健康番長若林理砂先生のバッチコイ!

第6回

生後すぐからアトピーです、ほか

2019.08.16更新

 暑い! 言っても仕方がないとわかりつつ、ついつい「あづーい」とボヤきたくなるこの頃。こんなときこそ、『絶対に死ぬ私たちがこれだけは知っておきたい健康の話』に書かれている、「寝る・食う・動く」の3大基本に立ち返って、生活を整えたいところです。今月は「生後すぐからアトピーです」「毎日のように頭痛があります」「夏は汗かき、冬は冷え性です」の3つをお届けします!

その1 生後すぐからアトピーです。(熱乾タイプ、30代、女性)

ネッツー.jpg アトピー改善のための養生の相談です。生後すぐからアトピーです。塗り薬(ステロイド)でのコントロールが難しく、妊娠出産をきっかけに生活に大きな差しさわりがでるほどの炎症が出続けるようになりました。現在は新薬の注射でよくなっていますが、効果が落ちる可能性もあるそうなので、かゆみがひいて身体が動くようになった今のうちから養生をしたいと思っています。「早寝」「間食から分食へ」を3ヶ月ほど続けていますが、睡眠の質が悪く(何度も目覚める)、分食を心がけたら胃痛胃もたれで(涙)。ペットボトル温灸は、やっている間は気持ちよいのですが、その後からだがほてったような感じになるので習慣化できず・・・。6歳(障害あり)&2歳の子どもがいて仕事もしているので、時間がとれない中での養生の仕方について、アドバイスをいただけたら嬉しいです。

りさ先生.jpg 使っていらっしゃるのは、 https://ja.wikipedia.org/wiki/デュピルマブ この薬のことかな。

 相当重症なアトピーであることが想像されます。大変でしょう。

 まず、「何度も目が覚める」ですが、これはかゆみのせいでしょうかね。それとも、何故か目が覚めてしまうのかな。それによって全く対処が変わってきます。

 それと、分食を行って胃痛や胃もたれが出るということは、分食の量が多いか、それに耐えられないくらい胃腸が弱っているということなのですが、BMIはどのくらいなのでしょうか。頂いている情報からはこのあたりが読み取れないため、正確なアドバイスが難しいです。

 ペットボトル温灸はどの部位に行っているのかな。それも書かれていないので、ほてりが出ないようにするためにどの位置に変更したらいいのかがアドバイスできないです。なので、睡眠だけに特化してとりあえずアドバイスを行うしかないかな。アトピー以外にアレルギーあるかどうかもわかんないしね、漢方薬の一般的な服薬に関しても言えることがないなあ・・・せっかく相談してくださったのだけどごめんね。

 アトピー性皮膚炎に関しては遺伝子型の問題であることがわかってきています。

http://www.riken.jp/pr/press/2016/20160426_3/
https://www.derm-hokudai.jp/jp/kenkyu/lab01/filaggrin02.html
https://www.rohto.co.jp/news/release/2019/0719_01/

 なので、完治は難しいということなのね。だけど、この遺伝子にスイッチが入る状況が何なのかを調べている状態なわけだ。もともと素因として持っている遺伝子だとしても、スイッチが入らなければ発現しないのね。私は祖父が糖尿病、祖母が狭心症を持っていたので、それらに関する遺伝的素因があるはずですけど、現在のところ何の問題も起きていません。こういうのって、何か後天的な要因でスイッチが入ると考えられています。

 で、質問者さんの場合、ほぼ母体内にいたときからもうスイッチが入ってたんだと思うのね。私は東洋医学的な仮説として、母体が規則正しく寝られていたかどうかがカギになるんじゃないかと思っているの。睡眠は陰を補完するんだけど、妊娠中ってものすごく陰気・・・気血を使うわけ。なので、母体が睡眠不足が続いたりすると何かのスイッチが入りやすいんじゃないのかなと思っていてね。

 ということで、睡眠最優先になるんだな、この場合も。子育て中は睡眠がただでさえ足りなくなるから、どうしても陰虚が加速して皮膚の状況が悪くなりやすいんだよね。

 かゆみで眠れないのだったらお医者さんに再度相談、もしそうじゃないなら病院から眠剤処方してもらうか、漢方薬局で睡眠改善のための漢方を見繕ってもらうこと。ペットボトル温灸は失眠・湧泉だけにします。たぶんそれ以外のところをやるとほてりが出るわ。

 そしてBMIはいくつなのかな。たぶん低体重なんだと思うけど、胃がおかしくなるなら分食の量は減らしてね。一気に肥ろうとしても無理だからね。またなんかあったら、相談してー!!


その2 毎日のように頭痛があります。(冷湿タイプ、30代、女性)

ネブソンくん.jpg 長い間中途覚醒に悩まされています。寝つきはよいのですが、途中で起きてしまい、熟睡感がありません。そのせいか、毎日のように頭痛があります。また、小さなことをくよくよずーっと考えてしまい、胃が痛くなってしまいます。一つの事象に対し、最大限に悪く考え絶望感が絶えません。冷湿体質の影響でしょうか?甘いものはそんなに好きではないですが、塩辛いものとお酒(ビール、ワインあたり)が好きです。毎日は飲みません。運動は週二回くらいヨガに行っています。アドバイスお願いします。


りさ先生.jpg これは、脾虚の典型的な症状です。お昼ご飯食べた後に強烈に眠くなったりしませんか。東洋医学では、それぞれの臓器にそれぞれの「感情」を配当しているんですが、

五臓:肝・心・脾・肺・腎

五志:怒・喜・思・悲・恐

 この中で、「なんか変だな」と思うところないですか・・・脾のところだけ「思う」という、なんとなくぼんやりと幅の広いヤツになってるんですよ。他は、怒りや悲しみや喜びや恐怖という、ごく普通の感情なのに、「思う」って。範囲がおおきすぎるんです。

 これ、私は、古代人が怒りや悲しみや喜びや恐怖以外の感情をここにまとめて突っ込んだんじゃないかと疑っています。恋する心も人を「思う」し、隣の芝生が青く見えるのも妬ましく「思う」ことだし、ヒトを呪い殺してやりたく「思う」ものだし、なんでも「思う」に放り込めるんですね。

 脾虚の人は、考えても仕方のないコトをずっとグルグルと思い続けるという特徴があります。これは、まさに杞憂を体現したみたいな人になるんですね。空が落ちてくることなんかないし、確かに隕石は落ちてくるけども、隕石が落ちてきて自分に当たる可能性とか考えても仕方ない。そうなったときはなったときですからね。そのように突き放して考えることができなくなってしまうし、また、そのように考えることに耽溺するようになると考えられています。グルグル思考が好きになっちゃうのね。

 「好きじゃないし辞めたいんです!!」とおっしゃる方が多いのですが、グルグルと考え続けている間は実際の事象に対して決定的な行動を起こさないで済むという利点があるんです。脾胃の本質って土の気なので、利点として表現された時はどっしりと鷹揚な構え、欠点として表出したときは動きが悪くおしりが重いという状態です。脾虚のグルグル思考はその場に長くとどまるための一つの方法なのです。小田原評定では攻め込まれて負けましたけど、誰も攻め込んでこないような場合には一歩も動かないための良いソリューションとなります。この点を踏まえて、どう自分の思考方法を変えていくかを自分で決めていくことがソリューションです。

 脾虚の改善方法は、甘いモノ・炭水化物・アルコール・脂っこいもの・味の濃いものを控えます。相談者さんの場合はアルコールが関係してるかもしれないですね。また、ヨガではなくて、もう少し全身を動かす有酸素運動をしたほうがたぶんいいです。冷湿タイプは動いて巡らせないと改善しないのでね。

 ペットボトル温灸は足三里一択でいいです。ここだけじわーっと続けてください。

その3 夏は汗かき、冬は冷え性です。(冷湿タイプ、20代、女性)

アツガーリー.jpg 小さいころから暑がり+汗かきで、夏場に外出する際はハンドタオルが欠かせません。の割には、冬になると手・足先が冷えるので今度はカイロが必需品になります。体温調節が苦手なのかなぁとぼんやり思っていたのですが、年々ひどくなっている気がするのでここらで終止符を打ちたいです。夏は人並みに暑がり、冬は人並みに寒がるためにはどうすればいいのでしょうか??

りさ先生.jpgこれは、衛気不足!東洋医学的には、衛気という皮膚表面をめぐる気と、営気という体の奥を血液とともにめぐる気があると考えていてね。 質問者さんの場合、皮膚の表面を閉じておくための衛気が足らない状態で、体内から気がダダ洩れになってると考えます。たぶん、筋力とかも少ないタイプじゃないかな。西洋医学的に言うなら、毛細血管や汗腺を開閉する自律神経の失調ということです。こういう人、割といます。いわゆる冷えのぼせが出ちゃうのですよ。

 解決策は・・・、運動量を増やすことである程度の解決を見ます。発汗だったりとか、毛細血管を拡張・収縮させるチカラは訓練によって改善するのね。筋トレみたいなもんです。また、温冷浴といって、温かいバスタブに浸かってから、手足の先だけ水にさらす(冷水じゃなく25度以下くらいでいいです。シャワーをざっとかけるとかでOK)ことを毎日続けてみてください。これは、手足の毛細血管の収縮を促す訓練方法です。全身の冷水シャワーをおススメされることも多いようなんだけど、手足だけで効果がありますので。

 そして、筋肉量も結構大切。隠れ肥満タイプだったりしない? この場合、保水力が低下しているのですよ。脂肪組織は水をあまり含めないのに対して、筋肉はたっぷりの水を含めるから、これによって体温調整がうまく行くのです。ですので、適正な筋力と体脂肪率を目指しましょう。

 また、この症状に対応する漢方薬が存在していて。衛気不足を補うヤツ。一回、漢方薬局で相談してみたらいいと思うよ。具体的には玉屏風散っていう薬なのだけどね。ほんとうに体質的にあうかどうかは直接診ないとわからないものなので、ぜひ漢方薬局にGO!です。

理砂先生の先生 カポエイラの先生編②

 先月からの4回は、りさ先生がブラジル発祥のカポエイラを習っている米倉竜太先生との対談をお届けしています。2回目の今回は、カポエイラの魅力とその出会いについてのお話をお送りします。

健康にまつわるお悩み募集中!!

本連載では、健康番長・若林理砂先生に相談したい健康にまつわるお悩みを募集しております。

お悩みがある方は、

・お悩みの内容(200字程度)
・体質タイプ(『絶対に死ぬ私たちがこれだけは知っておきたい健康の話』p63~65の診断テストにて判定ください。不明の場合は無しでもOKです)
・年齢(10代、20代等でOKです)
・性別(無しでもOKです)

を、hatena@mishimasha.com宛に、【件名:健康番長のお悩み】としてお寄せくださいませ。

若林 理砂

若林 理砂
(わかばやし・りさ)

臨床家・鍼灸師。1976年生まれ。高校卒業後に鍼灸免許を取得。早稲田大学第二文学部卒(思想宗教系専修)。2004年に東京・目黒にアシル治療室を開院。現在、新規患者の受け付けができないほどの人気治療室となっている。古武術を学び、現在の趣味はカポエイラ。著書に『絶対に死ぬ私たちがこれだけは知っておきたい健康の話』『気のはなし 科学と神秘のはざまを解く』(ミシマ社)、『東洋医学式 女性のカラダとココロの「不調」を治す44の養生訓』(原書房)、『安心ペットボトル温灸』『大人の女におやつはいらない』(夜間飛行)、『その痛みやめまい、お天気のせいです――自分で自律神経を整えて治すカンタン解消法』(廣済堂出版健康人新書)、『決定版 からだの教養12ヵ月――食とからだの養生訓』(晶文社)、など多数。

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