第207回
『大地との遭遇 こんな幼稚園ありかよ』発刊しました!
2026.02.12更新
本日2月12日(木)、『大地との遭遇 こんな幼稚園ありかよ』が、リアル書店にて先行発売となりました(ネットショップを含めた公式発売日は2月17日)!
ミシマ社と著者の税所篤快さんの出会いは、15年ほど前にさかのぼります。まだ学生だった税所さんは、当時からとにかく元気で世界を飛び回られており、ミシマ社の京都オフィスが城陽市にあったときには、そこで三島とのトークイベントを開催したりもしました。
それから時はめぐり数年前。久しぶりにお会いした税所さんは2児のお父さん(当時。その後3人の男の子のお父さんに)になっており、「長野に、大地という、すごい幼稚園があるんです!」と、15年前と変わらぬ熱量と目の輝きで語られるのでした。
学生の頃から世界の教育現場をめぐり、"最高の教育"を追い求めてきた税所さんが、「こんな教育あったらいいな」の答えの一端を見つけたという大地とは、どんなところなのか。
スタジオジブリの鈴木敏夫さんが帯に寄せてくださったとおり「読めば、分かる」のですが、本日はここに、本書の「まえがき」を公開します。ぜひ本書を手に取っていただくきっかけとなりましたら幸いです。
まえがき
僕は学生のころから、「最高の教育を世界の果てまで届ける」をミッションに掲げ、世界中で教育NPO活動に駆け回っていた。
十八歳のときの失恋と一冊の本との出会いをきっかけにバングラデシュに渡った僕は、仲間たちとNPO、e-Educationを立ち上げて、農村部の教育機会がかぎられた高校生たちに映像授業を届けはじめた。僕自身が、カリスマ予備校講師の映像授業をきっかけに、落ちこぼれの受験生だったところから志望大学に合格できたことが原体験にあった。
僕たちの映像授業の塾に参加した高校生たちは猛勉強の末、名門ダッカ大学をはじめ、さまざまな大学入試を突破。現地では「チリマリ村の奇跡」と報道された(詳しくは拙著『前へ! 前へ! 前へ!』(木楽舎)をお読みください)。
その国のカリスマ教師の授業をビデオ教材にして遠隔地に届けるモデルに自信を深めた僕は、その後、世界五大陸でプロジェクトを実施することを宣言。大学生の仲間たちが集まり、フィリピン、インドネシア、ミャンマー、ベトナム、ヨルダンのパレスチナ難民キャンプ、ガザ、アフリカのルワンダなど、各地でプロジェクトを実施していった。
各国のカリスマ教師のビデオ授業こそが「最高の教育機会」であると信じていた僕を打ち砕いたのは、オランダで教育を研究している方との出会いだった。
「そもそも遅れている日本の教育モデルを、さらに遅れている地域に輸出してどうするの?」
その方は、あえて厳しい言い方で、知識偏重の受験社会を生き抜くための従来のモデルの伝道師をしているかぎり、教育のパラダイムを次に進めることは難しいのではないかと問うてくれたのだ。
「それぞれの人にとっての最高の教育とはいったいなんなのだろう」
僕はそんな原点回帰のテーマを持って帰国し、日本の教育現場をリードする改革者たちを訪ねてルポルタージュを書いた。それは『未来の学校のつくりかた』(教育開発研究所)という本になったのだが、結局、問いの答えは出ていなかった。
当時、僕は「スタディサプリ」というオンライン教育アプリを運営する会社に所属しながら、さまざまな学校を回っていた。基礎学力をつけることをサポートすることの意義自体は疑っていなかったが、それよりも根源的に大切なことがあるような気がしてならなかった。
そんな逡巡を抱えているときに出会ったのが「大地」だった。
長野にある幼稚園「大地」は、日々の「暮らし」と「遊び」の中から創造的な学びをつくり出していた。子どもたちも保護者たちも自然の中で、自らの創意工夫を求められた。そこで育まれているのは、おそらく学力以前の生きる基礎体力、体の「幹」のようなものだと感じた。人間が持っている「野生の力」であり、「原始の力」と言ってもいいかもしれない。
僕たちはお金を払って既製品を買ったり、サービスを購入したりしなくとも、自分たちの体と工夫で、どうにでも生活をつくっていけるという経験と自信。それを大地と長野の環境は教えていたのだ。教科書は、自然であり、昔から読み継がれている物語の数々だった。
「それぞれの人にとっての最高の教育とはいったいなんなのだろう」という問いの答えは、いまだ模索中だ。
しかし、大地で育む「人間の土壌」のようなものは、その後のその人の人生での学びをおおいに豊かにしてくれる、という確信が今はある。
僕が世界中を駆け回って探していた「こんな教育あったらいいな」の答えの一端を、僕は大地で見つけることができたのだ。
読者の感想ご紹介
一足早く、本書をお読みくださった読者、書店員の方々のご感想を紹介します。
この本があることで、「子供への願いを、自分自身に向けて叶えようとする親」が増えていったらいいなって思いました。
――小布施町立図書館まちとしょテラソ次期館長 新城勇気、0歳児の育児中
共同体「大地」の魅力が全面展開されたこの著書。「今だけ、金だけ、自分だけ」という価値一色に染まりやすい、危うい時代を回避する模索を、ご家族で続ける、そんなさいしょファミリーの今後に期待しております。
――色平哲郎(医師)
「子供にこうなってほしいと思うのではなく、親がまずなりたい自分になる」という思想を学び、その言葉通り、自分の生きたいを生きる姿を応援しています。
――30代男性、アメリカ在住子育て中
子どもの育ちの環境に疑問を抱えているときや、日々の子どもとの関わり方に悩んだとき、本の中に散りばめられた、あおちゃん先生のことばがきっと心に寄り添ってくれると信じています。
――30代女性、2歳児の子育て中
一人で、判断して、生きていける力を、小さい時から身につけるってすごいなと思うし、羨ましくもある。過去に戻れるなら、わたしも入園したい!
――レティシア書房 小西さん
オンラインイベントを開催します
本書の刊行を記念して、3月3日夜、著者の税所篤快さんと、大阪市立大空小学校の初代校長・木村泰子さんの対談イベント「本気で考える!『こんな教育あったらいいな』」を開催します。子育てや教育に関心のある方、生き方・暮らし方に思うところのある方、みなさまぜひ奮ってご参加くださいませ!
著者からのメッセージ
最後に著者からの動画メッセージをお届けします。





