明日の一冊

2019年10月

 Carver's Dozen レイモンド・カーヴァー傑作選中公文庫

Carver's Dozen レイモンド・カーヴァー傑作選

レイモンド・カーヴァー 著 村上春樹 編訳

この本は短編小説の名手と言われる、レイモンド・カーヴァーの作品集です。私がおすすめしたいのはこの中に収録されている、『サマースティールヘッド(夏にじます)』という短編小説です。小学生か中学生くらいの少年である主人公は、両親の仲が最悪であることに心を痛めています。ラストは本当に悲劇的・破滅的・絶望的なのですが、何べん読んでもなぜか不思議なあたたかさを感じて、「人はこうやって大人になるのだな」と思わされます。家庭環境で悩んだ方、あとは自分が思春期だった頃を思い出したい方にはぜひおすすめです!

(ミシマ社 須賀紘也)

2019.10.31

無意味のススメ春秋社

無意味のススメ

川崎昌平

昨日のミシマガ「教えてください」にご登場いただいた川崎さんの最新刊です。ネットやSNSの普及などによって、私たちは情報に取り囲まれております。情報を得ることにももちろんメリットがありますが、常に情報を読み取ろうと身構えていると、ときに疲れ果ててしまいます。そこで重要なのが、「無意味」を大切にすること。しかし、情報社会に慣れてしまった私たちが、意味を捨てて無意味に浸るためにはテクニックが必要です。例えば道端の花を1分間見つめるとか。そんな「意味に殺されないため」のトレーニングや考え方が紹介されています! 

(ミシマ社 須賀紘也)

2019.10.29

すべては宇宙の采配東邦出版

『すべては宇宙の采配 』

木村秋則

「あのときのあれが!」とターニングポイントになった新聞の書評欄。内田樹さんの1冊ともう1つがこの本でした。「奇跡のリンゴ」でおなじみの青森の農家さん。無農薬栽培に成功された方です。

木村さん本人の言葉による葛藤や疑問、龍や宇宙人も出てきてすでに農家のハウトゥーを超えている。その生きざまが面白く、当時は笑って読んでいたのですが凄まじさも感じました。のちにお会いして、農業の道へ進む決定的な瞬間が訪れました。

農家・僧侶/『ちゃぶ台Vol.5』著者 中村明珍さん

2019.10.27

邪悪なものの鎮め方文春文庫

邪悪なものの鎮め方

内田樹

あとで「あの時のあれが!」と気づくことって、あるんですね。

バンド・銀杏BOYZでひたすらレコーディングで籠っていた頃に、たまたま買った新聞。その書評欄にあった2冊が人生を変えてくれました。その1冊です。

「邪悪なものはどうやったら鎮まるのか」と毎日悩んでいたときに飛び込んできたタイトル。読んだら逆に自分が鎮まった。このあと次々に内田先生の本と目が合っていきました。『ちゃぶ台』に続くご縁は奇跡みたいです。原点です。

農家・僧侶/『ちゃぶ台Vol.5』著者 中村明珍さん

2019.10.25

山風にのって歌がきこえる 大槻三好と松枝のことタバブックス

山風にのって歌がきこえる 大槻三好と松枝のこと

惣田紗希

昭和初期、群馬県太田市で出会った二人の歌人。それぞれの詠んだ歌をとおして浮かび上がってくる、二人の生きた想い。澄んだ水のような歌に、惣田紗希が描くイラストが音楽のように寄り添う。田舎に暮らすようになって日々感じるのは、名もなき人にも知られざる美しい人生の瞬間があるということ。そんな思いをいっそう強くしてくれた一冊。
「逢へるだろ さう思つて来て逢へた日よ 神が此の世に居るよな日だった」

養蜂家/『ちゃぶ台Vol.5』著者 内田健太郎さん

2019.10.23

ミツバチの会議築地書館

ミツバチの会議

トーマス・シーリー(著)/片岡夏実(訳)

養蜂家なら誰もが経験する、ミツバチの分封(巣別れ)。それは黄金のような甘い蜜と、住み慣れた家を捨てて、新たな住処を探し求めるという冒険の旅路だ。蜂たちは一体どのようにして話し合い、どのようにして新しい居住地を決めるのか。本書はそこにスポットを当てた科学的考察の記録。
民主主義が危うい今の時代にこそ耳を傾けてほしい、ミツバチによる驚くべき民主主義の声。

養蜂家/『ちゃぶ台Vol.5』著者 内田健太郎さん

2019.10.21

のんびり NONビリオークラ出版

のんびり NONビリ

藤本智士/のんびり編集部

秋田のフリーマガジン「のんびり」に出会ったとき、衝撃を受けました。「これ、本当にフリーなの!?」。いや、フリーマガジンか商業出版かなんて関係なく、明らかに異彩を放つ、ホカホカのお弁当のような冊子に魅せられたのでした。本書はその「のんびり」をなんと単行本化してしまったという一冊。新たな取材&過去の特集再録で、「秋田」を再発見できること間違いなしの内容です。雑誌の特性上、なかなかバックナンバーは手に入らないかもしれないけれど、こうして一冊になることで、また長く読み継がれていくはず。うれしいです。

ミシマ社 営業チーム 池畑索季

2019.10.14

思わず考えちゃう新潮社

思わず考えちゃう

ヨシタケシンスケ

日常の一コマから思い描くヨシタケさんの「心のスケッチブック」。「そっか、そんな人もいるよね」と傍観的になる場面もありますが、「アハハハ、あるある!」「キャー! わかる、カワイイヨネー!」と、とにかくおもしろいですよ! (女性向けかも・・・。男性の人はどんな感想ももつのかなあ)

(ミシマ社サポーター 河野智子さん)

2019.10.11

苦しかったときの話をしようかダイヤモンド社

苦しかったときの話をしようか

森岡毅

ボロボロだったUSJを再建した、もとP&G社員が、息子の将来のために込めたメッセージを本にしたもの。建前ゼロで、それこそ本当に自分が苦しいときの助けになりました。ここまで苦労してこそ仕事人!と思いました!

(ミシマ社サポーター しろあやみさん)

2019.10.09

 頑張って生きるのが嫌な人のための本大和書房

頑張って生きるのが嫌な人のための本

海猫沢めろん

死んでしまって、もういない彼へ捧げる、めろんさんの美しさの塊。魂の美しさ。

(ミシマ社サポーター 渕脇勤さん)

2019.10.07

まだまだ知らない 夢の本屋ガイド朝日出版社

まだまだ知らない 夢の本屋ガイド

花田 菜々子 (編集), 北田 博充 (編集), 綾女 欣伸 (編集)

本屋さんの魅力を再発見するキッカケとなった1冊。まだどこにも紹介されたことのない、日本全国のおもしろい本屋さんを紹介しています。しかし、なんとラストには衝撃の事実が。本屋さんを愛する人たちによる本屋さんへの愛が詰まった本です。実はミシマ社メンバーもチラッと登場していたりします。

(ミシマ社 舘雄佑)

2019.10.04

うらおもて人生録新潮文庫

うらおもて人生録

色川武大

『麻雀放浪記』の著者である阿佐田哲也氏のペンネームのひとつである「色川武大」としての作品。ギャンブルから学んだ人生観を教えてくれます。1人で入った立ち飲みの居酒屋で常連の面白いおじさんから人生の教訓を聞かせてもらうような、そんな本です。お酒飲みながら読むのがオススメです。

(ミシマ社 舘雄佑)

2019.10.02