35歳大学院生

第3回

ド真面目ゆえの大事件

2023.11.09更新

 みなさんこんにちは。市川いずみと申します。アナウンサー/ライター/ピラティストレーナー/研究者/広報。複数の肩書や経歴によってキャリアを形成するスラッシュキャリアを歩んでいる35歳女性です。先月は、スポーツと私の出会い、現在の行動力の礎となった幼少期のスポーツ歴などを主にご紹介しました。今回は、ただの爽やかスポーツ少女ではない? 社会人になってから邪魔することになる私の "ド真面目" ゆえに起こった事件について、恥ずかしながら綴っていきます。

 ♪曲がったこーとが大嫌い♪と歌いたくなるほど、ルールと呼ばれるものには忠実に従って生きてきました。前回は、幼稚園の時の絵を描く際のルールをはき違えていたお話を少し紹介しましたが、その性格は小学校に入学後も健在です。
 主に高学年になってからの事件が多かったのですが、まず一つ目はたけのこ音楽会というクリスマス音楽会のメンバー決めの時に起りました。確か5年生の時だったと記憶しています。私が通っていた小学校区には児童養護施設がありました。そこで毎年12月に、希望者がチームを組んで音楽会に参加します。歌を歌ってもよし、ダンスを披露してもよし、楽器を使っての演奏でもよし。私は3年生の時にクラスメイトに誘われて、ソプラノリコーダーの演奏で参加したのが初めてでした。5年生の時には自分からクラスメイトを誘って、みんながそれぞれできる楽器を使って演奏しようと提案。この音楽会には申し込みの締め切り期日があります。メンバーも5人以上になり、あまり多いと大変だと思ったのでこれ以上は増やさずに参加しようと思っていました。そのタイミングで他クラスの子が一緒に参加したいと申し出てきたのです。
 ここでド真面目が発揮されます。「もう申し込みもしたし、今からはうちのチームには入れないよ」。めっちゃいけず(いじわるという意味の関西語)ですよね! 別に一人増えようが二人増えようが問題ないんですよ。でも、最初に申し込んだら変更できない、その人数で参加必須! と思っていたド真面目少女は、やさしさのかけらもなく友人の申し出を一刀両断。すると、これがですね・・・。「仲間外れにされた」となるわけです。当たり前ですよね(笑)。なかなか大きな問題となり、担任の先生に伝わり、友人の保護者から学校に連絡もあり、なんと母まで学校に呼び出されました! 結局「そんないけず言わずに入れてあげなさい」ということになり、みんなで参加しました。いけずしようと思ったのではなく、ただただ申し込みのルールを守りたかったのだと思います。

 同じ5年生の時にもう一つ大事件を起こしました。名付けて "船長さんの命令事件" です。皆さんご存じでしょうか? 「船長さんの命令です! 右手を挙げてください!」と言ったように、「船長さんの命令です」という言葉の後に指示された動作をしなければならないというゲームです。指示の前に「船長さんの命令です」という言葉がなければ、その動作をしてはいけないというルールになっています。小学生の頃はクラス会などで頻繁に行われるゲームでした。
 ある日、私が船長役を務めることになりました。その少し前に引っ掛け出題を覚えていたので、それを実践して、盛り上げようと考えたのです。「 "村長" さんの命令です! 座ってください!」。ほとんどのクラスメイトが座りました。「みんな引っ掛かったなぁ~」と私はニヤリ。「今のは "船長" じゃなくて、 "村長" やったから、座った人はアウト!」そう告げると、教室のあちらこちらから「はー?」「意味わからん」「むかつく」などという声が聞こえました。甲子園球場の野次とまではいきませんが、小学5年生の私にとっては耐え難かった・・・一番怒っていた男の子の表情は今でも鮮明に覚えているほどです。
 そして私は「お前らしばくぞ!」という暴言を吐いていました(笑)。めちゃくちゃ問題児過ぎ! 恥ずかしくて書きながら笑えてきますが、間違いなく泣いてそう言い放ちました。今振り返ると、悲しかったのか? 悔しかったのか? 少なくとも怒りではなかったように思います。これもルールの範囲内で盛り上げようと自分なりに考え、そのルールに従えずに引っ掛かったクラスメイトが文句を言っていることが許せなかったのでしょう。「ゲームなんだからなんでもいいじゃん」と、今なら言えます。大人になったなぁ~(笑)。その後私はどうなったかというと、先生にすぐに教室から図書室に移され、しっかり注意されました。この時も母は呼び出されたような気がします。こうやって振り返ると相当な問題児。真面目さは、ほどほどがいいですね。ごめんよ、母。
 ただ、このド真面目が発揮された場所もあります。
 それは、さきほど先生に連れていかれた図書室です。学校では "目指せ1万ページ" という図書カードが配られ、いつ・どんな本を・何ページ読んだかを記載し、1万ページを目指して読書しようというものです。幼少期から料理のお手伝いが好きだった私は、あかね書房さんの「わかったさんのおかし」シリーズが大好きでした。クリーニング屋さんのわかったさんのお話とおいしいお菓子の作り方がストーリーの中で出てくる本で、巻末では、実際の作り方をわかりやすく解説してくれています。ストーリーももちろんおもしろく、巻末のレシピをみて実際にお菓子を作っていました。そこから徐々に本を読む面白さを覚え、休み時間は図書室に行くことが多くなりました。図書室では一人で黙々と本を読んでいましたね。わかったさんシリーズから、青い鳥文庫にハマり、学校の図書室では満足行かずに、休日は自転車で隣町の図書館に通うように。
 先日、小学2年生の時の図書カードを実家で発見したのですが、1年間で92冊もの本を読んでいました。私の本好きはこの頃からだったと再確認しましたが、よく見ると、『ごはんだーいすき』という本を2か月で3回も読んでいます(笑)きっと絵本です。ド真面目ゆえ、ページ数をどうしても達成したかったのでしょう。他にも食に関する本の名が並んでいて、食い意地のすごさも図書カードから読み取れます。
 そう、実は私、食に対する欲求がものすごいのです。その理由は育った環境にあります。最高の食育をしてくれた環境とは? 次回は私の大好きなふるさとについてお話をしたいと思います。

市川 いずみ

市川 いずみ
(いちかわ・いずみ)

京都府出身。職業は、アナウンサー/ライター/ピラティストレーナー/研究者/広報(どれも本業)。2010年に山口朝日放送に入社し、アナウンサーとして5年間、野球実況やJリーグ取材などを務めた後、フリーアナウンサーに転身。現在は株式会社オフィスキイワード所属。ピラティストレーナーとして、プロ野球選手や大学・高校野球部の指導も行う。早稲田大学大学院スポーツ科学研究科修士課程修了(スポーツ医学専攻)。スポーツ紙やウェブにて野球コラムを執筆中。アスリートのセカンドキャリア支援事業で広報も担い、多方面からアスリートをサポートしている。阪神タイガースをこよなく愛す。

Twitter:@ichy_izumiru

Instagram:@izumichikawa

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