2019年9月
文芸文庫
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『「ない仕事」の作り方 』
「ゆるキャラ」や「グッドクリフ」など誰もが見向きもしなかったものを自己流のプロデュース術で社会に発信し続けてきたみうらじゅんさん。自分を騙すぐらいに自分がそのものを好きになること、無駄な努力を惜しまないこと、プロデュースする対象を主語においてプレゼンすること。みうらさんが大切にしている仕事への姿勢を垣間見ることができます。めちゃくちゃな話もたくさん出てくるのになぜか腑に落ちる。グッと来る1冊です。
(ミシマ社 舘雄佑)
2019.09.30
NTT出版
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『自然を名づける ーなぜ生物分類では直感と科学が衝突するのか 』
学生のころ、「クジラは魚かどうか?」というレポート課題を出す教授が身近にいました。「哺乳類だから魚じゃないに決まってます」みたいなことを賢しらに書くと一発で不可です。そういう時代でした。この講義は極めて単位が取りにくいことで私の周辺では怖れられていたのですが、今ならこの本があります。これを読めば、きっと大丈夫な、、、はず、、、
2019.09.27
創元SF文庫
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『造物主の掟 』
古き良き香りのするSFです。私思うにSFの醍醐味はビックリさせられること。生きもの見ていてビックリさせられるのと良く似ています。この小説は、土星の衛星タイタンを舞台に機械生命体と人間とのファーストコンタクトを描くのですが、この機械生命体がタイタンで進化したくだりを説明するオープニングがSFとしてビックリなうえに、生きもの見ているビックリ感もあって、ダブルでドンです。お得です。
2019.09.25
みすず書房
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『タコの心身問題 』
地球を侵略してくる高い知能を持った火星人はタコ型ですが、本物のタコも賢いのです。私たちを観察し、いたずらを仕掛け、町を作ったり、手を引いて海の底を連れ回ったりしてくれます。そんなタコの心のありようを覗き込みたい方へのこの一冊。たこわさ食べられなくなります。
2019.09.23
方丈社
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『朝、目覚めると、戦争が始まっていました 』
昭和16年12月8日、太平洋戦争が始まった日に書かれた多くの作家、知識人たちの日記をまとめた本。一部分しか載っていないが、みなが高揚していたことを思い知らされゾッとした。だけど、現代の日本だったらどうなのだろう?
(ミシマ社サポーター 深澤香里さん)
2019.09.20
マガジンハウス
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『そのうちなんとかなるだろう 』
内田先生の自叙伝。まるで小説のような学生時代! 「あれはウチダタツルという有名なワルモノなのよ」にはおもわず笑ってしまいました。でも、うるっときたのは「空き時間は天からの贈り物」。この言葉、先生から私への贈り物と、勝手に受け取らせていただきました。ありがとうございます。
(ミシマ社サポーター Hamiさん)
2019.09.18
講談社文庫
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『やりたいことは二度寝だけ 』
・アッパッパは「up a parts」のこと!? 英語だったの!? ・根性ばば色→大阪弁の中でも一番の悪態言葉・25℃までなら長そで、20℃までならはおるもの、15℃までならセーター、11℃以下ならコート。たくさんのエッセイ、どこから読んでもおもしろい。しかも勉強になります。
(ミシマ社サポーター Emilyさん)
2019.09.11
ちくま文庫
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『味覚日乗 』
季節折々の細やかな料理が、丁寧な言葉遣いで語られる。そのどちらもが現在失われつつあることに気付いて、読みながら切なくなる。と同時に、そういうものが本として克明に記録され、後世に残るというのは、ありがたいことだとしみじみ感じた。
(ミシマ社 岡田森)
2019.09.06
代わりに読む人
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『パリのガイドブックで東京の町を闊歩する 1 』
本屋で見つけて題名を二度読み返して、意味がわからなかった。パリなのか、東京なのか。
しかも1巻の副題は「まだ歩きださない」。闊歩するのか、しないのか・・・
思わず手にとって立ち読みすると、本屋Titleさんのフレンチトーストについて延々と語っている。なんだこれは・・・・意味がわからん。負けた、買おう。とレジに向かった。
たぶん、2巻を見かけたらまた同じことを繰り返すと思う。
(ミシマ社 岡田森)
2019.09.04
マガジンハウス
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『そのうちなんとかなるだろう 』
内田樹先生の半生記。先生が自身の人生を語る、のだが、いつの間にか普段のエッセイや街場シリーズに書いてあるような話になっていく。先生の思想は実人生から出てきているのだなとしみじみ思う。
印象深いのは「武運」の話。「自分にしかできないこと」に取り組むうちに、それが「前からしたいと願っていたこと」だと思えてくるのだという。耳慣れない考え方だが、先生の人生を例として示されるとあまりに説得力がある。(ミシマ社 岡田森)
2019.09.02