『今日の人生』特設ページ

 本日、4月20日発刊! 益田ミリさんの『今日の人生』
 これまで特設ページでは、奥付のコマの秘密や、すでに寄せられている感想などご紹介してきました。初版限定での「仕掛け」(写真が6枚ついてます!)など、本当にいろいろてんこ盛りなんです!

 そんな、盛りだくさんな本づくりを一緒にしてくださったのが、デザイナーの大島依提亜さんです。
 とにかく物として持っておきたい、存在感のあるような一冊を、という気持ちで作った本書には、紙の本だからこその魔法がかけられています。

 いったい、どんな魔法がかけられているのか? 全3回でお届けします!
 2日目は、『今日の人生』の表紙をはじめとする、そのほかの秘密について。

大島依提亜さんに聞きました!(2)表紙にも秘密があります

2017.04.20更新



 実は、表紙の色が赤、緑、青の3種類あると聞きました。

 そうなんです、表紙が3色あるんですよ。これ、買った人もまったく気づかないかもしれないよね(笑)。本屋に本が並んでいても、カバーと帯が巻かれてるし、どれが何色かとかまったくわからない。

 これはまさに、『今日の人生』なんです。
 今日たまたま買った赤い表紙も明日選んだとしたら青かもしれない。ちょっとした偶然で1日が変わるかもしれない可能性、そこがまさに、「今日の人生」的だなと思ったので。たとえそれがそのとき気づかれなくても、もしかしたら、5年後とかに、この本を持ってる友達の家にいって、表紙を開いたときに「あれ?」ってなる人がいるかもしれない。青だと思ってたけど赤だ、もしかしたら赤だったのかな? 帰るころにはそんなことすらすっかり忘れて自分の本棚も確認せずに終わる。そんな些細な気づきくらいでもいいかなと思ったんです。



 1ページ目から、開くとすぐにマンガが始まる、というのも特徴的です。

 この、最初のプロローグは非常に重要なのでまず真っ先に読んでもらいたかった。その先にタイトルの扉が入るほうが導入になるのかなと。
 通常の書籍ですと、本扉がはじめにあって、本文のフォーマットに基づいたタイトル文字が繰り返されて...と本の流儀があるじゃないですか、そういったルールはいわば装飾的なものだと思うんですけど、物語の演出としてのブックデザインというのを最近よく思ってるんですよね。



 途中に入っている、「昨夜の夢」のページは、紙がガラッと変わって黒色ですね。


黒色の紙に銀色で刷られているページが挿入されています。

 これはミリさんが見ている夢の話なので、ここだけ世界がだいぶ違うんですよね。夢特有の不思議な感じ。豚しゃぶ用の生肉の台紙が何故か封筒だったりして笑ってしまうんだけど妙にリアルで、すこし怖くもあって。
 なのでこの章は大胆に変化をつけようと思い、黒の紙をつかいました。黒白反転するのは、ミリさんのタッチだとあわないかもとはじめは思ったんですけど、このシュールさにあってましたね。

 グザヴィエ・ドラン監督の映画『たかが世界の終わり』のパンフレットを作った際に、今回同様に黒色の紙に銀色で本文を印刷したのですが、今回の場合は漫画の線がだいぶ細かったので、印刷所からは「こんなにハッキリ出すのは無理」と言われちゃいましたね(笑)。でも、試行錯誤の結果、綺麗に仕上がってよかったです。



 実はここが好き!というポイントはありますか?

 これはあんまり一般の人には伝わらないと思うんですけど......今回のカバー、アラベールという白色の紙にベタで色を刷っているんですよね。この、色ベタで刷ったときに色がしょわしょわになるのが大好きで。これがね、出るときと出ないときがあって全然よめないんです。色と紙の性質によるんだと思いますが、黄色とかはフラットに色ムラなく出てますよね。でもこの、緑のしょわしょわ。これね。

 デザインを始めたばかりの頃に、自分で納得してないままのデザインで入稿せざるおえないときがあったんです。一つ一つを全力で挑んできちんと成果を出さないといけない、若手の頃だったのにも関わらず。それで、泣きそうになりながら色校を待ってたら、こういう「しょわしょわ」が出たんですよね。すると全然表情が違うくて、自分ではダメダメだと思ってたんだけど、めちゃめちゃいいデザインに見えた。
 Mac上だと色がフラットで、なんとなく面白みに欠けるデザインに思えた成果物がなんだか輝いて見えた。印刷ってすごいなと。印刷にはまったのはその頃からと記憶してます。そのときのことをすごく思い出しました。

 今回、このカバーのデザインでいこうとなったとき、つるんとした感じになってしまったら嫌だなと思っていたので、実はそこが一番どきどきしていました。それによって、この表紙の成功が左右されちゃうから。
 でも、すごくいい感じにこの「しょわしょわ」が出て、実はこれが一番嬉しかったんです。しかもこの「しょわしょわ」には名前がないからね、なんて言えばいいのかな(笑)。



*緑の「しょわしょわ」や表紙の色、黒色の紙...実際はどうなっているのか? ぜひ手にとってご覧ください!
3日目の明日は、大島さんが『今日の人生』をどう読んだのか?をお届けします。

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ミシマ社 編

『今日の人生』益田ミリ(ミシマ社)
2017年4月20日発売

むなしい日も、幸せな日も、おいしいものを食べた日も、永遠の別れが訪れた日も・・・。
2コマで終わる「今日」もあれば、8ページの物語になる「今日」もある。
描き下ろしを加え、「みんなのミシマガジン」の人気連載「今日の人生」4年分が一冊に。

石田ゆり子さん推薦!

大島依提亜さんによるブックデザインも注目です!

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