ある日の数学アナ

第35回 アナウンサーの技術(後編)

2012.06.28更新

今回も前回の続きをまとめてみる。

今回は主に取材をするうちに自然と気がついたといったところかしら。

⑥質問力を磨く
これまでにお話したように、周りにお手本がいるという素敵で幸運な立場に感謝している。
そのこと自体は大切なことなのだが、ただ受け身に回ってしまうと、本当に聞かなければいけないことをうっかり聞き逃してしまうから注意が必要だ。

特に仕事を始めたばかりの頃に注意されることが多かったのが、
「どうしてこの質問をしてないの?」
ということ。
核心ではない、どうでもよい質問ばかりして、
相手と沢山会話をしているにもかかわらず肝心なことを聞いていないという。
取材から戻ってきてこう言われるときは本当に落ち込む。

不思議なことにそういう時に限って自分では色々と質問したり相手から
色々な話を聞き出してきたつもりになっていることが多いのだ。

しかし「なぜこの核心に迫る質問を逃してしまっているの?」
と映ってしまっている以上、こういう時は大いに反省しなければならない。
追加で電話取材するなど、簡単に連絡が取れる時はまだしも、
なかなか会えないような方にお話を聞くことができた場合だったと想定すると、
こう叱咤された時の焦りはご想像に難くないかと・・・。

だからこそ、日頃からこの問題は何が核心にあって、何がポイントなのか、
常に頭のなかで整理しておくことが重要なのだと痛感している。
それがニュースであれ日常の些末な事柄であれ、人に何かを聞かれたら
端的に説明できるようであること。
これが理想だ。
今現在できているかどうかは別として。

⑦ポイントを見抜くには
ポイントを見抜く、と一口に言っても
これがまた難しい。
どんなニュースにも核心があって、しかもそれは意外とシンプルなことが多いのに、背景や周辺に埋もれてしまっていることが多い。

特に新聞などは情報が実に多く掲載されている。
その取捨選択を自分がある程度した上で再構築しないと、頭のなかがこんがらがったまま。
結局新聞を読んでもニュースがよくわからない、という結果になってしまう。

つまりは、周辺情報のなかから宝を見つけ出すんだ、というような意識を常に持つこと。
なぜこういう現象が起きているのか、という疑問を持ち続ける。
これに尽きるのではないか。

なぜ? という姿勢は小さな子どもが繰り返すシンプルな行為なのに、
大人になるとうっかり色んなことに疑問を持たなくなりがちだ。
あえてそのシンプルで大事な原点に返ってみるということですね。

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倉野麻里(くらの・まり)

テレビ東京アナウンサー。理工学部数学科を卒業した後、放送局アナウンサーという一見、数学とは縁のない世界に飛び込む。仕事は十二分に充実しているものの、数学、数字には触れない日々。「モノタリナイカモ…」。離れてみてわかった数学への愛。いや、数学への一方的な愛!!数学への偏愛から見える日常のあれこれを語る。
KYOTO的の人気連載「くらまりの日々是数学」をタイトル改め、本誌で新連載。

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