ローカルメディアのはなし。

第2回 ケーブルテレビって未来!

2017.01.11更新

 長野行き「特急電車しなの」のなか、僕はいまもっともその可能性にワクワクしている、とあるメディアについて考えをめぐらせていました。というのも、今日はこれから、長野県諏訪市にあるLCV(設立時はレイクシティケーブルビジョン)というケーブルテレビ局に、番組の企画書を持って伺うことになっているのです。

 そう、僕がいまもっとも注目しているメディアとはケーブルテレビ。ちなみにこのLCVさんがとてもおもしろい放送局なんですが、それについてはまた次回書くとして、まずはやっぱり、僕がなにゆえケーブルテレビに注目しているのかについて説明せねばですね。


 2012年から2016年まで4年間にわたって秋田県庁発行のフリーマガジン『のんびり』の編集長を務めさせてもらった僕は、それをご縁にいまもなお足繁く通う秋田にあるケーブルテレビ局、CNA秋田ケーブルテレビさんと一緒に、『のんびりし〜な』という番組を作っています。

 僕を含めた3人の出演者が毎回秋田県内の市町村をまわり、それぞれの町の観光ポスターを作るという奇妙な旅ロケ番組なんですが、いやぁ〜これが楽しいのなんの。まさか四十超えてここまで真っさら状態で勉強させてもらえるなんてと、歓喜しながら番組の企画構成、演出、出演、編集にいたるまで、すべてに口出し顔出ししています。

 もともとかなりのテレビっこだった僕は、特にナニワという独立国家で育ったゆえ、東京とは違うローカルなテレビの可能性みたいなものに随分ときめいたものです。
 しかしながら、その後の北海道テレビさんの大躍進など、地方の放送局におおいなる可能性を感じたのもせいぜい90年代後半までかなあというのが視聴者としての僕の実感。
現状、広告収入が減っていくばかりの地方局は、キー局の番組を受けて流して受けて流して、いつしか自ら番組を作るという発想自体が消えてなくなってしまったかのようです。

 経営的なことを考えれば、番組制作などというリスクを背負うよりは、キー局の人気番組を流すほうがいいのは当然の判断だとわかりつつも、それではやっぱり「おもろないねん!」と思います。


 そんななか、僕自身の環境も、紙の雑誌からウェブマガジンへと変化しつつあり、長年紙媒体を作ってきた経験値が、いよいよ邪魔になってきました。
 パソコンすら持たなくなったこの時代において、スマホでの表現を考えれば考えるほど、映像との親和性が頭をめぐり、結果僕は、スマホで気軽に見られるような15分程度のおもろい番組を作りたいなあ〜ということばかり考えるようになっていました。

 そこでふと思い出したのが、いつも秋田でのイベントを取材しに来てくれるCNA秋田ケーブルテレビさんです。NHKさんも、他の地方局のみなさんも、よく取材してくださるものの、出席率の高さでいえばダントツCNAさん。
 秋田市内、しかも契約してくれている人しか見られないという超限定的な放送圏であるものの、それでもイベントの大小にかかわらず取り上げてくれるCNAさんに、他のローカル局とは違う何かを感じていた僕は、その何かの正体に気づいた瞬間に思わず声をあげそうになりました。ケーブルテレビが一般的な地方局と決定的に違うこと。それはズバリ、「自分で作らな流すもんがあれへん」ということです。

 つまり、出来合いの番組を流すのではなく「自分たちで作る」のがベースであるということ。
 正直な話、そのクオリティがどうあれ、その意識こそがとても大切だと思ったと同時に、「こんな時代やねんから、作った番組ネットで流せばみんな見られるんやし、おもろい番組作りたいんやったら、秋田でいうところのAAB(テレビ朝日系列)、ABS(日テレ系列)、AKT(フジテレビ系列)などのローカル放送局でやるよりも、もっともっとスーパーローカルな秋田ケーブルテレビと一緒に番組作った方が自由やし早いんちゃうか?!」と思ったわけです。

 ケーブルテレビには最低限のインフラと機材や人材があって、僕たちには脳みそがある。ならば互いの力を出し合って、面白い番組を制作することができるんじゃないか? そして何より、僕(たち)は芸能人じゃないんやから、権利関係の束縛もあらしません、と。
 だからそういう意味でも、この『のんびりし〜な』という番組はチャレンジなんです。巨大な日本のテレビ業界の脇の甘〜〜〜いとこに、おっさんが、地方からでんぐり返しで突っ込むような、そんな無謀やけどワクワクする冒険のはじまり。ね、これが楽しくないわけがないでしょ?!


 ということで、よろしければぜひ一度『のんびりし〜な』見てみてください。全国どこでも見られるネット公開版はこちらです。
『のんびりし〜な』
http://cna.non-biri.net/

 次回はさらにもう少しケーブルテレビの未来のお話を。

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藤本智士(ふじもと・さとし)

1974年兵庫県生まれ。編集者。有限会社りす代表。雑誌『Re:S』編集長を経て、秋田県発行フリーマガジン『のんびり』、webマガジン『なんも大学』の編集長に。編集・原稿執筆した『ニッポンの嵐』ほか、手がけた書籍多数。自著に『ほんとうのニッポンに出会う旅』(リトルモア)。編著として『池田修三木版画集 センチメンタルの青い旗』(ナナロク社)、近著にイラストレーターの福田利之氏との共著『いまからノート』(青幻舎)など。

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