白山米店の季節つれづれ

第5回

8月のお便り

2018.08.27更新

 長く今までにない暑さの夏でしたが、東京は朝晩涼しくなり、鈴虫が鳴いています。窓の外は栗のイガがふくらんで秋風が吹き、暑さでまいった身体がやっと落ちついてきました。

 8月15日に母が93歳を迎えました。今年は手作りのアップルパイで、兄妹、姪っ子、娘夫婦と元気にお誕生日。孫7カ月から93歳まで集えた幸せは、先人の方々のお陰です。

お線香

 一昨年義母がケアホームに入った折、お仏壇を引き継ぎました。と言っても家具調の仏壇のスペースがなく、床の間に御本尊様とお位牌を置く形となりました。毎日お線香を手向け、昨日への感謝、今日の無事を祈り、清められた気分になります。

 お線香は駒村清明堂の昔ながらに作られた、水車杉線香です。素朴な香りで気に入っています。

 私の年代は、友人のご両親のお悔やみなどの機会が増えました。お仏壇のある友人には、お互いに気遣いがないようお線香をお包みします。

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日帰りバス旅

 ご無沙汰していた方からのお手紙やメールはうれしいものです。

 大阪のYogiYogiさんが八ヶ岳で「旅するYogiYogiの小さな小さな絵本村展」をするというので出掛けてきました。友人と共に知らない土地への2時間のバス旅はとても快適でした。稲穂に花がついた田んぼ道を30分歩いて、タクシーで5分の距離を楽しみました。

 会場は「ギャルリ イグレグ八が岳」

 ここは2005年に閉店した自由が丘でアメリカンアンティーク家具と雑貨の草分けの店、伝説の「デポー39」のオーナーの方の山荘で、ご縁をとても感じました。

 「デポー39」の当時の店舗は今では建築できないような古材を使い、テラスもあって、センスある建物で、取り壊されたときには、自由が丘の遺産となるものがなくなったと本当にがっかりしました。『デポー39ものがたり』(天沼寿子著)でご覧いただけます。

 展示の絵本は、幼児からシルバーの年代の方々が作られた108の本で、展示会のために各個人のお家にあるものを集結したそうです。9月に大阪茨木での開催予定があるようです。

 本や雑貨もたくさんあって、つい長居してしまいました。グアテマラの子どもと女性を支援する「青い空の会」のポーチや、お守りになるビーズ細工の女の子や、中央アフリカ共和国でエイズ患者の方が作られたアフリカプリントの布バックもあり、購入すると支援につながります。

書棚から

 「旅する絵本村展」で手にとった本は、『中央アフリカ共和国のおんなのこキキのいちにち』みずこ&みさえ著。

 9歳のキキちゃんの家族との生活の様子がカラフルな色で描かれています。学校から帰ったらマンゴーを売りに行き、お家に帰ったら3つの石でかまどを作り、お母さんと夕食づくり。1日のことを家族と話すキキちゃん。

 文を書かれた徳永瑞子さんは、看護師・助産師さんで、私財も投じてHIV患者さんや栄養失調児を支援する「NGOアフリカ友の会」を設立されました。現在の中央アフリカの状況は、この絵本からの印象と違って治安や経済が低迷していると聞きました。

 今年は、終戦から73年。日付と曜日が全て終戦の日と同じだそうです。8月15日水曜日。より一層、世界の平和を祈ります。

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今月の食卓

 今回のお料理は夏野菜代表、茄子ととうもろこしの我が家の定番2品です。ぜひ作ってみてくださいね。

 さっと作れておいしい 1. 白山家の味 茄子ベーコン煮
 はんぺんがボリュームあるおかずに! 2. 店の味 旬を詰め込む、射込みはんぺんの揚げもの


白山家の味 茄子ベーコン煮

材料(3人分)

・茄子 3本 縦半分に切り、斜めに切れ目を入れ1/2に切る、水でアク抜き(3〜5分)
※茄子は、へたの切り口が緑色で茶色く盛り上がっていないものを選びます。茄子は冷気にあたると「風邪をひく」と言われます。常温保存で早めに使い切りましょう。

 A
・ベーコン 3枚 4cmに切る
・水 300cc
・醤油 大さじ1
・砂糖 大さじ1と2分の1
・酒 大さじ1

作り方

  1. 茄子を切る。水にさらしアクを抜く。
  2. Aが煮立ったら、ベーコンの上に皮目を下にした茄子を置き、落し蓋をする。
  3. 6〜7分煮て茄子が煮えていれば、汁の味見をして出来上がり。少しだし汁が薄いときは、茄子とベーコンを皿に盛ってから汁を少し煮つめて茄子にかければいいです。もっと濃くしたいときは調味料を足します。

※鉄鍋で作ると茄子が色よくできます。火加減は、中火の強め。

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〈白山米店お母さんより〉

 今年もどれだけ茄子をいただいたでしょう。これは焼茄子丼ぶりとともに義母から伝わる味です。白い割烹着姿で台所にいた料理上手な義母がいました。

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店の味 旬を詰め込む、射込みはんぺんの揚げもの

材料(はんぺん1枚分)

・はんぺん(大)1枚 対角線に切り込み4分割、底辺を袋状に切り込み入れる

 A
・とうもろこし(茹でたもの) 1/4くらい、粒をとる
・マヨネーズ 大さじ1/2
・にんにく(すったもの) 少々
・黒こしょう 好きな量
・しその葉 4枚

・フライ用に、小麦粉、卵液、パン粉

小麦粉のり 
・小麦粉 大さじ1
・水 小さじ1  練る

・揚げ油 適量

※とうもろこしは、皮が濃い緑色で先端がもっこりしているものを選ぶと先まで粒が入っています(先端を触ってみるとわかります)。皮付きのまま水で濡らし、電子レンジ(600W)で5〜6分温めればすぐにいただけます。そろそろ旬も終わり。とうもろこしご飯は何度でも食べたくなるので今のうちに作ってみてくださいね。

作り方

  1. はんぺんを切り、Aを混ぜ合わせ、小麦粉のりを作る。
  2. はんぺんの袋にAを詰め、しその葉に小麦粉のりをつけフタをする。
  3. フライにして色よく少し膨らんだら出来上がり。(2分くらい)

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〈白山米店お母さんより〉

 ちくわでもよく作ります。秋はピリ辛の茄子味噌、冬はピリ辛の味噌レンコンにチーズを少々入れて揚げます。ごはんにも、ビールにも合います。天ぷら液で揚げてもとても美味しいです。

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白山米店お母さん

白山米店お母さん
(はくさんこめてんおかあさん)

自由が丘、白山(はくさん)通りに60年近く前からあるお米屋さん「白山米店」。1996年よりお弁当の販売を開始。毎週水曜日のみ、おかあさん手作りのおいしいお弁当が食べられます。愛情たくさんのおかずと、お米屋さんならではのおいしいお米で地元ファンが通う人気店のお母さん。著書『自由が丘3丁目 白山米店のやさしいごはん』(ミシマ社)。

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