健康番長若林理砂先生のバッチコイ!

第8回

眠りにかかわるすべてが苦手です、ほか

2019.10.18更新

 大きな台風で気圧が下がったり、急に気温が下がったり、体調のコントロールが難しい日が続きますが、みなさまご体調いかがでしょうか。今月は、「眠りにかかわるすべてが苦手です」「手が常に乾燥しています」「腱鞘炎が治りません」の3つをお届けします。

その1 眠りにかかわるすべてが苦手です。(冷湿タイプ、20代、男性)

ネブソンくん.jpg とにかく眠りに関するすべてが苦手です。まず、寝つきがわるいです。学生時代から「明日早いからもう寝よう」と思うと全然眠れず、「この課題を朝までに終わらせないとヤバい」という時に限って、いつの間にか寝てしまっています。起きるときも地獄です。睡眠時間は6時間前後確保していますが、朝起きると寝る前より全身がだるくなっていて、「これなら寝ないほうがマシではないか?」と思います。一度でいいからスッキリと目覚めてみたいです。
 眠りの質が悪いためか、日中に強烈な睡魔がおそってくることがあります。最近は出張中に社長の隣で熟睡というやらかしも・・・。自分の眠りをコントロールできるようになりたいです。

りさ先生.jpg 男性の冷湿タイプの方って珍しいかもしれないですね。体重体脂肪率がどの程度なのか知りたいところでもあります。あんまり体重重すぎると、呼吸が苦しくてうまく眠れない現象が出やすくなるからなんだけど。お悩みは、睡眠異常ですね。寝ようとすると眠れず、眠りたくない時に眠ってしまう......これは不眠を訴える方によくあるパターンなんですよね。

 ところで、日中のお仕事はデスクワークでしょうか? 一日どのくらい歩いていますか? この手の睡眠異常にはまずは運動させるところから始めないとならないのです。

 寝ようと思ったときに「さあ寝るぞ寝るぞ寝るぞ!」と意気込んでしまうと、まったく眠れなくなるのです。眠くなるように仕向けないとならないのですが、そのためには、

「肉体疲労」

 が必要なのです。頭脳労働だけだと絶対眠れません。西原理恵子さんが、夏休み中の男の子たちを「男子は水につけて弱らせる」といってプールにつけて夜は早く寝るように仕向ける・・・・・・

という子育て漫画を書いていらしたのですが、まさにその通りで。多分質問者さんはここしばらくプールに行って泳いだりしていないと思うのですけど、小学生のころ水泳の授業があった晩ってよく眠れませんでしたか? ああいう疲労感が起るまで体を動かさないと良い眠りは得られないのですよ。

 特に、眠ろうとしても眠れず、寝ちゃいけない場面で寝てしまうという場合、脳の働きが睡眠を傷害していることがはっきりしています。交感神経優位になってるんですね。この場合、一回がっつり体を動かして、交感神経を振り切ってやって、副交感神経が働くようにスイッチングさせてやらないとうまく眠りに入らないんです。なので、相談者さんがやってみるべきは、

1.休日にいつもと同じ時間に目を覚ます。食事間隔も平日と同じにする

2.近所のジムやプールに行って1時間以上運動する

3.昼寝をしない

4.夜眠くなったらねる

 これですね。これを休日ごとに繰り返してみてください。おそらく睡眠異常が改善しますから。がんばってー!

その2 手が常に乾燥しています。(熱乾タイプ、20代、女性)

ネッツー.jpg もともと肌が荒れやすく、昔から顔や手足に赤い湿疹が出たり、かゆくなってしまったりしていました。ここ数年はそれらの症状は完全ではないですがおさまってきました。そのかわり、手の平や指に湿疹ができたり、冬はすぐにひび割れしてしまったりします。ハンドクリームを年中ぬっていますが、日頃の家事や紙を扱う仕事によって、夏でもすぐカサカサになります。日頃の水分摂取は水を飲むことが多いのですが、友人には「水をいっぱい飲むね」と指摘されたこともあって、人より喉が渇きやすいのかなとも思います。以前、熱乾タイプの男性に「バスタブにつかる」というアドバイスをされていたので、毎日は難しいですがなるべく湯船につかるようにしてみました。女性もより潤う方法があれば、教えて頂きたいです。

りさ先生.jpg 皮膚の乾燥についてのご相談ですね。手のひらに湿疹、ひび割れ。そして体質は熱乾タイプ。うん、よくある状況です。これも、体重体脂肪率がどのくらいなのかちょっと聞いてみたいところですね。BMI19切ってるようだと、皮膚の異常は出やすくなってしまうので、BMI19を超えられる程度にからだの厚みを増してもらうことが必要なのね。そうするとたぶん、湿疹以外に出ているであろうのぼせ、夏バテのしやすさ、体の関節がギシギシするなどの症状が改善します。

 喉が渇きやすいってことは、保水力が低下しているということでもあります。わたしは筋力多めでどうしても体温調整の為に水分が必要なのだけど、そういうちょっと過剰な体質じゃない限り、喉が渇きやすいというのはチェックポイントになります。どんなに飲んでも皮膚のかさつきが消えないなら、水を保持するためのチカラが足らないということなのです。女性の方が保水力は高めなんですよ。男性と比べモチモチしてるのが女性だからね。熱乾タイプでは陰が足らないのが問題になるんだな。陰虚と言います。女性は男性と比べて陰が多いはずなのだけど、陰虚さんの女子も結構いますからね。

 陰虚を改善するには早く寝ること。それと、普通だったら養生と逆行するような方法も指示します。それは、先ほど言った太ることもそうなんだけど。ほかに、

・油脂を多く取ること

・肉類を多く取ること

・乳製品を常備すること

・砂糖も時々取ること

 こんなことを指示します。通常だったら養生ではこのあたりの行動は戒めることがおおいのですが、極端な陰虚の場合はこれらを積極的にするように勧めることが多いです。

 ですが、いったん甘いモノだけは1か月くらい完全に断ってもらうことが多いです。カロリー取るなら甘いモノだと思い込んでこればっかりとってる人があまりにも多いからなんだけどね。甘いモノは潤いを作ってくれるのだけど、皮膚表面まで水分を巡らせる力はないのだ。だから、むくんでるのにかさつく状況を作っちゃったりするのね。

 ためしに甘いもの抜きにして、油脂も肉類も乳製品も増やしてみて。それで体重増えたらだいぶ改善してくるよ。

その3 腱鞘炎が治りません。(20代、女、冷乾タイプ)

コリリン.jpg 右手首を腱鞘炎で痛めたことがあり、主に左手で育児(抱っこ)をしていたら、左手首も腱鞘炎になってしまいました。鍼治療や湿布などでいったんは楽になりますが、両手首とも、ちょっとしたことで痛みが出やすくなっています。
 接骨院を受診した時は、サポーターと痛み止めを処方され、「とにかく手は使わないように!」と言われたのですが、そういうわけにもいかず・・・。
 再発防止策や予防方法はありますか?

りさ先生.jpg 腱鞘炎......手を使わないわけにはいかないからねえ。これは筋力が少ない女性がどうしてもなりやすい上に、出産後はホルモンバランスの関係上、関節が緩くなっていて、壊しやすいからなのね。私も第一子の時は夜間授乳の時に右手の親指を捻挫して壊して、そのまま半年くらいなおらなかったね。だけど、第二子の時は壊さなかったのですよ。

 これって何を意味しているのか考えたことがあるのだけど、きっと「育児筋」が付いたからなんだろうな、と思いました。育児用の筋力って言うのがあるのだと思う。これが第一子の時は足らなかったから壊して、第二子の時はすでに鍛えられていたのでならなかった......のではないかと考えています。

 それはそれとして。冷乾タイプの相談者さんはたぶん元からの筋力も足らないし、気血も足らない状況。だからなかなか治らないのだよね。この場合、気血を増やしていくことから考えた方がいいです。お近くに漢方薬局があれば、一度見立ててもらったらいいと思います。鍼灸院や接骨院に通うのは時間がかかりますが、服薬は家でできますから、育児中にはそのほうが便利です。たぶん、帰脾湯や人参湯、補中益気湯、八味地黄丸あたりが出ると思います。

 瘀血があれば桂枝茯苓丸か何か。舌をべーっとだして、巻くようにして裏を見てください。黒々と静脈が浮いていたらそれが瘀血証であると言えます。これは血の渋滞やうっ滞があることを示していす。こういう時は、駆瘀血剤と呼ばれる血液の流れをよくする漢方が良く効くのです。古傷が痛むような症状があるときは瘀血が見えることが多いです。

 また、気血を増やすという観点からなら、ペットボトル温灸が役立ちます。痛みの出ている患部に使うのもさることながら、からだの力をつけるのにも使えるのですよ。足三里・湧泉・腎兪付近をお勧めしておきます。育児大変ですけど、お互い頑張りましょう!

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※ペットボトル温灸のやり方はこちらをご参考にしてください。

理砂先生の先生 カポエイラの先生編④

 今月は、りさ先生がブラジル発祥のカポエイラを習っている米倉竜太先生との対談の最終回です。身体の動きだけでなく、歌や楽器も習う必要のあるカポエイラ。一般的にはアクロバティックで気軽には始められないイメージですが、運動苦手な人もぜひ! というお話です。

健康にまつわるお悩み募集中!!

本連載では、健康番長・若林理砂先生に相談したい健康にまつわるお悩みを募集しております。

お悩みがある方は、

・お悩みの内容(200字程度)
・体質タイプ(『絶対に死ぬ私たちがこれだけは知っておきたい健康の話』p63~65の診断テストにて判定ください。不明の場合は無しでもOKです)
・年齢(10代、20代等でOKです)
・性別(無しでもOKです)

を、hatena@mishimasha.com宛に、【件名:健康番長のお悩み】としてお寄せくださいませ。

若林 理砂

若林 理砂
(わかばやし・りさ)

臨床家・鍼灸師。1976年生まれ。高校卒業後に鍼灸免許を取得。早稲田大学第二文学部卒(思想宗教系専修)。2004年に東京・目黒にアシル治療室を開院。現在、新規患者の受け付けができないほどの人気治療室となっている。古武術を学び、現在の趣味はカポエイラ。著書に『絶対に死ぬ私たちがこれだけは知っておきたい健康の話』(ミシマ社)、『東洋医学式 女性のカラダとココロの「不調」を治す44の養生訓』(原書房)、『安心ペットボトル温灸』『大人の女におやつはいらない』(夜間飛行)、『その痛みやめまい、お天気のせいです――自分で自律神経を整えて治すカンタン解消法』(廣済堂出版健康人新書)、『決定版 からだの教養12ヵ月――食とからだの養生訓』(晶文社)、など多数。

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