第196回
『新・仕事のお守り』発刊!
2025.07.18更新
こんにちは。編集チームのスミです。
本日7月18日(金)、『新・仕事のお守り』がリアル書店先行発売を迎えました!
ビジネス書をとび超えて
本書は、出版社のミシマ社が、働くすべての人に向けてつくった「お守り」のような本です。
私たちは、2006年の創業以来「ちいさな総合出版社」を謳い、人文、文芸、実用、絵本など、あらゆるジャンルの書籍を刊行してきました。
本をつくり、読み、また、さまざまな書き手のお話を聞き、新しいことが起きている場を取材する・・・そうした活動をとおして、たくさんの言葉と出会ってきましたが、そのなかには、私たち自身が日々の仕事の支えとし、自然と指針にしている、まさに「お守り」のような金言がたくさんあります。
こうした言葉を自分たちだけのものにしていてはいけない。その思いで、さまざまな本から、今この時代に仕事をしているあらゆる方にお贈りしたい言葉を収録し、一冊にしたのが本書です。
装丁デザインは文平銀座さん、装画・挿画はnakabanさんに手掛けていただきました。
またなんと、尾崎世界観さんの書き下ろし新作小説も収録されています。
いわゆる「ビジネス書」の領域をとび超え、文学も味わっていただける、新しい仕事本です!
「自分を作り替えようとしてはいけません」
本文では、「身体健全」「商売繁盛」「不安一掃」・・・といったテーマに沿って、ミシマ社の書籍や雑誌『ちゃぶ台』をはじめ、全54の読みものを引用し、ご紹介しています。そして、それらのエッセンスを、仕事に効く「お守り言葉」にしました。
たとえば・・・
「短期的評価は気にしない!」
「商売には好況、不況はない」
「正解はないけど、理に適ったやり方はある」
「楽しさだけは捨ててはいけない」
こうした言葉を、42個収録しています。
本書の編集に携わった私は、最近、実際にこのお守り言葉たちのご利益を実感しています。
つい今朝も出勤前に、「どうしても○○をするのが苦手だな。この性格変えられないかな~~」ともやもやしていたとき、ふと、「自分を作り替えようとしてはいけません」というお守り言葉が降ってきて、そうだった、性格は作り替えるのではなく「磨く」のだった、と立ち止まったのでした。(詳しくはぜひ第1章をご覧ください。)
社長・若手・就活生トリオの本づくり
本の中では触れられていませんが、本書の制作は、3人のチームで行いました。
ミシマ社代表のミシマ、入社5年目のスミ、学生アルバイトのSさん(当時就活中!)という、「社長・若手・就活生トリオ」です。
年齢も経験もまったくちがう3人が、毎回、編集会議にいろいろな本からの引用を数十個持ち寄り、それぞれが今、仕事について抱いている悩みや実感から、「この言葉がすごくいいんです」と語り合う時間を過ごしました。
そんな編集会議の最後の日の録音データを聴き直してみると・・・、本書の本づくりをふりかえって、Sさんとスミはこんなことを言っていました。
Sさん(学生)
「ふとしたときに思い出す言葉がこの期間にたくさんできて。もちろん私は、まだ社会人として働いたことはないので仕事を語れる立場ではないけれど、でも、この本に関わって、『仕事』というものをいろんな角度から見られたのはすごくおもしろかったです。
『ビジネス』に対してイメージしていた、数字本位で計画を立てたり、成果をどんどん上げていく、というようなことではなくて、『まずは自分が元気でいることがいちばん』という教えだったり、文学が仕事を描くときのみずみずしい言葉だったり、多方面から仕事というものを考えられたのがおもしろかったですね。これから働こうとしている友達にも、ちょっと読んでもらいたいなと思いました」
スミ(入社5年目)
「私は働きはじめて4、5年が経ったところなので、仕事というものが自分にとってまだ新鮮というか。日々経験することも、失敗もぜんぶふくめて、はじめて突き当たる出来事ばかりという気持ちでいるんですけど、この本をつくりながら、仕事って、30代、40代、50代と、本当に長く続いていくものなんだなということをすごく考えました。
目先の課題をクリアするためのスキルを身に着けていくのはもちろん大事で、私もそのことだけで必死なときが多いのですが、長い長い仕事人生のなかで、しんどくなって仕事を続けられなくなってしまったら、やっぱり元も子もない。この本は、具体的に『こういう技があります』という目先のことではなく、もうちょっと深いところで働く自分を支えてくれると思いました。長年仕事を続けてきた達人たちの言葉が載っていて、いますぐにはっきりと理解できるわけではなくても響いて残るものがたくさんありました」
社長・若手・就活生、三者三様の声が入ったことで、文字通り、新人からベテランまで、あらゆる立場の方がどこかで自分と重ねていただけるような一冊になったと思います。
また、ふとしたときにめくってどこかの言葉を読むと、数年前とは受け取る感触が変わっている、というふうに、長い時間をかけて楽しんでいただける本です。
ぜひ、たくさんの方にお手に取っていただけたら嬉しいです。
姉妹本があります!
『新・仕事のお守り』には「姉妹本」があります。
本書編集者・ミシマ社代表の三島邦弘が執筆した書籍『出版という仕事』(ちくまプリマー新書)が、筑摩書房より刊行されました。
出版の仕事に四半世紀携わり、「出版はおもしろい」と確信するミシマが、編集・営業・経営といった業務を根っこで支えるあり方や思いを言葉にした一冊。先の見通せない世界において、どのようにおもしろく働いていけるかを、未来に向けて書いています。
先日、ミシマガ連載「ミシマ社の話」にて、本書執筆の裏で起きていたことを三島が綴りました。
→「この本の作者は誰か?――『出版という仕事』執筆考」(連載「ミシマ社の話」)
ぜひ、2冊あわせてお手に取っていただけたら嬉しいです。
Title店主・辻山良雄さんと対談します
◎2025年8月1日(金)19:30スタート
「日々の仕事に「お守り」を ときに人を揺さぶる本の仕事について」
『新・仕事のお守り』&『出版という仕事』W発刊記念イベントを開催します!
出版社をつくり20年目を迎えるミシマ社の三島と、本屋Titleをつくって、来年10年になる辻山さんが、本をとりまく仕事の課題と未来について、それぞれの立場から語り合います。
本が売れないと言われるこの時代、人の心に届く本をつくる編集術とは、はたまた、どのように人を感動させるような本のある場所をつくり、それを維持し続けていくのか。
現場で体をはりつづける二人だからこそ感じる問題点と可能性について話します。
「出版の話」がメインになりますが、あらゆる仕事で「お守り」となるヒントも出てくるでしょう。
二人を支える「お守り言葉」も披露します! ぜひご参加下さいませ。
チケットは、現地参加(@東京・荻窪「Title」)とオンライン配信がございます。