2020年4月
あかね書房
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『げそすけとじいじとばあば 』
いかの子げそすけがおじいちゃん、おばんちゃんのところへ一人で遊びに。嬉しさあまって寄り道がてら見つけたサンゴの階段、そこを降りると、なんと・・二人が子どもになってしまう! 子ども同士、遊びは大盛り上がり。けど、ちゃっかり喧嘩にもなったり。大人と子どもの視点は違って当然だけど、根っこはそんな変わらないかも。と思わせてくれる、世代を超えて楽しめる絵本。2020.04.29
フィルムアート社
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『才女の運命 男たちの名声の陰で 』
マルクス、ロダン、アインシュタイン、リルケなど今も天才といわれ後世に名が知られる偉人たちのパートナーに焦点をあて、隠され忘れられてきた彼女たちの姿を綴っています。男性との関係において芸術や学問が介在し、才能にあふれた女性たちのその「才能」がどうなっていったのか。知的好奇心に満ちていた彼女たちが、結婚、出産を経てどんどんやりたいことができなくなったり犠牲を強いられる様は正直いって腹立たしく、何してくれてんねんシューマン・・・とか思います。これ現代にもあるぞと既視感を覚えたり。彼女たちが、その才能を思いっきり両腕伸ばして走り回れるような今であるのか。25年前に刊行された書籍の復刊ですが、過去を知ることは未来に繋がると深く感じた本です。
2020.04.27
堀之内出版
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『みんなのコミュニズム 』
こんなときだからこそ、社会の仕組みについて、イチから見つめ直してみてもいいかもしれません。色々な問題に直面するたびに「政治が、経済が、こういう体制だから仕方ない」と、ハナっから今より「もっとマシなやり方」について考えることを諦めてしまっていることも多いように思います。本書では「コミュニズム」という、今の「資本主義」とは違ったやり方を主張する著者が、そもそも資本主義ってなんなのか? どうしたらその問題を乗り越えられるのか? なかなかとっつきにくい社会思想のお話を、わかりやすい平易な言葉で説明しています。ラディカルな本書の主張をすべて受け容れるわけではなくても、考えるきっかけとして刺激的。時代状況にあわせて、社会の仕組みや流れそのものもチューンナップしていけたらいいのになぁと素朴に思えてきます(そして、『ちゃぶ台』にもご寄稿くださっている榎本俊二さんのイラストがかわいい!)2020.04.17
朝日出版社
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『岐路の前にいる君たちに ~鷲田清一 式辞集~ 』
このコロナ禍で、卒業式、入学式を迎えられなかったという方も多いと思います。本書は大阪大学総長、京都市立芸術大学理事長・学長を歴任された鷲田清一先生が、実際に大学の入学式・卒業式で話された式辞を集めた一冊です。朝日新聞「折々のことば」でも日々すばらしい言葉を届けてくださっている鷲田先生が、不安や期待で胸がいっぱいの入学生や卒業生に向けて贈ったことばには、温かさのなかに、今の時代を生きる難しさと面白さ、古今東西の叡智、学び、成長し、社会に出ていく上で大切にしてほしいことがぎゅ~~っと詰まっていて、まさに、まさに珠玉の式辞集です。学生さんや新社会人のみならず、「帰路の前にいる」みんなに読んでほしい一冊です。2020.04.15
早川書房
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『ユー・アー・ヒア あなたの住む「地球」の科学 』
こんなときだからこそ、視野が広くなるような本を読みたいと思って本棚を眺めたら、積ん読の中にこの本があった。帯文には大きく「どでかい視座を手に入れろ」。イギリス王立地理協会の前会長が著したこの一冊には、宇宙から、水から、人の動態から...etc. 様々な視座から観た「世界」の様相が示されている。同じ世界が、視座の置き方ひとつでこんなにもダイナミックに違って見えることにドキドキさせられる。そして手にした「地図」次第で、「アイ・アム・ヒア」ーー色々な場所に、自分を見い出すことができる、家にいながらにして世界を股にかけて探検できる一冊。2020.04.13
毎日新聞出版
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『誰にも相談できません 』
高橋さんの人生相談を読むためだけに、毎週日曜日は毎日新聞を買っています。その相談を集めた一冊ですが、一相談ごとに一つの物語になっています。つい最近も、「そんな経験をいくつも積み重ねて、いまは、こう思えるようになりました」と語っていた高橋さん。その重みを語れるような人間になりたいと思います。
(ミシマ社サポーター 船戸明さん)
2020.04.10
生活書院
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『分解者たち 見沼田んぼのほとりを生きる 』
障がい者、朝鮮人、ごみ集積所、排せつ物など、社会の中心から遠ざけられてきたものたちが、見沼田んぼという辺縁に流れつく。効率性を追い続ける現代がつくる「陰」に潜む分解者たちの歩んだ途を丁寧に記述した一冊。
(ミシマ社サポーター ジョンギさん)
2020.04.08
幻冬舎
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『人生最後のご馳走 淀川キリスト教病院ホスピス・こどもホスピス病院のリクエスト食 』
死が近づくなか、最後に思い出すメニューは何だろう。もし自分だったら・・・もし家族だったら。
家族の食を担当しているので毎日の食事を大切にしていこうという思いが強くなりました。青山さんのていねいなインタビューと、患者さんのエピソードに涙がこぼれます。(ミシマ社サポーター 伊良部恵美子さん)
2020.04.06
文藝春秋
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『誰が、夢を見るのか 』
いきものがかりのリーダー、そしてソングライターである水野さんのスポーツ雑誌『Number』での連載をまとめた本書。アーティストとアスリート、共に人びとの夢を一身に集める存在の彼らが見据えるものは、必ずしも夢のようなキラキラしたものだけではなく、もっと孤独で地道、過酷なものだということに気付かされます。そしてまたそこに力強い覚悟を感じました。本書のために加筆された対談で語られる素直な言葉たちにもドキッとします。
(ミシマ社 デッチ 小池聡実)
2020.04.03
集英社文庫
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『本当はちがうんだ日記 』
タイトルとかわいらしい表紙に惹かれて手に取ったのですが、とても面白くて、ずっとにやにやしながら読んでしまいました(電車の中で)。自意識が強くて、ピュアで、「ダメ」な穂村さんが切り取る日常に、共感しつつ、その独特な世界の見方に何だか少し、心がぞわっとする部分もあります。
(ミシマ社 デッチ 小池聡実)
2020.04.01