書店雑誌編集部へ。94年2月1日から2009年3月末まで幻冬舎。プロデューサー、編集者として、文芸から芸能まで幅広いジャンルの書籍を担当し数々のベストセラーを世に送る。幻冬舎退社後はフリーランス文筆業、クラリネット奏者として活動。2012年2月に『毛のない生活』(ミシマ社)を上梓。その他の著書に『毛の力 ロシア・ファーロードをゆく』(小学館)がある。

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