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「ロシア人の名前は何であんなに長ったらしいのか?」と、よく言われます。時にはもっと単刀直入に、「なんであんなに滑稽なのか?」とすら言われたこともある。
確かに、ロシア人といえば、「ドストエフスキー」「ムソルグスキー」「ゴルバチョフ」など、ゴツイというか愛想がないというか、そんな名前ばかり。
ですが、「グジェ」とか「ドヴァ」とか、「ルグスキー」なんて不可思議な文字列は、ロシア人の名前でも呼ばない限り、一生声に出すことはないはず。
だったらせっかくなので、読みづらいけど、大声で唱えてみよう。気分が晴れたり晴れなかったりするかもしれません。
本連載では、そんな怪しげな響きのロシア人名を厳選して紹介するとともに、その人物のプロフィールを解説。ロシア人の名前の仕組みについてもわかる。役には立たないが。
第10回 チュッチェフ
Фёдор Иванович Тютчев
なんだか小鳥のさえずりのような名前ですが、私は最初に聞いたとき、
「なんだかアメの名前のようだ」
と感じました。多分「チュッパチャップス」のイメージでしょう。
あと、多少淫靡な香りもしないでもありません。
それはともかく、フョードル・イヴァノヴィチ・チュッチェフは19世紀の人で、帝政ロシアの外交官だったのですが、どちらかというと詩人として有名です。
プーシキン、レールモントフと並んでロシア三代詩人と呼ばれることもあるそうですが、前二者に比べると、圧倒的にマイナー。
ただ、ロシア研究家の間ではわりと有名な「ロシアは頭では理解できない」というフレーズがあるのですが、これは彼の言葉です。
さらに、「ロシアはただ、感じるしかない」と続く。
この言葉をよく、大学時代の恩師が言っていたものです。
今思えば、ロシア研究にいろいろ、悩んでいたのかもなぁと思わないでもありません。
発音する際は、口を尖らせて「チュッチュ」みたいに言いがちですが、実は最初の「チュ」は、正確には「テュ」みたいな音(アルファベットにするとtyu)。
なので、「テュッチェフ」が正解です。ややこしいな。
