『ホホホ座の反省文』ついに完成しました。(1)

第16回

『ホホホ座の反省文』ついに完成しました。(1)

2019.06.15更新

 ミシマ社より、6月の新刊は『ホホホ座の反省文』(山下賢二、松本伸哉 著)をお届けいたします。

 このタイトルを聞いて、「ホホホ座」ってなに? 劇団? そう思った方。そして、「ホホホ座」ってどっかで見たことあるわ、あの、あれでしょ。あのーー・・・。あれ?「ホホホ座」ってなんなんだっけ? そう思った方へ。

 2015年4月に京都・左京区に「ホホホ座浄土寺店」が開店しました。その店主を勤めるのが、今回の本の著者、山下さんと松本さんです。浄土寺店のオープンを皮切りに、ホホホ座はその後尾道に、大阪・交野市に、今治に、大阪・西田辺に、金沢に・・・ぽつりぽつりとひろがっていきました。そして2020年には宮古島に「ホホホ座」ができる予定です。

 へ〜ホホホ座ってチェーン店だったの。

 そんな声が聞こえてくるのが普通ですが、違います。この日本各地に点在する「ホホホ座」それぞれの店舗は、支店でも、フランチャイズでも、のれん分けでもありません。曰く、ただ店名を共有しているだけ。

 この関係性の不思議さと、店が「続く」謎を、たっぷり語っていただきました。

 個人店やちいさい会社で働くすべての人に読んでほしい一冊です。なぜならこの本は、成功した人たちの語りからはこぼれおちてしまう「真実」や「リアルな思い」、そういうものが文章から滲み出ているのです。笑いながら読み進めていったら、「コレ意外に役立つな・・・」そんな本です。

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『ホホホ座の反省文』山下賢二、松本伸哉(ミシマ社)

 著者のひとりである山下賢二さんより、発刊に際してコメントをいただきました。『ホホホ座の反省文』に至るまでの経緯、今日までの時間の蓄積の厚み、そんなことを感じながら、ぜひ本書をお手にとってみていただけたら嬉しいです。

(ミシマガ編集部)


ダラダラやってよかったと思う

山下賢二

 最初にミシマ社から本を出す話が出たのは、約五年前のことだ。その日は、ミシマ社のサポーターがミシマ社の本屋さんに集合する定期イベントデーで、そこで公開企画会議の時間を三島さんに作っていただいた。

 当時はホホホ座として活動しはじめたばかり。編集した本も『わたしがカフェをはじめた日。』という本のみ。これは、僕が前に営んでいたガケ書房から自費出版したもので、このころは、その本が大手出版社である小学館から再リリースされた時期だった。また、僕自身もホホホ座という屋号で店をやり始めた時期でもあった。

 たぶん、どこかで三島さんと偶然会ったのだろう。その時に僕は三島さんに本の企画会議を公開でやったらどうかと提案してみた。これには実は狙いがあった。ホホホ座には、企画は山のようにあるが慢性的に制作資金がない。なので、誰かにお金を出してもらって本を出していこうと計画していたのだ。

 ましてや、ミシマ社のサポーターの皆さんの前で出版の約束を取りつければ、三島さんも断りづらいだろうと考えたのだった。

 当日は、僕と松本伸哉、加地猛、早川宏美のホホホ座編集部員が皆揃い、ああでもないこうでもないとその場の話の流れのまま、いくつかの企画がホワイトボードに記されていった。その日、最終的になんとなくこれにしようと決まったのは、「イオンに来ているお客さんたちのルポ本」だった。

 しかし実際動き始めたら、確実に出版されるという大義名分があいまいなままでイオンに来ている身も知らない人たちに声掛けしていくのがめちゃくちゃ億劫で、そのまま日常業務に押しつぶされるようにダラダラしはじめてしまった。自分から言っといて情けない。

 それから二年ぐらい月日が流れて、せっかくホホホ座編集の本を出してもらえるところまでこぎつけたのに、このままではダメだと思った僕は、あらたに京都に移住してきた人たちの過去・現在・未来を取材した本。名付けて『なのにあなたは京都にきたの』という本を企画した。

 実際、この取材は何人もの方にインタビューし、写真撮影もご協力いただいた。よしこれでいってみようと文字起こしなどがんばっていたが、どうもその人たちのヒストリー本としての域を越えない。それぞれの物語はとても面白いのだが、肝心の京都移住にまつわる思いに後付け感が拭えない。皆さんそれぞれ考えや事情があって移住してこられたのだが、京都に関して語れることは強烈にはないようだった。結局、この企画はミシマ社の雑誌「ちゃぶ台創刊号」にてその一編を掲載するにとどまった。

 さて、それではどうするか? あ、そうだ。自分たちの本なら知らない人に取材しなくていいぞと思い、それで最終的に出来た本が今回の『ホホホ座の反省文』です。

 この本もダラダラ取り組んでしまい、結局、三年ぐらいかかってしまいました。三島さんごめんちゃい。しかし、寝かせれば寝かせるほど本の中身は詰まっていったのです。

 ホホホ座あいまいヒストリーはもちろんのこと、ホホホ座のピエール瀧的存在の加地猛の解剖(もちろん彼はシロです)。全国に散らばるホホホ座への慣れ合い取材。そして、僕と松本が日頃から「ぷっ」と思っている「センスいい」とされることへのつっこみ。さらに自営業店主たちのリアルな思い。これらをまとめた本が出来ました。

 ちなみに最初のタイトル候補は、「無粋志向」というものでした。それにしなくてよかったなと心から思っていますが、実はそのタイトルにはこの本の真髄が込められています。

 その心はぜひ本文で確かめてみてください。自戒を込めて、徹頭徹尾、書いた本です。

プロフィール

山下賢二(やました・けんじ)
1972年、京都生まれ。2004年に「ガケ書房」を開店。2015年4月1日、「ガケ書房」を移転・改名し「ホホホ座」を開店。著書に『ガケ書房の頃』(夏葉社)、編著として『わたしがカフェをはじめた日。』(小学館)、絵本に『やましたくんはしゃべらない』(中田いくみ・絵、岩崎書店)などがある。


 正式な発売日は来週6月21日(金)ですが、本日6月15日より下記「ホホホ座」の各店舗では先行発売を開始します。

ホホホ座浄土寺店
http://hohohoza.com

(本)ぽんぽんぽん ホホホ座交野店
https://www.facebook.com/ponponponbooks/

ホホホ座三条大橋店
https://www.hohohoza-sanjo.com

今治ホホホ座
https://www.facebook.com/imabarihohoho/

ホホホ座西田辺
https://www.hohohoza-nishitanabe.com

ホホホ座金沢
https://hohohoza-kanazawa.com

ホホホ座珈琲大野
https://coffee-oono.com

10000t アローントコ
http://100000t.com

 また、「ミシマ社の本屋さんショップ」(←リニューアルしました!)では予約注文を受け付けております。

予約はこちらから

 明日のミシマガでは、この本の装丁を担当してくださった「ホホホ座金沢」の中林さん、安本さん、そしてホホホ座座員の一人、加地猛さんにご登場いただきます。こちらもぜひ、お楽しみに。

編集部からのお知らせ

6月、7月と京都で東京で、ホホホ座イベントが目白押しです。ぜひ足をおはこびください。

【6/16〜30 フェア】ハンズとホホホ

東急ハンズ京都店5周年記念!
フロア1階にて、ホホホ座浄土寺店によるPOP UP SHOPが開催されます。ホホホ座セレクトの本、雑貨などの販売ほか、ホホホ座と東急ハンズ京都店による出版レーベル、ホンズより『京都の音楽家案内+1』山下賢二、『京都が心配』松本伸哉の2冊がハンズ内にて発売。製本ワークショップ(『話したい話』)や浄土寺店・三条大橋店・100000tアローントコ3店によるスタンプラリーも開催。『ホホホ座の反省文』もお買い求めいただけます。

◾️日程:6月16日(日)~6月30日(日)
◾️会場:東急ハンズ京都店

詳しくはこちら


【6/29 イベント】自分を棚に上げずに書くこと 武田砂鉄×山下賢二トークイベント

気配を言語化するライター、武田砂鉄さんと文章を発表するときの覚悟、心構え、責任、自問自答などについて、自分を棚に上げずに書くことに挑戦した本『ホホホ座の反省文』(ミシマ社)の著者、山下さんが色々お話しします。

◾️日時:6月29日(土)開場19:30 開演20:00
◾️場所:ホホホ座浄土寺店1階
◾️出演:武田砂鉄、山下賢二(ホホホ座)
◾️料金:1500円(ホホホ座1階割引券付き)
◾️予約:件名を「棚上げ」とし、お名前・電話番号・人数をご明記の上、1kai@hohohoza.com まで送信下さい。予約電話は、075-741-6501 まで。ホホホ座浄土寺店1階店頭でもご予約可能です。

詳しくはこちら


【7/14 イベント】「ホホホ座だらけマルシェ」&「ホホホ座談会」

ホホホ座が京都に大集合します!

◾️日時:7月14日(日)大安
11時~17時 ホホホ座浄土寺店前ガレージにて
全国のホホホ座が集合した出店市

19時~21時 ホホホ座1階店内奥ギャラリーにて
ホホホ座ほぼ全店主による座談会(入場無料)

◾️場所:ホホホ座浄土寺店


【7/18 イベント】ホホホ座とミシマ社の反省会 山下賢二×三島邦弘トークイベント

6月21日刊行の新刊『座の反省文』と、7月20日創刊の新レーベル「ちいさいミシマ社」のW刊行記念トークイベント。個人店主、フリーランスの方、小さな会社で働く方々はもちろん、すべての働き「続ける」人、必見のイベントです!

同じ京都で小商いを営むふたりによる公開「反省会」。仕事を、商売を続けていくということについて、いま感じていること、考えていることはもちろんのこと、不安なこと、ここだけの悩み、あんなことこんなこと、まで赤裸々に語りあいます!

◾️日時:7月18日(木)開演19:00
◾️場所:代官山 蔦屋書店
◾️出演:山下賢二(ホホホ座)、三島邦弘(ミシマ社)

お申し込み方法等の詳細が決まりしだい、こちらのページ、ミシマ社ニュース代官山蔦屋書店イベントページにてお知らせします。

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