健康番長若林理砂先生のバッチコイ!

第9回

忙しくて心がザワザワします、ほか

2019.11.18更新

気温が下がり、秋晴れがつづくこの頃。冷え込みがきついミシマ社自由が丘オフィスは、すでにガスストーブをつけて冬モードです。今月は、「忙しくて心がザワザワします」「軽い起立性調節障害といわれています」「口内炎になりやすいです」の3つをお届けします。

その1 忙しくて心がザワザワします。(冷湿タイプ、30代、女性)

ドストレススキー.jpg 仕事がパンパンで忙しくなってくると、心がずっとザワザワして、大好きなはずの読書がまったくできなくなってしまいます。隙間時間があっても本を開く気にならず、ずーっと義務みたくスマホゲームをしちゃったり。そう、隙間時間はあるんです。忙しいといってもだいたい定時で帰れるので寝る前も1時間は自由時間があります。通勤電車も往復で1時間あるし。心のザワザワを抑え、リラックスモードに気持ちをリセットできるような対処法はありますでしょうか。

りさ先生.jpg ああ・・・これは私も時々あります。一体どうしているかというと、いったん読書など頭を使うことを全部放棄するのですよ。この間は、近々にやらなければならない仕事を全部書き出したら多すぎて少々パニックになり、「あ、ダメだ」と思ったのでそのままブラジリアン柔術の稽古に子連れで行ってしまいました。「心がザワザワする」場合は、カラダをザワザワさせてバランスを取るといいのですよ。

 これを東洋医学的に説明しておきましょう。心がざわざわするという状態は、肝実ないしは心熱ととらえます。体の上部に熱が上がってくるような状態で、頭の使いすぎでのぼせているようなものだと思ってください。これは上実下虚という状態で、頭寒足熱の逆になるのです。

 沸かしなおしたお風呂にうっかり飛び込んだことないですか。もしくは、電子レンジで温めたスープとか味噌汁をグッと飲んだらつらい気持ちになったとかは? この二つ、底の方が冷たいままだったりすることが多いのですよね。私も何回も経験があります。やらなければならないことはただ一つ......一回かき混ぜて、再度加熱すること。混ぜるだけだと、たいていぬるく仕上がるのでね、もう一度温めます。

 この「一回かき混ぜて再度加熱」と同じ効果があるのが、運動だと考えられているのです。カラダの上部に集まった熱を、横隔膜より下をしっかり動かすことによってかき混ぜておろしてきて、さらに気血をめぐらせて温めるのです。熱が偏在しているカラダも、かき混ぜて均等にならすとたいていの場合何となく冷えた感じがします。ですので、もうちょっと頑張って動くと、全体に元気が出てきます。

 元気が出てきたところで、読書など頭を使う作業に入ると、スムーズにリラックスモードに入れるのですよ。注意点は、夜寝る直前に、ブラジリアン柔術のスパークリングみたいに超激しい運動をしないこと! 私は9:30から10:30の稽古に行くことが多いのですが、慣れるまでは眠れなくなりました。極端に運動強度が強いものは、交感神経優位に振れすぎてリラックスできなくなるので注意してくださいね!

その2 軽い起立性調節障害といわれています。(冷乾タイプ、10代、男性)

サムケ.jpg 相談したいのは、中学2年の次男のことです。身長162センチ、体重40キロくらい。やせてます。この半年くらいで急に背が伸びました。軽い起立性調節障害といわれています。朝がしんどい、だるいそうで、学校に1ヶ月半くらい行けてません。しんどくなかったら、学校に行きたいと言っています。どうしたら、朝、しんどくなくなるでしょうか。生活は、朝は7時に起こして、ご飯1膳とお味噌汁は食べます。だいたいはそのまま起きていたり、寝ていることもあります。昼と夜は、食欲はあり、高校2年の兄と同じくらい食べます。野菜、タンパク質、ご飯をバランスよくしっかり、を心がけています。夜19時頃に、1.5キロくらいジョキングしています。夜は22時頃から朝までぐっすり寝ます。午後はしゃべるし、本当に普通に元気に見えます。

りさ先生.jpg あらららら、痩せすぎですね。これは、ちょっと治療が必要ですね。これだけ痩せていたらしんどくないわけがないです。特に中学校二年生ともなると、かなりの育ち盛り。カラダの厚みが増していくはずの時期ですからね。まずは、ご近所に評判の良い漢方を処方する先生か、鍼灸師がいるようなら、一度見てもらってください。たぶん極端に脾胃か腎が弱いと言われると思いますので。ですので、その仮定でお話ししましょう。

 この状態は、カラダの気血が足らず、うまいこと巡らせることができないので、朝起き上がろうとすると一気に気血が下がってしまい、動けなくなってしまうのです。水のうっ滞が関係していると考えて半夏白朮天麻湯を使うことが多いようですが、お子さんの場合はそうではないような感じですね。これは気血が足らない虚証タイプでしょう。ごく普通に補中益気湯や六味丸なんかを利用したほうがうまくいくタイプじゃないかと思います。

 夜になるにつれて元気になるというのは、少し気になるところです。これは、ストレスがかかっている場合によく観察される症状です。本人自覚がないかもしれないのですが、何か環境に変化がなかったかを調べてみてください。

 この二つを合わせて治療していくこととなります。私は鍼灸師ですので、だったらどこの経穴を使うか・・・というと、陽池・中かん・足三里・太谿にペットボトル温灸をしてもらいます。気血を補う目的の経穴です。ストレスがもしもあるようなら、内関・神門に爪楊枝鍼を。この二つはめまいや吐き気によく使うもので、ストレス性の自律神経失調症にも応用されるのです。

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 運動を夜に行っているのをやめて、日中にするようにしてください。お日様の光を当てて体を動かし、陽気を増やした方がいいです。また、夕食をがっちり食べるのを一度減らし、朝食で空腹が感じられるように持っていきます。食事量と食事間隔は体内時計を調整することが知られています。夜になるにつれて重い食事になるようにすると体内時計の一定化にあまりよろしくない結果を生むという研究もあるのです。

 体重が増えるとだいぶ楽になりますから、しっかりたんぱく質と脂質を多く取らせてください。炭水化物はそれほど多くなくてもいいです。肉! 魚! 卵! 油!! です。焦らず!!

その3 口内炎になりやすいです。(20代、女、冷乾タイプ)

コン助.jpg 口内炎が月一くらいでできます。気づいたら1個〜3個ほどできています。特に唇の裏側にできることが多いです。また口内炎ができたところを思わず触ってしまったり噛んでしまったりしてなかなか治りません。予防方法はありますか?

りさ先生.jpg 月一回!? 口内炎って口の中を噛んでしまうとできたりするけど、「気づいたらできている」というのはちょっと怖いなあ。歯医者さんに歯並びを指摘されたりしたことはないですか? もしくは、歯科治療の後が粘膜に当たっている部位があるとかは? こういった場合は歯から治さないとならないし、その口内炎ができやすいところは口腔がんになったりすることもあるので、はやめに対処しないとならないのです。とりあえずは、口腔外科で聞いてみた方がいいかなと思います。

 そうではないとしたら、冷乾タイプで20代となると、食事、足りてます?? BMIはどのくらいなのだろう。粘膜が弱くなるということは、たんぱく質や脂質が足らないとか、ビタミンが足らないなどが予想されるのです。ビタミンB2・B6・Cなどが足らないと口内炎ができるのですけど、お野菜とか豚肉とかとれてますか? 甘いモノ、たくさん食べていないですか? まずそのあたりをしっかり改善してから、どう治療していくかを考えた方がいいですね。普通に養生できていたら、そんなにたくさんかつ頻繁に、口内炎はできないですから。

 その上で。これは、半夏瀉心湯のぶくぶくうがいを使うことが多いです。

 これは、抗がん剤治療による口内炎に半夏瀉心湯のうがいを利用すると改善が示唆されるという話です。実際、効果があります。また、飲まないでいいので体に対する負担が少なく、胃腸が弱くなりやすい・吐き気が出やすい抗がん剤治療にはもってこいの方法なのです。難治性の口内炎には半夏瀉心湯のうがいを試してみるのがいいと思います。

 鍼灸で治す場合は、手の陽明大腸経の合谷や手三里を利用します。爪楊枝鍼の方がいいですね。押して痛い部分を探って行います。この場合の爪楊枝鍼は、強めに押し付け、はやく離します。痛みの緩和に役立つので、試してみてください。

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りさ先生の先生 武術の先生たち編①

今月からの3回は、りさ先生が主宰するStudio Libraにて武術を教える先生方(高無宝良先生、嘉陽与南先生、駒井雅和先生、北川貴英先生、米倉竜太先生)との座談会トークをお届けします。初回の今回は、なぜ武術を学ぶスタジオを作ったのかというお話と、先生方の自己紹介を中心にお送りします。

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若林 理砂

若林 理砂
(わかばやし・りさ)

臨床家・鍼灸師。1976年生まれ。高校卒業後に鍼灸免許を取得。早稲田大学第二文学部卒(思想宗教系専修)。2004年に東京・目黒にアシル治療室を開院。現在、新規患者の受け付けができないほどの人気治療室となっている。古武術を学び、現在の趣味はカポエイラ。著書に『絶対に死ぬ私たちがこれだけは知っておきたい健康の話』(ミシマ社)、『東洋医学式 女性のカラダとココロの「不調」を治す44の養生訓』(原書房)、『安心ペットボトル温灸』『大人の女におやつはいらない』(夜間飛行)、『その痛みやめまい、お天気のせいです――自分で自律神経を整えて治すカンタン解消法』(廣済堂出版健康人新書)、『決定版 からだの教養12ヵ月――食とからだの養生訓』(晶文社)、など多数。

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