ミシマ社サポーター名鑑

第20回

群馬の原沢さん

2023.03.26更新

 ある日、ミシマ社に嬉しいメッセージが届きました。

「サポーターをしていたおかげで『一冊!取引所』を知ることができ、本屋を開業する決意をすることができました。」

 このメッセージを送ってくださったのは、群馬県にお住まいのサポーター・原沢香司さんです。これまでミシマ社を支えてくださったサポーターさんが「本屋を始めます」と教えてくだることは、私たちにとって本当に嬉しいことでした。「一冊!取引所」について詳しくはこちらをご覧いただければと思いますが、新しい出版の形を目指している「一冊!取引所」が、原沢さんのように本屋さんを始めたいと考える方のきっかけの一つになれたことも、ミシマ社が出版活動を続けていく上で大きな力になっています。

 本屋さんに限らずこれから何か新しいことを始めようとしている方にも、原沢さんの活力あふれる言葉をお届けします。

サポーターNo. 643 原沢香司さん(群馬県)

0326_chosha.jpg

 少しだけ昔の話です。桐生市の「ふやふや堂」さんで『ちゃぶ台』の2号を購入しました。私の住む中之条町は、群馬県の北部に位置しています。隣は新潟県と長野県です。桐生市は埼玉県の隣です。ちょっとした旅でした。「選書が面白い本屋があるなぁ」と思い、他にも数冊を旅のお土産に購入しました。

 ミシマ社の本は中之条町の書店に一時コーナーがあり(今もきちんと取り扱われています)、益田ミリさんの著書など何冊か購入して存在は知っていました。それまでは本を読む際に出版社の存在はあまり強く意識したことがなかったのですが、『ちゃぶ台』があまりにも面白くて衝撃を受け、即サポーターになりました。"革命"をテーマに一冊の雑誌をまとめることに驚きましたし、その内容の濃さにまた畏れをいだきました。なんだか、「自分のために作られた本に出会ってしまった」というような感覚をおぼえました。

 その後はサポーターとしてミシマ社の出版活動に触れ、『パルプ・ノンフィクション』の熱に当てられ、本を読みながら「はみ出したいな、はみ出さないとな」という思いを強くしていきました。当時私は地元・中之条町の観光協会に勤めており、群馬県内の仲間たちとそれぞれの地元の楽しい場所を紹介し合う旅をして楽しんでいました。コロナ禍により地元の旅がにわかに脚光を浴びましたが、それ以前のことです。地域の魅力を観光を通じて来訪者に体験をしてもらう。フリーペーパーを発行して地元の面白い活動をする人を紹介するなどして、仕事はとても楽しくやっていました。高崎市の独立系本屋「REBEL BOOKS」さんで開催される著者トークイベントに通い、本の爆買いを続けていました。また隣町にリニューアルオープンした古本屋「朝陽堂」さんでは読書会を開催させてもらい、本をめぐる自身の活動も充実させてきました。

0326_freepaper.jpg観光協会時代に発行したフリーペーパー

 このまま"本好きな観光協会のおじさん"として生きていくのか。それはずっと考えてきたことでした。仕事は楽しいし、誰かの役に立っている気もする。しかし、本当に心の底からやりたいことをやっているのか。自問する中でサポーター通信で紹介された「一冊!取引所」の存在が気になりだしました。そして徐々に本屋を開業した方の著書を固め読みしたり、どうしたら本屋を開業することができるのかを調べるようになりました。

 同時に考えていたのが、「自分はなぜ本屋を開きたいのか」ということです。自分が良書に出逢えるのは、それを作る人がいて流通させる人がいて、販売する人がいるからです。本を購入することは何よりの応援ですし、サポーターとして出版社を支えることも大事なことです。しかし、それではどうにも物足りないと感じるようになってきました。自分自身が気づきや学びを得て、ときには生きる糧になっている本を、もっとしっかりと自分の中に位置づけたい。自分も本を届ける側の人になりたい。そう思い、「一冊!取引所」の渡辺さんにオンラインで相談させてもらいました。こちらの不安をきちんと受け止めてくれ、的確なアドバイスをいただきました。「これで進める」。そう思えました。

0326_logo.jpgフクロコウジ 旅と本と人 ロゴ

 昨年12月をもって20年続けたサラリーマンを辞めました。現在、開店に向けて店舗の設計や仕入れ候補リストを「一冊!取引所」で作成したりと準備を進めています。書籍販売と一緒に、私自身がずっと関わってきた「旅」もメインに事業展開をするために旅行代理店の登録も進めています。地域に住む人と訪れる人が出会い、本と旅を通じて交わる場所をつくっていきたいです。

0326_utatane.jpg新しい店舗が入る「うた種
*木々に囲まれ里山の風景が見える場所に手芸雑貨店や一棟貸しの宿があり、この敷地内に「フクロコウジ 旅と本と人」がオープンします。

フクロコウジ 旅と本と人

住所:群馬県吾妻郡中之条町市城1514(となりは「うた種」)
電話番号:050-3575-8330
休日:火曜水曜
営業時間:12〜17時

*2023年4月オープン予定

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編集部からのお知らせ

2023年度のサポーターのご案内

ただいまミシマ社は2023年度ミシマ社サポーターを募集しています!(詳細はこちら)。サポート期間中はミシマ社から毎月、ささやかな特典をお届けいたします(中身は月によって変わります)。

【サポーター期間:2023年4月1日~2024年3月31日

<サポーターの種類>

下記の三種類からお選びください。サポーター特典は、毎月、1年間お届けいたします(中身は月によって変わります)。

2023サポーター種類:特典一覧.jpg

<お申し込み方法>

サポーター費のお支払いの方法によって、お申し込み方法が変わります。以下よりお選びください。

ミシマ社のウェブショップから クレジット決済・コンビニ決済・PayPal・銀行振込 をご希望の場合

ミシマ社の本屋さんショップ(ミシマ社公式オンラインショップ)にてお申込みくださいませ。

ミシマ社の本屋さんショップ

郵便振替をご希望の場合

下のボタンから、ご登録フォームに必要事項をご記入のうえ、お手続きください。後日、ミシマ社から払込用紙をお送りいたします。

郵便振替をご希望の場合

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E-mail:supporters@mishimasha.com
TEL:075-746-3438

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