じゃり道本屋さん日記

第2回 本屋さんへいこう

2014.11.03更新

 ぼくはミシマ社で働く以前、書店員をしていました。
 そして書店勤めをしていて一番難しく感じたのは、「声のないお客さんの声」を聞くことでした。
 喫茶店や食堂とは違い、書店は「なにもせずに帰る」ことのできる空間だからです。「この店にはほしいものはないな」といって帰ってしまうお客さん。その声はレジにいる書店員には届きません。新刊情報を眺めていても、売上データを睨みつけても、Twitterの投稿がリツイートされた数をチェックしていても分かりません。だけどその目に見えない声が実は一番大事なものなのかも知れません。この店に足りない物はなにか、それを一番よく知っている人の声だから。
 それはミシマ社の本屋さんだって同じです。いや、ミシマ社の本屋さんにとっては、一般の書店以上に大切かもしれません。

「お店の場所がわからなくて通り過ぎちゃったわー」

 このひと月、少なくとも5回はこの台詞を聞きました。ひと月に5回。少ないようですが、当店の営業は週に1回だけ。ということは、営業日ごとに毎回同じ台詞を聞いているということです。毎回必ず。これは大変な数です。
 いや中には同じことを2回言ったお客さんもいました。それでも大変な数であることに変わりはありません。2回言わないと気が済まないほど迷ったのでしょう。
 無事お店にたどり着いたお客さんですら迷っている。では、迷ったあげくたどり着けなかった方は一体どれくらいおられることやら。

 これが僕たちにとっての「声のないお客さんの声」でした。品揃えや接客以前の問題です。「行きたい」と思っている方がいるのに、たどり着けない。
 別に僕たちはコソコソと隠れて営業したい訳ではないのです。たしかに先日、月刊誌『男の隠れ家』に取材を受けました。しかし、ここは男の隠れ家ではありません。みんなにひらかれた本屋さんです。たくさんの人に来てほしい。取材も大歓迎です。たとえそれが『男の隠れ家』でも。繰り返しますが、たくさんの人に来てほしいのです。なのに、行こうと思っている人がたどり着けない。こんな悲しいことがあるでしょうか。ああ悲しい。

 というわけで、当店までの道のりを詳しくご紹介しましょう。

 最寄り駅は京阪電車・神宮丸太町駅です。準急か各駅停車しか止まりません。特急に乗っている方は三条駅で乗り換えてください。ちなみに、神宮丸太町駅の神宮は平安神宮のことを指すようですが、平安神宮へは神宮丸太町駅から歩くよりも地下鉄の東山駅から歩いた方がお土産屋さんとかもあって楽しいです。


 さて、無事神宮丸太町の改札をくぐったら、右へ向かいましょう。右手には「ひらパーが、あるよ」と書かれていますが、ここにひらパーはありません。無視して大丈夫です。


 まっすぐ進んで2番出口に向かいましょう。改札から一番遠い出口です。出口に向かう階段の途中には薄暗いライブハウスがあります。これが「メトロ」です。夜になると妙な風貌の外国人がたむろしていることがまれにあります。手を出さない限り嚼まれません。大丈夫です。


 メトロを通り過ぎて階段を上りきると川端通です。
 歩道が広く、結構なスピードで自転車が走って来ますので気をつけてください。右を見て、左をみて。
 あ! 多聞さんだ! デザイナーの矢萩多聞さんがやって来ました。多聞さんはいつも笑顔です。いつも笑顔ですが、いつもここにいる訳ではありません。


 さて、出口から出たら左に曲がりましょう。左手にはローソンがあります。ここはお客さんと店員さんを足した数よりも自転車の数の方が多い、不思議なローソンです。
 そのまままっすぐ、歩道を歩きましょう。道路の向こう側は鴨川です。帰り道に土手で今日買った本を読んだりしてもいいですね。道路のこちら側には商店とマンションが並んでいます。


 すぐに路地が見えて来ました。この路地を曲がっては行けません。ここを曲がると某有名作家さんの家があるそうですが、行きたい気持ちをぐっとがまんして直進しましょう。
 何軒かの家を通過すると、左手に緑のテントのついたお店なのか民家なのかちょっと良く分からない物件が見えます。これが目印です。


 緑のテントの家の向こうにはコインパーキングが見えます。その隙間をよく見てください。よく見ると細い路地があります。そして路地の入り口には小さな看板が出ています。「ミシマ社の本屋さん」と書かれていたら正解です。
 そのままじゃり道をのぞいてみてください。突き当たりに瓦屋根の門が見えます。門をめざして進みましょう。


 門をくぐればそこがミシマ社です。玄関はオフィスの入り口になっています。
 本屋さんへはもう一歩奥、庭の敷石にそって歩いてください。そこが入り口です。いらっしゃいませ。おつかれさまでした。


ミシマ社の本屋さん
京都市左京区川端通丸太町下る下堤町90-1
営業:毎週金曜日の13:00〜19:00
電話:075-746-3438
京阪電車・神宮丸太町駅2番出口から南へ徒歩1分
大きな地図はこちら




11月の開店日(毎週金曜日)
7日、14日、15日、21日、28日
※ 15日(土)も営業します!

お出かけ本屋さん
24日 第1回 ニューふろ本市に出店します!


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ミシマ社の本屋さん

出版社・ミシマ社が運営する小さな本屋「ミシマ社の本屋さん」。2014年3月まで京都府城陽市で営業しておりましたが、京都市内にて2014年10月3日(金)より営業再開。毎週金曜日、最終土曜日の13:00~19:00の開店です。

京都市左京区川端丸太町下る90-1
京阪神宮丸太町駅から徒歩1分

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