第6回 欠席、可
私が寝ているあいだも、みんなは働いていた。
このところたてつづけに、私が途中で手放したものたちが仕上がってきた。
自分が担当した小説で、映画化のために長く動いていたものが二本あった。その二つとも、映画が完成した。
それから、声をかけていた書き手が、「やっとできました」といって小説を送ってきてくれた。
これらは、私がいなくなったにもかかわらず、仕上げられ、そのうえ私に感動をくれた。
水遣りを放棄したのに、花は届けられた。
花があまりに綺麗なので、種まきの頃の苦労や、嫌な思いをしたことは、ぜんぶ吹っ飛んだ。
ある時期、真剣に情熱をかけたものは、たとえそのあと何かのタイミングでほかの人の手に渡ったとしても、あとでちゃんと自分を幸せな気持ちにしてくれるということがわかった。
会社員時代の私は、ものごとの過程全てに張り付いていなければ、ツキが離れるような気がしていた。
常に出席していないと、不安だったのである。
いまは、違う。
自分の手に来たときは感謝してあたため、育て、あるとき自分から離れていく。
それは中途半端でも挫折でもないということがわかったいまは、何事にもビクビクしないで済んでいる。
