第3回
ヤレ紙プロジェクト! 〜第1回〜
2018.08.17更新
大阪にある印刷会社・あさひ高速印刷の岡社長との雑談からはじまった、「ヤレ紙プロジェクト!」ヤレ紙とは、本を作る際に出るテスト印刷した紙で、捨てられる運命にあります。この紙を使ってなんか商品開発しよう! そして出来上がるまでのドキュメントをレポートしよう! というのがこのコーナーです。
いよいよ商品開発、始動!
前回は、このプロジェクトが始まった経緯をお伝えしました。ちょうど、東京のシナノ印刷さんでミシマ社の「手売りブックス」シリーズを印刷していたときだったので、何を作るかは決まっていなかったのですが、とりあえずヤレ紙を廃棄せずに保管してもらえるようお願いしました。材料確保のあいだに、岡社長&スタッフの小野さんと作戦会議です。
実はあさひ高速印刷さんは、大阪本社の近くに「江戸堀印刷所」という、一般のお客さん向けの工房をひらいています。お店の中にはヴィンテージのめちゃくちゃかっこいい活版印刷機があり、オリジナルの名刺やカード製作など、印刷にまつわるいろんなことを相談できます。
(1960年代につくられたという活版印刷機。ぜひ実物を見てほしい!)
この工房で、これまでにさまざまな印刷/製本方法を試しながらノートやメモ帳などを作ってきたお二人。たくさんのサンプルを見せていただきながら、ミシマンと代表・三島のテンションアップ。何を作ろうか、夢ふくらみます。
受け継がれる「紙版ミシマガジン」
みんなでいろいろ案を出す中で、そういえば・・・と思いだしたのが、以前ミシマ社サポーターさんに向けて、毎月お届けしていた「紙版ミシマガジン」のこと。いまウェブでお読みいただいているミシマガの記事を、毎月ごと、毎日の記事を、1冊の紙の雑誌「紙版」として再編集して製本し、サポーターさんに特典としてお送りしていました。毎号、印刷方法や使用する紙を変えていたこの紙版作りは、本作りの「実験の場」でもあり、その後のいくつかのミシマ社本を作るときの、アイデアの元にもなっています・・・と長い説明は置いておいて、この紙版製作のときに、さきほどご紹介した活版印刷機を使ってミシマ社のロゴマーク入りの表紙を作ったことがありました。
小野さん 「あの型まだ残ってるので、いろいろできますよ~」
それはぜひぜひやってみたい! ということで、まず手始めに、ヤレ紙に活版印刷でミシマ社のロゴを入れた、ブックカバーを作ってみることに。
(「紙版ミシマガジン2013年8月号」 ロゴのところが活版印刷なので、触ると凹凸があります。)
ついにヤレ紙搬入!
さて、前回のレポートの最後にお伝えしていた、ヤレ紙保管&搬入問題。しつこく書きますが、本来は「捨てちゃう紙」ですし、量はいっぱいだし、しかも、サイズもすごく大きいんです。通常、本の印刷をするときは、1ページずつ1枚の紙に印刷するのではなく、1枚の大きな紙に何ページずつかまとめて印刷をし、それをページ順になるように折りたたんで作っています。今回のヤレ紙の元である「手売りブックス」シリーズでは、だいたい1091mm×788mmの大きさの紙にまず印刷をしているので、つまりその大きさの、使えない紙が、大量に、現場のある一部分を占拠していることになるのです。現場の方からすれば、なんていうか、けっこう「じゃま」な存在・・・。
そして、これからこのヤレ紙たちを受け取るあさひ高速印刷さんでも、同じことが言えるわけで。送る方も、受け取るほうも、いろいろ、準備があり大変だったのですが、7月のある日、ヤレ紙は東京から大阪へ、無事到着したのでした。
(『おむすびのにぎりかた』のヤレ紙)
(重いのでフォークリフトで運びます)
出鼻をくじかれ、締め切りは迫る
材料がそろったところで、いざブックカバー作りスタート! ・・・とここで問題が。なんと、作ろうとしているブックカバーのサイズだと、例の活版印刷機に紙が入らないことが判明。がーん・・・。仕方がないので、ここは通常の印刷でいくことに。それでも小野さんからは、「ロゴマークを模様みたいにいれたらかわいいかも」「金や銀のインクで上から載せたらどうでしょう」とさらに上をゆく楽しいアイデアをいっぱいいただき、気を取り直してわいわい準備をはじめました。
そんな感じでのんびりやっていた本プロジェクトですが、この月の最後の週末に、各出版社がブースを出してお客さんに本を直接手売りするイベント、「ブックマーケット2018」が開催! もちろんミシマ社も出店!(これまで毎回参加しています)ということで、どうせならお客さんの反応もみたいし、「手売りブックス」購入特典にこのブックカバーとつけよう! という話になりました。この時点で7月17日。イベント初日は28日。はたしてブックカバーはできあがるのか?! 次回につづく!!(←またこの終わり方・・・)