明日の一冊

2018年5月

限りなく完璧に近い人々 なぜ北欧の暮らしは世界一幸せなのか?KADOKAWA

限りなく完璧に近い人々 なぜ北欧の暮らしは世界一幸せなのか?

マイケル・ブース/著、黒田眞知/訳

長くて暗い冬なのに、食物も単調なのに、税金も高いのに・・・「幸せよ」という人が多く、人生がつらいと感じる人はたった1%の北欧5カ国ルポ。英国一家食べるシリーズの書き手のおもしろ分析。

(ミシマ社サポーターさん)

2018.05.25

物語のある風景 大好きな本を片手にめぐりたい街と絶景エムディエヌコーポレーション

物語のある風景 大好きな本を片手にめぐりたい街と絶景

MdN編集部 編

ヨーロッパのおとぎ話を中心に、物語の舞台となった美しすぎる風景写真がこれでもか、というほど6章にわたって展開します。男子向け? なドラキュラやフランケン、アーサー王にロビン・フッドまで網羅してあるぬかりなさですが、各章の解説がまた秀逸で、トリビアネタもばっちり。あーこれってこのことだったか、と30年越しの謎がとけたりした、おとくな一冊です。

(ミシマ社サポーターさん)

2018.05.23

成熟脳 脳の本番は56歳から始まる新潮文庫

成熟脳 脳の本番は56歳から始まる

黒川伊保子 

「脳の本番は56歳から始まる」というサブタイトルに魅かれて手に取ったこの本ですが、実は脳にはいろんな時期があって、28歳までは入力装置としてピーク、56歳からは出力装置としてピークを迎えるとのこと。さらに90歳を越えると脳は一部若返るらしい。何とも歳をとるのが楽しみになる一冊です。

(ミシマ社サポーター  金山忠司さん)

2018.05.21

倭の五王 王位継承と五世紀の東アジア中公新書

倭の五王 王位継承と五世紀の東アジア

河内春人

五世紀に中国に遣使した倭の五王。記紀ではなく宋書を中心にその遣使と冊封の意義を読み解く。朝鮮半島をめぐる国際情勢において高句麗・百済と対等の立場に立つ必要があったこと、国内でも政権基盤の安定に大きな意味があったこと、などが五王時代に遣使を頻繁に行った理由であろうとみる。記紀に記されている天皇をどの五王に比定するかは容易ではなく、あまり意味のある作業ではないという。定説の危うさが見て取れる。

くまざわ書店 本厚木店 原口賀尚さん

2018.05.18

百年泥新潮社

百年泥

石井遊佳

借金返済のためインドのチェンナイで日本語教師をすることになった女性は百年に一度の洪水に遭遇。川が氾濫し百年蓄積された川底の泥が地上に押し上げられる。泥の中からは亡くなった人や失われたものが掘り起こされ・・・ 主人公の語りは冷静沈着なのだけれど、目の前の現象は現実を超え混沌の極み。その中で、口の聞けない母のこと、日本語の生徒である青年の不思議な半生など、印象的な話が挟み込まれる。この物語の破壊力はすごい。

くまざわ書店 本厚木店 原口賀尚さん

2018.05.16

さざなみのよる河出書房新社

さざなみのよる

木皿泉

主人公の小国ナスミは43歳の若さでガンに罹りこの世を去る。ナスミに関わった人たち、ナスミの生き方、言葉、死を受け止めた多くの人たちの物語。それぞれの短い話を重ねていって、浮かび上がってくるナスミの生き方が、とても愛おしい。少し乱暴でぶっきらぼうな言葉も、弱いもの、未熟なもののこころに優しく沁み込んでくる。前作『昨夜のカレー、明日のパン』と同じように著者のまなざしの優しさにあふれた小説。

くまざわ書店 本厚木店 原口賀尚さん

2018.05.14

第四人称みすず書房

第四人称

外山滋比古

英文学・言語学の巨匠がみすず書房から発行している書籍、ということで、タイトルの不可思議さも含め少々身構えてしまいますが、実際には深いにもかかわらず大変読みやすいエッセイ集です。「第四人称」とは第三人称のさらに外側にあるコンテクスト(文脈)全てが第四人称である、とまずは定義した上で、実際には様々なコミュニケーションの現場で第四人称が大活躍している、と説きます。これが結果的にはある種の読書論になるところが秀逸です。

『会社をつくれば自由になれる』著者 竹田茂

2018.05.11

脱住宅ー「小さな経済圏」を設計する平凡社

脱住宅ー「小さな経済圏」を設計する

山本理顕、仲俊治

1951年に策定された公営住宅標準設計C型を「51C」と言います。A案(16坪)でもなくB案(14坪)ですらなく、C案(12坪:およそ35平方メートル)が標準住宅として採用され、この狭い空間が戦後日本の"標準的"な住宅の基本となり、ダイニングキッチン(DK)と個別の部屋(nL)の組み合わせで様々なバリエーションを展開してきました。6LDKの豪邸(?)でさえ何となく貧乏くささを感じるのはこの51Cがヨーロッパの労働者階級向け住宅をベースにしているからです。本書はこれを打破しようとする建築家の試行錯誤を豊富な写真と図解で解説しています。最後は家族論になるところが「なるほど」と思わせます。

『会社をつくれば自由になれる』著者 竹田茂

2018.05.09

さよなら未来岩波書店

さよなら未来

若林恵

著者の若林さんはつい最近までWIRED日本語版の編集長だった人。彼が(WIRED以外の)様々なメディアに書き散らしていた文章がまとまって読み直せるのが嬉しい。基本的に人文科学・社会科学の立ち位置から、社会の課題を解決すべく肥大化する自然科学をシニカルに捉えつつ、それでもまだ希望は残されている、そのための方法って何だろうという様々な模索や思考実験を繰り返してきた軌跡が一冊にまとめられています。考えるためのヒントがあちこちに散りばめられているので、私のような"メディアを作ることを仕事にしている人"は必読。

『会社をつくれば自由になれる』著者 竹田茂

2018.05.07

出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと河出書房新社

出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと

花田菜々子

書店員・花田菜々子さんの作家デビュー作。実際の花田さんも素敵で面白い方だが、本書は、そこに輪をかけてさらに素敵でユニーク、なのにまっとうでめっちゃ面白い。にしても、本とは不思議なものだ。本を読むのは個人的な行為なのに、本がきっかけで、別の人とつながる機会が芽生える。もしいま、ちょっと浮かない気持ちになる何かを抱えている人が目の前にいたら、私は本書をすすめたい。そこから何かが動き出す。ぜひご一読を。

ミシマ社 営業チーム 渡辺佑一

2018.05.04

育成主義カンゼン

育成主義

曺貴裁

選手育成とチーム作りに定評のある湘南ベルマーレ・曺貴裁監督が、自身の行動哲学を記した一冊。まえがきに、オフに欧州視察に出たとき感じたこととして、「今日はこれくらいでまた明日、という考え方は許されない時代になっている」と記されているが、これは出版の仕事にも言えると思った。監督の言葉を借りるなら、「一期一真剣」でまっすぐ物事に向き合うことが求められているのだと思う。正解などないからこそ真剣でありたい。

ミシマ社 営業チーム 渡辺佑一

2018.05.02

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