tupera tuperaと父の日特集 お父さんはおもしろい!(1)

第2回

tupera tuperaと父の日特集 お父さんはおもしろい!(1)

2018.06.14更新

 「父の日」に自分でつくった絵本を自分にプレゼント!? 

 けど、どうしたら絵本ってつくれるんでしょう。今回、そのとっておきの秘訣を教えてくださるのが、なんと、tupera tuperaさん! tupera tuperaさんには、6月のミシマガジントップバナーにご登場いただいています。

 ミシマ社の古参・ワタナベユウイチが絵本づくりに挑み、すばらしいアドバイスをいっぱいいただきました。

 その模様の前に、まずはお父さんたちへ「おもしろ」アドバイスをもらいました!

(聞き手:ヒゲのミシマン、渡辺佑一(ミシマ社))

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1日目 「お父さん、すげ〜」となる秘技

大きな声で「うんこ!」と言おう

―― 各地で親子と接することも多いtupera tuperaさんですが、最近、世の中のお父さんってどんな感じですか?

亀山 世の中のお父さん・・・。いい感じです。

―― いい感じですか(笑)。

亀山 いい感じですよ。

―― 元気ですか? お父さんは。

亀山 もちろん10人いれば10人違うんですけど。元気のないお父さんもいます。元気ないけど・・・、内側は元気です。

―― そうですよね(笑)。

亀山 あと、その元気を出さない人もいます。それを引きずり出しますね。「うんこ」と声に出すことで。

―― うんこ?

亀山 「うんこ」と言わせることでね。

中川 亀がイベントの時に、最初にいじるのはお父さんだよね。

亀山 そう。僕はお父さんのことを基本的に被害者じゃないかと思ってるんですよ。イベントにおいては。

 お母さんが「tupera tuperaのイベント行こう!」と言いだす。子どもは「行きたーい」と言う子もいれば、「いいよ。付き合ってやるよ。お母さんに」と言う子もいる。で、お父さんはよくわからないけど一緒に行くことに・・・。

―― そうでしょうね。

亀山 なかなか休みないけど、土日に家にいてもやることがないし、家族サービスで「付いて来ちゃった」というお父さんが多いんじゃないかと。

 それは、あからさまにわかるんです。で、僕はそんなお父さんを一番つつきたいんですよ。お父さんがうじうじしているときは、「みんなで『うんこしりとり』読むから、最初はお父さんから!」という感じにするんです。

―― へー!

亀山 「大人の男性から」みたいなことを言って、「せーの」と言うと、けっこう大きな声で「うんこ!!」と言ってくれるんです(笑)。

―― ははははは(笑)!

亀山 「どうだ。すごいだろ。お父さんは」みたいな。

中川 こういう場合、子どもをメインに進めていくイベントが多いと思うんですけど、私たちは一番最後に子どもに呼びかけます。

亀山 そうそう。他にも『やさいさん』とか、「すっぽーん!」とみんなで声に出して読むと気持ちが入るんです。

―― 「うんこ」を第一声に発したら壁を乗り越えた感はありますよね。

亀山 乗り越えた感ありますよね。大人のお父さんたちが「うんこーー!!」と言うと、子どもが「すっげぇ」みたいな(笑)。

―― やっぱりそうですか(笑)。

亀山 そうすると子どもの「うんこ」の声も大きくなる。最後はみんなで「うんこーー!!」って言って、「じゃあみんなで『うんこしりとり』始めるぞー!」という感じで、盛り上がります。

―― へ〜。

亀山 くすぶってる部分はありますけど、引き出すと、やっぱりおもしろいもの作りますし、いい感じです。少なくともtupera tuperaのイベントに来るお父さんはいい感じです(笑)。

unko_yasai_shoei.jpg左:『うんこしりとり』tupera tupera(白泉社)/右:『やさいさん』tupera tupera(学研プラス)

オリジナルの技で攻撃してきてほしい

中川 渡辺さんはお父さんとして子どもとどう過ごしてますか?

渡辺 私はいろいろと子どもたちに提案をしますね。

 たとえば、「今日は植物園に行きたい」とか・・・、「パパが行きたい場所があるから一緒に行かないか?」とか言うんですけど、「やだ」って言われて・・・。

亀山 断られるんですか。

渡辺 かなり断られてて。なかなか実現しないんです。

亀山 それで結局どうするんですか? 向こうの思うツボですか?

渡辺 下の子は「おもしろいことをして」とか言ってきて。

 それで「おもしろいこと」ってよくわからないからとりあえずじゃれ合う感じで。結局くすぐって笑わして、みたいな。でも「くすぐるのはやめてくれ」みたいな。

中川 (笑)!

亀山 いいですね。子どもにダメ出しをされているお父さんっていうのは。僕は既存の必殺技では絶対に倒れないことにしてますね。

渡辺 おっ。

亀山 「アンパンチ!!」とかきたら、倍返しします(笑)。

渡辺 ははははは(笑)!!

亀山 ライダーキックとか、ああいう既存の必殺技は一切効かないという状況になってます。

渡辺 おもしろいですね。「そのパンチ知ってるし」っていう感じですか。

亀山 というか、tupera tuperaとしてはアンパンチで倒れるわけにはいかないです。

―― (笑)!!

亀山 そういう状態です。いや、リスペクトはしますけど。でもやっぱりそういう気持ちで普段生きてますから。

―― 息子に対しても(笑)。

亀山 息子に対しても。やなせ先生に対しても。倒れるわけにはいかないです。

―― なるほど(笑)。

亀山 オリジナリティのときは吹っ飛びます。きれーいに吹っ飛びますね。それで壁に当たって、血を吐きながら倒れます。

―― ははははは(笑)!

亀山 なかなかオリジナリティある技はでてこないけどね。

中川 ないね(笑)。だいたい仮面ライダーかポケモンですね、今は。

―― 仮面ライダーすごいですよねぇ。

亀山 そういうのは効かないですね。

絶滅危惧種電気アンマのすすめ

亀山 ぼくは電気アンマします。電気アンマは絶滅危惧種なので。

―― はい(笑)

亀山 全国的にいまどれくらいの電気アンマが1日におこなわれているのか。たぶん年々減っていってると思うんです。

―― 減っていってる気がしますねぇ。

亀山 でも電気アンマだけは将来に残さないとダメだと思うんですよ。

―― 僕もそれは思います(笑)。

亀山 ダーーーッ!! ってやるじゃないですか。それでピッと止めてみると、それまで「やめろー!」とか言ってるのに、「もう一回」って(笑)。

―― (笑)!!

亀山 股間が気持ちいいんですね、たぶんね(笑)。あれは男同士ならではのやつですね。

まずはつくってみよう

亀山 だいぶ脱線しましたが、たぶん、お父さんはおもしろいはずなんですよ。子どもが生まれることによって、その子どもを見ながら自分の子どものときの感覚を思い出すので。断片的に、ちょこちょこと。「あぁ、こうだったなぁ」とか。

―― 思い出しますねぇ。

亀山 外ではバリバリ仕事をしているスマートな男性も、子どもと一緒にいるお父さんの時は、それを思い出してる人間ですから。

 子どもを味わってる人間ですから。工作させたりとか、モノ書かせたりとか、いろんな可能性はありますよ、お父さんに。

―― わかります。やっぱりお父さんたちは工作した方がいいですよね。

亀山 絵本作った方がいいですね。お父さんは。

―― おお! 絵本ですか。まるでこちらの企画を知っていたような!

中川 いい流れですね(笑)

亀山 絵本をつくればいいんですよ。大工のお父さんは大工の絵本を、魚屋のお父さんは魚屋の絵本を。つくればいいんですよ、自分の子どもに対してね。

―― そっか。自分のことをやればいいんですね。

亀山 写真が好きだったら、写真を撮って、綴じればいいと思いますしね。

―― そうですよね。いやあ、実は、家でお父さんが「わるもの」キャラにされて、ひたすら攻撃されてばかりいるという話を聞きまして。

 そんなお父さんに、「父の日に自分で絵本をつくってプレゼントしてもいいんじゃないかな」と(笑)。子どもに読ませられるし、わるものじゃない遊びの道を開拓することにもなります(笑)。

亀山 いいと思います。でも絵本づくりは過酷な道ですけどね。

―― そうですよね(笑)。あ、ワタナベお父さん、考えてきたんですか?

渡辺 いちおう、こういう、『なんでパパ』というのを作ったんですけど。

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一同  おお!

次回、渡辺の手作り絵本を動画で公開! そしてtupera tuperaさんによるスペシャルな絵本教室の模様をお届けします。


プロフィール

tupera tupera(ツペラ ツペラ)
亀山達矢と中川敦子によるユニット。2002年より活動を開始する。絵本やイラストレーションをはじめ、工作、ワークショップ、舞台美術、アニメーション、雑貨など、様々な分野で幅広く活動している。絵本など、著書多数。海外でも様々な国で翻訳出版されている。NHK Eテレの工作番組「ノージーのひらめき工房」のアートディレクションも担当。京都造形芸術大学こども芸術学科客員教授

tupera tupera

ヒゲのミシマン

ヒゲのミシマン
(ひげのみしまん)

ミシマ社のメンバーのひとりと思しき人物。しかし、すべては謎に包まれている。

編集部からのお知らせ

tupera tuperaさんの展覧会が7月よりうらわ美術館にて開催されます。ぜひ足をお運びください。

ぼくと わたしと みんなの tupera tupera 絵本の世界展

日常生活などから見いだされる数々のアイデアは、親しみと驚きと遊びの要素があいまって、不思議だけれど圧倒的に楽しい世界を形づくっています。本展は、そのようなtupera tuperaの世界から約300点を、初期の絵本、さまざまなモチーフの絵本、絵本のつくりかた、イラストレーション&アートディレクション、tupera tuperaのものづくり、工作&ワークショップの6つの章でたっぷりと紹介する、初めての大規模展覧会です。(開催概要より抜粋)

開催時期:2018年7月7日(土)~8月31日(金)
■場所:うらわ美術館

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