本屋さんと私


初の著書『身体知性』を上梓された佐藤友亮さん。
本作は、医者と武道家というふたつの立場から、西洋的なものと東洋的なものを跨いだ身体の知性を探ろうとする、野心的、スリリングかつ知的な一冊に仕上がっています。
そんな本を、最初の著作で書き上げた佐藤さんってどんな人なんでしょう?
プロフィールを見ると、「1971年生まれ。岩手医科大学卒業」のあと、大阪に出てきたり、合気道を始めたり、などさまざまなことが書かれていて、「2017年現在、合気道凱風館(内田樹師範)の塾頭として道場運営に携わる」とあります。
はて? 
最終日の今日は「身体知性の高まる本屋さん」についてうかがいました。

(聞き手、構成、写真:三島邦弘)

第204回 身体知性の高まる本屋さん

2017.11.08更新

盛岡出身ですから

―― 佐藤さんにとって本屋さんと言って、まっさきに思い出すところは?

佐藤私、盛岡出身ですので、やっぱり僕にとっての本屋さんってさわや書店なんですよ。

―― おぉ〜!

佐藤むかし、大通商店街のさわや書店の向かいには第一書店というお店があったんです。そのふたつがずーっと向かい合っていたんですよね。

―― もう、ないですよね?

佐藤第一書店はなくなっちゃったんですよね。僕にとっての本屋さんっていうと、そのふたつです。新刊書、雑誌、2階に上がると学校みたいに参考書があったり。それって、「街」のような存在ですよね。

―― あぁ〜。さわやさんと第一書店の両方行かれてたんですか?

佐藤はい。実は僕は第一書店派だったんですよ(笑)。

―― そうでしたか。

佐藤本の置き方なんかも第一書店のほうがもうちょっと雑多で(笑)。照明も、さわや書店は蛍光灯のイメージで、第一書店は電球色のイメージです。まぁ、第一書店は老舗っぽっかったです。

―― 言ってみれば、ちょっと東洋的というか(笑)。

佐藤まぁそうかもしれないです。

―― さわやさんや第一書店には何歳くらいまで行ってらっしゃったんですか?

佐藤高校のときはずっと行ってましたね。

―― けっこう、その大通の本屋さんに育ててもらったみたいな感じはありますか?

佐藤あります。それはすごくあります。たとえば父親と弟と一緒に映画を観に行く前に、本屋さんで本を見て、マクドナルドでハンバーガー食べてから映画行くみたいな感じとか(笑)。

―― へぇ〜。


互いの人生が交差する場所として

―― 「身体知性の高まる本屋さん」みたいなのって考えられますか(笑)?

佐藤「身体知性が高まる本屋さん」...、あぁ〜。三島さんもされてらっしゃると思うんですけど、ポップってあるじゃないですか。あれってやっぱりすごくいいと思うんですよね。やっぱり手描きのほうがいいし。本の背表紙と、あるいは表紙と、自分があるんじゃなくて、その間にはそれを勧める"人"がいると。

―― なるほど。

佐藤だからポップだらけの本屋さんとかすごくいいなぁと思いますね。イベントもいいのですが、それよりももっと偶然の出会いみたいなのって、タイミングとかってすごく大事だと思うんですね。

―― はい。

佐藤あとは書店員さんがいっぱいいる本屋さんがいいと思います。ポップがあって、人がたくさんいる本屋さん。それってなかなか難しいかもしれないけど。

―― そうですねぇ...。

佐藤「人が関わっている」ということが感じられる本屋さんっていいと思いますよね。いま、アマゾンとかああいうものには無いものとして、本屋さんの身体性が求められていると思います。それは、そんな難しいことじゃなくて、どういう本を勧めるかとか。ポップ描くにも、一冊全部を読まなきゃとかじゃなくて、「こういうところがおもしろかった!」とかがいっぱいあったらすごくいいんじゃないかなぁと思いますね。

―― そうですよね。そこに、身体を介してしか生まれないものというのが、生成されるわけですもんね。

佐藤場合によっては、「『これはおもしろかった!』佐藤」というPOPを見た人が、「この本のことちょっと佐藤さんに聞いてみたい」みたいな感じになればなぁと。いま、消費者と売り手の関係がどこかイビツですよね。

「お客様は神様」みたいなのが強くなりすぎてる時代じゃないですか。お店が全部コンビニ化しちゃっているというか。買い物をすること自体が、お互いの人生が出会う場所だ、みたいな感じがもっとあるといいですよね。そもそも働くってそういうことですから。買い物もそういうふうに、人生同士が出合う場所だったらいいのになって思いますよね。

―― はい。

佐藤話が戻りますけど、医者だって患者に育てられてるわけで。それはもう当然のことですからね。お互いの人生が交差している場所にあるのがお店であり、身体をもった働く場です。WEB書店に対する違いを出す場所なのかなという気がしますね。


   

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