2021年10月
- Clover出版
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『出会いの教科書 』
――なぜか、初めて会った気がしない――
そんな〝運命の出会い〟を、あなたは、経験したことがありますか?
コロナ禍で「オンライン化」が加速し、多くの人間関係が絶たれている今、この本を読むあなたに、「自分は、このために生まれてきた・・」という出会いが、きっと、訪れますように。2021.10.27
- 亜紀書房
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『ニューヨークで考え中 』
近藤聡乃さんのニューヨークでの暮らしをまとめたエッセイです。
日本で知ることができるニューヨークは、雰囲気も街もキラキラしていて、せわしない。けれど、この本に出てくるニューヨークはのんびりしていて、とても穏やかな街に感じます。近藤さんの本は、絵も手書きのセリフも「ちょうどいい」。読んでいて穏やかな気持ちでいられ、何気ない1日が楽しくなります。
ちなみに、製本は「ちゃぶ台」と同じコデックス装になっています!読みやすい!2021.10.25
- 春秋社
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『[自然農法]わら一本の革命 』
自然農を志す方にとってのバイブル本ではないだろうか。十年前に読んで感銘を受け、何度も読み返している本。奇しくも、福岡さんは私と同郷の愛媛出身。四十五年をかけて自身が実験してきたことや、若かりし日の失敗談も包み隠さず書かれていて、最初から全てできる人はいないんだと勇気もわく。思いついた農法をひとまず全部試してみて「何もしない農法」にいきつく。やっぱり失敗を重ねることは大切だ。私も頑張ろう。農業を志さなくとも、人として生き方を学べる一冊だ。
(『その農地、私が買います 高橋さん家の次女の乱』著者 高橋久美子)
2021.10.22
- ミシマ社
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『 ダンス・イン・ザ・ファーム 周防大島で坊主と農家と他いろいろ 』
周防大島に移住した中村さんの日常は瑞々しい。『その農地、私が買います』を書き終えた後にこの本を読み、うんうん!と首がもげるほど頷いてしまった。明珍さんは疑問に思ったことを思慮深く考え、ぐっと堪える場面もあり、私もこのくらい冷静になっていれば......と反省したのだった。移住者というだけでなく僧侶の視点で見つめる島は優しくて朗らかで、読んでいて幸せな気持ちになれた。11/10に中村さんとリモート対談をさせてもらいます。
(『その農地、私が買います 高橋さん家の次女の乱』著者 高橋久美子)
2021.10.20
- 文春文庫
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『ききがたり ときをためる暮らし 』
お隣さんが「これ、高橋さん好きだと思うの」と貸してくれた本。以前、映画『人生フルーツ』を見てつばた夫妻の暮らしに憧れていた私は、この本にもぐんぐん引き込まれていった。手のぬくもりを感じる生活は、義務ではなく二人の喜びから成る。家を訪ねてくる人に、ハブ茶の種を用意している英子さんは「こういうことは小さい単位で始めていくのがいいから」と言う。私もお二人のように、都会でも田舎でも小さな種を撒いていきたいな。
( 『その農地、私が買います 高橋さん家の次女の乱』著者 高橋久美子)
2021.10.18
- 青春出版社
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『牢屋でやせる ダイエット 』
麻薬を所持した罪で逮捕された、作家の中島らもさん。独房での孤独な22日間を記したエッセイ本です。留置所という環境でも、隠れて雀に餌をやったり、あえて風呂に入らない事等で楽しさを見出していく、らもさん。勿論、逮捕された事実は尊敬出来ません。ですが「教養とは学歴のことではなく、1人で時間をつぶせる技術」という言葉を残した、著書の生き方が詰まった一冊です。僕も外の世界で参考にさせて頂いてます。
2021.10.15
- 講談社文庫
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『何でも見てやろう 』
冷戦の真っ只中、黒人差別が色濃く残るアメリカを出発して、無色透明になる前のヨーロッパ、人間の獣臭さが残るアジアを通って日本に至る貧乏旅行記。貧乏とは言うものの、ハッタリを使って高級なものも、文字通りおもしろいように何でも見ていく。筆者の最後の日本論・日本人論は出色で、それだけでも読む価値あり。
2021.10.14
- 青幻舎
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『街場の芸術論 』
ミシマ社でもお馴染み、内田樹先生の今度の新著は「芸術」です。
三島由紀夫や村上春樹の文学、小津安二郎や宮崎駿の映画、大滝詠一やビートルズなどの音楽について、ファンの目線から愛のある温かい言葉によって綴られています。自分も好きな作家のお話に共感できるのはもちろん、作品に触れたことのない作家まで気になってしまいます。この本に出会ってから、僕は小津の映画と大滝詠一の声の虜になってしまいました。(ミシマ社デッチ 大成海)
2021.10.12
- 左右社
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『踊る自由 』
水無瀬の駅前にある長谷川書店で、しばらく前から気にしていた詩集をついに買った。部屋でひとり、椅子に座っていながらも(客観的に見たら静かにじっとしているように見えていても)、じつはものすごく体内で、気持ちが、内臓が、ぎゅわあああああああっとたまらなく震えている状態になることがたまにある。情動。この大崎さんの詩集と向き合っている時間はそれだった。最高。
2021.10.08
- 講談社
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『えのないえほん 』
「こんなに たのしいの はじめて」。めのみえないおんなのこと、みにくいけもののお話。感心したり、悲しくなったり、嬉しくなったり、ぐちゃぐちゃになったり、つきうごかされたり・・・ふたりの会話をたどっていくと、だれかに出会うことの大きさ深さ熱さを知る。名久井直子さんの装幀もほんとうに素敵で、どうしようもなくおすすめです。明日じゃなくて今日読んでほしい一冊です。
2021.10.06
- 岩波現代文庫
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『チェルノブイリの祈りーー未来の物語 』
1986年にチェルノブイリで起きた巨大原発事故。本書は「この未知なるもの、謎にふれた人々がどんな気持ちでいたか、なにを感じていたか」を丹念な取材に基づく聞き書きによって記している。著者によればこれは「事故の再現」ではなく「人々の気持ちを再現したもの」である。2020年からのコロナで、毎日の習慣、気がかりなこと、洗濯、休日、呼吸の仕方...生活はどんどん変わっていったけど、「なにを感じていたか」を自分に問いかけると、あまりの思い出せなさに、怖くなった。この本を読んでいる時間だけは、自分が知らなかった自分の気持ちがあふれる。すごい本。
2021.10.04
- STAND! BOOKS
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『深夜高速バスに100回ぐらい乗ってわかったこと 』
WHEELACTIONの店頭で自転車の旅人は言った。「日本はどこに行っても同じような景色だ。」
大手飲食チェーンの看板が日本の多くの国道に並び、週末にショッピングモールへ続く車の列が渋滞を作る。いつから日本の街ははこんなにもつまらなくなってしまったのだろうか?この『深夜高速・・・』を読むと面白いものは変わらず街にあって、楽しいと感じなくなってしまったのは楽しむ目線を忘れた自分の感性が理由のように思う。半額焼肉のエピソードが最高です。こんな目線で日常を過ごせたならば人生は楽しくなるに違いない。日々を楽しむ目線を再考させてくれます。楽しめる事は思いがけず側にある。2021.10.01