本屋さんはじめました

第1回

本屋と活版印刷所(天草)

2019.06.22更新

 「本屋と活版印刷所」はその名の通り(笑)本屋と活版印刷所が一緒になっているお店です。

 本屋をやりたいと思っていた永田と、活版印刷をしている長島さん、それを応援したい森本家が天草にもこんな本屋が欲しいな~という思いで始めました。 右半分が本屋で、左半分が活版印刷所になっていて、二階には屋根裏の管理人と称して店番もする森本家と猫3匹が住んでいます。共通していたことは「本好き」でした。

0622_1.jpg

「はじめるきっかけは?」

 ミシマ社を(勝手に)熱く応援している熱烈サポーターの永田と、長島さん、森本家は、アマクサローネという地元イベントで実行委員として関わっています。2016年~2018年のアマクサローネではミシマ社の本屋さんを天草に期間限定オープンしていただき、それを精一杯バックアップしていた関係なのです。

 3年目となる昨年の"本と本好き ちゃぶ台トークライブ"では、寺子屋ミシマ社のタイトルを「天草に欲しい、作りたい、行ってみたい本屋さんてどんな本屋だろう?」と題してミシマ社から渡辺さん、池畑さんにも来島いただき、オープン企画会議をしました。いつかどんな形でか本屋さんをしたいという思いを胸にしてイベント終了。

 そのひと月後、12月の反省会の夜、突如、活版印刷の長島さんから一緒に本屋を始めませんか?という愛あふれる企画プレゼンが!!! ここから本屋と活版印刷所の開店へ向けて、怒涛の日々が始まるのでした。

 その場にいた森本家も巻き込んで、聞いているうちに楽しくなって夢が膨らみ、迷いながらも、「不安も無謀も、きっとうまくいく!」の思いの強さが自分を突き動かし、本屋を始めようと決意。年末には店舗契約、年明けから店舗改装、お金がない分、知恵を絞り、自分たちで出来る範囲でDIYを頑張って、理想に近づけて行きました。長島さんのお父さんにも力を貸してもらい、壁は漆喰を塗りました。

 店の雰囲気をいちばん醸し出している床は、森本家の提案で「本屋と印刷所ならこんな床も素敵かも」と紙の床=paper bag floor(ペーパーバッグフロア)を試作から手作業で仕上げ、4月1日無事オープンしました。

0622_2.jpg

「これからどんなことをやっていく?」

 「印刷ができる本屋さん」「本が買える印刷屋さん」として、それぞれが出来ることを続けていきたいです。ミシマ社の本に対する思いと、そこで知った新たな出版社と本、惚れ込んで訪ね歩いた本屋を自分の言葉で伝えて行きたい。それを活力源に天草で作る手作り絵本や、約400年前に天草に伝わった活版印刷が"天草本"と呼ばれる本を印刷していたように、天草で再び、活版印刷した本を作ることができればと思っています。

――本屋と活版印刷所 永田

【追伸】"屋根裏の管理人"こと森本家より

 「本屋さんごっこ終わり!」と長島さんに叱咤激励されて2か月、今も永田さんは夢かうつつかというふわふわした気持ちを感じることがあるとのことですが、お客様に本を手渡すそのたびに、輪郭がはっきりしてpaper bag floorに足がしっかりついているのが見えます。

 そのうち埋まるかも。

0622_3.jpg

本屋と活版印刷所

〒863-0023
熊本県天草市中央新町19-1
店舗裏に駐車場あり

営業時間:10:00~17:00
定休日:月曜日

ホームページ:
http://booksandletterpress.com

問い合わせ先:
booksandletterpress@gmail.com

ミシマガ編集部
(みしまがへんしゅうぶ)

おすすめの記事

編集部が厳選した、今オススメの記事をご紹介!!

  • 『建築と利他』発刊しました!

    『建築と利他』発刊しました!

    ミシマガ編集部

    昨日5月15日(木)、『建築と利他』が全国のリアル書店にて先行発売となりました! 建築家の堀部安嗣さんと、政治学者の中島岳志さんの対談をベースに、大幅な書き下ろしと、堀部さんによるスケッチが加わった、美しい佇まいの一冊になりました。装丁デザインは鈴木千佳子さんです。

  • 「まともであることには価値がある――トランプ氏の言動に振り回されないために」小山哲さんインタビュー(前編)

    「まともであることには価値がある――トランプ氏の言動に振り回されないために」小山哲さんインタビュー(前編)

    ミシマガ編集部

    アメリカ大統領にトランプ氏が就任して以来、ウクライナとロシアの「停戦交渉」をめぐる報道が続いています。トランプ氏とゼレンスキー氏の口論、軍事支援の停止・・・大国の動向にざわつく今、本当に目を向けるべきはなんなのか?

  • 羅針盤の10の象限。(前編)

    羅針盤の10の象限。(前編)

    上田 誠

    自分のことを語るよりは、やった仕事を記録していく航海日誌であろう。そのほうが具体的で面白いだろうし、どうせその中に自分語りも出てくるだろう。 そんな風に考えてこの連載を進めようとしているけど、やはり散らかって見えるなあ、とも思う。

  • 松村圭一郎さん推薦文「答えを出すのではなく、踏みとどまるために」

    松村圭一郎さん推薦文「答えを出すのではなく、踏みとどまるために」

    ミシマガ編集部

    2024年12月に刊行された、後藤正文さんと藤原辰史さんの共著『青い星、此処で僕らは何をしようか』。本書を読んだ、人類学者の松村圭一郎さんから、推薦コメントをいただきました。『うしろめたさの人類学』や『くらしのアナキズム』の著者であり、後藤さん・藤原さんと同世代である松村さんは、どんなことを思われたのでしょうか?

この記事のバックナンバー

06月14日
第19回 本屋 象の旅(横浜) ミシマガ編集部
01月22日
第18回 Punto 本と珈琲(千葉・千葉市稲毛区) ミシマガ編集部
12月18日
第17回 OLD FACTORY BOOKS(和歌山・海南市) ミシマガ編集部
12月04日
第16回 百年の二度寝(東京・江古田) ミシマガ編集部
11月25日
第15回 自分の物語を生きるには「言葉」が必要だ ――BOOKSライデン(長崎) ミシマガ編集部
09月22日
第14回 Jeans Shop LOKKI(北海道・小樽市) ミシマガ編集部
08月16日
第13回 ハタハタショボウ(吉祥寺/西荻窪/糸島) ミシマガ編集部
04月03日
第12回 本屋ともひさし(京都市烏丸六条) ミシマガ編集部
03月13日
第11回 子どもの本屋ぽてと(大阪) ミシマガ編集部
02月08日
第10回 本と羊(福岡・六本松) ミシマガ編集部
12月04日
第9回 COYAMA(川崎) ミシマガ編集部
11月16日
第8回 句読点(出雲) ミシマガ編集部
10月14日
第7回 Finefine(岡山・総社) ミシマガ編集部
08月26日
第6回 考えるパンKOPPE(氷見) ミシマガ編集部
02月20日
第5回 「本」のお店スタントン ミシマガ編集部
03月16日
第4回 高久書店(静岡) ミシマガ編集部
12月09日
第3回 わおん書房(福井) ミシマガ編集部
09月16日
第2回 toi books(大阪) ミシマガ編集部
06月22日
第1回 本屋と活版印刷所(天草) ミシマガ編集部
ページトップへ