明日の一冊

2018年12月

フィリップ・ワイズベッカーの郷土玩具十二支めぐり青幻舎

フィリップ・ワイズベッカーの郷土玩具十二支めぐり

フィリップ・ワイズベッカー

来年の干支を意識する季節に、愛嬌あるデッザンに目が止まった。フランス人アーティストが日本全国の十二支にまつわる郷土玩具の作り手を訪ねた探訪記。子から亥まで、十二支の順番で並ぶ本の中で来年の「亥」は大トリをつとめていた。最近は、夜寝る前のほんの少しの時間にもっぱらこれを読んでいる。

(ミシマ社 野崎敬乃)

2018.12.17

大いなる歌現代企画室

大いなる歌

パブロ・ネルーダ/著、松本健二/訳

チリの国民的詩人パブロ・ネルーダが約13年かけて執筆し、1950年に刊行された大作『大いなる歌』。自らのルーツを見つめ直し、アメリカ大陸全土の歴史的な宿命を問うている。裁判所から1948年に逮捕令が出て、警察の手を逃れ潜伏する期間に、詩の大半が書かれた。「万物の歌」とも訳せる題が示す通り、この一冊があらゆることをやり尽くしたような、壮大なる射程の広さを備えている。茫然とするほど、素晴らしい。

本のあるところ ajiro 藤枝大さん

2018.12.07

カヴァフィス全詩書肆山田

カヴァフィス全詩

カヴァフィス/著、池澤夏樹/訳

註釈で池澤夏樹が「覇気の片鱗もなく疲れきった魂」と書いている。もしかしたら、カヴァフィスのすべての出発点はそこにあるのではないか。窓を探しても、見つからない。単調な日の後に、また単調な日がくる。気付かないうちに壁が築かれ、外の世界と隔絶されてしまう。真実というのは、そうしたことの中からしか生まれ得ないのかもしれない。

本のあるところ ajiro 藤枝大さん

2018.12.05

詩集月曜社

詩集

ステファヌ・マラルメ/著、柏倉康夫/訳

マラルメが亡くなった翌年刊行された『詩集』の全訳に作家自身の解題が付してある。小野寺健介による装幀が美しい。マラルメの詩は鳥と風から成っている、と言ってもいい。ただそれらは、幻のようでもあり、かりそめでしかない。詩「小曲」の一節「その鳥を聴くことは生きているうちに二度とない」。一度きりの事態に、身を任せていたい。

本のあるところ ajiro 藤枝大さん

2018.12.03

ページトップへ