白山米店の季節つれづれ

第11回

2月のお便り

2019.02.26更新

 日中は、春をおもわせるような暖かい日差しに、尾山台への買い物道の梅の花が満開となりました。毎年恒例の梅散歩は、大田区西嶺町の観蔵院の周辺です。この辺りは、長い生け垣も多くあり、生け垣から自然にのびる梅の木が、素敵な景色をつくっています。

 今回のコースは、多摩川線の沼部駅から、新幹線のガード下を行き、西嶺町の梅を観て、池上線の千鳥町駅前まで。オステリア センティで鰯のパスタランチをいただき、グルグルベーカリーに寄りました。国分寺崖線沿いに歩くので、地形を感じながらの散歩になりました。

立春に、お味噌とブロッコリー

 立春が過ぎても冴え返る日が続いております。それでも日中は、日が長くなり日差しは春めいた輝きです。

 毎年この時期に、お味噌造りをしています。ここ数年は、娘の家族の分も増え、大豆5㎏分を3回に分けて仕込みます。麩は、山形の「深瀬善兵衛商店」にお願いしています。大豆も、山形のもので、「太ももの会」さん。大豆は作付けしなくなったそうで今回までの大豆となりました。

 冬限定でお店のおむすびの具にしている、ピリ辛の味噌レンコンは、この味噌を使っています。味噌造りは、家中に大豆を煮ているいい匂いが充満します。舌でつぶれるほど、やわらかく煮た大豆はお酒のアテにもなる。ついついつまみ食いしてしまいます。残った大豆の煮汁は、キムチ汁や、キーマカレーに使います。これがまたトロ~ンとして美味しいの。

 ブロッコリーの茎のぬか漬けにはまっています。茎の固い外皮をむくと中はしっとりきめの細かいうす緑色。博多人形のようななめらかさに品のいい食感です。ぬか漬け食べたさに、茎が太いものを選んでいます。

 花のような房は、しまったのを選ぶと口の中がモゾモゾしなくて味が濃い。小さく切ってオムレツに混ぜると黄色と緑で春を思わせます。

夏みかん

 93才の母から夏みかんを採りに来てと電話がありました。昨年はなぜかパサパサだった夏みかんが、今年は、ジューシーで大収穫。よくよくみると大きい大きいみかんです。

 1本の常緑樹に、沢山実をつける生命力に驚きます。3月のおひな祭りには、ひな壇に桃の花と対に橘(みかんの木)を飾ります。

 桃の花は魔除けや邪気を払い、実が沢山成る橘は、不老長寿を願うためのものだそうです。

 実家の夏みかんは皮の裏の白いワタが薄く、ワタをそがずにそのまま使います。皮をむいてから湯がくと、うす切りが楽になり、汚れもとれ、ほど良く苦みが残ります。

 ペクチンを含む種は、ガーゼや茶袋に包んで、水に浸しておきます。切った皮と果肉、種を浸し水に砂糖を加え煮込めば、市販にはない、ほろ苦さと具の多いジャムの出来上り。

 パンはもちろん、お菓子や、肉料理のアクセントに自家製は格別のおいしさです。

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灯台もと暮らし 

 東京から車で1時間半くらいの実家の近所に、曹洞宗の古刹、昔話で知られている分福茶釜(ぶんぶくちゃがま)の茂林寺(もりんじ)があります。

 一昨年、娘が婚礼写真の前撮りをした場所です。今回は、孫もつれてお礼参りをしてきました。

 大きな茅葺き屋根の本堂が美しく、人気がなく時が止まったような静寂。春には古木のしだれ桜や藤の花。参道には、表情豊かな狸がずらり並び迎えてくれます。

 隣接して、野鳥の森、ダークダックス音楽館、貸衣装屋さんがあります。

 今までは、実家に帰っても、寄ることがなかった場所ですが、これからは、必ず訪れたい茂林寺になりました。

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 一方で、前回も少々触れましたが、私の家の町内に、壊されてしまうかもしれない古いお屋敷「白日荘」があります。築90年の和風と洋風を取り入れた自宅と、昔オオカミを飼っていた大きなお庭には、池もあり、くわがた虫や野鳥(ウグイスもいた)が来て、自由が丘で唯一の自然を感じる場所です。

 かつてそこに住んでいた平岩米吉博士のことが書かれた本を読むと、昔の自由が丘の風景や人物像が浮かびます。

 田んぼが広がり、高台の平岩邸からは、富士山や、晴れた日には南アルプスの赤石岳まで眺望できたので、米吉氏は亀戸から自由が丘に移り住んだそうです。

 オオカミをタクシーに乗せて、銀座を散歩したりして、外出の時はマスクをして、ご近所付き合いは殆どなく、変わった人だったそうです。娘さんの平岩由希子著の『狼と生きて』には、家族とのユニークな生活が書かれています。

 当時の文化人との交流も多く、フィラリア撲滅の功労者で連珠の名人。

 知れば知るほど、「白日荘」がなくなってしまうのはもったいないとの想いが募ります。

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今月の食卓

 春は、心身の不調がでやすい季節です。心まで温まるオニオングラタンスープおすすめです。玉ねぎを千切りにする手間、炒める手間も気分転換にはいいものです。

 今回のお料理はこの2品です。

  1. 心まで温まる オニオングラタンスープ
  2. 節分豆が香ばしい 節分ごはん(しじみの佃煮入り)

心まで温まる オニオングラタンスープ

材料(直径10cmのココット型で3個分)

・玉ネギ 大 3個(繊維にそってうす切り)
・バター 30g
・ニンニク 3ヶ(うす切り)
・コンソメ 1個
・水    4カップ
・粗塩   小さじ2分の1
・こしょう 少々
・フランスパン 1cm厚さ 3枚
(又はトーストした食パン 適量)
・とろけるチーズ 適量
・粉チーズ 適量

作り方

1. 鍋にバターを入れ強火で炒める。10〜15分すると焦げやすくなるので、火加減を弱くしながら、30分くらいかけて、こげ茶色になるまで炒める。
2. 水とコンソメを入れ煮立て、塩、こしょうで味をととのえる。
3. 耐熱器にスープを入れ、フランスパンをのせてとろけるチーズと粉チーズをふり、オーブントースターでこんがり焼く。

〈白山米店お母さんより〉 

家庭で作るオニオングラタンスープは、玉ネギの旨みが詰まった食べるスープです。夫がたまに作ってくれて、しみじみ美味しい。玉ネギバンザイ! 心底温まります。熱々のうちにいただきましょう。

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節分豆が香ばしい 節分ごはん(しじみの佃煮入り)

材料(約3人分)

・米 2合
・水 適量

A
・節分豆 1/2カップ
・しじみの佃煮 50g
・油揚げ 2分の1枚(4分の1に切ってうす切り)
・醤油  大さじ2分の1

作り方

1. 米を洗い、炊飯器2合分の水を入れ、1時間浸水したら、Aを入れて炊く。
2. 炊き上り蒸らしがすんだら、ふんわりと切るように混ぜ合わせ、お茶碗によそいます。

〈白山米店お母さんより〉

まだ節分の残った豆があればいいのですが・・・香ばしい豆と佃煮のほんのりとした甘さが家族に好評でした。お汁は、しじみの潮汁で寒しじみ祭りの食卓です。

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白山米店お母さん

白山米店お母さん
(はくさんこめてんおかあさん)

自由が丘、白山(はくさん)通りに60年近く前からあるお米屋さん「白山米店」。1996年よりお弁当の販売を開始。毎週水曜日のみ、おかあさん手作りのおいしいお弁当が食べられます。愛情たくさんのおかずと、お米屋さんならではのおいしいお米で地元ファンが通う人気店のお母さん。著書『自由が丘3丁目 白山米店のやさしいごはん』(ミシマ社)。

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