その会社、入ってはいけません!

ミシマ社がプロデュースし、ソシム株式会社が販売するビジネス書ブランド『ビジパブ』。
最新刊l、『その会社、入ってはいけません! ダメな会社を見わける50の方法』の著者である藤井哲也さんに、「隠れブラック企業」を見抜く極意の番外編をお聞きしました。シューカツ中の学生さん、転職を考えている社会人の皆さん、本書とあわせてぜひご一読を!

第1回 入ってはいけない会社―番外編―1

自社商品を開発しようとしない下請けソフトウエア会社

3月に入り、学生の就職活動が本格化しています。
私も学生さんの就職活動の現場に接することが多くなり、その本気さ、真剣さに触れる度に、応援したい気持ちが湧き上がってきます。
 
さてこのコラムは、『その会社、入ってはいけません! ダメな会社を見わける50の方法』の「番外編」です。本書ではページ数の都合で触れられなかった、「隠れブラック企業」を見わけるポイントを、何回かにわけて書いていこうと思います。
就職・転職活動中の方に、ぜひご覧いただいて、参考にしてもらえればと思います。

第1回目は「自社商品を開発しようとしない下請けソフトウエア会社」です。
下請けソフトウエア会社のすべてに入ってはいけないというわけではありません。しかし「自社商品を開発しようとしない」という姿勢が見られたら、その会社への就職は考え直したほうが良いでしょう。

その理由をご説明します。

いま、ソフトウエア業界はすごいことになっています。
これまでソフトウエア業界は、ピラミッド構造になっていました。そのピラミッドの一番上には、富士通さんや、NECさん、日立さんといった大企業があります。その下に、そうした会社の子会社や冠会社、関連会社があり、そしてさらにその下に、何層にも連なる下請けの小さなソフトウエア会社がある、という構造がありました。

しかし最近、その構造に、大きな変化が生じてきています。
長引く不況のおかげで、乾ききった大手ソフトウエア会社の関連会社や一次請負会社がスズメの涙ほどの仕事を奪い合っているのです。当然、ピラミッドの下に位置する下請けソフトウエア会社に仕事はいきわたっていきません。
 
そしてそれでも仕事がない子会社や関連会社は、その親会社に吸収される形で姿を消していっています。勤めていた技術者の方たちは、一部を除いて、外国に出されるか、リストラされることとなります。

しかも、それだけでは終わらないのです。
ここのところ急速な勢いで起きているのは、外国のソフトウエア会社への外注化です。これまではいろいろと品質面や言語面で問題があり、うまくいきませんでしたが、解決策が見つかるようになり、大手ソフトウエア会社はどんどん中国やインドなど、国外の会社に下請け業務を外注しています。
「景気が戻れば、また仕事が復活するだろう・・・」とノンキに構えている下請けソフトウエア会社の経営者は、この変化に気づいていません。しかしもう時代は戻らないのです。たとえ景気が戻ったとしても、コスト面で圧倒的に安い国外企業がこのままシェアを伸ばしていけば、かつてのように黙っていても仕事が入ってくることはないでしょう。

そこで重要になるのが「自社商品の開発」です。たとえニッチでも市場のニーズに合った、今の時代に求められるソフトを開発する力があるソフトウエア会社は、現在のような長引く不況下でも堅実な売り上げを保っています。また最近では、iPhoneアプリやgreeやmixiなどの携帯ゲームなど、新しいソフトウエアの市場も生まれており、ますます時代を見る目が問われるようになってきています。
自社商品を開発する必要があるのはもちろんですが、その自社商品を売って、利益に結びつけるマーケティング力が必要なのです。生き残る下請けソフトウエア会社には、そうした総合力が必須の時代となっています。

規模の大小ではなく、魅力的で市場性のあるソフトウェアを開発する力がその会社にあるかどうか。そして将来にわたって開発を続けることができるかどうか。ソフトウエア会社を受ける際には、ぜひそうした目で会社を見ることをおススメします。

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プロフィール

藤井哲也(ふじい・てつや)

人事コンサルタント。(株)PASIO代表取締役社長。町工場を経営する親の長男として1978年誕生。2001年立命館大学法学部卒業後、人材派遣会社に就職。これからの日本社会を憂慮し2003年9月に会社設立。以後、若手求職者の就職支援事業を経て、現在は大企業から中小ベンチャー企業まで幅広く、若手社員の早期離職を減らすコンサルティング事業を展開。社員定着手法「リテンション・マネジメント」という概念を日本に普及・定着させた。将来の夢は「世界から飢餓をなくすこと」。

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