白山米店の季節つれづれ

第24回

3月のお便り

2020.03.29更新

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 物干し台からのぞく裏家のお庭には、菜の花の黄色、さやえんどうと花ニラの白い花、桃のピンク色が咲き乱れ、柿の木も芽吹きました。目黒通りを渡った遊歩道の桜並木は七分咲きで、まだ楽しめそうです。店先の鉢から思いがけずに、一本だけフリージアが伸びて、お玄関に生けました。香水でしたら、鼻をつくような匂いですが、何回も深く嗅いでしまいます。調布で買った春蘭が、毎年さりげなく咲いて、義父の遺した君子蘭は、つぼみが顔を出しました。秋に取り壊されたオオカミ屋敷から救出した小さな小さな紅葉に新葉がつきました。生命あふれる季節です。

 春は貝の季節でアサリが太ってとても美味しいです。この頃、帆立の稚貝をみかけます。殻で手を切らないようにゴム手袋やタワシで、水がきれいになるまで洗います。砂抜きがないので、そのまま、水から煮て貝が開いたら味噌を入れ、お味おつけの出来上がり。酒蒸しには、バターをたしコクを加えます。貝だけお皿に取り、酒蒸しの汁にスナップエンドウ(両筋をとる)をシャキシャキ食感が残るように蒸します。貝のお皿に盛り合わせて春らしい一品です。

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 近頃のマイブームは、干しえのき茸。調べたら生の時より、栄養価が増えて、免疫力も高くなるそうです。大袋入りのえのき茸を2時間から半日で柔らかく干し上げます。えのき茸は、オリーブオイル大さじ1に、粗塩小さじ1/4で炒めておくと日持ちもするし、便利に使えます。(やみつきえのき茸と命名!)レンジでチンしたキャベツにかけて、油揚げや貝柱もどきとして使っています。

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甘い味噌

 小さい時は食卓に赤い缶の鯛味噌をよくいただきました。

 缶切りで開けたフタに気をつけながら、何日かで食べ切ります。だんだん鯛味噌が固くなってきます。切りっぱなしのフタをもち上げ味噌をスプーンですくいます。白いごはんにつけていただきました。鯛とおぼしきものは時々ある小さな粒です。ねっとりと甘い茶色の鯛味噌とごはんを思ったら気持ちが温かくなりました。あの時の母が若かったことも、なぜか胸が熱くなります。

うさぎの肉

 下町に住んでいた小学生低学年頃、お習字教室の帰りの立ち食いは味噌おでん。

 お湯の中に千人風呂のように立ててある、こんにゃくの串を一本取り出し、甘い味噌をつけてお皿で手渡してくれました。誰かと食べた記憶はなく一人だったようです。何故か、こんにゃくをうさぎの肉と信じて食べていました。小さい頃は肉が苦手だったからでしょうか。

 よく煮えたこんにゃくはプリプリシコシコしてうさぎの肉っぽいと思い込みをしていたようです。

今月の食卓

今回のお料理は、

  1. ほっこりこんにゃくの味噌おでん
  2. 鰯のなめろう
  3. 鰯のつみれ汁

の3品です。


ほっこりこんにゃくの味噌おでん

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材料(2人分) 

・こんにゃく 1枚
・塩 小さじ1

A
・味噌 大さじ4
・砂糖 大さじ6
・みりん 小さじ2

・いただく時にお好みで、ナッツ(粗くきざむ)、山椒

・竹串 または 枝 6本
・食卓に出せる土鍋など

作り方

  1. 甘い味噌をつくる。耐熱用器にAを混ぜ合わせ電子レンジ600Wに30秒かける。
  2. こんにゃくは、横から、1.5cm厚さに切り塩でもみ、洗い流す。鍋に水から入れ沸いたら2〜3分アク抜き。ザルに取り水を通す。こんにゃくに串を刺し、土鍋に入れ水をはり熱々になるまで待って各自味噌たれをつけて、いただきます。

白山お母さんより

ナッツと山椒もとても合います。甘味噌は、保存できるので、多めに作っておくと便利です。旬のホタルイカや菜の花には、酢と練り辛子を加えます。ふろふき大根、揚げ豆腐と多用出来ます。材料の味噌の種類は何でもいいです。見ため味噌と同じ量くらいの砂糖に驚きますが、我が家は甘い好きです。


思ったより楽につくれる 鰯のなめろう

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材料(3人分)

・新鮮な鰯 大きめ3匹分(3枚おろし 皮をひいて150gくらいでした)

A
・味噌 大さじ1と1/3
・生姜 すったもの 大さじ1
・ネギ みじんぎり 5cmくらい
・大葉 千切り 6枚

・盛り付け用の大葉

作り方

  1. 鰯の皮を手でひき、5cm幅に細切りし、Aと荒くたたき合わせ1人分ずつ大葉をひいた皿に盛り付ける。白いごはんといただきます。

白山お母さんより

 今年の鰯は、太っていてお安くなったように思います。お刺身でいただけるか確認して、作りましょう。3枚におろしてもらえば、すぐに作れます。自分でおろす時は、新聞紙の上で、頭と内臓を取り出し骨の血合いも包丁でかき出します。鰯を洗って水気をとり、手開きで頭の方から中骨を外し皮をひきます。残った大きめの骨は抜いておきます。小骨はたたいてしまうので大丈夫です。

 今回は、つみれ汁のレシピもありますが、このなめろうの半量に片栗粉小さじ1とパン粉大さじ1を加えれば2人分のお汁も作れます。具は豆腐だけでも青菜やネギをさっとのせていただけます。


伝えたい味  鰯のつみれ汁

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材料

・たっぷり汁
・新鮮な鰯 大きめ3匹(3枚おろしやフライ用)

A
・卵 1/2コ
・味噌 大さじ1
・片栗粉 小さじ2
・パン粉 大さじ2
・生姜 すったもの 大さじ1 (10g)

・油揚げ 1/2枚 太めの短冊切り
・ごぼう 1/2本 ササガキにしてさっと水にはなしアク抜き
・豆腐  1/3丁分 1.5cm

・長ネギ 1/2本 斜めうす切り

・仕上げに、七味唐辛子

B
・昆布 10g 鍋にひたしておく
・水 1リットル

・味噌 大さじ3〜適量

作り方

  1. Bは、弱火でゆっくりと出汁をとり沸き出したら引き出す。
  2. 鰯は、皮を手でひき、5mm幅に切り荒くたたきAを混ぜ合わせる。手水をつけ8〜10コの平たい団子にし中心をへこませる。
  3. 1の鍋に油揚げと牛蒡を入れ柔らかくなったら、2のつみれ団子を入れアクをとり火が通って浮いてきたら、豆腐と味噌を入れグラっと煮立ったらネギを入れ直ぐ火を止める。七味唐辛子を添えていただきます。

白山米店お母さん

白山米店お母さん
(はくさんこめてんおかあさん)

自由が丘、白山(はくさん)通りに60年近く前からあるお米屋さん「白山米店」。1996年よりお弁当の販売を開始。毎週水曜日のみ、おかあさん手作りのおいしいお弁当が食べられます。愛情たくさんのおかずと、お米屋さんならではのおいしいお米で地元ファンが通う人気店のお母さん。著書『自由が丘3丁目 白山米店のやさしいごはん』(ミシマ社)。

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